歩く、かがむ、股関節を開くといった日常での動きに多くかかわる、おしり(臀部)にはたくさんのトレーニング方法があります。
器具に頼らないシンプルな方法から、ダンベル、マシンを使った本格的な方法まで30種類のエクササイズをご紹介。
引き締まったおしり作り、パフォーマンス向上やダイエットなどに役立ててみてください。
おしり(臀部)の筋肉とは?4つの部位と名称
①大臀筋
腸骨や仙骨の付近を始点として、太ももの大腿筋までつながっている大きな筋肉です。単純におしりの筋肉と言う場合、多くは大臀筋を指します。
大臀筋は骨盤の後方を支え、歩く、走る、ジャンプする、立ち上がるといった動きに寄与します。日常生活で重要な役割を果たしているのはもちろん、「キュッと引き締まったおしり」を演出する筋肉でもあります。
大臀筋の筋力は歩幅にも影響を与えます。病気や加齢などによって大臀筋の弱ってしまった方は、自然と歩幅を狭めて歩くようになってしまいます。トボトボと歩くお年寄りが多いのは、大臀筋が弱っている証拠でもあるのです。
言葉を変えれば、大臀筋をよく発達させれば歩幅が大きくなるということ。大きなストライドでさっそうと歩くには、大臀筋トレーニングが欠かせないのです。
また、大臀筋は立ち上がる動作にも寄与します。イスから立ち上がる時、無意識に何かにつかまってしまうのは大臀筋が弱っている証拠。大臀筋をサポートするため、太ももの裏側にあるハムストリングスも動員されるので、太ももに余計な負荷をかけていることにもなります。立ち上がる時、つい「よいしょ」と言ってしまうようなら、大臀筋トレーニングを心がけた方がよさそうです。
②中臀筋
大臀筋の上部についている筋肉です。「中」とついていますが、大臀筋の7割ほどの大きさを持つボリューミーな部位です。大臀筋とともにヒップアップに重要な役割を果たしており、「高い位置にあるおしり」とは、この中臀筋が発達した状態を指します。
大臀筋同様、立つ、歩く、走るといった重要な機能を担っています。特に中臀筋は足を支える役目の強い筋肉。年を取るにつれ片足立ちが難しくなってくるのは、中臀筋が衰えてきている証拠です。
③小臀筋
小臀筋は中臀筋の内側に隠れている筋肉。中臀筋とともに股関節や足の動きにかかわっています。日常生活では足を上げた際、軸足側の骨盤を支える役割が。スポーツの場面では左右へ小刻みにステップを踏む際、役立っています。
④深層外旋六筋(股関節外旋六筋)
あまり聞き慣れない名称の部位かもしれませんが、深層外旋六筋(しんそうがいせんろっきん)は大臀筋に覆われた小さな筋肉の総称。具体的には梨状筋(りじょうきん)、上双子筋(じょうそうしきん)、下双子筋(かそうしきん)、内閉鎖筋(ないへいさいん)、外閉鎖筋(がいへいさきん)、大腿方形筋(だいたいほうけいきん)の六つを指します。
梨状筋はその名の通り梨の形に似ている筋肉。上下の双子筋は平行して骨盤と大腿骨をつないでいます。内外の閉鎖筋は小さいながらも股関節の外旋で重要な存在。
大腿方形筋は深層外旋六筋の中で最も大きく、パワーのある筋肉。といっても500mlのペットボトルと比べると1/4~1/5ほどの体積しかありません。
深層外旋六筋は中臀筋、小臀筋とともに、足を外側に開いたり、ターンする動きにかかわっています。また、股関節の安定にもかかわっており、小さくて目立たないながらも大切な筋肉なのです。
おしり(臀部)の筋トレ効果3つ
1. やせやすい体質になる
おしりの大臀筋、太ももの大腿四頭筋は人体の中でも有数のボリュームを持つ筋肉です。スクワットなど下半身全体を鍛えられるメニューでこれらを部位を発達させると、基礎代謝がアップし、これまでと同じ摂取カロリーでも痩せやすい体質へと変化するのです。
2. ぽっこりお腹に効く
例えば、「子どもを産んだのに、お腹がぽっこり突き出たまま」と悩むママさんをよく見かけます。出産後もぽっこりお腹が解消しないのはズバリ、臀部の筋肉を含めた体幹が弱くなっている証拠です。妊娠中は身体をいたわるので体幹の筋肉を使うことが減ってしまい、自然と筋力が下がってしまうのです。
臀部と腹筋を同時に鍛えられるヒップリフトなどのメニューで、ぽっこりお腹解消を目指してみてください。
3. 齢を重ねても安心できる
おしりの筋肉は歩く、立つという動作に深くかかわっています。若いうちから臀部の筋肉を鍛えておけば、腰痛になりにくくなるのはもちろん、老後になってからの足腰の衰えを可能な限り防ぐことができます。
