※薬剤師資格を持つライターが書いています。
風邪をひいた時に、ドラッグストアやインターネットで購入できる市販薬風邪薬を使うことがあると思います。症状が重くない場合には、市販薬だけで対処するという方も多いことでしょう。ただ、市販薬の風邪薬は種類が多いので、どれを使うか悩むかもしれません。抑えたい症状によっても選ぶ市販薬が変わってきますので、大変ですよね。
そこで、風邪の主要な症状毎に、効果と使いやすさでランク付けしましたので、今回はそちらを紹介します。
風邪薬(市販薬)の選び方3つ
風邪症候群(いわゆる風邪)の原因となるウイルスを殺すことのできる薬は、今のところありません。そのため、風邪薬は風邪の症状を抑えるための成分が配合された薬のこととなります。
ちなみに、『抗生物質』を飲むと風邪の原因ウイルスを殺すことができると思っている方もいるかもしれませんが、『抗生物質』自体は、ウイルスには全く効果がありませんので、飲んでも意味がありません。また、抗生物質をむやみに使うと、抗生物質が効かなくなる「耐性菌」が出来てしまいますので、市販薬の飲み薬には抗生物質が入っているものはありません。
ですので、風邪薬はあくまでも症状を抑えるために用いることになります。そして、せき、のどの痛み、鼻水、発熱、頭痛などの症状に対して、効果を発揮する成分がそれぞれ違いますので、現在出ている症状に応じて市販薬を選ぶことになります。
それぞれの症状を抑えることができる代表的な成分については、後ほど説明しますので、ここでは症状に効く成分が入っている市販薬を選べばいいのだと理解してもらえれば大丈夫です。
なお、ドラッグストアの場合は、薬剤師か登録販売員がいますので、抑えたい風邪の症状を伝えると適切なアドバイスをもらえます。やはり市販薬の専門知識のある薬剤師・登録販売員に相談するのが適切ですし、手っ取り早いのではないでしょうか。
ただ、インターネットやコンビニ(一部の薬)で購入する場合には、相談できる相手もわずかですので、そういう場合には以下の流れで選んでもらえればと思います。
1. 出ている症状を把握する
2. 抑えたい症状を決める
3. その症状に合った成分が入っているか確認する
■1. 出ている症状を把握する
まずは、風邪の症状としてどのようなものが出ているのか把握する必要があります。
風邪とひとことに言っても、実際は感染しているウイルスの種類や個人の状態などによって、出る症状が異なるからです。せきが出て大変だと感じる場合もあるでしょうし、鼻水とくしゃみが出て困っている、また頭痛がひどくて何もできないという感じで様々なパターンがありえます。
■2. 抑えたい症状を決める
一つの症状が強くてそれだけを抑えたい場合は、そういう特徴を持った風邪薬を選ぶことになります。簡単ですよね。
そして、症状が複数出ることも多々あるでしょう。その時には、どれを優先的に抑えたいのかはっきりさせる必要があります。もちろん、せきと鼻水と発熱のどれも抑えたいという感じで、「いくつもの症状を同じくらい抑えたい」というのも、そういうタイプの風邪薬を選べばいいだけですので、そういう判断もアリです。
■3. その症状に合った成分が入っているか確認する
そして抑えたい症状が固まったら、風邪薬の「パッケージ」と「成分表」を見て、その症状にあったものか確認しましょう。パッケージには抑える代表的な症状が書かれていますし、成分表の欄には配合されているすべての成分が記載されています。
いくつか抑えたい症状がある場合には、それらに関係する成分が全て含まれるかをしっかり確認しましょう。
この流れで、自身の症状に最適な風邪薬を選ぶことができます。
それでは、これから、どの成分がどの風邪の症状に効くのかを症状毎に説明するとともに、効果の高いと考える風邪薬を紹介していきます。
今回は、ドラッグストアが付近にない方でも容易に購入できることを目的として、「amazon」や「楽天」のサイトで販売されている中で、風邪薬に分類されている市販薬から、おすすめの風邪薬を紹介します。
せきやたんに効くおすすめの風邪薬3選
せき及びたんを抑える効果がある成分の例を挙げると、次のようになります。
せき中枢と呼ばれる部分に作用して、せきが出るのを抑える薬(中枢性鎮咳薬) | ジヒドロコデインリン酸塩、コデインリン酸塩水和物、デキストロメトルファン、ノスカピンなど |
