春が近づくと花粉症に悩まされる方も多いと思います。鼻水やくしゃみ、眼のかゆみなど嫌な症状が多いので、憂鬱ですよね。今では年中、花粉症の原因となる花粉が舞っていますので、春だけでなく他の季節でも対応が必要な方もいるようです。
耳鼻科を受診して「早めに治療したい」、もしくは「花粉が飛散する時期が近付いてきたので予防したい」と考えていても、なかなか病院やクリニックに行けない場合もあるでしょう。そういう時は近くの薬局やドラッグストア、インターネットで買える市販薬で対応することになると思います。
ただ、市販薬と言ってもどの薬がいいのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、現役の薬剤師4名が議論して決定した、「花粉症におすすめの市販薬ランキング」をご紹介します。どの市販薬にするか決める際の参考になれば幸いです。
まずは自分に合った市販薬を選ぶための基本的な内容について説明します。
花粉症の薬とはどんなもの?
花粉症は、広い意味では、花粉によるくしゃみ、鼻づまり、鼻水や目のかゆみなどのアレルギー症状のことです。つまり、花粉に触れる部分である鼻の中や目の粘膜では花粉に対するアレルギーが起こっています。花粉が鼻や眼の粘膜に入りこむと、そこで免疫細胞が反応を起こします。この反応が出過ぎた状態が花粉症の症状だと思ってください。
この反応では、免疫細胞からケミカルメディエーターと呼ばれる物質が放出されます。「ヒスタミン」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、ヒスタミンはこのケミカルメディエーターの一種です。このヒスタミンなどのケミカルメディエーターが、くしゃみ、鼻づまり、鼻水や目のかゆみを起こす原因となります。
そのため、この「ヒスタミンの働きを止める薬(抗ヒスタミン薬)」が花粉症の市販薬として多く使われています。免疫細胞から放出されてしまったヒスタミンが悪さをするのを防ぐようなイメージです。
■花粉症薬の副作用
ただ、このヒスタミンは脳では、神経伝達物質として重要な役割を果たしています。ヒスタミンは、脳では「脳を覚醒する働き」を持っているので、抗ヒスタミン薬が脳の中のヒスタミンの働きまで止めてしまうと「眠気」の副作用が出てしまうということになります。さらに集中力・判断力・作業能率の低下なども起こすことがあります。
これらの症状は、本人が気付きにくいものです。この気付きにくい能力の低下を「インペアード・パフォーマンス」と言います。ですので、眠気を感じなくても、インペアード・パフォーマンスを起こしていれば、仕事や勉強の効率が下がってしまうことになります。抗ヒスタミン薬が脳に行かなければ、この眠気とインペアード・パフォーマンスを起こしませんので、脳に移行しやすいかどうかが副作用の要因ということです。
■抗ヒスタミン薬以外の花粉症薬
この抗ヒスタミン薬よりもアレルギーを抑える作用が強い薬がステロイドになります。ちなみに現在使われている市販薬の中では、ステロイドが最も効果が強い薬です。強い薬ですので、ステロイドは怖いというイメージをお持ちの方も多いと思います。確かに内服薬だと効き過ぎて副作用が出る可能性も高いので、医師の判断・処方が必要となり、市販薬としては発売されていません。
市販薬として配合されているのは、点鼻薬(鼻の中に直接吹きかける)だけになります。点鼻薬だとアレルギー反応を起こしている鼻の粘膜周辺に直接作用させることができますので、少量でも速やかな効果が期待できますし、全身性の副作用が出ることがかなり減っています。全身性の副作用の発現率がわずかで、眠気も出てきません。つまり、ステロイドも点鼻薬であれば、怖がることなく使えるということです。
また、鼻づまりはアレルギー反応の結果、鼻腔(鼻の中)の粘膜が腫れてしまった状態が多いので、鼻の粘膜の腫れを取ることですっきりします。充血する(血管が拡張)ことが、鼻粘膜が腫れる原因の一つであるため、充血した状態を改善する血管収縮作用を持つ薬も花粉症の鼻づまりの症状の治療に使われます。
もちろん目の充血にも目薬として使われます。その他にも目の異物感(ゴロゴロ感)を抑えるために、炎症を抑える薬が目薬として使われることもあります。