立つ、歩く。これが可能か否かで、老後のクオリティオブライフは大きく変化します。臀部のエクササイズは「今」の美しさだけでなく、「これから」の幸福にも寄与していると言えるでしょう。
【自重】おしり(臀部)の筋トレ方法15選
■1. スクワット
自重トレーニングの定番であるスクワットは、臀部と太ももの筋肉を総合的に鍛えることのできる有効なメニューです。大臀筋や体幹などおしり以外にも有効。トレーニングの種類が多すぎて何から始めてよいか分からないという方は、まずスクワットを入り口にしてみてください。
足を肩幅よりやや広めにとって立ちます。腕は頭の後ろで組むか、まっすぐ前に伸ばします。膝を曲げるのではなく、腰を落とすイメージで身体を沈めます。この時、最も鍛えたい部位であるおしりに意識を集めると、筋トレ効果がさらに増します。
太ももと床が平行になるまで曲げたら、再び腰を上げます。膝がつま先より前に出てしまっているのは曲げすぎのサインですので注意しましょう。
10~15回×2~3セットがめやす。筋力のつきかたに応じて徐々に回数を増やしていきましょう。
■2. ワイドスクワット
スクワットのバリエーションメニューで、太ももの内側(内転筋)とおしりを中心に鍛えられます。大腿四頭筋やハムストリングスといった太もも前後の筋肉への負荷が少ないので、スクワットのせいで足が太くなるのでは? という不安のある方にもおすすめできます。
ワイドスクワットの名前通り、スタンスを肩幅より広く(ワイドに)とり、つま先を外側45度に向けるのがポイント。肩幅より2~3歩分がめやすです。
負荷のかかり方が変わるため、普通のスクワットより腰を落としにくくなります。太ももと床が平行になる手前で動きを止め、しっかりおしりと内転筋に意識を集めてから姿勢を戻します。普通のスクワット同様、10~15回×2~3セットがめやすです。
■3. ブルガリアンスクワット
片足で行う、より負荷の強いスクワット。ダンベルやバーベルを使わない自重のみのスクワットでは最もハードな部類に入ります。
片足を引き、イスや踏み台など、膝くらいの高さの台につま先を乗せます。手は腰の横か、おへその前で組みます。片足で立つことになるので、バランスの取りやすい位置におくことが大切です。
■4. シシースクワット
おしりを重点的に刺激できるスクワットのバリエーションです。
軽く膝を曲げた状態から、身体を後ろに傾けます。ストレッチのように背中を反らすのではなく、腰から頭までを一直線にして上半身を傾けるのがポイントです。
後頭部から転倒に気をつけましょう。ベッドや布団の前で行うのもよい方法です。
■5. レッグランジ
スクワットとともに下半身を複合的に鍛えられるポピュラーなメニューです。
片足を大きく一歩前に踏み出し、腰を落としてから上げる動作を繰り返します。前に出した膝が90度に曲がるくらいがめやすですが、スクワット同様、膝よりも腰を落とすことを意識してください。体幹や臀部の緊張をアップさせるため、背すじを伸ばすのもポイントです。
■6. バックランジ
レッグランジのバリエーションです。片足を大きく一歩後ろに下げることから、レッグランジの別称「フロントランジ」に対しバックランジと呼ばれています。
腰を落として上げる動作はレッグランジとほぼ同じ。注目すべきは、バックランジはよりおしりの大臀筋に負荷をかけられることです。ただし、全体のプロポーションを整える意味で、バックランジにこだわりすぎず、レッグランジなどさまざまなエクササイズを織り込んでいきましょう。
■7. ヒップリフト
「ヒップブリッジ」の名前でも知られる、ベーシックな体幹トレーニングです。腹部を緊張させ、腹筋、背筋を固めて行うのが体幹トレの基本ですが、おしり(大臀筋)の力で上げ下げする意識をつけることでヒップアップにも役立てることができます。
動作は膝を曲げてあおむけに寝た姿勢から腰を上げ下げさせるだけ。上げたところで一度静止します。
腰を持ち上げた時、太ももから胸までが一直線になるよう心がけましょう。筋力に頼らず反動で上げてしまうと、一直線にならないのですぐ分かります。
■8. シングルレッグ・ヒップリフト
ヒップリフトを片足だけで行うバージョンです。一方の足だけに負荷がかかるため、より強度が高まるのはもちろん、不安定な体勢で行うので体幹トレーニングとしても有効です。
