イチョウ葉エキスとは?効果効能5つと摂取方法・副作用

イチョウ葉エキスとは?効果効能5つと摂取方法・副作用

イチョウ葉エキスは記憶力に関する効果効能など様々な面で注目されている成分です。この記事ではイチョウ葉エキスの効果効能と摂取方法・副作用を詳しく説明します。


認知症や記憶力の低下を予防するをいわれているイチョウ葉エキスを知っていますか?
イチョウ葉エキスは、脳の血液の流れを改善するとして、ヨーロッパでは、医薬品として使用されている国もあり、その効果が注目されています。日本では、健康食品として多くの商品が販売されています。

ここでは、イチョウ葉エキスの効果効能について医学論文を参考にご紹介します。また、イチョウ葉エキスの効果的な摂取方法や副作用についても解説します。

イチョウ葉エキスとは?

街路樹として植えられていることも多い、扇型の葉をつけるイチョウの木。知っている方も多いと思います。

イチョウは、中国が原産の落葉高木です。種子(ぎんなん)は、古くから漢方薬として用いられてきました。また、食用として、焼いたり、茶碗蒸しにトッピングして食べられています。イチョウの葉も、気管支炎や喘息、耳鳴りなどの改善に用いられていました。

そのイチョウの緑葉から成分を抽出し、濃縮したものが、イチョウ葉エキスです。

イチョウ葉に含まれる主な成分には、ケルセチンやケンフェロールなど20種類ほどのフラボノイドとギンコライドA、B、Cとビロバライドなどのテルペノイド、アレルギーを引き起こす物質ギンコール酸があります。イチョウ葉のテルペノイドは、どれも他の植物テルペンとは異なる構造を持っていて、イチョウ葉特有の成分です。

イチョウ葉に含まれる各種フラボノイドやテルペノンの働きで、脳や末梢の血液循環の改善効果があるとして、ドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパの多くの国で医薬品として使用されています。

イチョウ葉エキスの作用4つ

イチョウ葉エキスに含まれるフラボノイドやテルペノイドが有効成分で、下記のような作用があると考えられています。

①酸化を防ぐ作用

ポリフェノールの一種であるフラボノイドには、強い抗酸化作用があり、活性酸素を消去し、過酸化脂質の生成を抑えます。活性酸素は、細胞を傷つけ、老化を促進したり、生活習慣病と呼ばれるさまざまな病気の原因となります。フラボノイドの抗酸化作用により、臓器や血管などの細胞の老化を防ぐ効果があると考えられています。

②血小板の凝集を抑える作用

また、イチョウ特有のテルペノイドのギンコライドは、血液を固まらせる働きをする小板を活性化させる因子(PAF:血小板活性化因子)の働きを抑え、血栓をできにくくし、血液をさらさらにして血流を改善する効果があると考えられています。

③炎症を抑える作用

血小板活性化因子(PAF)は、炎症を引き起こす原因物質のひとつともいわれています。イチョウ葉に含まれるテルペノイドのギンコライドは、このPAFの働きを抑えるため、炎症を抑え、気管支の収縮やアレルギーを抑える効果があると考えられています。

④神経伝達物質を刺激する作用

イチョウ葉エキスは、神経の伝達物質の働きを整え、神経の伝達をスムーズにすると考えられています。

イチョウ葉エキスの効果効能5つ

医学論文で報告されているイチョウ葉エキスの効果効能についてご紹介します。

1. 認知症に対する認知機能改善効果

認知症には、大きく分けて、アルツハイマー型認知症と脳血管障害による認知症があります。

アルツハイマー型認知症は、脳にアミロイドβという特殊なタンパクが蓄積することにより、神経細胞が壊死を起こし、数が減少して、認知機能が低下してしまうと考えられています。

また、脳血管障害による認知症は、アルツハイマー型認知症の次に患者数が多いとされている認知症です。脳の血管が詰まる脳梗塞や脳の血管から出血する脳出血などにより、血液の循環が途絶え、脳の細胞が酸素や栄養不足になり、神経細胞が壊死し、認知機能障害が起こります。

