バランスボールはもともとリハビリ用の器具として開発されたもの。そのさまざまな効果が注目され、現在はエクササイズのアイテムとして広く普及するようになりました。
初心者でも簡単に扱え、座るだけでトレーニングになるという手軽さが人気の秘密。イスがわりにバランスボールを取り入れている学校もあるそうです。
なでしこジャパンで活躍した沢穂希さんのように、体幹トレーニングにバランスボールを取り入れ、大柄な相手に当たり負けない芯の強い身体を手に入れたアスリートもいます。生活習慣の改善から、アスリートの競技力向上まで、バランスボールはさまざまな場面で役立つのです。
立つ、座る、あおむけ、うつぶせといったさまざまな姿勢別バランスボール・トレーニングをまとめてみました。また、バランスボールの選び方もご紹介しているので、ぜひ購入の際に役立ててみてください。
バランスボールが人気の理由
トレーニングといえばキツく苦しいものと相場が決まっていましたが、バランスボールによってそのイメージは大きく変わりました。なんと座っているだけで体幹や腹筋に刺激が届き、容易にトレーニングできるのです。
実際にバランスボールに座ってみると分かりますが、猫背や腰の突き出たよくない姿勢で腰を下ろすと、すぐ身体が傾いて転がりそうになってしまいます。
最もよくバランスの取れる体勢を取ってから鏡で見てみると、ちゃんと背すじの伸びた正しい姿勢になっているのです。座るだけで、ほぼ無意識に美しい姿勢になれる‐。この手軽さこそ、バランスボールの人気の秘密です。
柔らかいボールの上で動くので、ひねる動きがやりやすいというメリットもあります。くびれを作るために大切なひねり系のトレーニングをぜひ実践してみてください。
ただし、バランスボールには転倒の危険性も存在します。本格的に身体を動かすのは初めてという初心者の方は、まずトレーナーに見てもらいながらバランスボールを使ってみるとよいでしょう。
バランスボールのトレーニング効果3つ
■1. バランス感覚の養成
名前の通り、不安定なバランスボールの上で姿勢をコントロールするので、イスの代わりに座っているだけでバランス感覚を養うことができます。
■2. インナーマッスルの強化
バランスボールは座っているだけで身体がほぼ無意識に姿勢を制御しようとします。この時に働いているのが、身体の深い位置にある「インナーマッスル」と呼ばれる筋肉群です。外見から動きや働きをつかむことができないインナーマッスルは、鍛えにくい部位として知られています。
十分な筋トレの知識がないとなかなか上手く刺激できないインナーマッスルですが、バランスボールを使えばすぐに、しかも手軽に鍛えることができるのです。
柔らかいボールの細かな振動だからこそ、身体の奥深くにあるインナーマッスルまで届くのです。ダンベルで同じことをしようと思ってもできません。骨や関節に最も近い位置にあるインナーマッスルが強化されることで、よりしなやかに強く身体をコントロールできるようになります。また、骨盤や背骨の歪み改善にもつながるので、腰痛や肩こりの改善にも役立ちます。
■3. 腹筋の強化
これも実際にバランスボールに座ってみると分かることですが、転がらずに座ろうとすると、自然と下腹に力が入っています。腹筋運動で大切な意識して腹直筋に力を入れる作業が、ごく当たり前のようにできているのです。
バランスボールは多彩なトレーニングが可能。あおむけの姿勢で行う、さらなる腹筋メニューも用意されています。
バランスボールに乗った腕立て伏せもあるので、上半身のトレーニングも可能。体幹、腹筋を中心として、ほぼ全身を鍛えることができる優れた器具です。
使い方はこれ!バランスボールの体幹トレーニング方法30選
様々な方法で鍛えることで、より体幹が強くなり、全身のバランスが良くなります。体幹は外からは見えませんが、スポーツや体の使い方が上達することにもつながります。30選の方法を見ていきましょう。
座ってトレーニング7選
■1. バランスボールに座る
最も基本のメニューであり、これだけで体幹のトレーニングになります。