花粉症の市販薬の種類
花粉症に使われる市販薬の種類としては、剤形(薬の形)で見ると、錠剤、カプセル剤といった内服薬から、鼻の症状を抑える点鼻薬や目の症状を抑える目薬があります。また、用法で見ると、持続性があり1日1回の使用でよいものから、1日3回の使用のものもあります。様々な市販薬がありますので、それぞれの症状、状況によっても薬を選択することが可能です。
例えば長時間「鼻水」を抑えたい場合は持続性の内服薬を、「鼻づまり」をすぐに改善したい場合は点鼻薬を、「目のかゆみ」をすぐに止めたい場合には目薬を使うといった感じです。
さらに中に含まれる成分で見ると、抗ヒスタミン薬の中でも古くから使われている「第一世代」、そして開発されたのが比較的新しい「第二世代」に分類されます。第一世代に分類される薬は、第二世代に比べるとヒスタミンの働きを止める効果は強いのですが、眠気や口渇(口の中やのどが渇く症状)などの副作用が出やすいのが難点です。
また、第二世代に分類される薬も「抗アレルギー性」と「非鎮静性」に分けられます。抗アレルギー性に属する薬は、第二世代の中では効果が高い薬です。ヒスタミンの働きを止めるだけでなく、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターが免疫細胞から放出されるのを防ぐ効果も持っていますので、花粉症の予防効果も期待できます。一方、非鎮静性は、第一世代の副作用を改善したものですので、他の薬と比べて「眠くなりにくい」のが特徴です。
このように、中に含まれる薬の特徴によっても使い分けをすることが可能です。仕事や勉強があり、眠気の副作用を避けたい場合には非鎮静性第二世代の薬を、強い効果が欲しい場合や症状を抑えてぐっすり眠りたい場合には第一世代か抗アレルギー性の第二世代の薬を選ぶのが良いでしょう。現在、花粉症用の市販薬に含有されている抗ヒスタミン薬の一覧表をお示しします。
なお、市販薬の購入時に注意してもらいたいのは、似た商品名でも配合されている薬の成分が異なるということです。例えば、「コンタック® 600ファースト」と「コンタック® 鼻炎Z」では、それぞれ「ケトチフェンフマル酸塩」と「セチリジン塩酸塩」が配合されていて、特徴が異なる薬となっています。商品名を最後までしっかりと確認してから購入されることをお勧めします。
それでは、飲み薬の市販薬のランキングを紹介したいと思います。なお、今回のランキングでは効果の強さ、効果のタイプ、副作用、使いやすさ、購入ルートなどを元に評価しており、販売価格やコストパフォーマンスは考慮に入れておりませんので、この点はご了承ください。
花粉症のおすすめ市販薬(内服薬)ランキングTOP10
■第1位:アレグラ®FX
「アレグラ®FX(成分:フェキソフェナジン塩酸塩)」
『第2類医薬品』
これはCM等で知っている方も多いと思います。そうです、眠気の副作用が少ないと評判の内服薬です。
非鎮静性の抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジン塩酸塩が主成分です。病院でもらう薬(医療用医薬品)と同量配合されていますので、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどのつらい症状に対して、十分な効果が期待できます。薬の成分が脳へ行きにくいため、眠くなりにくい薬です。さらにインペアード・パフォーマンス(集中力・判断力・作業能率の低下など)も起こしにくいと言われています。
花粉症の内服薬は、効果が強くても眠気やインペアード・パフォーマンスといった副作用で困っている方が多いので、副作用の最も少ないとされているアレグラ®FXを第一位に選びました。
成人(15才以上)、1回1錠、1日2回朝夕の服用となっています。食前でも食後でも構いません。ただし、15才未満の方は服用できませんので、ご注意ください。
■第2位:クラリチン®EX
「クラリチン®EX(成分:ロラタジン)」
『要指導医薬品』
これは、2017年1月に発売された市販薬です。ロラタジンが医療用医薬品と同量の10 mg配合されており、1日1回の服用で効果が持続します。
