「世界一受けたい授業」減量外来ドクター。「ホンマでっか!?TV」肥満治療評論家・漢方治療評論家。その他、テレビや雑誌で多数出演・監修。
※医師は広告とは関係しておらず、特定の商品の保証・購入を推薦するものではありません。
健康診断の結果、中性脂肪値が高かったから、どうにかして下げたい…。このままでは生活習慣病になってしまうと医師に言われた…。
中性脂肪は男女問わず多くの方が悩まされているものです。基本的には食生活などの生活習慣が関わってきます。
今回は、中性脂肪とはそもそも何なのか?というところから、中性脂肪を上げにくい食事の食べ方、食べ物の選び方、調理方法など、中性脂肪を下げたい方におすすめの情報をまとめてご紹介します。
中性脂肪とは?脂肪の種類と働き
■体内にある脂肪の種類
人の体内には大きく分けて4つの脂肪が存在しています。
その種類は、「脂肪酸」「コレステロール」「中性脂肪」「リン脂質」の4種類です。「脂肪」というだけで、太る、健康に悪いなど、なんとなく悪いイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、この4種の脂肪はそれぞれ異なる働きを持っており、からだを正常に動かしていくために欠かすことのできない成分です。
今回のテーマである中性脂肪は、専門的な呼び方で「トリグリセリド」と呼ばれるように、3種類の脂肪酸とグリセリンが結合してできています。
これらが結合することにより、酸性の脂肪酸が中性に変化するため、「中性脂肪」と呼ばれています。体内に存在する脂肪の約9割がこの中性脂肪だといわれていますので、最も多く体内に存在する脂肪です。
■中性脂肪の働き
中性脂肪は、「万が一の時のための貯蓄エネルギー」です。食事がとれなかった時の為にそなえて、皮下脂肪や腹腔内脂肪(いわゆる内臓脂肪)として蓄えられます。しかし、エネルギーが不足することがなく、貯蔵される中性脂肪が増える一方の生活習慣をおくってしまうと、肥満に繋がってしまいます。
普段の生活の中で、中性脂肪が使われている実感はありませんが、エネルギーが不足した時に自動的に使われています。毎日活動的に過ごせたり、急に運動をしたとしても活発に動けるのは、中性脂肪がエネルギー不足時に自動的に使われているからです。また、中性脂肪が皮下組織にあることで、内臓やからだを守るクッションとなるだけでなく、体温を一定に保つことが出来ています。
中性脂肪を構成する2つの脂肪
中性脂肪は簡単に言うと=体脂肪です。
からだについている脂肪は大きく分けると「皮下脂肪」と「内臓脂肪」に分かれますが、ダイエットや健康的なからだづくりをおこなう際には、憎き敵になるこの二つ。それぞれの特徴を知って、健康管理に活かしましょう。
中性脂肪は、いわゆる「脂質」だけでなく、「たんぱく質」や「炭水化物」や「アルコール」などの糖質も原料になります。過剰に摂取したこれらの栄養素は、小腸から吸収され血液中に入り、本来ならエネルギーとして使われるところですが余ってしまったため肝臓に送られ、中性脂肪に作り替えられます。そして、脂肪細胞に送られ、貯蓄されていくのです。
つまり、食べ過ぎてしまった3大栄養素は全て中性脂肪になりうるということです。
■皮下脂肪とは?
読んで字のごとく、皮膚の下についている脂肪です。おなかや二の腕など、指でつまむことが出来る脂肪が皮下脂肪です。ダイエットをする際に、なかなか落ちにくいのはこの皮下脂肪です。内臓脂肪に比べ、付き始めるまでに時間はかかりますが、一度つくと落ちにくいのが特徴です。
本来はエネルギーが不足したときのために貯蓄しておいた脂肪ですが、運動不足やエネルギーを過剰摂取している生活を続けていると、なかなか使われることなく、老廃物やコラーゲンと絡まり合ってセルライトにつながる恐れもあります。
皮下脂肪を効率的に落としていくためには、有酸素運動だけでなく、基礎代謝を上げるための無酸素運動(筋トレ)と食事のコントロールが必要です。
■内臓脂肪とは?