背すじを伸ばし、ボールの中心部分に坐骨が当たるように腰かけましょう。最初は座るだけでも大変かもしれません。ボールに手を添えてバランスを取ってもかまいません。まずは10秒キープが目標です。
慣れてきたら、よりバランスを取るのが難しくなるよう、手を水平に伸ばしたり、胸の前で組んでみます。交互に膝をタッチしてみるのもよいですね。
■2. バランスボールに座ってはずむ
「座る」ができたら、次はバランスボールの上で上下に軽くはずんでみましょう。力を抜いた方が上手くいきますが、その間も腹筋や背筋の緊張は続いています。
30秒めやすです。転倒の危険性があるので「ながら」はせず、このエクササイズに集中してください。腹筋運動(クランチ)には及びませんが、日頃の運動習慣がない方なら十分な強度の腹筋トレーニングになるはずです。
■3. 上体ひねり
「くびれ」作りに役立つメニューです。
・床と平行に腕をまっすぐ前に伸ばし、手のひらを床に向けます。
・まっすぐ前を見た状態で10秒静止。右45度に上半身をひねって10秒静止、続いて左45度にひねって10秒静止。このローテーションを繰り返します。
・ストレッチに近いゆるやかな強度のメニューなので、時間の許す限り何回行ってもかまいません。
■4. 骨盤のスライド
バランスボールに座った状態で骨盤を前後、左右にスライドさせます。骨盤の矯正につながる他、腹筋・背筋のトレーニングにもなります。
■5. バランスボールレッグリフト
座ったまま膝を上げ下げするだけのシンプルなメニューです。テレビを見ながら、デスクワークしながらでもできますね。
・バランスボールに坐骨を乗せて座ります。背すじを伸ばし、身体が左右に傾かないよう姿勢を正しましょう。鏡の前で行うとチェックしやすくなります。
・片膝を90度以上に深く曲げて、足を持ち上げます。5秒上げてから下すを繰り返します。左右10回ずつ1セット以上行います。
■6. 四点乗り
両手、両膝の四点をバランスボールに乗せ、四つん這いの姿勢を取ります。
・両手→両膝の順にバランスボールに乗せていきます。10秒間キープできればOK。とてもアンバランスになるので転倒に注意してください。机の角などに当たらない、できるだけ広いスペースで行いましょう。
■7. 膝立ち
四点乗りよりさらにバランス感覚が要求されるメニューです。四点乗りができた状態から手を離し、バランスボールの上で膝立ちしてみましょう。できる限りの秒数でOKです。
うつぶせでトレーニング10選
■8. フロアバランスボールYT
バランスボールに乗ってY字、T字を作ります。肩甲骨や大胸筋周辺のストレッチ、筋トレ効果があります。
・お腹からうつぶせにバランスボールに乗り、力を抜いて両手両足をひろげて床につけます。
・手を上げてバンザイするようなY字のポーズを取ります。この時、肩甲骨を内側に寄せるイメージで。
・一度、腕を床に下したら、再び肩甲骨を寄せて腕を真横に伸ばし、T字のポーズを取ります。
・Y字とT字を交互に10回ずつ。計20回をめやすに行います。
■9. 片手片足上げ
手を上げるだけだったフロアバランスボールYTに、足の動きを組み合わせたものです。
・バランスボールにお腹を乗せて、右手と左足、左手と右足、という組み合わせで交互に上げ下げしていきます。
・上げる高さは、床と平行になるまで。あまり高く上げすぎると背筋を傷めることもあるので注意しましょう。
・足はしっかり伸ばしたまま上げます。膝が曲がっていると、大臀筋に刺激が伝わりません。
・交互に10回ずつ。計20回をめやすに行います。
■10. ニータック
腹筋(腹直筋)を中心に太もも、腕まで同時に攻められる強度の高いメニューです。人気のトレーニング器具である「腹筋ローラー」を、バランスボールで代用するエクササイズです。
・腕立て伏せの姿勢でバランスボールに足(すね)を乗せます。慣れていないとこの体勢ですら崩れてしまうので、まずはゼロポジションをしっかりキープできるように練習しましょう。
・バランスボールを転がしながら、両膝を胸側に引き寄せるように足を曲げていきます。頭から崩れ落ちないように姿勢コントロールは慎重に。
・再び足を伸ばして元の位置に。10回がめやすですが、慣れないうちは少ない回数でもかまいません。
