PTSDの意味とは?原因・症状と克服・対処方法7個[専門家解説]

PTSDの意味とは?原因・症状と克服・対処方法7個[専門家解説]

PTSDという言葉を聞いたことがありますか?この記事では、PTSDの意味・原因・症状・克服方法などについて専門家が詳しく解説します。もし、あなたや家族・友人がPTSDではないかと疑われる場合は、ぜひ参考にしてください。


※この記事は、心理学の博士号を持ち、認定心理士資格を持つライターが書いています。

ある日突然、思いもよらない災害や犯罪に巻き込まれることがあります。例えば、地震や津波などの自然災害や土砂災害、交通事故などの事故・事件、強盗や殺人などの犯罪に遭遇すると、どんなに強い人でも心に大きな傷を負います。

通常のストレスやショックによる心の傷ならば、しばらくゆったりと休めれば、また元気になれます。しかし、上記の災害や犯罪などに巻き込まれた場合、生活が一変します。脳が危機アラートを常に出し続けるため、休もうとしても休めなくなります。

この記事ではPTSDとは何かを説明し、どうやったらPTSDを克服することができるのかを解説します。

PTSDの意味とは?

PTSDの正式名称は「Post Traumatic Stress Disorder(心的外傷後ストレス障害)」といいます。大きな精神的ショックや恐怖を受けた結果、抱えてしまう様々な障害のことをPTSDといいます。

通常のショックであれば時間が経つにつれて落ち着いてきます。そうして、ショックだった体験を嫌いはしても、ああいうこともあったと過去の一部として受け入れることができます。しかし、PTSDを引き起こすような強烈なショックの場合は症状が落ち着くことはありません。生活にも支障が出るぐらいひどい症状に何年にもわたって悩まされます。

具体的な症状としては、PTSDの原因となったものを避けたり、それに関する感情を無意識に抑え込もうとすることや、突然恐怖の記憶に苛まれたりすること、いつまた災害や犯罪に巻き込まれるか分からないため神経が常に高ぶり過敏な状態になったりすることなどが挙げられます。

PTSDとトラウマの違い

平たく言うと、トラウマはPTSDの原因であり、PTSDはトラウマの結果です。

トラウマとは大きな精神的ショックや恐怖の体験そのものです。そして、PTSDはトラウマの結果もたらされる症状や障害のことを意味します。

大地震を例として考えると、トラウマは大地震であり、PTSDは大地震に巻き込まれた後に生じてきたフラッシュバックや神経過敏といった症状です。

PTSDの原因2つ

PTSDの原因は、大別すると2種類あります。生死の境目となるような圧倒的な体験と長期に渡るストレス経験です。

1. 生死の境目となるような圧倒的な体験

地震や津波などの自然災害や、大雨や洪水などによる土砂災害、交通事故などの事故・事件、強盗や殺人、性犯罪などの犯罪に巻き込まれた場合などがこれに該当します。これらに共通するのは、自分や他者などの人間の力ではどうにもならず、ただ恐怖に立ちすくめるのみのどうしようもない体験ということです。

また、直接自分が遭遇するだけではなく、他者が遭遇するのを目撃してしまうことがPTSDの原因となることもあります。例えば、避難誘導を受けている時に目の前で隣の家の人が土石流に流されてしまう、知らない人がいきなり他人に切りつけられているといったものです。

他にも職業柄、警察官や消防士はPTSDの原因となる出来事と向かい合いやすいです。警察官は無残な惨殺死体を見たり、暴れる人がいると連絡を受けたら取り押さえなくてはいけません。消防士は火事で燃える家に近づき、火だるまになった人を助けることもあるでしょう。そのことがきっかけで、PTSDを発症してもおかしくはありません。

2. 長期に渡るストレス経験

長期に渡って強いストレスを受け続けることで、PTSDを抱えてしまうこともあります。生死の境目となるような圧倒的な体験は人生のいつ起こるか分からないという特徴があるのに対して、長期に渡るストレス経験には比較的幼少時の頃からストレスを受け続けるという特徴があります。

例えば、身体的虐待やネグレクトなどの虐待行為は幼い頃から繰り返されてきますし、いじめは小学校や中学校、高校までに長年受けることが多いです。

PTSDの症状5つ

PTSDの主症状として、大きくは「追体験」・「過覚醒」・「回避」の3つがあります。
この3つの症状に日常生活が破綻するぐらい悩まされます。家族や友人とこれまでのように接することができなくなったり、新しい人間関係を作ることができなくなります。また、学校での勉強や仕事が手につかなくなった結果、引きこもってしまう人もいるほどです。