内臓脂肪は、腹筋の内側にある腹腔内についた脂肪のことを指します。内蔵を守るためのクッションとしての役割や、内蔵の位置を保つ役割もありますが、増えすぎてしまうと生活習慣病に繋がる原因となります。
皮下脂肪に比べると、簡単に増えてしまうやっかいな脂肪ではあるのですが、その反面落としやすいという性質を持っています。不規則な生活をしている人、過去にダイエットをしたけれどリバウンドをした人、昔運動していた人、さらに女性よりも男性のほうが付きやすいといわれています。
内臓脂肪を減らしたい場合は、有酸素運動が最も効果的といわれていますが、20分以上継続しないと脂肪は燃えていきませんので、自分のペースで30~60分程度続けられる運動をみつけるのがおすすめです。
中性脂肪を下げる食べ物7つ[お肉類編]
中性脂肪が高めの方に好きな食べ物をお伺いすると、絶対に上がってくるのが「からあげ」「ステーキ」「焼肉」「ハンバーグ」などのお肉類です。確かにおいしいですよね。でも、脂質もたっぷり含まれているので中性脂肪を上げてしまうメニューです。
じゃあお肉は避けたほうがいいの?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。中性脂肪を下げたい時でも食べられる、ヘルシーなお肉ももちろんあります。
■1. 鶏のささみ
ダイエットといえば、ささみですよね。鶏肉はたんぱく質が多く含まれているので、代謝を高めるのに効果的です。とくにささみは、脂質は少なくたんぱく質が豊富ですので、中性脂肪を下げたい場合でも大変お勧めの食材です。脂質や糖質の代謝を高めてくれるビタミンB群も豊富に含まれていますので、さらに燃える体作りをサポートしてくれます。
パサパサ感が気になるという方もいらっしゃるかと思いますが、軽く沸騰したお湯に塩を入れ、ささみを入れたら火を止めてそのまま冷めるまで放置するだけで、とってもジューシーなささみボイルが出来上がります。そのままでももちろん、サラダやあえ物、スープなどに使うこともできますので、簡単でおいしい調理法としておすすめです。
■2. 鶏むね肉(皮なし)
ささみと同様に、鶏肉の中では脂質の少ない部分です。しかし皮が付いているので、その皮と脂肪の部分(白いかたまり)は取り除いたほうが良いでしょう。ささみよりリーズナブルですので、経済的にうれしい食材です。
こちらもやはり調理方法としては、脂が一番落せるボイルがおすすめです。しかしそればかりだと飽きてしまうとおもいますので、いつも鶏もも肉を使って調理していたメニューを、鶏むね肉に変えてみるなど工夫をするだけでも、従来の食生活と比べると脂質の量は大きく違ってきます。
■3. ラム肉
ラム肉は、最近スーパーでも簡単に手に入るようになってきました。L-カルニチンというアミノ酸の1つが大変豊富に含まれており、脂質や糖質をエネルギーに変えるのを助けてくれます。脂質が少ない部分を選ぶとよりヘルシーです。ビタミンB群や鉄分も豊富ですので、元気を出したい時にもおすすめです。効率的に中性脂肪を下げていきたい方は、メインは脂肪の少ないお魚やお豆腐やささみ、週に1回程度のご褒美に取り入れるイメージで食べるのがおすすめです。
■4. 牛赤身肉(ヒレ肉など)
ここまで読んできて、なんとなくお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、いわゆる「さし」がたくさん入った和牛や、バラ肉、カルビなどの白っぽい部分よりも赤身の多い輸入物の牛肉(オージービーフ等)や、部位でいうとヒレ肉等のほうが中性脂肪を下げたい場合にはおすすめです。鉄分やたんぱく質などの栄養素も豊富ですし、赤身のお肉はさっぱりしていて食べやすいので、胃もたれもしません。なによりお肉を食べているぞ!という満足感が得られるので、ちょっとしたご褒美として食べるのもおすすめです。
■5. 豚ヒレ肉