気管支を広げることにより、咳を抑える薬(気管支拡張薬) | dl-メチルエフェドリン塩酸塩 |
たんを出しやすくする薬(去痰薬) | グアイフェネシン、ブロムヘキシン塩酸塩、L-カルボシステイン、アンブロキソール塩酸塩、セネガ流エキスなど |
これらの成分が、バランス良く複数配合されている風邪薬が、「せきやたん」を抑える効果が高い薬だといえます。せきにも複数のタイプがありますが、バランス良く配合されていると、どのタイプのせきでも効果が期待できます。
また中枢性鎮咳薬の中では、『ジヒドロコデインリン酸塩』が最もせきを止める効果が高いとされています。そのため、せきをしっかりと止めたい方には、『ジヒドロコデインリン酸塩』が配合されている風邪薬がお勧めです。ただ、効果が強い分、副作用も多いとされています。この成分に比較的出やすい副作用は、眠気、めまい、吐き気、便秘です。ただし、小児が使うと呼吸抑制(呼吸がしにくくなる)の副作用が出やすいとのデータがあることから、原則として12歳未満の小児には使用しないとなりました(2017年7月より)。そのため、12歳未満の方が風邪薬を使う場合は、「デキストロメトルファン」もしくは「ノスカピン」が配合されている風邪薬を選ぶことをお勧めします。
せきやたんに効くおすすめの風邪薬は、以下の3つです。
■①ストナ®プラスジェルS
商品名:ストナ®プラスジェルS
販売会社:サトウ製薬
この風邪薬には、ジヒドロコデインリン酸塩、ノスカピン、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩、L-カルボシステインと5種類のせき・たんに効果がある成分が配合されています。せき・たんの関連成分として2、3種類が配合されている風邪薬が一般的ですので、このことからせき・たんを抑えることに注力した商品であることが分かると思います。
つらいせきやたんにも効果が期待できる風邪薬です。せきやたんの症状が酷い場合や他の風邪薬があまり効かなかった場合に試してみてはどうでしょうか?
■②コフト®顆粒
商品名:コフト®顆粒
販売会社:日本臓器製薬
これは珍しいタイプの薬で、漢方薬に熱・のどの痛み・せきを抑える成分を加えたものです。
用いられている漢方薬は葛根湯です。葛根湯は、「かぜのひきはじめに効く漢方薬」ということで広く使用されているので、飲んだことがある方もいるのではないでしょうか。葛根湯の効果を実感したことがある方にとって、使いやすい風邪薬だと思います。
葛根湯に使われている生薬にもせき止め効果があるものがありますし、さらに中枢性鎮咳薬の「ジヒドロコデインリン酸塩」と去痰薬の「グアイフェネシン」が加えられていますので、せきやたんに対する強い効果が期待できます。
特に風邪のひき始めで咳を止めたい方にお勧めの商品です。
■③新コンタック®かぜ総合
商品名:新コンタック®かぜ総合
販売会社:グラクソ・スミスクライン
これは、『ジヒドロコデインリン酸塩』が用いられていない風邪薬です。
その代わりに中枢性鎮咳薬の「デキストロメトルファン」が配合されています。『ジヒドロコデインリン酸塩』が配合された薬よりも効果が少し落ちるかもしれませんが、他にもdl-メチルエフェドリン塩酸塩、ブロムヘキシン塩酸塩も配合されていますので、十分な効果が期待できると考えられます。
そして、7歳以上から服用可能と小児にも使いやすいメリットがあります。
7歳以上12歳未満の小児や『ジヒドロコデインリン酸塩』が配合されている薬で、眠気などの副作用が気になる方、過去に眠気が出て困った方にお勧めの風邪薬です。
のどの痛みに効くおすすめの風邪薬3選
のどの痛みを抑える効果がある成分の例を挙げると、次のようになります。
痛みを抑える薬(解熱鎮痛剤:痛みと発熱を抑える効果を持った薬) | イブプロフェン、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリンなど |
のどの炎症を抑える薬 | トラネキサム酸 |
のどの粘膜を正常な状態に修復する薬 | L-カルボシステイン |
生薬成分 | カンゾウ(甘草)エキス |