■11. ツイストニータック
脇腹にある鍛えにくい腹斜筋を刺激できる、ニータックのバリエーションです。
・方法はニータックと同じ。足を引き寄せる際に下半身を左右にひねるのがポイントです。左右合わせて10回がめやすです。
■12. バランスボールインクラインプッシュアップ
バランスボールを使った腕立て伏せ(プッシュアップ)です。プッシュアップは筋トレの定番メニューなだけに、大胸筋、上腕二頭筋を中心に、腹筋、背筋、腰から下の筋肉まで複合的に鍛えられます。
インクライン(傾斜)がついているので、あまり筋力のついていない方でもこなしやすいメニューです。
・バランスボールに両手を乗せ、背すじと両足をしっかり伸ばします。足は肩幅にひらきます。手はボールの外寄りに置くとバランスを取りやすくなります。
・息を吐きながら腕を曲げます。胸がボールに触れたら、息を吸いながら腕を伸ばします。この時、肘を伸ばしきらずに軽く曲げたままで次の動作に移りましょう。
・10~15回×2~3セットがめやすです。
■13. バランスボールディクラインプッシュアップ
「12」と同じバランスボールを使ったプッシュアップですが、ディクライン(下向きの傾き)があるため、より負荷が高くなります。
・バランスボールに足を乗せます。足の甲ではなく、つま先だけを乗せるのがポイント。足の甲では安定感が増してしまうため、トレーニング効果が上がりにくいのです。
・息を吐きながら腕を曲げ、息を吸いながら腕を伸ばします。お尻を突き出したり落としたりせず、胸から足までが一直線になる姿勢を維持します。
・10~15回×2~3セットがめやすです。
■14. バランスボールワンレングプッシュアップ
「13」を片足だけで行うメニューです。上体への負荷がより高まるのはもちろん、バランス維持も難しくなります。転倒に注意しながら行ってください。バランスボールに片方のつま先だけを乗せるゼロポジションの練習から始めてもよいでしょう。
■15. バランスボールプッシュアップジャンプ
バランスボールプッシュアップにアクションを加えたものです。身体を起こす際、床を押すように力を込め、手を浮かせます。着地の瞬間に軽く肘を曲げて衝撃をやわらげるのがコツです。
単調になりがちなトレーニングに動きが入るので、よいアクセントになりますし、着地の際によりバランス感覚を磨くことができます。
・10×1~2セットがめやすです。
■16. バランスボールレッグサイドスイング
バランスボールプッシュアップの姿勢から片足ずつ、外側にゆっくり開いていくエクササイズです。高いバランス感覚が要求される一方、ボールに乗せた方の足、開く側の足どちらも刺激することができます。
姿勢が崩れないように注意しながら、自分に合った強度で左右同数行いましょう。
■17. バランスボールほふく前進
ほふく前進は自衛隊だけでなく格闘技の練習にも取り入れられている、体幹全体を鍛えるメニューです。
・頂点がお腹の下にくるようにバランスボールに乗り、両手、膝、つま先を床につけます。ボールが大きい場合は膝が浮いてもかまいません。
・手足を交互に動かし、ボールを転がしながら前進していきます。前のめりに転倒しないよう気をつけてください。
・ボールが膝の近くまで来たら、頭から胸、腰、膝が一直線になるように姿勢を維持して10秒静止します。
・今度は後退して元の位置に戻ります。3往復がめやすです。
あおむけでトレーニング8選
■18. バランスボールクランチ
いわゆる腹筋運動(クランチ)をバランスボールに乗って行うものです。不安定な姿勢で行うので、普通のクランチよりハードに感じられるでしょう。
・あおむけになってバランスボールに背中を乗せます。肩甲骨より下、背中の中央部付近を乗せてください。膝は90度に曲げます。
・一度、全身の力を抜き、腹筋がよく伸びているのを確認します。
・腹筋に力を込め、頭から胸、腰、太ももまでが一直線になる姿勢を取ります。腕は頭の後ろか胸の前で組みます。
・腹筋を固めたまま上体を起こします。肩甲骨の下までがめやす。上体をすべて起こす必要はありません。