豚肉は牛肉や鶏肉に比べてビタミンB1が豊富なのが特徴です。ビタミンB1代謝を高める力があり、疲労回復のビタミンとも呼ばれています。積極的に摂ることで炭水化物の代謝を高める酵素を助ける働きがありますので、中性脂肪が気になる方はぜひ積極的にとりたいビタミンです。ヒレ肉は脂質も少ないので、安心して摂ることが出来るのですが、調理方法で代表的な「ヒレカツ」にしてしまうと、結局脂質を多く摂取してしまうこととなります。
火を強火で入れ過ぎてしまうと固くなってしまうので、例えばフライパンに蓋をして低温でじっくり火をいれていくなどすることでジューシーさを損なわずおいしく召し上がっていただくことが出来ます。
■6. 鶏軟骨
こりこりと食感が楽しい、焼き鳥などで人気の部位である鶏軟骨はとってもヘルシーなので中性脂肪が気になる方にはおすすめです。歯ごたえがあるものは良くかんで食べることで満腹中枢も刺激されやすいので、満足感にもつながります。現代人に不足しがちなカルシウムも豊富ですし、実はコラーゲンも摂れるので、ちょっとした美肌効果も期待できます。
三角形の軟骨(ヤゲン軟骨といわれる部分)には、肉の部分がついているものも多いですが、脂身はほとんどついていませんので、安心して食べることが出来ます。
■7. 砂肝
砂肝はちょっと癖があるので苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、カロリーや脂質が低く食べ応えのある食材です。たんぱく質が豊富で脂質も少なく、ビタミンB12も豊富です。ビタミンB12は、葉酸と共に血液中の赤血球やヘモグロビンを合成する際に必要不可欠なビタミンです。中性脂肪を下げるためには摂取カロリーを下げなければなりませんが、必要な栄養素は確保したいところです。鉄分も含まれている部分ですので、ちょっと貧血気味かな?と思った時などにはおすすめです。
調理方法としては、グリルなどで焼くのが一番ヘルシーです。スタミナ炒めのようにして食べる方法もありますが、油を多く使いますので、一日の食事のバランスを考えた上で食べることをおすすめします。
中性脂肪を下げる食べ物6つ[お魚類編]
お魚に含まれているEPAやDHAなどの脂分は、からだの中で作ることが出来ない必須脂肪酸の一つです。必須脂肪酸にはオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸がありますが、DHAは、最も不足しがちであるオメガ3脂肪酸に分類されています。このオメガ3脂肪酸は体内で固まらず、液体として存在することが出来る脂質です。
冷たい水の中で泳ぐ魚の体内で液体として存在できるわけですから、人のからだの中でも液体として存在できるのは納得できますよね。
そのため、血中の中性脂肪やコレステロール値を調節する働きがあるといわれており、積極的に摂りたい成分です。
■1. イワシ
青魚の代表格であるイワシは、6月~10月が旬のお魚です。初夏に出回るイワシよりも、秋にかけて出回る下りイワシのほうが脂がのっていますので、EPAやDHAを豊富に含んでいるといえます。調理方法としては、煮物にしてしまうとEPAやDHAが煮汁に流れ出てしまいますので、お刺身や塩焼きなどが良いでしょう。
■2. さんま
秋を代表する魚、さんまは、北の海から南下してくる一番おいしい時期に出回る魚です。あまり南下してしまうと脂が抜けていってしまうそうで、千葉県の銚子沖あたりに来た時がもっともおいしい状態だといわれています。
さんまはお刺身でも塩焼きでもおいしくいただける食材ですし、季節を感じられるので、楽しみながら中性脂肪対策が出来る食材です。さんまの炊き込みご飯などもおいしいですよね。
■3. あじ
あじの旬は5月~7月と比較的短いです。しかしこの時期のあじは、身は小さいけれど脂乗りは抜群ですので、ぜひ取り入れて頂きたい食材です。
青魚特有の臭みはありますが、ショウガやネギ、みそなどと一緒になめろうにしたり、お刺身で食べるととてもおいしいお魚です。アジフライもおいしいですが、出来れば揚げ物にするのはぐっと我慢してほしいところです。1ヶ月に1~2回程度に抑えるなどして上手にコントロールしましょう。