下腹とおしりに力を入れながら、左右同じ回数を行ってください。
■9. サイドヒップリフト
「サイドヒップレイズ」「サイドプランク」とも呼ばれています。横向きになって腕を立てて上体を持ち上げ、ヒップリフトの要領で腰を持ち上げます。
持ち上げた際、足首から太もも、腰、脇腹、肩までが一直線になるよう心がけてください。ヒップリフトとはまた別の角度で負荷がかかるのを感じるはずです。
■10. サイドランジ
学校の体育で準備運動として行った経験もあるのでは? 足を大きく開いて、左右に腰を落とす屈伸運動です。
曲げる側の足にしっかり体重を乗せます。膝を曲げるのではなく、股関節を開くイメージで行いましょう。
■11. バックキック
「ドンキーキック」とも呼ばれています。四つんばいの姿勢から、片足を後方に大きく蹴り出します。
キックする足は軽く膝を曲げ、押し出すのではなく円を描くように蹴り上げます。円の動作によって大臀筋や腸腰筋などいくつもの筋肉が動員されるのです。
■12. レッグレイズ
「足上げ腹筋」として知られるメニューです。あおむけになり、ピンと伸ばした両足をゆっくり上下させます。
腹直筋が主なターゲットですが、上げ下げの際、おしりの筋肉も動員されているのが分かるはずです。
■13. シングルレッグレイズ
腹筋があまり強くない方、トレーニング初心者におすすめ。レッグレイズを片足だけで行う、負荷を下げたメニューです。
片足だけを床に下ろしていきます。初心者でも両足のレッグレイズより簡単に行うことができます。
■14. ヒップアブダクション
横向きの姿勢で、手枕のように頭を支えて横たわり、上側の足をゆっくり上下させます。テレビを観ながらできる「ながら」メニューですね。おしりの筋肉の中でも中臀筋、小臀筋を主に攻めることができます。
■15. ステップアップ
階段や踏み台を使って、昇り降りを繰り返します。家の中はもちろん、外出中でもいたるところで可能。「筋トレしながら歩いている」と感じるだけで、いつもの景色が変わって見えますよ。身体が直立する直前、大臀筋を意識しておしりに力を込めるのがコツです。
【マシン】おしり(臀部)の筋トレ方法5選
まずは、マシンやバーベルを使った筋トレ方法から紹介します。
ジムで取り組む人は、この方法をぜひ試してみましょう。
■16. デッドリフト
上体をかがめた姿勢から、ウェイトを引き上げるメニューです。腕力で引き上げているように見えますが、実は動員されているのは背筋と大臀筋。背中からヒップまでの引き締まったプロポーションを作るため、欠かせないトレーニングなのです。
■17. ケーブルアブダクション
鍛えにくいインナーマッスルである小臀筋に効果的なメニューです。
ケーブルマシンの前に横向きで立ち、外側(マシンから遠い方)の足にロープーリー(低い方の滑車)のケーブルを引っかけます。
おしりから太ももの外側を意識しながら、ゆっくり足の開閉を行います。
■18. ハイパーエクステンション
ジムにあるローマンベンチを利用して行うメニュー。自重でも可能ですが、やはり器具を使った方が効果的です。
ハイパーエクステンションは背筋、大臀筋、ハムストリングスを複合的に鍛えられます。大腿四頭筋への負荷は少ないので、筋トレで足を太くしたくない方にもおすすめです。
ローマンベンチに足を固定したら、腕を頭の後ろで組み、背筋運動の要領で反らしていきましょう。スタートポジションからの動き出しが最も筋肉に効かせられるエリア。しっかりと大臀筋を意識します。
■19. グルートハムレイズ
その名の通り「おしり(グルート)」と「ハム(ハムストリングス)」に特化した、効果的なメニューです。ローマンベンチか専用のベンチで行います。
ハイパーエクステンションとよく似た上体の上げ下ろしですが、スタートポジションで上体をマイナスの角度まで下げるのがポイント。上体が床と平行になるまで持ち上げたら、膝を曲げてさらに頭を起こしていきます。
■20. バーベルスクワット
最も強度の高いスクワットです。バーベルを肩ではなく、僧帽筋の上に乗せること。力を逃がすため、膝は必ずつま先の方向に曲げること、といった注意が必要です。
【ダンベル】おしり(臀部)の筋トレ方法8選
次に、ダンベルを使ったおしり(臀部)の筋トレ方法を紹介していきます。
■21. ヒップスラスト