抗ヒスタミン薬の中で、脳に関する副作用の眠気、インペアード・パフォーマンスが特に出にくいと報告されているのが、先程のフェキソフェナジン塩酸塩とこのロラタジンになります。これらは効果も同程度なので、薬の効き目・副作用の出にくさとしては、クラリチン®EXとアレグラ®FXはほとんど変わらないと考えられます。仕事で車などの乗り物や機械類の運転操作に携わっている方には、この二つの市販薬がお勧めです。実際に、病院やクリニックでも処方されていて、「花粉症の薬を飲んでも眠くならない」という喜びの声が多いのが、この二つの成分となります。
また、フェキソフェナジン塩酸塩とロラタジンは、ある程度の予防効果がありますので、症状が出る前から、例えば花粉飛散予測日から使うと効果的です。もしくはまだ症状の軽い早い時期から使うのがお勧めです。花粉の飛散ピーク時の症状を緩和するための、対策となります。さらに、クラリチン®EXは1日1回の服用で効果が持続しますので、忙しくて薬を飲み忘れ易い方にとってはメリットが大きいと思います。
ただ、このクラリチン®EXは現在「要指導医薬品」に分類されており、薬局やドラッグストアにて薬剤師から購入する必要があります。薬剤師が勤務していないドラッグストアやインターネットで購入できませんので、ご注意ください。なお、薬剤師が勤務している店舗でも、夜など不在の場合は購入ができません。この点がデメリットとなりますので、第二位としました。
成人(15才以上)、1回1錠、1日1回食後の服用となっています。どの食事の後でも構いませんが、毎日同じ時間帯に服用する必要があります。こちらも15才未満の方は服用できません。
■第3位:アルガード®クイックチュアブル
「アルガード®クイックチュアブル(成分:メキタジン、フェニレフリン塩酸塩他)」
『第2類医薬品』
非鎮静性の抗ヒスタミン薬である「メキタジン」に血管収縮作用を持つ「フェニレフリン塩酸塩」などを加えた市販薬です。フェニレフリン塩酸塩は、効き目が早いのが特徴で、鼻粘膜の充血や腫れを抑え、鼻づまりを改善してくれます。さらに、この製品は錠剤にも工夫がされていて、水なしでいつでもどこでも飲めるようになっています。口に含むと素早く溶けて、フレッシュメントールの味が広がります。この速攻性と使いやすさで第三位にランクインしました。
なお、眠気の副作用は比較的少ないと言われています。
成人(15才以上)、1回1錠、1日3回服用となっています。服用時間の指定はありませんが、服用間隔を4時間以上空ける必要があります。錠剤を噛むか、口の中で溶かしてから飲みこんでください。
■第4位:ザジテン と コンタック
「ザジテン®AL鼻炎カプセル」
「コンタック®600ファースト」
(成分:ケトチフェンフマル酸塩)」
『第2類医薬品』
※主成分とその含有量が同じで、かつ使用感もほぼ同程度のものは、同じランキング順位で紹介しています。
抗アレルギー性の抗ヒスタミン薬であるケトチフェンフマル酸塩が配合されています。花粉症の症状悪化の予防として使いやすいため、このランクとしました。花粉のシーズン初期に、症状が出始めたかなと思ったらすぐに服用することで対策となります。ただ、眠気や口の渇きなどの副作用はこれまで紹介した市販薬よりは出やすいので、この点はご注意ください。
成人(15才以上)、1回1カプセル、1日2回朝食後と寝る前の服用となっています。
■第5位:スカイナー®AL錠
「スカイナー®AL錠(成分:アゼラスチン塩酸塩)」
『第2類医薬品』
こちらも抗アレルギー性の抗ヒスタミン薬を含有していますので、ザジテン®AL鼻炎カプセルとほぼ同じ使い方となります。ですので、予防として使う場合に、スカイナー®AL錠を飲んで眠気を感じたら、ザジテン®AL鼻炎カプセルに変更するという使い方も考えられます(逆の順番も可)。異なる成分だと副作用が出ない方もいるので、服用後の眠気が気になる方は試してみてください。
成人(15才以上)、1回2錠、1日2回の服用となっています。この1回に2錠飲むというのが面倒だと感じる方もいるようですし、薬の成分が苦いのでそれが気になる方もいるようです。この二点があるため、第五位としました。
■第6位:アネトン®アルメディ鼻炎錠
