雨にも負けず風にも負けず…いえいえ、ランニングマシンなら雨や風を気にすることなく自宅でも気軽に走ることができます。
ランニングやウォーキングといった有酸素運動はダイエットの基本。ランニングマシンの使い方と、ダイエットの方法についてまとめてみました。
ランニングマシンとは?マシン3種類
屋内で有酸素運動を行うためのマシンにはいくつかの種類があります。こちらで主に紹介するランニングマシン(トレッドミル)以外のものもご紹介します。
■①トレッドミル

まず、今回ご紹介するランニングマシン。欧米では「トレッドミル」という呼び名の方が一般的です。速度を変化させることによってウォーキングからランニング、ダッシュまで幅広いスピードに対応できます。目的や自分の走力に合わせて変更できるので便利です。傾斜をつける機能もあるので、ペースを維持しつつより心拍数を上げるメニューに設定できます。
天候に左右されずに走れるのはもちろんですが、ランニングマシン最大のメリットは、画面で走行距離やペースをチェックできること。「陸上トラック○周分」「消費カロリー」といったデータを分かるので、モチベーション維持に役立ってくれます。
家庭用も普及しており、7万円前後で高機能のものを手に入れることができます。
■②クロストレーナー
より高い効果で知られているのが「クロストレーナー」です。走りに加え、クロスカントリースキーのような手の動きが加わるため、心拍数を上げやすくなります。ペダルを踏み込むスタイルなので、膝にかかる衝撃が少なく、ケガの心配が少ないところも長所です。
デメリットは、ランニングマシンより機構が複雑なため高額になるところ。家庭用のものは15万円前後になります。
ランニングマシンやクロストレーナーがハードに感じる方は、「エアロバイク」からスタートするのもよいでしょう。これもスポーツジムでおなじみのマシンです。座って漕ぐだけなので、スマホや本を片手にエクササイズできます。手軽な一方、下半身の筋肉の一部しか動かさないため、消費カロリーや負荷はやや少なめ。有酸素運動に慣れてくると物足りなく感じてくるかもしれません。
■③ステップマシン
「ステップマシン」は階段や登山のような昇り降りの動きができます。エアロバイクに比べより高負荷、かつクロストレーナーほど場所をとりません。
前かがみになるなど姿勢を変えることで、刺激を与える部位を変えることができます。安価なものは2万円以内で入手できます。
ランニングマシンでダイエットはできる?

ひと昔前まではランニングマシンに対する一種の偏見があり、「ランニングの効果が得られない」「ダイエットに役立たない」と、まことしやかにささやかれてきました。ランニングマシンを購入したものの挫折してしまった方もいるでしょうから、そうした声もネガティブなフィルターとなっていたのです。
①継続すること、②適切な時間・ペースで行うこと、③食事や生活習慣も整えること‐。
この三本柱を守っていけば、ランニングマシンでダイエットは可能です。
風景が変わらず単調というデメリットこそありますが、屋外のアスファルトに比べ膝や腰への負担が少なく、バテてしまっても自宅なのですぐ休息を取ることができます。
屋外のランニングで意外と脅威となるのが、このバテてしまうこと。スポーツ界では「ハンガーノック」と呼ばれる現象です。ランニング初心者はついオーバーペースで走ったり、食事を抜いてしまいハンガーノックに陥りがちです。
血糖値が急激に下がり、ハンガーノックになると空腹感が極限に達して、文字通り動けなくなってしまいます。しびれや頭痛も起き、酷い時には意識が混濁することも。夜間、自宅から遠く離れた場所でハンガーノックになって地面に倒れ込んでしまったら、と考えるとゾッとしますね。ランニングマシンならこの点安心です。
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ランニングマシンでダイエットするときのコツ10個