■4. さば
さばは冬のお魚で、10月~12月頃が旬のお魚です。よく「秋さば」「寒さば」などと呼ばれますよね。この時期のさばが、一番脂がのっているといわれています。
鮮度が落ちやすいお魚なので、お刺身で食べられることはまれですが、旬の時期になると出回る地域もあります。また、年中出回っている「ごまさば」は、脂分が少ない為、あまりおすすめとは言えません。年中安定して食べられるのが「さばの缶詰」。実はEPAやDHAの量も豊富なので、コストも気にせず手間もかけたくない時などにはとってもおすすめです。
■5. ツナの缶詰
上の4つに比べたら、EPAやDHAの量は劣ってしまいますが、手軽に摂れる食材としておすすめなのがツナの缶詰です。サラダのメイン食材としても使いやすいですが、マヨネーズと合わせるのではなく、塩コショウとレモン汁で味付けするようにすると、カロリーも抑えられます。
■6. いくら、たらこ
大量に摂取することは少し難しいですが、魚の卵であるいくらやたらこには、EPAやDHAが豊富に含まれています。塩分の取り過ぎには十分注意する必要がありますが、中性脂肪を下げるのに効果的な食材であるといえます。
中性脂肪を下げる食べ物6つ[お野菜・海藻類・大豆類編]
■1. トマト
2012年、京都大学の研究チームがトマト中に含まれる13-oxo-ODAという成分が、中性脂肪を下げる可能性があることを発見しました。読み方は13-オキソ-オクタデカジエン酸と読みます。もともとトマトに含まれているリコピン等の抗酸化物質が健康に良いとされていましたが、この結果によりさらに注目を集めました。
1日の目安量はトマト2個といわれておりますが、効率的にこの成分を摂るためにおすすめなのが「トマトジュース」。200mlで(紙パックのジュース1本)で済みますので、手軽につづけられます。
■2. 玉ねぎ
玉ねぎは動脈硬化の改善や高血圧の予防に効果があるとしてしられていますが、近年中性脂肪にも効果があると言われており、注目されています。玉ねぎに含まれているケルセチンというポリフェノールの一種が、血中の中性脂肪の調整に関わる成分を活性化させることができるという実験の結果が得られており、このことから、中性脂肪の対策にもなるのではと期待されています。
玉ねぎに含まれているケルセチンは、体内に吸収されやすい形で存在しているので、その点からも、玉ねぎが優れているといわれています。
■3. 納豆
納豆はたんぱく質が豊富であるだけでなく、大豆に含まれているレシチンは、血中の中性脂肪値やコレステロールを下げる効果があるといわれています。低カロリーですので、おやつとして食べてもいいですし、朝晩1パックずつお召し上がりいただいても大丈夫です。
納豆は50g食べると、血中の血栓を8時間溶かすことが出来るとい言われており、中性脂肪値が気になる方に起きる生活習慣病の予防にも効果を発揮します。
■4. 豆腐
納豆と同じく、豆腐の原材料は大豆です。大豆たんぱく質の50%を占める成分であるグリシニンは中性脂肪値を下げる効果があるといわれています。また、納豆と同じくレシチンも含まれておりますので、中性脂肪値や血中コレステロール値を下げる効果があると考えられています。
豆腐はとてもヘルシーですし、満足感も得られやすい食材です。納豆と同じく、上手に活用してあげることで、中性脂肪値を下げていくことに一役買ってくれます。
■5. にんにく
疲労回復効果などに良く用いられるにんにくですが、にんにくの香り成分であるアリインという成分が、中性脂肪を下げる効果があると考えられています。
このアリインは過熱しないほうが効率よく成分を摂取できるといわれており、にんにくの酢漬けや生のまま薬味として食べるなど、なるべく生の状態で食べたほうが、効果が高いと言われています。
■6. わかめ