実は、「大臀筋を鍛える」という一点のみに絞れば、スクワットよりはるかに重要性の高いメニューです。ヒップスラストはまだ日本でなじみの少ない名前ですが、トレーニングの本場・米国ではすでにスクワットにかわる新定番として大きなひろがりを見せているのです。
ヒップスラストがスクワットより有利な点は、背中、両足の3点で身体を支えるため、より筋肉を動員できること。特に大臀筋はより収縮するので、動員率が高くなります。
次に太ももの筋肉に頼らないこと。ヒップスラストは常に膝を曲げた状態で動作します。膝が曲がると、太ももの裏側にあるハムストリングスが緩み、あまり力が伝わりません。これが大臀筋の動員率を高めることにつながるのです。
では、ヒップスラストのやり方をご紹介しましょう。本来はバーベルを使って行うメニューなので、スポーツジムの方が実践しやすいでしょう。しかし、自宅でもダンベルやベッドの側面を利用することでヒップスラストは可能です。
まず膝を曲げ、ベッドなど身体を支えられるものに背中を当てます。ダンベルを握った両手は足のつけ根あたりに置きます。足は肩幅程度に開きます。
次にヒップリフトの要領で腰を持ち上げます。膝、腰、胸が一直線の状態になるまで上げたら、再びゆっくり下しましょう。15回×3セットをめやすに、自分に合ったウエイトで行います。
■22. ダンベルデッドリフト
マシンやバーベルで行うことの多いデッドリフトですが、ダンベルでも可能です。
ダンベルを順手(手の甲が上を向く持ち方)で握り、上体を45度までかがめてダンベルを保持します。腕は動かさず、背筋で引っ張るイメージで、身体が直立するまで上げていきます。下す時は床にダンベルを置かず、すれすれで次の動作に移るとより効かせられます。
■23. シングルレッグデッドリフト
呼び名の通り、片足で行うデッドリフトです。別名「ワンレングデッドリフト」。片脚なのでよりバランス感覚が要求され、負荷も上がります。デッドリフトと逆の手順で行うため、筋肉へ効かせる角度も変わるのが特徴です。
片脚を軽く後方に曲げ、ダンベルを両手に持って立ちます。背すじを曲げないように限界まで上体をかがめたら、元の姿勢に戻ります。デッドリフトは、かがむ→直立→かがむ という動きでしたが、シングルレッグデッドリフトは、直立→かがむ→直立 と変化します。
■24. 膝固定フロアリフト
スティッフレッグド・デッドリフトとも呼ばれる、ダンベルを使ったメニューです。大臀筋とハムストリングを動員できるのが特徴です。
ダンベルを両手に持ち、軽く膝を曲げて立ちます。次に股関節を曲げることで上半身を前に倒し、ダンベルを降ろします。この時、ハムストリングスがストレッチされているのを意識してください。
ポイントは背中を丸めないこと。膝も曲げません。背すじを伸ばし、股関節だけを動かすことで大臀筋を攻めていきます。ダンベルは身体の脇から離さないようにします。
ダンベルを下げる際に息を吸い、上げる時に吐きましょう。
■25. ダンベル・ヒップリフト
ダンベルを用いて、より負荷を上げたヒップリフトです。動作はヒップリフトと同じ。最初は軽いダンベルからスタートして、徐々に重量を上げていきましょう。
ダンベルはお腹の上に置き、両手で支えます。背中や腰が痛ければ床にバスタオルを敷いてください。腰を反らし過ぎるとダンベルを落としやすくなるので、常に正しい姿勢を意識しましょう。
負荷に慣れてきたら、片足だけのヒップリフトにも挑戦したいですね。さらに高負荷を狙う時は、踏み台やイスに足を乗せて行います。
■26. ダンベル・スクワット
自重でのスクワットが容易にこなせるようになったら、いよいよダンベルを持ちながらのスクワットへ進んでいきましょう。
ダンベルは腕を下げて体の横に置くのが基本。前に差し出すことで、角度を変えながら上腕にも負荷を与えるバリエーションもあります。
加重が増える分、バランスを崩しやすくなるので、背すじを伸ばし、顔をまっすぐ前に向けるよう心がけてください。
■27. ダンベル・ワイドスクワット
「パイルダンベル・スクワット」の呼び名もあります。ダンベルは1個だけ両手で持ち、足の間に下げます。足はワイドスクワットの要領で、大きく広げましょう。
下半身の中でもとりわけ太ももの内側(内転筋)に効かせることができます。太ももの間にすきまを作りたい方におすすめです。腰への負担が少ないのも特長です。
■28. ダンベル・サイドランジ