「アネトン®アルメディ鼻炎錠(成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩他)」
『指定第2類医薬品』
第一世代の抗ヒスタミン薬に血管収縮作用を持つ薬や生薬のエキスが配合された市販薬です。クロルフェニラミンマレイン酸塩の配合量が、市販薬の中で最も多い商品です。そのため、花粉症に対する効果は市販薬の内服薬の中で最も強いと考えられます。くしゃみ、鼻水、鼻づまりに優れた効果を発揮します。ただし、第一世代の抗ヒスタミン薬が高用量配合されていますので、副作用も他の市販薬に比べて出ることが多く、強くでる可能性もあります。口の渇きと眠気の副作用が出やすいので、このような症状が続いた場合には、医師または薬剤師に相談してください。
普段は他の市販薬を使っていて、どうしても花粉症の症状を抑えたい時だけ、もしくは寝る前だけ「アネトン®アルメディ鼻炎錠」を使うという感じでも良いでしょう。
成人(15才以上):1回3錠
11才以上15才未満:1回2錠
1日3回の服用となっています。これまで紹介した市販薬と異なり、11才以上から使えます。
■第7位:プレコール®持続性鼻炎カプセルLX
「プレコール®持続性鼻炎カプセルLX(成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩他)」
『指定第2類医薬品』
上で紹介した「アネトン®アルメディ鼻炎錠」とほぼ同じ市販薬です。抗ヒスタミン薬のクロルフェニラミンマレイン酸塩の配合量が4分の3になっています。そのため、「アネトン®アルメディ鼻炎錠」を飲んで副作用がキツイなと思ったら、この薬を試してみるのも良いでしょう。
ほぼ同一成分の市販薬として、「新コンタック®600プラス」があります。
どちらも成人(15才以上):1回2カプセル
7才以上15才未満:1回1カプセル
1日2回朝夕の服用となっています。また、この二つは7才からの服用が認められていますので、子供の花粉症にも使えます。
また、クロルフェニラミンマレイン酸塩の配合量がさらに少ない市販薬としては、「ロートアルガード®鼻炎ソフトカプセルEX」、「エスタック®鼻炎ソフトニスキャップ」、「ストナリニ® S」があります。
ここからは優劣を付けがたいため、3種類の成分の市販薬が同率8位となります。
いずれも非鎮静性の抗アレルギー薬が成分として配合されており、眠気の副作用は抑えられています。ただ、第一位と第二位として紹介したフェキソフェナジン塩酸塩、ロラタジンと比べると副作用が出やすいとされています。
■第8位:アレジオン と ロートアルガード
「アレジオン®10」
「ロートアルガード®持続性鼻炎シールド」
(成分:エピナスチン塩酸塩)
『指定第2類医薬品』
「アレジオン®10」は、エピナスチン塩酸塩を1錠中に10 mg含有していますが、「ロートアルガード®持続性鼻炎シールド」は1カプセル中に20 mg含有していますので、主成分の含有量で選択することも可能です。
成人(15才以上)、1回1錠(カプセル)、1日1回寝る前の服用となっています。
■第8位(同率):エバステル®AL
「エバステル®AL(成分:エバスチン塩酸塩)」
『第1類医薬品』
成人(15才以上)、1回1錠、1日1回寝る前の服用となっています。第1類医薬品ですので、薬剤師から購入する必要があります。薬局もしくは薬剤師が勤務しているドラッグストアで薬剤師に相談した後にご購入ください。このため、ランキングが低めになっています。ただ、所定の手続きをすればインターネットでも購入することも可能ですので、興味がある方はインターネット上で探してみてください。
■第8位(同率):コンタック®鼻炎Z と ストナリニ®Z
「コンタック®鼻炎Z」
「ストナリニ®Z」
(成分:セチリジン塩酸塩)
『第1類医薬品』
どちらも成人(15才以上)、1回1錠、1日1回寝る前の服用となっています。これも第1類医薬品ですので、購入に関しては上で紹介したエバステル®ALと同様の扱いとなっています。
以上が内服薬のランキングとなります。それぞれ特徴がありますので、ご自身の希望にあうものを探してみてください。もしわからない場合は、ドラッグストアで薬剤師か登録販売員に相談すると良いでしょう。