わかめは安価で乾燥わかめなどは保存も効きますので、活用しやすい食材です。わかめに含まれているアルギン酸は、水溶性の食物繊維です。わかめ特有のぬめぬめした成分が、アルギン酸です。このアルギン酸は、体内の余分な資質や糖質をからだの外に排出してくれる効果があると考えられています。
また、不溶性食物繊維も豊富ですので、合わせて中性脂肪値を下げる働きがあるのではといわれています。歯ごたえもありますし、よく噛んで食べることで満腹感も増します。
中性脂肪を下げる食事習慣と見直しポイント3つ
「中性脂肪を下げたい!」と思った場合に、まず真っ先に思い浮かぶのは食生活の改善だと思います。でも、何を食べればいいの?何を食べてはいけないの?食事の量はどのくらい減らせばいいの?など、いったい何をどうすればいいのか、わからない事も多いと思います。
そこでまず、基本となる食事習慣の見直しからご紹介していきましょう。
まず、中性脂肪を下げる食事習慣のベースとなるのは、
「①食事の時間」
「②食事の量」
「③食事の質」の3つです。
では、見直しポイントも合わせてご紹介していきます。
■見直しポイント①:食事の時間
この時間には、2つの意味があります。
「食事を摂る時間(タイミング)」と「食事にかける時間」の2つです。ではそれぞれのポイントを細かくご紹介します。
◯中性脂肪が付きやすい食事時間を知ろう
同じものを食べたとしても中性脂肪になりやすい時間帯があるのはご存知ですか?体内には脂肪の合成を促す働きがあるたんぱく質「BMAL1」というものが存在しています。このたんぱく質の量は一日の中で大きく変化します。
一番増えるのが、夜の10時から夜中の2時までの4時間です。しかも、かなり急激に増えるといわれているので、深夜のラーメンやアイスクリームなどはものすごい勢いで脂肪になっていくということになるのです…。
お仕事柄、夕飯が遅くなってしまう方もいらっしゃるかと思いますが、量や食べるものを考えて摂取するなど、自分のからだのことを気にしてあげることが必要です。
◯食事は細かく分けて、一食ドカ食いは避ける
食事を一気にまとめて摂取すると、血糖値が急上昇します。すると、インシュリンというホルモンが分泌され、各細胞にエネルギー源として糖を送ります。しかし、すべての細胞に糖がいきわたった後も、まだ残ってしまっている場合、その糖はインシュリンによって脂肪細胞に送られ、そして中性脂肪となり、からだに蓄積されてしまうのです。
肥満体形の方の血糖値の推移と、標準体形の方の血糖値の推移を比較すると、標準体形の方の血糖値は変動が少なく、低水位で安定しているといわれています。つまりこれは、効率的にエネルギーへと変えることが出来ており、脂肪に変換されることが少ないことを指しています。中性脂肪を増やしたくないということでしたら、一日の食事回数は減らさず、一定のカロリーを守りつつ、こまめに食事を摂ることが必要です。
◯遅い時間の食事は、17時~18時の「早め夕食」で調整を
じつは、筆者も深夜に帰ることの多い仕事をしていたので、22時以降に帰宅をして23時頃に夕食を摂ることがほぼ毎日でした。疲れとストレスで、おもいっきり食べたい!と思ってしまうこともしばしば。それを抑えるためには、17時~18時くらいの時間に「ちょっと早めの軽め夕食」を食べることがおすすめです。
おにぎり1個でも食べておくと、夜のドカ食いを抑えることが出来ます。夕飯を大量に食べる習慣がついてしまっていると最初はきついと感じるかもしれませんが、だんだんと慣れてくるので心配はいりません。
お家に帰った後、夜遅くに摂る夕飯は、脂質と糖質をなるべく抑え、消化のいいものにすることがおすすめです。(ちなみに私は販売員時代、野菜スープを作っておいて、それを食べるようにしていました。)こうすることで中性脂肪が付きやすい時間の食事をコントロールすることが出来ます。
◯おやつを食べるなら14時~16時まで
前に中性脂肪になりやすくなる時間帯があるお話をしましたが、反対になりにくい時間もあるのです!それが「14時~16時。」