これらの成分が、2つ以上配合されている風邪薬が、「のどの痛み」を抑える効果が高い薬だといえます。のどの痛みの原因は、のどの粘膜の炎症ですので、炎症を抑えたり、修復したりすれば痛みが改善します。上の段の解熱鎮痛剤というグループは、今ある痛みを抑える効果があるだけでなく、のどの炎症を抑える作用もありますので、のどの痛みには最適な成分だといえます。
そして、解熱鎮痛剤はその名前の通り、解熱効果も同時に発揮することができる成分です。つまり、のどの痛みだけでなく、発熱や頭痛の症状も同時に抑えてくれる便利な成分ということです。
のどの痛みに効くおすすめの風邪薬は、以下の3つです。
■①ルルアタック®EX
商品名:ルルアタック®EX
販売会社:第一三共ヘルスケア
この風邪薬には、イブプロフェンとトラネキサム酸が配合されていますので、この2つの作用により、のどの腫れと痛みを抑えてくれます。その他の風邪の諸症状に効果を示す成分も配合されていますので、「特につらいのどの痛み」を伴う風邪に効果が高いと考えられます。また、ビタミンも2種類配合されていますので、風邪によって消耗した体力の回復や粘膜の保護作用もあるとのことです。
風邪による「つらいのどの痛み」がある方にお勧めの風邪薬です。
■②パブロン®SゴールドW錠
商品名:パブロン®SゴールドW錠
販売会社:大正製薬
解熱鎮痛薬の「アセトアミノフェン」と、のどの粘膜を正常な状態に修復する「L-カルボシステイン」が配合された風邪薬です。のどの痛みを抑えつつ炎症を起こしている粘膜の回復を早めることで、のどの痛みに対する改善効果が期待できます。
臨床試験によると、4日間の服用で「のどの痛み」に対しては約85%、「のどの腫れ」に対しては約83%の改善効果が認められたとのことです。のどの痛みに関して効果が高いことが、これらのデータからも読み取れます。
こちらも、風邪による「つらいのどの痛み」がある方にお勧めの風邪薬です。
■③プレコール®持続性カプセル
商品名:プレコール®持続性カプセル
販売会社:第一三共ヘルスケア
解熱鎮痛薬の「アセトアミノフェン」と「イソプロピルアンチピリン」、そして生薬成分の「カンゾウエキス」が配合された風邪薬です。
解熱鎮痛剤が2種類配合されていることに加え、のどの痛みを和らげるとされている生薬成分が配合されていますので、のどの痛みに対してトリプルで効果を発揮します。そのため、他の二つと比べて鎮痛効果が高いと考えられます。
強いのどの痛みがある方にお勧めの風邪薬です。
また、カプセルに工夫がされており、1日2回の服用で効果が持続する特徴もあります。そのため、お昼に忙しくて薬を飲めない・飲みにくい方にとって使いやすい風邪薬といえます。
鼻水や鼻づまりに効くおすすめの風邪薬3選
鼻水・鼻づまりを抑える効果がある成分の例を挙げると、次のようになります。
鼻水・鼻づまりの原因物質の一つ「ヒスタミン』の働きを抑える薬(抗ヒスタミン薬) | クレマスチンフマル酸塩、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩など |
鼻水の分泌を促す物質「アセチルコリン」の働きを抑える薬(抗コリン成分) | ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド |
鼻粘膜の血流を改善し、鼻粘膜の腫れ(鼻づまり)を抑える薬 | ヘスペリジン |
これらの成分が、2つ以上配合されている風邪薬が、「鼻水・鼻づまり」を抑える効果が高い薬だといえます。
鼻水と鼻づまりの両方に関係している「ヒスタミン」という物質があります。花粉症の原因でもありますので、聞いたことがある方もいることでしょう。風邪の時も、花粉症での鼻水・鼻づまり・くしゃみと同じメカニズムで起きているということです。このヒスタミンの働きを抑えることにより、鼻水・鼻づまり、くしゃみを改善することができますので、そのために用いるのが『抗ヒスタミン薬』となります。抗ヒスタミン薬は効果が高いのですが、眠気が出やすいという欠点があります。自宅でゆっくり休める場合には問題ありませんが、危険を伴う仕事や車の運転などを行う場合にはご注意ください。
また、抗コリン成分は、神経伝達物質「アセチルコリン」の働きを抑えることで鼻水が出るのを改善してくれます。ただ、アセチルコリンは身体の他の部分でも神経の伝達に関わっていますので、一時的に目がかすんだり、まぶしく感じやすくなったりします。これらはしばらくすると回復しますが、危険を伴う仕事や車の運転などを行う場合にはご注意ください。