・腹筋から力を抜かず、ゆっくり元の位置に戻します。腹筋に力を入れるとつい息が止まりがちになりますが、起こす→吐く、戻す→吸う、の順番で必ず呼吸をともなって行いましょう。10~15回×3セットがめやすです。
■19. リバースクランチ
足上げ腹筋のバランスボール版です。バランスボールを足で挟むことにより、太もも内側の筋肉も刺激することができます。
・バランスボールを足で挟みます。手は脇腹につけますが、バランスが取りにくい場合は横にひろげてもかまいません。
・腹筋をしっかり固めながら、バランスボールを上げ下げします。上げる→吐く、下げる→吸う、と規則正しく呼吸することが腰痛予防につながります。10~15回×3セットがめやすです。
■20. ロシアンストレッチ
肩からお尻、太ももまで複数の部位を同時に鍛えられるメニューです。ちなみにバランスボールに限らず筋トレやストレッチのメニューでも、身体を左右にひねる動きの入るものは「ロシアン(ロシア式)」と名づけられています。
・背中からバランスボールに乗り、膝は90度に曲げます。頭から胸、腰、太ももまでが一直線になる姿勢がゼロポジションです。両足は肩幅よりも広くして安定をはかります。
・腕をまっすぐ胸の前(天井に向かって)に伸ばします。肘から先ができるだけ近づくよう、両腕の間隔はタイトに。手のひらを合わせてもかまいません。
・ゆっくり上体を右(左)にひねって倒します。バランスボールを倒れる方向と反対側に転がしながら傾けていきましょう。両腕はできるだけ開かず、伸ばしたままをキープします。
・ひねりきったら一度静止、今度は反対側へ身体をひねっていきます。背中が曲がらないよう、身体の一直線キープも忘れずに。
・左右ひと組で10回がめやすです。
■21. バランスボールV字腹筋
「18」と「19」を組み合わせた、より複合的で高難度な腹筋トレーニングです。運動会の大玉送りを思い出して、身体の上でバランスボールを手から足へと渡してみましょう。
・腕を伸ばしてバランスボールを持ち、あおむけになります。
・肩甲骨の下あたりまで上体を起こし、バランスボールを身体の上に持っていきます。
・続いて足を上げ、バランスボールを両くるぶしで挟んで受け取ります。
・足で挟んだままバランスボールを床に下します。途中、膝を曲げないように注意します。
・今度は足を上げ、さきほどと逆の順番でバランスボールを手に戻しましょう。
・1往復1回で10回がめやすです。上体を起こし過ぎても、足を頭側に持ち上げ過ぎても腹筋のトレーニングになりません。お腹の上でバランスボールを受け渡しするようにします。
■22. ブリッジング
「ヒップリフト」とも呼ばれる腹筋と下半身トレーニングの定番メニューです。通常は膝を立てた状態で行いますが、バランスボールを利用する時は膝を伸ばして行います。
・足を伸ばしかかとから足首のあたりをバランスボールに乗せます。
・お尻をギュッと引き締めて腰を持ち上げます。持ち上げた際、肩から腰、足首が一直線になるように姿勢をキープします。10~15回×2~3セットがめやすです。
■23. ワンレングブリッジング
片足で「22」を行うバリエーションメニューです。片足で行うことにより負荷が高まり、バランスもとりづらくなります。
無理をすると腰を傷める原因になってしまうので、まずは1回でも一直線の姿勢をキープしたワンレングブリッジングができるかどうかを確かめてから、徐々に回数、セット数を増やしていきましょう。
■24. ハムストリングボールスマッシュ
太ももの裏側にある筋肉・ハムストリング(ハムストリングス)のトレーニングです。
・あおむけになり、ふくらはぎと太ももの裏側を使ってバランスボールを挟みます。体幹を意識して腹筋に力を込めましょう。
・5秒間、全力でバランスボールを挟みつけます。5秒インターバルの後、再び挟むアクションを繰り返します。
■25. バランスボール・インクラインダンベルプレス
大胸筋、三角筋、上腕三頭筋などを鍛えるダンベルの基本メニューを、バランスボールを用いて行うものです。
・最初は安全のため、バランスボールを壁際に固定して行います。慣れてきたら保持なしでもかまいません。足は肩幅に開き、床を踏みしめて安定させましょう。