ちょうどおやつの時間ですね。いわゆるおやつは糖質と脂質が中心でできているものがほとんどですので、エネルギー量も高く、中性脂肪としてからだに蓄えられやすい食品です。さらに上限のカロリーを200Kcalまでとして、量をコントロールするとさらに効果的です。
■意外と大切な「水」を摂取する量とタイミング
中性脂肪値を下げたい=痩せたいと体重ばかりを気にしていると、水分の摂取量すら控えてしまう方もいらっしゃいます。ですが、これは絶対にNGです。
人間の体内の60%は水分だといわれていますが、この水分量が少なくなってしまうと、代謝が下がり、老廃物をため込みやすくなってしまいます。血液も水分が少ないとドロドロになりやすいですし、細胞が代謝を行うために必要な酸素も上手に運ばれなくなります。
◯1日の水分の目安量
成人の方であれば、1日1.5から2リットルといわれています。
飲み過ぎでは?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私たちの日々の生活で排出されている水分量は、約2リットルから2.5リットルといわれていますので、決して多い量ではありません。
◯水分を取るタイミング
・まず朝起きてすぐにコップ一杯
⇒胃腸を刺激しデトックス効果も高まります。
・お手洗いに行ったら水分補給
⇒コップ一杯が難しければ、最低4口以上は補給してください。
・お食事30分前にコップ一杯
⇒食物からビタミンやミネラルを吸収する力もアップします。
・食事中にコップ一杯
⇒食べ過ぎ防止にもつながります。
・お風呂に入る前にコップ1~2杯
⇒たっぷり水分を取っておくことで、発汗作用を高めてくれます。
・お風呂から出たらコップ1杯
⇒失った水分を補給しておかないと、ドロドロ血に繋がります。
・寝る前に水分補給
⇒あまり飲み過ぎるとむくむ方もいらっしゃるので、5口くらいで良いかと思います。
このタイミングで補給したとしても、2リットルは難しいと思いますので、気が付いたらこまめに水分を取ることが必要です。
こうすることで、代謝が上がり中性脂肪減少へと導いてくれます。
■見直しポイント②:食事の量
中性脂肪を下げたいと考えた場合、毎日の食生活でエネルギーを過剰摂取してしまっているようでしたら、まず摂取エネルギーを減らさなければなりません。ということは、エネルギーを減らす=適正な食事量にしなければならないということです。
◯適正カロリーを知ろう
ただ単純に食べないで中性脂肪を落とそうとするのは危険です。
体格や活動量によって、カロリーの目安量は変わりますが、中性脂肪を下げたいとお考えの方のおおよその摂取目安をご紹介します。
・成人男性の場合 1900kcal~2000kcal
・成人女性の場合 1400kcal~1500kcal
各性別、年齢層の平均エネルギー摂取量から約20%程度減らすのがおすすめです。
◯朝昼夕で一番多く食べていいのはいつ?
消費できなかったカロリーが中性脂肪として蓄積していきますので、摂取したカロリーを消費できるタイミングで食べなければなりません。夕食後は基本的には激しく動くこともなく、ゆっくりした時間を過ごす方が多いと思いますので、ここでたくさん食べてしまうと中性脂肪値は上がりやすくなってしまいます。
出来れば朝、昼に比重を置き、朝3:昼4:夜2くらいの割合に食事量を調整するのがおすすめです。
■見直しポイント③:食事の質
必要なカロリーがわかったところで、たとえそのカロリーの範囲内であったとしてもその食事の質が偏っていれば、中性脂肪値は下がりにくい食事になってしまいます。食事はエネルギーを摂るだけではなく、たんぱく質やビタミン、ミネラルなどの必要な栄養素を摂取することもとても重要です。
◯極端な炭水化物カットは避けましょう
中性脂肪値を下げたいと考えた時に、炭水化物を減らすことは、重要です。しかし減らし過ぎてしまうと、筋肉量の低下につながる恐れがあります。