以上のことから考えると、鼻水・鼻づまりに効くおすすめの風邪薬は以下の3つです。
■①ベンザ®ブロック®Sプラス
商品名:ベンザ®ブロック®Sプラス
販売会社:武田コンシューマーヘルスケア
d-クロルフェニラミンマレイン酸塩、ヨウ化イソプロパミド、ヘスペリジンと関連成分が3種類配合されている風邪薬です。これらの成分が3種類とも配合されている風邪薬は少ないため、鼻水・鼻づまりに対して高い改善効果が期待できます。いくつか種類があるベンザブロックシリーズの中でも、「鼻から風邪の症状が出た場合」が対象となっています。
特に鼻水・鼻づまりの症状に困っている方にお勧めの風邪薬です。
■②新ルルA®ゴールドDX
商品名:新ルルA®ゴールドDX
販売会社:第一三共ヘルスケア
抗ヒスタミン薬の「クレマスチンフマル酸塩」と抗コリン成分の「ベラドンナ総アルカロイド」が配合されていますので、鼻水・鼻づまりの改善効果が期待できます。
また、この薬は「特に鼻水・鼻づまり、せき・たん、のどの痛みの症状に優れた効果を発揮するように9種の有効成分を配合した処方となっています。」とメーカーHP上でアピールされています。鼻水・鼻づまり、せき・たん、のどの痛みに効果のある成分をバランスよく配合されていますので、これらの症状を同時に発症している方にお勧めの風邪薬です。
■③ストナ®ジェルサイナスS
商品名:ストナ®ジェルサイナスS
販売会社:サトウ製薬
風邪薬に配合されている他の抗ヒスタミン薬と比較して眠くなりにくいといわれている「ジフェニルピラリン塩酸塩」が配合された風邪薬です。抗コリン成分の「ベラドンナ総アルカロイド」も配合されていますので、鼻水・鼻づまりに効果が高いと考えられます。
眠気が気になる方にお勧めの風邪薬です。ただ、他の薬と比べて眠くなりにくいというだけで、眠気が出る可能性はありますので、この点を理解してご使用ください。
発熱や寒気に効くおすすめの風邪薬3選
発熱・寒気を抑える効果がある成分は、次の通りです。
痛みを抑える薬(解熱鎮痛剤:痛みと発熱を抑える効果を持った薬) | イブプロフェン、アセトアミノフェンなど |
商品パッケージに「発熱」、「つらい熱」に効くと強調してある風邪薬の多くは、解熱鎮痛薬の『イブプロフェン』が配合されています。風邪の時に感じる寒気や悪寒は、発熱が原因のことが大半ですので、この寒気・悪寒は風邪により上がった体温を下げることにより改善します。イブプロフェンにより、発熱も寒気もどちらも抑えることが期待できます。
そこで、イブプロフェンが高用量配合されている風邪薬の中から、3種類を紹介します。
■①バファリン®カゼEX錠
商品名:バファリン®カゼEX錠
販売会社:ライオン
「頭痛にバファリン」のCMでおなじみのバファリンシリーズの一つです。
これは風邪の時に飲むように作られていますので、イブプロフェンの他にせき、鼻水などに効果がある成分が配合されています。
本剤は、解熱作用が早めに出るように錠剤が工夫されています。ライオン社独自の「クイックメルト製法」という製法で作られており、有効成分のイブプロフェンが服用後速やかに溶けだし、身体に吸収されるようになっています。
いち早く発熱・寒気を改善したい方にお勧めの風邪薬です。
■②コルゲンコーワIB透明カプセルα
商品名:コルゲンコーワIB透明カプセルα
販売会社:興和新薬
イブプロフェンやその他の有効成分6種類をすべて液状に溶かしこんでカプセルに閉じ込めた風邪薬です。液状ですので、服用後に速やかに溶けだして、身体に吸収され、効果を発現します。
こちらも、いち早く発熱・寒気を改善したい方にお勧めの風邪薬です。
バファリンカゼEX錠もコルゲンコーワIB透明カプセルαも有効成分に違いはほとんどありませんし、即効性が高い風邪薬ですので、効果に違いはほとんどないと考えられます。好みで選んでもらって構いません。
■③ベンザ®ブロック®IPプラス
商品名:ベンザ®ブロック®IPプラス
販売会社:武田コンシューマーヘルスケア
イブプロフェンの含有量は、上記2つの風邪薬よりも少ないのですが、その分「アセトアミノフェン」が含まれています。この2種類の成分の働きにより、発熱・寒気が改善してくれます。2種類の異なる解熱鎮痛剤が含まれていますので、高い解熱効果が期待できます。