・バランスボールに対し斜めに背中を乗せ、膝を曲げて太ももの上にダンベルを乗せ、まず姿勢を保持します。ベンチプレスのように身体が床と平行になるのではなく、腰が下がった位置(インクライン)にします。
・腕を横にひろげながら、肘を深く曲げていきます。ダンベルの最も沈んだ位置がスタートのポジションです。肩がバランスボールから離れないようにしましょう。
・ダンベルをゆっくり上に持ち上げます。左右の腕が平行を保つように意識しましょう。上げきったところでも肩がボールから離れないようにします。
・再び開始地点までゆっくりと下げ、反復します。
・10回×1~2セットがめやすです。
立ってトレーニング5選
■26. バランスボールスマッシュ
バランスボールをつぶすように押し込むトレーニングです。手のひらで押すのではなく、大胸筋を意識しながら、肘から上の全体を使ってはさみつけるイメージ行いましょう。
・肘を90度に曲げてバランスボールを挟みます。肘は胸の高さまで上げましょう。
・息を吐きながら5秒間、バランスボールを締めつけます。
・5秒間のインターバルで再び力を込めます。10回がめやすです。
■27. バランスボールハンマー
バランスボールスマッシュと同じくボールを押しつぶすようにプッシュするメニューですが、こちらは大胸筋より、上腕と肩に負荷のかかるメニューです。
・息を吐きながら5秒間、バランスボールをこぶしと前腕で押しつけます。
・5秒間のインターバルで再び力を込めます。10回がめやすですが、回数にこだわらず、座り疲れた時の息抜きに行うのもよいでしょう。
■28. バランスボールスクワット
下半身トレーニングの定番・スクワットを、バランスボールによってより不安定な体勢で行います。
・足を肩幅にひろげて立ち、背中と壁の間にバランスボールをはさみます。
・バランスボールが転がるように腰を落としていきます。膝がつま先より前に出ないようにして、膝を曲げるより、腰から下がる感覚で行いましょう。
・膝が90度まで曲がったら静止。背すじが曲がらないよう注意しながら腰を上げていきます。
・15回×2~3セットがめやすです。
■29. バランスボールオーバーヘッドスクワット
頭上にバランスボールを掲げたままスクワットします。簡単そうに見えますが、頭より高い位置に重心がくることでバランス感覚が求められ、自重だけでないほどよい負荷を得ることができます。
・足を肩幅に開いて立ち、両手でバランスボールを頭上にかかげます。
・バランスボールが前後どちらかに傾かないようスクワットします。スクワットの基本である、つま先より前に膝を出さないこと、膝を曲げるのではなく腰から落としていくことを意識しながら行いましょう。
・15回×2~3セットがめやすです。
■30. バランスボールレッグランジ
後ろに引く足をバランスボールに乗せて行う、レッグランジのバリエーションです。足の位置が高くなり、バランスボールも揺れるので通常のレッグランジよりぐっとハードに感じられるはずです。
・肩幅よりやや狭く足を広げ、片足を一歩前に大きく踏み出します。
・後ろ側の足は、甲と足指のつけ根付近をバランスボールに乗せます。
・背すじを曲げないよう腰を落とします。前側の膝が90度に曲がるくらいがめやすです。
・ゆっくり身体を起こします。左右同数行いましょう。バランスを取りにくい場合は、後ろ側の足でなく、股関節をバランスボールに乗せてもかまいません。
・15回×2~3セットがめやすです。
バランスボールの選び方3つ
■①身長に合ったサイズを選ぶ
バランスボールは自身の身長に合ったサイズを選ぶのが大切です。体格より大きすぎてはコントロールできず持て余してしまいますし、小さすぎても筋肉へ刺激が届きません。
一般的なバランスボールのサイズは45cmから10cm刻みで55cm、65cm、75cmの4種類。身長150cm以下なら45cmサイズ、151~170cmは55cmサイズ、171~180cmなら65cmサイズ、180cm以上は75cmサイズをめやすにしてください。