また、内服薬を服用して5~7日使っても効果が感じられない場合は、医師、薬剤師に相談してください。その症状が花粉症以外の病気の可能性があります。
次は、鼻の粘膜に直接作用する点鼻薬のランキングを紹介します。
花粉症のおすすめ市販薬(点鼻薬)ランキングTOP5
■第1位:ナザール®α AR 0.1% と パブロン®鼻炎アタック
「ナザール®α AR 0.1%」
「パブロン®鼻炎アタック」
(成分:ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)」
『指定第2類医薬品』
ステロイドの一つである「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」が高濃度で配合された点鼻薬です。ステロイドはアレルギー症状に対して、抗ヒスタミン薬よりも強い効果を持っていますし、炎症を抑える作用もありますので、鼻づまり、鼻水、くしゃみに有効です。点鼻薬の中で最も効果が期待できると考え、第一位としました。
また、鼻に直接噴霧して使う薬ですので、副作用もでにくいと言われています。そして脳の活性化に影響する成分も入っていませんので、眠くなりませんし、インペアード・パフォーマンスも起こりません。
なお、少ない副作用の中で起こりやすいのは、噴霧する部分に近い鼻と喉になります。もし鼻と喉の違和感があった場合は、医師や薬剤師に相談してください。
ステロイドの高濃度が不安だという方は、「ベクロメタゾンプロピオン酸エステル」が半分になっている「コンタック®鼻炎スプレー」がありますので、そちらがお勧めです。
成人(18才以上)、1回左右の鼻腔内にそれぞれ1回ずつ、1日2回朝夕の噴霧となっています。18才未満の方は使用できませんので、ご注意ください。また、症状が重い場合には、1日最大4回(左右の鼻腔で8噴霧)まで使用できますが、次の使用までは3時間以上空けてください。また、使用した後に味を感じた場合は、鼻から口に入ったということですので、飲み込まないようにうがいをしてください。全身性の副作用を予防することができます。
またステロイドが入っている点鼻薬は、1年間に1カ月(パブロン®鼻炎アタック)、3ヶ月(ナザール®α AR 0.1%)と使用できる期間が決められています。他のステロイド点鼻薬を含めた期間になりますので、1年を通じて使用した期間を把握しておく必要があります。いつ使い始めたのか記録しておくと、どれくらいの期間使ったかがわかりますのでお勧めです。
■第2位:コールタイジン®点鼻液a
「コールタイジン®点鼻液a(成分:プレドニゾロン、塩酸テトラヒドロゾリン)」
『指定第2類医薬品』
これは、ステロイドの「プレドニゾロン」と血管収縮作用がある「塩酸テトラヒドロゾリン」が配合された点鼻薬です。このため、鼻の症状の中でも特に鼻づまりに効果が高い薬で、即効性も期待できます。また、7才以上から使用できるのも、鼻の症状で悩んでいるお子さんにとってはメリットだと思います。通常の使用では、眠くなりませんし、その他の副作用もわずかだと言われています。
ただし、使いすぎるとかえって鼻づまりを起こすことがありますので、注意してお使いください。そして、小児に使う場合は、保護者の管理が必要です。
7才以上、1回1~2回鼻腔内に噴霧となっています。3時間以上の間隔をおけば、1日に6回まで使用できます。また、即効性がある薬ですので、もし3日使用しても症状が良くならなければ、花粉症以外の病気の可能性があります。その場合は、すぐに医師もしくは薬剤師に相談してください。
■第3位:ザジテン®AL鼻炎スプレーαクール
「ザジテン®AL鼻炎スプレーαクール(成分:ケトチフェンフマル酸塩)」
『第2類医薬品』
予防効果を持つ抗ヒスタミン薬の「ケトチフェンフマル酸塩」が配合された点鼻薬です。鼻の症状対策として、花粉飛散期に入って症状が出始めたらお使いください。症状が軽いうちから使うとより効果的です。効果はステロイドには及びませんが、予防として使えるため、第三位としました。
l-メントールというスーっとする成分も入っていますので、スキッとした使い心地です。また容器の構造にも工夫されており、どの角度でも噴霧が可能となっています。そのため、子供でも使いやすい点鼻薬です。