■1.「20~30分以上」にこだわらない
ダイエットの定説になっているのが「有酸素運動が20分以上続いてから脂肪の燃焼が始まる」こと。スポーツジムのインストラクターも「30分」をすすめる方が多いようです。このため、ランニングでも水泳でも多くの方がまず「20~30分以上」を目標にします。
しかし、スポーツ未経験者や長く運動から遠ざかっていた方は、この20分以上がなかなかキツいのです。時間ばかりにとらわれると、ただでさえ変化に乏しい室内でのランニングがとても味気なく感じて、挫折につながってしまうのです。
近年の研究では、1日の中でトータル20分以上、有酸素運動が行われていれば脂肪燃焼が行われるという説も出ています。まずは、通勤や日常生活の中で歩いた時間、ウォーミングアップも含めて20分に近づけることから始めていけば、続けやすくなるでしょう。
身体がランニングに慣れ、走る日、休む日のリズムが定着したら、脂肪燃焼につながる20分以上を目指してください。
■2. なるべく朝におこなう
出勤が早い方にはなかなか難しいかもしれませんが、ランニングは朝がおすすめです。
朝食抜きで動くと低血糖を起こす危険があるので、消化・吸収が早く、すぐにエネルギー源となるゼリータイプのサプリなどを摂ってから走り始めます。朝に身体を動かすことで脳がリセットされ、交感神経の働きが活発になり意識がシャッキリするのです。クリアな状態で日々の仕事に向き合えますよ。
夜、寝る直前まで運動を続けていると、交感神経が働いたまま床につくことになり、なかなか寝つけなくなってしまいます。個人差はありますが、就寝2~3時間前には激しい運動を終えておきましょう。寝る前の軽いストレッチは副交感神経と血行を活発にするのでおすすめです。
■3. 週に2~3回がベスト
アスリートならともかく、ダイエット目的で走るなら週に2~3回のペースで十分です。
慣れないうちはとかく筋肉に疲労がたまりがちになります。疲労の蓄積した状態でランニングしても十分な脂肪燃焼効果は得られません。
■4. ウォーミングアップを大切に
ランニングマシンに乗ったら、決めているメニューの前に、ゆったりめのペースで数分歩いてウォーミングアップしましょう。事前に軽めのストレッチをしておくことも大切です。
特に真冬は室内であっても、運動で急に血圧が上がることによって、めまいや立ちくらみを起こしてしまうことがあるのです。
■5. 手すりにつかまって走らない
よく見かける光景ですが、これはNG。ランニングマシンの手すりは、あくまで安全を確保するためのものです。
上半身もしっかり刺激するため、肘を90度に曲げて、走る(歩く)テンポに合わせて大きく振るようにしましょう。二の腕のいわゆる「振り袖」を引き締めてくれる効果もありますよ。
■6. 傾斜角をつけて走る
ランニングマシンに慣れるまでは傾斜0でかまいません。20分以上のランニングが苦にならなくなってきたら傾斜角をアップしてみましょう。角度を1~2度だけ上げることで負荷が高まるのはもちろんですが、ランニングマシンで実についてしまうフォームの矯正にも役立ちます。
ランニングマシンは地面にあたる部分が動く構造のため、無意識に足が後方に流れて前傾姿勢になってしまいます。この体勢に馴染んだまま屋外でランニングしようとすると、つんのめったような走り方になってしまうのです。
1~2度の傾斜がつくことで、地面に対し垂直の姿勢を維持できるようになるため、屋外で走っても違和感をおぼえなくなります。ランニングの終り近くになったら水平に戻し、クールダウンしましょう。
また、心拍数を上げられるからと角度を上げ過ぎると着地の衝撃が大きくなり、ケガの原因になります。負荷を上げるより継続して走る方が大切なので、5度以上は必要ないと考えましょう。
■7. 足の「真ん中」で着地する
体幹を鍛え、美しい歩き方を目指す場合は「かかと」から着地するのが理想です。かかとを使って歩くと膝が曲がらず、背すじが伸び、大きなストライドになるからです。
しかし、ランニングの場合は必ずしもかかとで着地にこだわらなくても大丈夫です。ランニングマシンはベルトのおかげで衝撃が小さくて済みますが、アスファルトの路面ではかかとや足腰に大きな負担となります。ケガを予防するため、足の「真ん中」で着地するように意識してみてください。
足の真ん中とは、土踏まずの上側と、「足球(あしきゅう)」「母指球(ぼしきゅう)」と呼ばれるふくらんだ部分の下側です。痛みが出ないよう、接地面に気を配りながら走るとよいでしょうフォームが固まってくると接地面が気にならなくなるので、ストライドやピッチなど他のポイントに意識を向けることができます。
■8. 音楽でアゲる
車や自転車の音に気を配る必要がないのもランニングマシンのメリット。お気に入りの音楽で気持ちをアゲていきましょう。
野球やバスケ、アメフトなど米国プロスポーツのキャンプやトレーニングルームでは、必ず大音量で音楽が鳴り響いています。集中力を高め、単調さをまぎらわせるためにも音楽はとても大切です。身体の動きは音楽のテンポに影響されます。少し疲れがたまっていて、軽めのウォーキングで済ませたい日はスローな曲を聴くなど、メニューやコンディションに合わせて曲目を選びましょう。
■9. クールダウンも忘れずに
ウォーミングアップ同様、クールダウンも大切です。目標時間まで3~5分を切ったら、マシンのスピードを落とし、傾斜も戻して、ゆったりと走り(歩き)ましょう。心拍数を落ち着かせ、筋肉への刺激を平常レベルに落とすことで疲労がたまりにくくなります。
■10. マシンを降りたらストレッチ
走り終わってからストレッチすると、さらに疲労回復に役立ちます。血行がスムーズになることで、筋肉に蓄積したいわゆる「疲労物質」が素早く流されていくのです。
ランニングマシンでダイエットするときのおすすめメニュー