また、主症状以外にもネガティブ思考・感情に由来した症状や、長期に渡るストレス経験による独特な症状など、症状の種類は多岐にわたります。

1. 追体験

◯フラッシュバック
PTSDの症状の代表格として、フラッシュバックが挙げられます。フラッシュバックとはトラウマとなった出来事が突然目の前によみがえることです。通常、何かきっかけがあったり、思い出そうとしたときに私たちの記憶はよみがえります。しかし、PTSDを抱えている人にとって、その原因となった出来事は過去に終わってしまったものではありません。そのため、トラウマの問題が終わったものではなく、現在も続いているように感じられるのです。

また、フラッシュバックでよみがえった過去の体験は、実際よりも嫌なことを鮮明に追体験させます。そのため、フラッシュバックで症状を追体験することは知識として分かっていても、その出来事が現実のように感じられて呼吸が苦しくなったり、動悸が激しくなったり、目眩、震えといった身体症状も引き起こされるのです。

◯悪夢を見やすい
また、起きている時にフラッシュバックが起きる以外にも、悪夢として恐ろしい体験が再現されることもよく見られます。常に脳が危険信号を発しているため、PTSDを抱えている人は不眠に陥りやすいです。

また、眠れたとしてもなかなか熟睡できません。人間は眠りが浅いと、夢を見やすいです。特にPTSDを抱えている人は、その原因となった出来事の悪夢を何度も繰り返して見やすいです。また幼い子どもの場合は「なんか怖い夢を見た」と泣くことも多いです。

2. 過覚醒

過覚醒とは神経が常に張りつめていることです。
本人にとってはPTSDの原因となった出来事は終わったものではありません。「いつまた恐ろしい出来事に巻き込まれるか分からない」といった危険状態にあると、脳が常に危険信号を鳴らしています。そのため、ちょっとした音に対してもビクッと過敏に反応してしまいます。

また、不安になりやすかったり、イライラしやすかったりします。神経過敏な状態なので安心して眠ることはできません。不眠にも陥りやすいです。

3. 回避

◯怖い記憶を思い出すような場面を避ける
PTSDの原因となった出来事は、本人にとって非常に怖いものです。その出来事に関連したものがあると、ついその恐ろしい体験の記憶を思い出しかねません。

本人にとってPTSDの原因となった体験の記憶は終わったものではなく、生々しく思い出されるものです。思い出した瞬間、身体症状が出るほどです。例えば、頭やお腹が痛くなったり、冷や汗をかいたり、吐き気がしたり、震えが止まらないなどです。そのため、PTSDの原因となった出来事に関連した人や場所、会話、行動などを避けようとします。

◯感情がマヒする
PTSDの原因となった出来事を思い出してしまうと、非常に苦しい思いをします。そんな苦しい思いから自分を守るため、感情がマヒするということもあります。喜怒哀楽といった感情を抱きにくくなります。そのため、みんなとは違う世界に住んでいるような疎外感を感じたりします。

4. ネガティブ思考・ネガティブ感情

◯トラウマと関連したネガティブな考え方をしてしまうようになる
世の中は良いことだけではなく悪いことも起こりますが、自分が送っている日常生活は概ね平和であると私たちは考えています。しかし、PTSDを抱え人は違います。自分自身や他者、世界に対して過剰にネガティブな考えをしやすくなります。

例えば、地震が原因でPTSDを抱えた人の場合、いつまた地震が起こるか分からないという恐怖感を何年たっても抱えています。そのため、「この世には安全な場所などない」と思うでしょう。また、暴力犯罪を見たことがPTSDの原因となった人の場合は「誰も信用できない」と思うでしょう。

警察官や消防士で残酷な犯罪や火事に巻き込まれた人を救おうとしたことがPTSDの原因となった人の場合、「自分にもっと力があったら、救うことができたに違いない」と強い自責感を持つこともあります。

◯ネガティブ感情の慢性化・ポジティブ感情の喪失
PTSDを抱えた人は、恐怖や苛立ち、罪悪感、恥などのネガティブな感情に常にとらわれています。反対に、幸福や満足感、愛情といったポジティブな感情を感じることができなくなってしまいます。また、これまで楽しめていた趣味への関心もなくなります。