410名の外来認知症患者(アルツハイマー型または、血管性認知症〔脳血管障害による認知症〕)に対して、イチョウ葉エキス1日1回240mg投与を24週間継続するプラセボ対照試験で、プラセボ群に比べ有意に神経精神症状が改善し、安全性も確認されました。
(Jounal of psychistric research 2012 Jun)

このように、イチョウ葉エキスは、アルツハイマー型認知症と脳血管障害による認知症に対して、認知機能を改善する効果が報告されています。

イチョウ葉エキスの抗酸化作用により脳細胞の老化を防ぎ、血液を固まりにくくする作用で脳への血流の増加、神経伝達物質の働きを整え、神経伝達が良くなることが、認知症の症状の緩和、予防に役立っていると考えられます。

2. 末梢動脈疾患による歩行時の痛みの改善効果

末梢動脈疾患とは、手や足に血液を送る末梢動脈の内腔にコレステロールが溜まり、内腔が狭くなることで、血液の流れが悪くなり、動脈が硬くもろくなる動脈硬化が生じると、手足の血行が悪くなり、しびれや痛み、重症では壊死などを起こす病気です。

末梢動脈疾患になると、少し歩くと、足の痛みやしびれで歩けなくなり、少し休んでは歩くという状態が見られます。

末梢動脈疾患の患者において、イチョウ葉エキスを投与した臨床試験のメタ分析によって、イチョウ葉エキスを投与した場合、歩行距離(トレッドミル運動で測定)の延長が見られました。
(Arzneimittel-Forschung. 1992 Apr; 42(4):428-36)

この研究結果から、歩行時の痛みが緩和されたことにより、歩行距離の延長が見られたと考察されます。

イチョウ葉エキスの血液を固まりにくくする作用により、手や足に酸素や栄養を送る末梢動脈の血液の流れをよくして、手足の痛みやしびれが緩和されることが期待されます。

3. 糖尿病性網膜症による色認識の改善効果

目の網膜には、光や色を認識する神経細胞や毛細血管があります。血液中の糖濃度が高い状態(高血糖状態)が続くと、この網膜の毛細血管が傷つきやすくなり、出血を起こしたり、網膜の光や色認識の働きが悪くなり、色を識別しにくくなる場合があります。さらに、網膜症は、出血が多いと視力の低下を招き、失明にも至る可能性があります。

早期の糖尿病性網膜症を有する糖尿病の患者29人において、イチョウ葉エキスを6ヶ月間投与するプラセボ対照試験で、イチョウ葉エキス投与群において色認識に改善傾向が認められました。
(Journal francais d’ophtalmologie 1988; 11(10):671-4)

この結果より、イチョウ葉エキスは、糖尿病性の網膜症を改善する効果が期待されます。

4. 回転性のめまい症状の改善効果

めまいは、目の前がグルグル回っているような感覚やフワフワする感覚などを起こす状態です。これは、身体の平衡感覚を保つ器官に障害が起きると引き起こされます。平衡感覚を保つ器官には、三半規管、耳石器、前庭神経、脳幹、視床、大脳皮質があります。

三半規管や前庭神経、脳幹が障害されると、目の前がグルグル回る回転性のめまいを引き起こしやすいといわれています。また、耳石器、視床、大脳皮質が障害されると、フワフワとする感じのめまいを引き起こすことが多いといわれています。

前庭性めまい(耳の障害が原因のめまい)と非前庭性めまい(耳や脳の障害以外が原因のめまい)について、動物実験と無作為化二重盲検臨床試験で、イチョウ葉エキスの効果を検討した結果、前庭の補償においてイチョウ葉エキスが有益な効果を示すことが実証されました。
(HNO. 2007 Apr; 55(4): 258-63.)