7才以上、1回に両方の鼻腔内に1度ずつ、1日に4回朝昼夕と寝る前に噴霧してください。
なお、ザジテンと同じ「ケトチフェンフマル酸塩」に血管収縮作用を持つ「ナファゾリン塩酸塩」が配合された点鼻薬に「パブロン®点鼻クイック」があります。鼻づまりに対して速攻性がありますので、鼻づまりが強く出る方はこちらがお勧めです。ただ、こちらは予防としては不向きですし、使い過ぎるとかえって鼻づまりが起こることがありますので、これらの点にご注意ください。
これらの薬は、わずかですが眠気や口の渇きが起こる可能性があります。花粉症用の目薬と一緒に使うと眠気の副作用の発現率が高くなりますので、一緒に使う場合はご注意ください。
■第4位:エージーノーズ®アレルカットC
「エージーノーズ®アレルカットC(成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロモグリク酸ナトリウム、ナファゾリン塩酸塩他)」
『第2類医薬品』
効果の強い第一世代抗ヒスタミン薬の「クロルフェニラミンマレイン酸塩」、抗アレルギー薬の「クロモグリク酸ナトリウム」にさらに血管収縮作用のある「ナファゾリン塩酸塩」が配合された点鼻薬です。鼻の症状に対して非常に高い効果、そして速攻性のある効果が期待できます。l-メントールが入っているので、すっきりクールな使い心地となっています。ただ、この点鼻薬も、使い過ぎるとかえって鼻づまりが起こることがあります。
7才以上、1回に鼻腔内に1度ずつ、1日に3~5回噴霧してください。噴霧する時間は決められていませんが、3時間以上の間隔をおいてください。
■第4位(同率):ナザール®スプレー
「ナザール®スプレー(成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩、ナファゾリン塩酸塩他)」
『第2類医薬品』
上で紹介した「エージーノーズ®アレルカットC」から、抗アレルギー薬の「クロモグリク酸ナトリウム」を抜いて、他の成分を増やした感じです。トータルでの効果はそれほど変わりませんので、同率四位としました。この二つは値段や好みで選んでもらっても良いと思います。
7才以上、1回に鼻腔内に1~2度噴霧してください。3時間以上の間隔をおけば、1日に6回まで使用できます。また、「エージーノーズ®アレルカットC」と「ナザール®スプレー」はどちらも即効性がある薬です。もし3日使用しても症状が良くならなければ、花粉症以外の病気の可能性がありますので、すぐに医師もしくは薬剤師に相談してください。
以上点鼻薬のランキングでした。続いて点眼薬のランキングを紹介します。
花粉症のおすすめ市販薬(点眼薬)ランキングTOP5
■第1位:マイティア と ロートアルガード
「マイティア®アルピタットN EXα」
「ロート アルガード®クリアブロックZ」
(成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロモグリク酸ナトリウム、プラノプロフェン他)
『第2類医薬品』
第一世代の抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬に加えて、炎症を抑える「プラノプロフェン」が配合されています。さらに各成分が、市販薬で認められている最高濃度で配合されていますので、この二つは市販の点眼薬の中で、最も強い効果が期待できます。目のアレルギー症状が続いていて、かつ目の炎症を伴う方が使うのに適しています。目のかゆみ、目のかすみ、なみだ目、異物感(コロコロする感じ)、充血などに高い効果がありますので、この効果の高さで第一位としました。
即効性もありますので、もし2日間使用しても症状が良くならなければ、花粉症以外の病気の可能性があります。その場合は、医師もしくは薬剤師に相談してください。
7才以上、1回1~2滴、1日4回点眼してください。
また、症状はそこまで重くないけど、ある程度は抑えたいという方には、メインの配合薬の濃度を少し落とした「マイティア®アイテクト アルピタット」が発売されていますので、そちらを試されてはどうでしょうか?