イブプロフェンだけの風邪薬では効かなかった場合や高熱の場合にお勧めの風邪薬です。
頭痛に効くおすすめの風邪薬3選
頭痛を抑える効果がある成分は、次の通りです。
痛みを抑える薬(解熱鎮痛剤:痛みと発熱を抑える効果を持った薬) | イブプロフェン、アセトアミノフェン、アスピリンアルミニウムなど |
中枢を興奮させる作用に加え、解熱鎮痛剤の働きをサポートする薬 | 無水カフェイン(カフェイン) |
頭痛に対する効果を強化した風邪薬は、痛みを抑える解熱鎮痛剤に加え『無水カフェイン』が配合されているものが大半です。無水カフェインは、コーヒーや緑茶、紅茶などに含まれるあのカフェインのことと考えてもらって大丈夫です。ですので、脳を興奮させて眠気を覚ます効果を持っていますので、これにより頭が重い感じに効くと考えられています。さらに解熱鎮痛剤の働きをサポートし、高めるといわれています。また、脳の血管を収縮させる効果が頭痛を改善することもあるようです。
無水カフェインが配合されることが、頭痛の改善においてメリットが高いことがわかります。
ただ、カフェインの摂り過ぎは逆に副作用が出る可能性がありますので、無水カフェインが入っている風邪薬を飲んでいる間は、コーヒー、緑茶、紅茶の飲用は控えてください。
ここでは、解熱鎮痛剤に加え、無水カフェインが配合されている風邪薬の中から、3種類を紹介します。
■①ベンザ®ブロック®IPプラス
商品名:ベンザ®ブロック®IPプラス
販売会社:武田コンシューマーヘルスケア
解熱鎮痛剤として「イブプロフェン」と「アセトアミノフェン」の2種類と「無水カフェイン」が含まれている風邪薬です。これらの成分の働きで頭痛を改善してくれます。
解熱鎮痛剤が2種類配合されている風邪薬は少ないので、この薬は高い頭痛改善効果が期待できます。つらい頭痛がある場合にお勧めの風邪薬です。
■②ロン三宝®K顆粒
商品名:ロン三宝®K顆粒
販売会社:三宝製薬
解熱鎮痛剤として「アセトアミノフェン」と「アスピリンアルミニウム」の2種類と「無水カフェイン」が含まれている風邪薬です。これもベンザブロックIPプラスと同様に、高い頭痛改善効果が期待できます。
本剤に配合されている「アスピリンアルミニウム」は、他の解熱鎮痛剤に比べて胃腸障害の副作用が少ないとされています。さらに、胃腸に作用する生薬が3種類(甘草、桂皮、生姜)配合されていますので、胃腸の弱い方、胃腸の副作用が気になる方にお勧めの風邪薬です。
■③ジキナ®顆粒ゴールド
商品名:ジキナ®顆粒ゴールド
販売会社:富士薬品
こちらは高用量の「アセトアミノフェン」に「無水カフェイン」が加えられた風邪薬です。解熱鎮痛剤が1種類ですので、上の2つよりも少し効果が劣ると考えられます。
ただ、配合成分が11種類と、非常に多くの有効成分が配合されていますので、幅広い症状にも効果が期待できます。頭痛もつらいし、せき・たん、鼻水、発熱、のどの痛みもつらいという場合にお勧めの風邪薬です。
総合感冒薬のおすすめ風邪薬3選
ここまでに紹介した成分がバランスよく配合された風邪薬が、様々な症状を改善してくれますので、使いやすいことでしょう。
風邪は急に発症するので、風邪薬は常に家に置いておきたいという方もいるでしょう。どの症状が出るかは読めないところがありますので、常備薬としては総合感冒薬が適していると考えられます。
ここでは、おすすめの総合感冒薬3種類を紹介します。
■①パブロンゴールドA<微粒>
商品名:パブロンゴールドA<微粒>
販売会社:大正製薬
amazonや楽天のどちらにおいても評価ランキング上位です。9種類のバランスのよい配合成分が、評価の要因となっていると考えられます。
また、錠剤がのみ込みにくい方(小児や高齢者)でも使いやすいように、口溶けと風味の良いのみやすい微粒剤となっています。さらに、現在の説明文書では、1歳以上から服用できることになっていますので、年齢を気にせず使うことができます。つまり「家族の常備薬」として使用することが可能な風邪薬です。
■②新ルルA®ゴールドDX
商品名:新ルルA®ゴールドDX
販売会社:第一三共ヘルスケア
こちらもamazonや楽天のどちらにおいても評価ランキング上位の風邪薬です。
幅広い症状に対応できるように9種の有効成分が配合されていますので、症状を総合的に抑えることが期待できます。