楽しいことがあったとしても、それに対して面白い・ワクワクするといった感覚を持てなくなります。例えば、災害ボランティアの人が来てくれて色々な支援をしてくれることに対して、ありがたいなぁとは思えても、それで幸せを感じることは難しいです。他の人が死んでいる中で自分が生き残っていることへの罪悪感を感じて、申し訳ないという思いが募ります。

5. 長期に渡るストレス経験に由来した独特な症状

長期に渡るストレス経験がPTSDの原因となっている場合、症状はより深刻です。それというのも小さな頃からの虐待やいじめは人格形成にも影響してくるからです。上記の症状に加え、以下の症状を持っていることがあります。

◯強い自己否定感や罪悪感
子どもの頃に褒めてもらうことで、自分に自信がつき、自分はこれでいいのだという自己肯定感が育っていきます。虐待やいじめを受けて育ってきた人は、子どもの頃に常に「お前が悪い」と言われながら過ごすのです。「自分は間違った存在だ」、「生きていてはいけない」という自己否定感を抱いていくことになります。

また、PTSDの原因が親からの虐待である場合は特に強い罪悪感も抱きやすいです。どんなにひどい虐待をする親であっても、子どもにとっては唯一の親です。どんなにひどい虐待を受けても、子どもは親からの避難先と親の傍なら、親の傍にいることを望みます。そのぐらい子どもは自分の親のことを否定できません。「虐待を受ける自分は悪い子どもだ」という罪悪感を抱くのです。

◯親しい人間関係を構築するのが難しい
親や友達に否定され続けてきたので、周りは自分を好きになってくれないという考えや、他人は自分に何か危害を加えるのではないかという恐怖感を抱いています。そのため、他人とコミュニケーションをしたり、親しい関係を構築することが困難です。その結果、人間関係を構築するのを避けたり、引きこもってしまうこともあります。

◯自傷行為
自傷行為とは自分で自分を傷つける行動のことで、いわゆるリストカットなどです。虐待やいじめがPTSDの原因となっている場合、以下のような理由から、自傷行為が行われることもあります。

第一に、助けや理解を求める気持ちを自傷という形で表現していることがあります。「誰かに分かってほしい、でも分かってもらえない」という苦しみや孤独感があり、自分を傷つけることで意図せず表現しているのです。

第二に、大きな悩み、混乱、孤独の真っ只中にいるため、自分が生きているという実感が得られません。そこで、生きているという確実な感覚を得たいために、自分を傷つけるということもあります。

第三に、安心感・安堵感を得ようとして、自傷行為を行うことがあります。自傷行為を行った後、エンドルフィンという脳内麻薬が分泌されます。この脳内麻薬が、安心感・安堵感をもたらすのです。

PTSDの診断基準チェック

「PTSDの症状3つ」でお話しした「追体験」・「過覚醒」・「回避」の3つが1か月以上続いて、かつそのせいで日常生活に支障が出ている場合に、PTSDと診断されます。もし1か月以内で症状が治まるようなら急性ストレス障害と診断されます。

ただし、PTSDはすぐに発症するとは限りません。一般的にトラウマとなる恐ろしい体験に遭遇してから3か月以内に発症することが多いですが、何年もたってから発症することもあります。

PTSDの回復プロセス

PTSDからの回復は、以下の3つの段階を行き来しながら少しずつなされていきます。

①安全の確立

PTSDを抱えている人にとって、世界は安全なものではありません。そのため、本来は必要な休息が取れなくなり、自分の睡眠、食欲、自傷行為すらコントロールできないものとなってしまっています。

そこで、まずはPTSDを抱えている人が本当に休めるように、安全な生活環境を確立することが必須です。家族や友人によるサポートや、災害ボランティアや病院スタッフといった社会資源を利用して、自身が安全と思える場所でまずは横になり休息をとれるようになりましょう。

②想起と服喪追悼

安全な生活環境が確立できて自分の生活をコントロールする力が回復して来たら、次はPTSDの原因となった出来事を語る段階です。しかし、PTSDの原因となった出来事は、本人にとって非常につらいものです。そのため、この思い出し作業は決して無理強いして進めるものではなく、本人が自分の過去と向き合う選択をしたときに初めて行われます。

PTSDの原因となった記憶を思い出す作業は、その出来事よりも前の生活の外観から始まり、トラウマとなった出来事に次第に至っていきます。その出来事の文脈、なぜ起きてしまったかなどの方向付けをしっかりとしながら、記憶のストーリーを作っていきます。思い出すことで強い悲しみを抱いたり、何か失っていたものがあることに気づくこともあるかもしれません。これは非常につらいことですが、失ったものを悲しみ悼むことで、心の傷がが癒されていきます。