このように、イチョウ葉エキスは、回転性のめまいの症状を改善する効果があるといわれています。イチョウ葉エキスのめまいへの効果は、イチョウ葉エキスの血液を固まりにくくする作用により、耳や内部や脳の血流がよくなり、めまいの症状が緩和されると考えられます。

5. 月経前症候群(PMS)の症状緩和効果

月経前症候群とは、イライラ感や頭痛、眠気、胸の張り、むくみ、下腹部の痛み、など精神的、身体的な症状が、生理の前3~10日間くらい続き、生理の開始とともに症状が軽くなったり、なくなったりするものをいいます。

月経前症候群は、排卵から月経までの黄体期に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が多く分泌された後、黄体期後半に急激にホルモン分泌が減ることにより、神経伝達物質や他のホルモンの働きに影響を与えることが原因になると考えられています。そのほか、ストレスなど多くの要因があるといわれています。

イチョウ葉エキスの月経前症候群のうっ血性症状に対する効果について、165名の妊娠可能期間中の女性を対象に行ったプラセボ対照試験で、データ利用可能であった143名の結果より、イチョウ葉エキス投与群は、プラセボ群より、月経前症候群によるうっ血症状や神経心理学的症状の改善がみられました。特に、乳房症状に対してはプラセボ群より有意に有効でした。
(Revue francaise de gynecologie et d’obstetrique 1993 Jul-Sep:88(7-9):447-57)

イチョウ葉エキスは、このように月経前症候群の症状を緩和する効果があるといわれています。月経前症候群が起こる機序の詳細は明確にはなっていませんが、神経伝達物質のセロトニンの分泌不足により起こるのではないかと考えられています。イチョウ葉エキスは、このセロトニンの分泌を良くする効果があると考えられています。

この他にもイチョウ葉エキスのさまざまな効果についての研究報告があります。
ここでご紹介した効果効能も含め、それぞれの効果効能について、有効であるとする研究結果、効果がないとする研究結果があり、効果が確実にあるとはいえないのが現状です。

よくいわれるイチョウ葉エキスの投与により、健常人の記憶力がアップするという効果についても同様で、今後のさらなる研究により明らかになることが期待されます。

イチョウ葉エキスの効果的な摂取方法

イチョウ葉をお茶として飲む場合、長時間煮出すと、アレルギー物質のギンコール酸も高濃度に溶出してしまいます。しかし、急須で3分ほど蒸らす程度では、有効成分も微量にしか溶出されないとの報告があり、健康効果は期待できないですね。

そのため、健康効果を期待するのであれば、アレルギー物質のギンコール酸が除去されたイチョウ葉エキスのサプリメントが安心ですね。

しかし、日本では、イチョウ葉エキスは、医薬品ではなく食品の扱いであるため、成分の含有量に規定がありません。

そのため、製造方法もさまざまで、製品によっては、十分な有効成分が含まれていないものやアレルギー物質であるギンコール酸が十分除去されていないものもあるようです。フラボノイドやテルペノン、ギンコール酸の含有量も明記されている製品を選ぶようにすると良いですね。

参考として、ドイツの医薬品としての規格は、エキス中の濃度として、フラボノイド22~27%、テルペノイド5~7%、ギンコール酸5ppm以下(0.0005%以下)となっています。

一般的に、イチョウ葉エキスとして、1日120mg~240mgを目安に数回に分けて摂取するのが良いといわれています。イチョウ葉エキスの成分は、体内に長くとどまらず、多く摂取しても排出されるため、1日量を数回に分けて摂取する方が、効果的と考えられます。1日240mgを超えた摂取は、安全性が確認されていないため、1日240mgを超えた量の摂取は避けましょう。

ただし、イチョウ葉エキスの他にも出血しやすい要因が認められたケースが多いですが、1日120mgの摂取においても脳での出血がいくつか報告されています。出血しやすい状態の方は、十分注意が必要です。使用前に医師に相談しましょう。

イチョウ葉エキスの副作用

イチョウ葉エキスは、信頼性のある製品を選び、1日240mg以下の摂取量を守って、適切に使用すれば、副作用は出にくく安全であると考えられています。

イチョウ葉エキスの副作用としては、軽い胃のむかつき、頭痛、めまい、動悸、吐き気、出血が止まりにくくなるなどの報告があります。

また、イチョウ葉には、アレルギー物質のギンコール酸という成分が含まれているため、皮膚炎や腹痛などアレルギー症状を引き起こす場合があります。

日本では、イチョウ葉エキスは「食品」の扱いであるため、成分含有量等の規制がありません。そのため、製品によっては、ギンコール酸の除去が十分でなかったり、行われていなかったりするとエキス中に高濃度のギンコール酸が含有し、アレルギー症状を起こしやすくなります。