両手にダンベルを持って行うサイドランジです。つま先をやや外側に向けるのがポイント。腰を落として膝を曲げる際には、必ずつま先の同じ方向に曲げ、膝関節への負荷を逃がしてやります。
【バランスボール】おしり(臀部)の筋トレ方法2選
■29. バランスボール・レッグカール
あおむけになり膝を伸ばして、バランスボールの上に足首を乗せます。次に腰を浮かせて、膝を曲げながらバランスボールを手前に引き寄せます。再び足が伸びるまでバランスボールを奥に戻して1回とカウント。10~15回をめやすに行います。
慣れてきたらお腹にダンベルを乗せて、さらに負荷を加えてもよいでしょう。
■30. バランスボール・ヒップリフト
バランスボールに両足を乗せてヒップリフトを行います。より筋力、バランス感覚が要求され、体幹トレーニングにも効果的です。
おしり(臀部)の筋トレの頻度や回数
おしり(臀部)の筋トレは2~3日に一度がめやすです。
「やればやるほど効果が出る」のは、あくまでランニングやウォーキングといった有酸素運動に限った話。上で紹介したメニューは無酸素運動に分類されているので、毎日100回単位でたくさんこなしても効果は上がりません。むしろ、筋肉へのダメージと疲労の蓄積でよけい筋力が弱ってしまいます。臀部の筋トレは2~3日に一度行うのがベストなのです。
筋トレによって破壊(筋繊維に細かなキズが入ること)された筋肉は48~72時間程度(個人差があります)で再生し、より太く、強くなります。せっかく筋肉が強くなってよみがえろうとしている最中に筋トレで強い負荷を与えてしまうと、破壊ばかりが進んで逆効果になってしまうのです。
かといって1~2週間も空けてしまっては刺激が弱すぎて、筋肉はやはり弱ってしまいます。2~3日に一度はハードすぎずソフトすぎない理想的なペースなのです。
筋肉が太くなるといっても、数回トレーニングした程度では効果が見えません。最低でも2ヵ月続けると、ようやく効果を実感をできるようになります。また、身体が負荷に慣れてしまい、筋トレ効果が下がり始めるのもこの頃から。強度を変えたり、角度を変化させることで脳に新たな刺激を与え、筋肉の発達をうながします。
「停滞期」と呼ばれるこの伸び悩みの時期を乗り越えた3ヵ月後‐。はっきりと筋トレの効果が感じられることでしょう。
筋トレ後のほぐしやストレッチの方法
トレーニング後のおしりの筋肉はとても緊張しています。筋トレ後のストレッチが欠かせないのと同じく、おしりも鍛えた後はやさしくほぐしてあげましょう。
腕や足のストレッチはスポーツ経験のない方でも簡単にいくつか思いつくはず。しかし、おしりの筋肉のストレッチと言われても、「?」となってしまいませんか。実はタオルを使ってできる簡単なおしりストレッチがあるのです。
①フェイスタオルを使ったストレッチ
フェイスタオルを結んで真ん中にコブを作ってみてください。握りこぶしより、ふた回りほど大きくするのがめやすです。
結んだタオルを床に置き、その上におしりの片側を乗せます。尾てい骨の脇がめやすです。膝は立て、腕は背中側に伸ばして身体を支えます。
タオルのコブに乗って5秒間キープしたらおしりを浮かせ、反対側も同じ動作をおこないます。指圧のようにタオルのコブが、じんわりとおしりの筋肉を押してくれるのを感じてください。
固い突起におしりを乗せると、筋肉が緊張して無意識に身体をガードしようとします。しかし、柔らかいタオルなら筋肉を緩めたまま、適度な刺激でコリをほぐしてくれるのです。
本格的に臀部の筋トレを行っているなら、ストレッチでほぐします。
②片方の膝の上に足を乗せたストレッチ
膝を立ててあおむけになり、右の足首を左の膝に乗せましょう。この体勢で右の足首と膝をつかみ、息を吐きながら手前に引き寄せていきます。自分にとって最も臀部の筋肉が伸びていると感じる、角度、深さをいろいろ試してみてください。左右5回ずつ行います。
まとめ
おしり(臀部)の筋肉を鍛えることは、下半身全体の強化にもつながります。下半身が強くなれば、基礎代謝がアップし、やせやすい体質になります。また、年齢を重ねるとだんだん垂れてきてしまうおしりが引き締まり、ヒップアップすることで体型や見た目も良くなります。おしり(臀部)の筋トレにもぜひ取り組んでいきましょう。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。