③再結合

自分自身の体験、言葉でPTSDの原因となった出来事を語れるようになったら、その出来事は「決して受け入れられないもの」から「嫌なのは変わらないけど実際にあったこと」として、その人のライフストーリーの中に統合されるようになります。そのことで自分のことを改めて評価し直したり、新しい自分を創っていきます。

治らない?PTSDの克服・対処方法7つ

PTSDを克服するのは非常に困難です。可能であるならば病院やメンタルクリニックへ行き、専門の医師や臨床心理士によるセラピーを受けることをお勧めします。

以下にPTSDの克服・対処方法を7個ご紹介します。どれも1人で実践するのは難しく、その克服・対処方法を行ったからといって確実にPTSDが治るというものではありません。病院やメンタルクリニックへ行ったときにどういう治療やアドバイスを受けるのかの参考に読んでください。

1. 安心できる環境にいる

PTSDを抱えている人にとって、その原因となった出来事は終わったものではありません。そのため、常に不安や恐怖のただなかにいて休むことができません。しかしそれでも安心できる環境にいてもらうことが大切です。フラッシュバックで出来事が目の前で再びよみがえるためという意味では、どこにいてもトラウマから逃れることはできません。しかし、過度に緊張している心と体を少しでも休められるように、安心・安全な環境にいてもらう必要があります。

安心できる環境というのは土地や家といった物理的な環境だけではありません。2018年の西日本豪雨のときに、子どもが安心・安全に過ごせる空間として「こどもひろば」という遊び場が提供されました。このように、一時的なものではあっても心を休ませられる空間にいることが大切です。

2. 認知処理療法

認知処理療法はPTSDの症状や、特に強い抑うつ感情や罪悪感に対して効果的な心理療法です。PTSDを抱えた人は、それまでとは違った世界観や他者の見方、自分自身の考えを持っています。例えば、目の前で暴力犯罪を目撃した人なら、「世の中は安全ではなく、今度は自分が犯罪に巻きもまれるかもしれない」といった具合です。この極端な考えをマイルドな考えに認知処理療法では変えていきます。

PTSDを抱えた人は、上記の暴力犯罪目撃の例のように、その人特有の「引っかかり」のある考え方をします。認知処理療法ではこれを見つけて、ほぐしていくのです。多くの場合は以下の5つの考え方について見直していきます。

①安全「この世は危険な場所だ」、
②信頼「知らない人はいつ私に暴力を振るうか分からないので信頼できない」、
③コントロール「自分は無力であり、何もできない」、
④価値「自分は汚されてしまったので、価値がない」、
⑤親密さ「誰とも、もう二度と親しくなれない」。

3. 「今ここ」にいるということを強く意識する

フラッシュバックが起こると、まるで当時の悲惨な状況に自分がいるかのように錯覚してしまいます。そんなときは「グラウンディング」を行うことで、自分が「今ここ」にいることを強く意識して、自分と現実をつなぎ留めておくとよいです。グラウンディングは「ground」が語源であり、「地に足をつける」ことを意味します。現実感を失って過去の悲惨な出来事に戻ってしまいそうになる自分の意識を、現実につなぎとめるテクニックのことです。

具体的なグラウンディング方法として、以下のようなものがあります。グラウンディングは知識として知っていたとしても、すぐに実践できるものではありません。日頃から意識して訓練しておくことで、フラシュバックの時にも効果を発揮します。

◯54321法
今ここで聞こえている音を5つ確認する(外で自動車が走っている音、テレビから聞こえる番組、上の階から聞こえる物音、エアコンの空調音、自分の呼吸の音など)、今ここで体に触れているものを4つ確認する(服、いす、机、キーボード)など。

◯簡単な計算をする
足し算、引き算、掛け算、割り算など。正解不正解、スピードに拘らず、とにかく計算することに集中してください。

◯ツボ押し
手のひらや腕のツボを押したり、肩を軽く揉んだりしてみてください。押している手や、押されている肩に意識を集中させてみましょう。

◯香りに集中する
あらかじめ好きなハーブウォーターなどを持ち歩いていて、必要なときにハンカチに数滴たらし、その香りに意識を集中させるという方法もあります。

4. EMDR

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)とは眼球運動による脱感作と再処理法という心理療法です。