炭水化物をカットするのであれば、夕飯に摂るのは避け、朝と昼に分けて摂るのがおすすめです。また、量の目安ですが、1日の炭水化物量を70~100g程度に抑えることで、より効果が得られやすいといわれています。ご飯を小さめのお茶碗に軽く一杯よそうと、100g前後です。これに含まれる炭水化物量は約37gですので、ごはんやパンなどの炭水化物は1日2回までに抑えることがおすすめであるのがお分かり頂けるかと思います。
また、ごはんやパン、麺類だけでなく、いも類や根菜類、お菓子等の甘いものにも炭水化物は豊富に含まれていますので、そこも加味して考えていくことが大切です。(私の経験上、70gは慣れていないとかなり厳しいので、100gから始めることをおすすめします。)
◯脂質は抑え目を意識してお食事をチョイスしましょう
脂質は1gあたりのカロリーがたんぱく質や糖質の倍以上あります。脂をたっぷりと吸った揚げ物、脂質の塊であるお肉の脂身、バターやクリームの乳脂肪などはびっくりするほどのカロリーの高さです。
しかし、中性脂肪値が高い方は、こういったこってりしたお食事が大好き!という方が多いのも事実です。我慢が続かずに結局元の食生活に戻ってしまうのでは意味がないので、続けやすい方法で脂質を抑えていくと良いでしょう。
もちろん全く脂を取らないのは良くないので、
・質のいい油(オリーブオイルや亜麻仁油、ごま油)を使うようにする
・こってりメニューは週に1回に控える
・揚げるのではなく、パン粉をつけてオーブンで焼く
・焼肉よりしゃぶしゃぶを選ぶ
・炒め物よりも煮物を選ぶ
など、調理方法や油の質に注意しながらバランスを取っていくことがおすすめです。
◯たんぱく質は積極的に摂りましょう
お肉やお魚、大豆製品などのたんぱく質は、筋肉やお肌の材料になるだけではなく、代謝に必要なアミノ酸の補給源でもありますので、中性脂肪を下げたい時でも積極的に摂ってほしい栄養素です。
しかし、お肉を中心に摂ろうとすると、部位によっては脂質も一緒に摂取することになり、カロリーオーバーになる可能性があります。たんぱく質量が多く脂質が少ない部位を選び、効率的にたんぱく質を摂取しましょう。※詳しくはこの後の章でお話しします。
また、植物性たんぱく質の代表格である「豆腐」は、脂質が少なくたんぱく質量が多いので、活用しやすいと思います。しかし、お肉類やお魚類に比べると糖質が高いので、偏りすぎることなく、全体的なバランスを見て摂取してください。
中性脂肪の値が高い場合・低い場合の状態とリスク
■中性脂肪の値が高い場合
体内の中性脂肪が過剰に増えていくと、皮下脂肪、肝臓、血液に蓄積されていきます。特に血液中の蓄積が厄介で、正常な血液に比べ、ギトギトの背脂たっぷりラーメンのスープのような状態のドロドロ血になってしまうため、徐々に血管壁にこびりついてしまいます。すると、血流を妨げるだけでなく、血管自体が細く、硬く、もろくなってしまうため、高血圧や動脈硬化につながりやすくなります。また、血栓もできやすい状態になりますので、様々な血管疾患のリスクも高まります。
■中性脂肪の値が低い場合
中性脂肪はエネルギー源ですので、少なすぎてもいけません。
中性脂肪が不足してしまうと、いつもなんとなく元気がなく、活発に動けなくなるといわれています。また、一説によると老化を加速してしまうともいわれていますので、美容の面から見ても適度な量は必要です。
また、中性脂肪のエネルギーは体温を作り出し、そしてその熱が逃げないように保温する機能も持ち合わせています。中性脂肪が低すぎると、体温調整がうまくいかなくなる可能性がありますので、冬場などは特に注意が必要です。
まとめ
現代人の食生活は、飽食・過食傾向にあります。1日3食たべるということ自体は悪いことではありませんが、そのどの食事もしっかりとした量を食べてしまうと、やや食べ過ぎになっているのが実際のところです。
基本的な食習慣を見直し、中性脂肪を下げると言われている食材を上手に使いながら、無理なく健康的に中性脂肪をコントロールしていきましょう。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。