苦みを感じにくいようにした小さめの錠剤となっています。適応年齢は7歳からですので、こちらも家族で服用しやすいと思います。
■③コフト®顆粒
商品名:コフト®顆粒
販売会社:日本臓器
これは風邪に有効であるとされる漢方薬の『葛根湯』に、熱・のどの痛み・せきを抑える成分を加えたものです。そのため、幅広い症状に対する効果が期待できる風邪薬となっています。
葛根湯は、風邪のひき始めの時に飲むと効果が高い漢方薬ですので、風邪のひき始めで熱・のどの痛み・せきの症状が強い方にお勧めです。
葛根湯は、ドラッグストアなどで容易に手に入りますので、飲んだことがある方もいるのではないでしょうか。葛根湯の効果を実感したことがある方にとって、使いやすい風邪薬だと思います。
風邪薬の副作用
■風邪薬の副作用の症状
ここでは、一般的な風邪薬の副作用について説明します。
副作用として報告があるのは以下の通りです。これらの症状に気付いた場合には、服用を中止してください。そして医師や薬剤師、登録販売者に、「飲んだ薬の商品名」と「出た症状」を伝えて、どうすればよいか相談してください。
部位 | 症状 |
皮膚 | 発疹・かぶれ、赤くなる、かゆみ |
消化器 | 吐き気、嘔吐、食欲不振、胸やけ |
神経系 | めまい、判断力の低下、頭痛 |
泌尿器 | 排尿困難(尿がでにくくなる) |
その他 | 顔のほてり、異常なまぶしさ、過度の体温低下 |
特に、「眠気」、「判断力の低下」、「異常なまぶしさ」、「目のかすみ」が出ることがありますので、服用後、車などの乗物又は危険を伴う機械類の運転操作は避けた方が良いでしょう。
また、便秘、下痢、口の渇き、眠気、目のかすみは繰り返し飲む間に身体が慣れて、感じにくくなると言われています。これらの症状は、感じなくなった場合には問題ありません。ただ、症状が続いたり、症状が酷くなったりした場合には、服用を止めて、医師または薬剤師に相談してください。
また、ごくまれにですが、以下の重篤な症状が副作用として起こることがあります。これらの初期症状が出た場合には、ただちに医師の診察をうけてください。
副作用の名称 | 初期症状 |
ショック(アナフィラキシーショック) | 服用後すぐに、皮膚やのどのかゆみ、じんましん、声のかすれ、息苦しさ、動悸 など |
皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症 | 高熱、目の充血、唇のただれ、のどの痛み、皮膚の広範囲の発疹・ただれ など |
肝機能障害 | 発熱、かゆみ、発疹、黄疸(皮膚や白眼が黄色くなる)、褐色尿、全身のだるさ、食欲不振 など |
腎障害 | 発熱、発疹、尿量の減少、全身のむくみ、全身のだるさ、関節痛、下痢 など |
間質性肺炎 | 息切れしやすくなる、息苦しさ、空せき、発熱 など |
ぜんそく | 呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューする、息苦しさ など |
再生不良性貧血 | 青あざ、鼻血、出血しやすくなる、発熱、顔色が悪くなる、疲労感、動悸、貧血、息切れ など |
無顆粒球症 | 突然の高熱、さむけ など |
呼吸抑制 | 息切れ、息苦しさ など |
■指定第2類医薬品とリスク
また、本記事で紹介している風邪薬は、すべて『指定第2類医薬品』に分類されています。
ドラッグストアやインターネットで購入できる一般用医薬品は3種類に分類されます。第2類は、簡単に説明すると「副作用などの安全性を考えると、注意を要する必要がある医薬品」となります。その第2類の中でもリスクの高いものが『指定第2類医薬品』とされます。ドラッグストアでは売り場が別になっていますので、薬剤師か登録販売員に声を掛けて購入することになります。
ただ、リスクが高いとなっていますが、あくまで他の医薬品と比較した場合ですので、指示通りの使い方をしていれば、問題となる副作用が出る可能性はわずかです。ですので、説明文書や箱に書かれてある用法、服用量、対象年齢をしっかりと守るようにしてください。症状を一気に改善したいからと言って多めに飲むことは絶対に避けましょう。
そして、気になる症状が出た場合や症状が続いた場合には、すぐに飲むのを止めて、医師か薬剤師に相談してください。
風邪薬を服用するときの飲酒は危険?