ランニングマシンは傾斜角でアクセントを加えていくのが、飽きずに、かつ効果的に走り続けるポイントとなります。
最初と最後は傾斜0でゆったり走るのが基本。
中間部は、実際の路面を走る時と近い感覚になる1~2度を中心に、3~4度の負荷のかかる場面を意識的に設けていきます。
30分のメニューなら、身体が走りに慣れ始める10分過ぎに一度ピークを作り、再び緩めてやります。終わりが見えた頃、もう一度山を作って気持ちを上げ、最後はなだらかにクールダウンに向かいます。
30分で傾斜0度→1度→2度→3度→2度→3度→2度→1度→0度という流れがおすすめですよ。
ダイエット目的のときに最適なランニングマシン速度は?

個人の体力、その日の体調によって変わってくるので、厳密に◯km/hと定義できませんが、めやすとして7~15km/hの間で走るのがよいでしょう。一般的なランニングマシンなら目盛り7以上です。
ウォーキングなら5~6km/hが脂肪燃焼効果が高いと言われています。
特にダイエットの目的が、糖尿病など生活習慣病の改善にある場合は、ウォーキングをおすすめします。糖尿病患者の方は医師から「早足」「スタスタ歩き」と指示されることもあるでしょう。これは時速に換算すると6km/h程度。時間は30分がめやすです。
体重の多い方ほど消費カロリーが多くなるので、ウォーキングを始めてからすぐに目に見える効果が出てきます。モチベーションを高めるのに役立ってくれるでしょう。
ランニングマシンのダイエット効果

ランニングマシンのダイエット効果をより高めるには、走る前に筋トレを行うことです。筋トレによって糖質が消費され、脂肪の分解が早まったところから有酸素運動をスタートさせるためより効率的なのです。
長時間だらだらと走り続けるより、短時間の筋トレ+30分以上のランニングと決めてしまった方がメリハリもつきます。ランニングとダイエットに関するまとめサイトの中には「朝食前に走るのが効果的」と説明しているところもあります。
確かに私たちの身体は睡眠中に栄養素(炭水化物や糖質)を使いきってしまうので、空腹時は飢餓状態になっています。そこでいきなり走り始めれば即、脂肪が分解されるという考え方なのですが、残念ながらあまり正しくありません。
走る時には脂肪だけでなくエネルギーも消費されます。空腹時に運動すると、身体は筋肉のタンパク質を分解してエネルギーにしようとします。せっかくランニングで増やした筋肉が減ってしまうのです。「空腹時に走る」よりも、身体が食事の分解に力を注いでいる「食後2時間は走らない」ことに意識を向けた方がより効果的なのです。
ダイエットをもっと効果的にするための食事方法

ダイエットなので当然、糖質、脂質の摂りすぎに注意します。しかし、ランニングに必要なエネルギーの源でもあるので、決して極端な糖質制限を行わないでください。
間食のスイーツや、お酒の後のシメといった明らかに過剰な要素だけを控えてみましょう。食事制限のストレスでダイエットを放棄する事態を避けることの方が大切なのです。
ランニングの前にはエネルギー源をしっかりチャージしておきます。様々なサプリやゼリータイプのスポーツドリンクが発売されていますが、脂肪燃焼効率を高める必須アミノ酸(BACC)を配合したものがおすすめです。
まとめ
・ランニングマシンは価格だけでなく、接地面の広さ、強度、傾斜角度も考慮して選びましょう。
・普通のランニングと異なるフォームで走るので、マシンでは太ももやふくらはぎの筋肉にあまり刺激を与えることができません。有酸素運動するためのツールだと考えましょう。
・20分以上のランニングが原則ですが、最初は1日でトータル20分でもかまいません。無理なく続ける方が大切です。
・ランニングの前後には必ずスローペース、傾斜ゼロの時間を作りましょう。
・傾斜角を調整して、30分の中に何度かピークを作るのがポイントです。
・ランニング前には必須アミノ酸などエネルギー源をチャージしておきましょう。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。