この治療方法の一番の特徴は、クライエントはセラピストとトラウマについて話す必要がないということです。クライエントがすることは、PTSDを抱えるきっかけとなった場面を思い出しながら、リズミカルに左右に眼球を動かすだけです。眼球を左右に動かすことによって脳が直接的に刺激され、記憶の情報処理が促進されます。

その結果、フラッシュバックなどの症状が徐々に和らいでいくのです。ただし、EMDRは誰でもできるわけではなく、専門のトレーニングを受けたセラピストでないと行えません。

5. 瞑想

PTSDの神経過敏や不眠には瞑想も有効です。姿勢を正し、雑念から離れて、無意識にしている呼吸に意識を集中させてみてください。コツとしては、吸った空気が肺の中に流れ、肺が膨らみ、そしてまた肺が小さくなりながら鼻から息を吐き出すのをイメージしながら、呼吸を行うことです。そうすることで、精神状態が落ち着いてきます。

6. VR

VR(virtual reality)によるトラウマの追体験も、PTSDの克服に有効であるため、PTSDの治療方法として用いられています。これは、PTSDの原因となった出来事をVRで追体験させることにより、「危険な状況であったとしても大丈夫である」と示すことで、恐怖や不安を減らすことができるからだと考えられます。

また、虐待やいじめなどの長期に渡る人間関係でのストレス経験がPTSDの原因となった人の場合、以下の克服方法もあります。

7. 相手の立場を演じてみる

ゲシュタルト・セラピーに「エンプティ・チェア(空の椅子)」と呼ばれる技法があります。この技法では2つの椅子が用意されています。1つは自分の椅子です。もう1つの椅子は、自分が話したいことがある相手の椅子です。もちろん、相手を連れてくることはできないため、相手だったらどんなことを言うのかを自分が想像しながら話します。そうして、自分とその相手との対話場面が演じられていくのです。

例えば、子どもの頃に父親から暴力を受けてきたことがPTSDの人を例にしましょう。自分の椅子に座って父親に尋ねます。「なぜずっと私にひどいことをしてきたのか。」次は、父親の椅子に座り直し、自分に答えを言う番です。実際に相手の立ち位置というものになってみることで、今まで考えてもみなかった新しい考えが生まれることがあります。

特にPTSDの症状には慢性的な罪悪感があるため、どうしても「自分が悪かったからだ」と考えてしまいがちです。しかし、相手の立場に座らせて相手の立場からあえて考えてみることで、自分を縛りつけている罪悪感を脇において考えることができるようになるのです。

PTSDを持つ人への接し方4つ

1. 穏やかにそばにいること

PTSDの人への接し方として、第一に彼らに安心感をもたらすことが大切です。そのため、穏やかな家族・隣人として接してください。PTSDを抱えている人は常に不安のただなかにいます。その不安を受け止めるかのようにゆったりとしていてください。

2. PTSDの原因を理解し、症状のきっかけとなるものに備える

PTSDを抱えている人は、その原因となった出来事と関連する日時や場所、人間、音などに非常に敏感です。それらのきっかけがあったら、急にパニック状態に陥ったり、逆に感情が麻痺して虚ろになったりします。そのときに一緒にパニックになって「落ち着いて!」などと叫ばず、ただ「大丈夫、大丈夫。」と落ち着くまで見守ってあげましょう。

3. 無理に話させないこと

PTSDの克服には過去の出来事と向かい合い、話すことができるようになることと説明しました。しかし、それは本人が決意したときに行うべきことです。本人が過去と向かい合う準備ができるまでは、心の傷はそっとしてあげましょう。無理に話させてはいけません。

4. 忍耐をもって接すること

逆に、PTSDの原因となった出来事を何度も話してくることもあるでしょう。そのときは忍耐強く聞いてあげましょう。「過去のことはもう忘れようよ」などというのは禁句です。ひたすら聞き役に徹することが大切です。

まとめ

どんなに強い人であっても、圧倒されるような災害や犯罪に巻き込まれるとPTSDを抱えてしまいます。それは人間の防衛反応としては自然なものなので、決して自分を責めないでください。

今は「絶対に過去を受け入れられない」と思っていても、適切な治療や周囲の人から支援を受けることで、いつかは「何か意味のあった過去」として体験を振り返ることができます。

もしPTSDで悩んでいるのなら一人で抱え込まず専門のメンタルクリニックを受診してみてください。過去を乗り越えることがきっとできます。

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