■第2位:エージーアイズ®アレルカット
「エージーアイズ®アレルカット(成分:クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロモグリク酸ナトリウム他)」
『第2類医薬品』
第一位の点眼薬と比べると、少し成分と濃度が抑えられている感じです。症状が重くない方にはこちらがお勧めです。目のかゆみ、充血、かすみ、なみだ目、異物感に効果があります。
また、「しみないソフトタイプ」、「すっきりクールタイプ」、「うるおいモイストタイプ」と同じ主成分で、使用感が異なる3種類のタイプが発売されていますので、好みのタイプを選ぶことが出来ます。目薬は使用感も重要なポイントとなりますので、この点を考慮して第二位としました。
1回1~2滴、1日4回点眼してください。年齢制限はありません。
■第3位:ノアールPガード®点眼液
「ノアールPガード®点眼液(成分:ペミロラストカリウム)」
『第1類医薬品』
ペミロラストカリウムは、免疫細胞からケミカルメディエーター(アレルギー症状の原因)が放出されるのを抑えます。ケトチフェンフマル酸塩などの抗アレルギー性の抗ヒスタミン薬もこの効果がありますが、ペミロラストカリウムや次に出てくるトラニラストの方が高い抑制効果を持つという報告があります。そのため、予防薬としては、ペミロラストカリウムやトラニラストが期待できると考えられます。
花粉症対策として使う場合は、症状があらわれていなくても花粉飛散開始の1~2週間前からの使用が推奨されています。もちろん、花粉症の症状が出てからでも使えますが、予防として使うのがお勧めの点眼薬です。
7才以上、1回1滴、1日2回朝夕に点眼してください。
■第4位:ロートアルガード®プレテクト
「ロートアルガード®プレテクト(成分:トラニラスト)」
『第1類医薬品』
「ノアールPガード®点眼液」とほぼ同等の点眼薬です。同じように花粉症対策として使えます。どちらも第1類医薬品ですので、薬剤師から購入する必要があります。対策として使われる場合には、早めに薬局や薬剤師が勤務しているドラッグストアでお求めください。
7才以上、1回1滴、1日4回朝昼夕と寝る前に点眼してください。同等の効果を持つ「ノアールPガード®点眼液」は1日2回の使用ですので、点眼の手間を考慮して第四位としました。
■第5位:ザジテン®AL点眼液
「ザジテン®AL点眼液(成分:ケトチフェンフマル酸塩)」
『第2類医薬品』
内服薬でも点眼薬でも出てきましたが、抗アレルギー性の抗ヒスタミン薬の「ケトチフェンフマル酸塩」の点眼薬です。医師が処方する医療用医薬品でもザジテンの商品名で同じ成分が使われています。予防薬として使えますが、予防効果は上の二つに対しては弱いので、使うタイミングが異なっています。「ザジテン®AL点眼液」は、花粉飛散期に入って症状が出始めたら軽いうちに使用を開始してください。
1才以上、1回1~2滴、1日4回朝昼夕と寝る前に点眼してください。
以上が点眼薬のランキングとなります。
なお、今回紹介した点眼薬に共通の注意点として以下の事柄があります。
・コンタクトレンズを装着したままでは使用できませんので、一旦レンズを外してから使用してください。
・片方の目だけに症状がある場合や、目の症状のみで鼻の症状がない場合は、花粉症ではない可能性が高いので、点眼薬を使う前に医師の診察を受けてください。
・眠気の副作用は基本的にありません(眠くなりません)。ただし、点鼻薬と一緒に使った場合には、眠気がでる場合がありますので、その場合は乗り物や機械類の運転操作は避けてください。
まとめ
今回は数々の市販薬をランキング形式で紹介しました。
それぞれの特徴や使い方について少しは理解して頂けたのではないでしょうか?
過去の経験から、「これが自分に合いそうだ」とピンと来た方は、そちらを試してみてください。今は、市販薬の大半は、インターネットでも購入できる便利な時代ですので、数日以内に手に入れることが可能です。花粉の飛散が始まる前に入手できるように準備してくださいね。
また、いろいろありすぎて迷ってしまうという方は、近くの薬局やドラッグストアで薬剤師や登録販売員に相談してみてください。症状や状況に合う市販薬を勧めてくれるはずです。
薬剤師をしています。ヘルスケア分野の情報をわかりやすく説明します。