医薬品として使用されているドイツなどでは、エキス中のギンコール酸は5ppm以下と規定され、この濃度であれば通常の使用であれば、アレルギー症状は起こさないとされています。

イチョウ葉エキスは、ギンコール酸が除去されていることが明記されているものを選ぶと良いですね。そのため、イチョウは街路樹として見かけることが多く、イチョウの葉も容易に採取できますが、採取した葉を煎じて飲むというのは、大変危険ですので、やめましょう。

次に、その他、イチョウ葉エキスを使用する際に注意したいことをご紹介します。

こんな人はダメ!イチョウ葉エキスの摂取NGな人

妊婦・授乳婦への使用

イチョウ葉エキスには、ホルモンに影響したり、分娩を誘発したりする可能性があるといわれており、さらに、出血しやすくなる可能性もあるため、妊娠中の使用は避けましょう。
また、母乳中への移行性など、授乳中の安全性に関する十分なデータはないため、授乳中の使用も避けましょう。

手術を予定している方

イチョウ葉エキスの使用により、血液が固まりにくくなるため、手術時に出血しやすくなる可能性があります。手術を予定されている方は、少なくとも2週間前からイチョウ葉エキスの使用を中止しましょう。

さらに、薬とイチョウ葉エキスの併用も注意が必要です。

薬とイチョウ葉エキスの飲み合わせ

抗血液凝固薬や抗血小板薬

イチョウ葉エキスの血液を固まりにくくする作用とワーファリンやバイアスピリンなどの血液を固まりにくくする薬の作用により、出血しやすくなる可能性があります。

すでに、ワーファリンやバイアスピリンなどを服用中の方は、イチョウ葉エキスの使用は避けましょう。

消炎鎮痛薬

イチョウ葉エキスを摂取している際に、痛み止めとしてイブプロフェン1日600mgの併用で、4週間後に脳内出血を起こした症例報告があります。

イチョウ葉エキスのPAFを介する血小板凝集抑制効果に、さらに、イブプロフェンの血小板凝集抑制作用が加わったことにより、血液の凝集能がさらに低下し、出血を起こしたと考えられます。

イブプロフェンは、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)に分類されます。NSAIDsは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素を阻害することで、血小板の凝集を促すトロンボキサンA2の生成を抑制するため、血小板の機能が低下し、出血しやすくなることがあります。血小板の機能障害は、COX1阻害作用のあるNSAIDsで起こりやすく、選択的にCOX2のみ阻害するNSAIDsでは弱くなります。

イブプロフェン以外のNSAIDsとイチョウ葉エキスとの併用も注意が必要であると考えられます。

血糖降下薬

イチョウ葉エキスは、血糖降下薬の代謝に影響を与え、薬が効きすぎたり、効果が弱くなったりして、血糖コントロールが不良になる可能性があります。
糖尿病の薬物療法中の方は、注意が必要です。

抗てんかん薬

イチョウ葉エキスが、肝臓の代謝酵素を誘導して、抗てんかん薬の代謝を促進し、抗てんかん薬の血中濃度を低下させ、てんかん発作が起こりやすくなる可能性がありますので、併用は避けましょう。

イチョウ葉エキスは、肝臓の代謝酵素を誘導したり、阻害することが報告されており、それらの代謝酵素によって代謝される薬とイチョウ葉エキスの併用により、薬の効果が出すぎたり、効果が弱くなる恐れがありますので、薬とイチョウ葉エキスを併用する場合は、必ず事前に主治医や薬剤師に確認するようにしましょう。

まとめ

イチョウ葉エキスは、ドイツやフランスなどヨーロッパの多くの国では医薬品として使用されているということもあり、その効果が期待されます。

日本では、健康食品ということで、細かな規定がありませんが、国によっては、医薬品として用いられるということで、摂取の仕方によっては、副作用がでる可能性もありますので、適切に摂取することが必要です。

また、薬との飲み合わせにも十分注意が必要です。イチョウ葉エキスを摂取中に薬を服用する場合や服用中の薬があり、イチョウ葉エキスの摂取を始めようと考えている場合は、必ず、医師や薬剤師に相談し、飲み合わせについて確認してから開始しましょう。

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この記事のライター

薬剤師をしています。ヘルスケア分野の情報をわかりやすく説明します。

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