店頭で試せるなら実際に座ってみるのがおすすめ。ボールの真上に背すじを伸ばして座り、膝が90度に曲がるなら適正サイズです。トレーニングの基本姿勢である背すじの伸びた状態でなければ正しいサイズを決められないので、猫背や反り返りすぎに気をつけてチェックしてみてください。
■②安全対策として仕様を確認
バランスボール選びは安全対策も大切。万一、破れてしまっても破裂しない「アンチバースト(ノンバースト)仕様」の商品を選ぶようにしましょう。近年のバランスボールは、ほとんどが破れても徐々に空気の抜け出すアンチバースト仕様になっていますが、低価格の海外製品は該当しないケースもあるので注意してください。
ほとんどの商品には「耐荷重」が明記されています。耐荷重300kgが現在の主流です。中には耐荷重300kgをうたっていながら「実際の使用は○kgまで」とこっそり制限を書き加えている商品も。耐荷重が正確に表記されているかどうかはポイントです。
■③試せない性能をネットの口コミでチェック
実際に商品を確かめることのできないネットでの購入は、レビューや口コミを参考に。よく参考にしている筋トレまとめサイトから商品をチェックするのもよいでしょう。
店頭でも、空気の抜けた状態から膨らませるところまでを試せるわけではないので、「意外と硬かった」「ポンプが使いにくい」といった、買って初めて分かるマイナス要素もあります。口コミをチェックする時は、膨らませやすさ、片付けやすさも念頭に入れておきましょう。
「バランスボールは座るだけでトレーニングできる」という認識が広がったおかげで、最近はイスのように底面がスクエアな形をしたバランスボールまで登場するようになりました(もはや「ボール」ではありませんね)。こうした商品は長時間のデスクワークに向いている一方、上で紹介してきたような多彩なバリエーションのトレーニングはできにくい設計になっています。座ることが主眼なのか、バランスボールで本格的にトレーニングしたいのか、目的に合わせてチョイスすることも必要になってきます。
「バランスボールを購入しても持て余してしまいそう」と心配な方は、直径30cm程度のコンパクトな「エクササイズボール」や、扁平な円盤状で収納場所に困らない「バランスディスク」から試すという方法もあります。
まとめ
1980年代から90年代にかけて、フィットネスの大ブームが起こりました。誰もがこぞってスポーツジムに出かけ、エアロビやマシントレーニングで汗を流すようになったのです。ジム用のトレーニングマシンが進歩したのもこの頃。自宅で自重やダンベルを使ってトレーニングするより、正しいフォームで狙った部位を集中的に鍛えられるようになりました。
しかし、2000年代以降、トレーニングの考え方がより進歩し、マシンの弊害も認められるようになったのです。マシンは確かに特定部位を効率的に鍛えられますが、一部だけが突出して強化されてしまうことにより、全身の調和を維持しにくくなってしまうのです。
ならば、何種類ものマシンを使ってバランスよく鍛えればよいじゃないか…と思われるかもしれません。しかし、筋肉は全身に約400ヵ所もあります。マシンではとてもすべてをカバーすることができないのです。
そこで注目を浴びたのがバランスボールやバランスディスクといった器具です。あえて不安定な場所で運動することによって、バランス維持のため全身のさまざまな筋肉が動員されます。目標の部位を鍛えられるのはもちろん、それに連動する複数の部位も刺激することができるようになったのです。
もちろん、マシンやウエイトを使った筋トレが無意味なわけではありません。主要な筋肉を筋トレで太くし、バランスボールで周辺の筋肉、連動する筋肉をさらに開発していくのが理想です。マシンとバランスボールは決して相反する存在ではなく、両者を上手に利用することによって、より強くなめらかなパフォーマンスが可能となるのです。
バランスボールを使ったトレーニングの面白さに気づいたら、次は筋トレをスタートさせてみてはどうでしょうか。ダイエットやボディメイキングがよりスムーズになりますよ。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。