風邪薬を服用する前後の飲酒はしてはいけないとなっています。
風邪薬に含まれる成分の副作用の発現率や重症度が上がるとの報告がありますし、こん睡状態など風邪薬だけでは起きない症状が出る可能性もあります。そのため、服用前後の飲酒は、『危険な行為』だといえます。
さらに、飲酒量によっては、風邪からの体力の回復に影響する可能性がありますので、この点からも飲酒は控えた方が良いと考えられます。
服用前後というとどれくらいかというと、風邪薬の1日の服用回数から考えるのが良さそうです。1日3回服用する薬はおおよそ6~8時間程度で効果がなくなってきます(薬の成分の大部分が体内からなくなります)。また1日2回の薬は10~12時間程度で効果がなくなります。ですので、1日3回の薬であれば8時間、1日2回の薬であれば12時間程度空ければ、飲酒してもほとんど問題がないと考えられます。
風邪薬が効かない!? 病院へ行くときの判断基準
次のような状況の時には風邪ではない別の病気(風邪薬が効かない)である可能性が高いので、病院に行くことをお勧めします。判断基準を以下にお示しします。
体温(発熱) | ・40℃を越える発熱がある場合 ・鼻の症状、せき・たんが全くなく、症状が発熱だけの場合 ・微熱が2週間以上続く場合 |
せき | ・10日以上せきが続く場合 ・胸が痛くなるほど、せきが酷い場合 |
たん | ・色の付いた粘り気の強いたんが出る場合 ・血が混ざったたんが出る場合 |
鼻水 | ・黄色く変色した鼻水が出る場合 |
呼吸 | ・呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューする場合 ・息苦しさが出てきた場合 |
のどの痛み | ・のどの痛みが酷くて、水分が飲めない場合 |
疼痛 | ・身体の関節(ふしぶし)が痛む場合 ・耳の痛みが出てきた場合 |
栄養 | ・水分や食事がほとんど摂れない場合 |
症状以外の目安として、『風邪薬を5、6回服用しても症状がよくならない場合』は、風邪ではない可能性が高いので、風邪薬の服用を中止して、病院を受診してください。その際は、「風邪薬の商品名」、「服用回数」、「改善しなかった症状」を医師に伝えると、診察がスムーズに進みますので、予めメモして行くとよいでしょう。
また、海外から戻ってきた時、もしくはおおよそ1ヶ月以内に風邪と同じ症状が続いた場合には、違う病気の可能性がありますので、早急に病院に入ってください。
まとめ
以上、症状ごとに分けて、おすすめの風邪薬について紹介しました。
風邪薬には様々なタイプ、そしてそれぞれの特徴がありますので、症状にあった風邪薬を服用する必要があるということが分かっていただけたのではないでしょうか。
また、似たような名前でも配合されている成分、そして効能・効果が大きく違ってくる場合があります。「パブロンゴールドA」と「パブロンSゴールドW錠」などです。商品名は細かい部分までしっかりとチェックして購入されることをお勧めします。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しく思います。
薬剤師をしています。ヘルスケア分野の情報をわかりやすく説明します。