※この記事は、栄養士資格を持つライターが書いています。
カルパスを知っていますか?
白い脂が混ぜ込んであるドライソーセージですが、誰しも1度や2度は食べたことがあることでしょう。子どもの頃はおやつに、大人になってからはお酒のつまみにと、どの年齢層にも身近な存在ですよね。
このカルパス、見るからにカロリー、脂肪分が多そうです。そんなカルパスには一体どんな栄養成分が含まれるのでしょうか?また、似たような商品の「サラミ」とのいがあるのか?正直いまいちよく分からないですよね。
この記事ではカルパスについて少し知識を深めていけるようにレシピも併せてまとめました。
カルパスとは?
カルパスとはwikipediaによると、
『セミドライ・またはドライソーセージの一種で原義はロシア語のカルバサー(kolbasa)で「ソーセージ」のこと』
と説明されています。
いわゆる加工肉で、ソーセージ、ウィンナー、ハムなどと同じカテゴリーですね。
加工肉と言うと保存料、塩分が多く不健康な食品のイメージを持たれがちですが、カルパスの代表的な商品『おやつカルパス(ヤガイ)』は着色料不使用なので子どものおやつで与えるにも安心感があります。
一つあたりが小さめサイズなのも食べすぎを予防できそうです。「ドライソーセージ」というネーミングから固そうな印象がありますが、意外とソフトな食感です。
おやつカルパスのカロリー・栄養成分・糖質量・塩分
ここでは、カルパスの代表的な商品としてヤガイの「おやつカルパス」を取り上げます。
ヤガイのおやつカルパス1本3.4gあたりのエネルギー、栄養成分、塩分量を見ていきましょう。
・エネルギー16キロカロリー
・たんぱく質0.9g
・脂質1.2g
・炭水化物0.3g
・食塩相当量0.1g
参考までに同量(3.4gあたり)の他の加工肉の栄養成分も挙げましょう。
カロリー | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 食塩相当量 | |
ウインナーソーセージ | 11kcal | 0.4g | 1.0g | 0.1g | 0.1g |
ロースハム | 7kcal | 0.6g | 0.5g | 0.0g | 0.1g |
プレスハム | 4kcal | 0.5g | 0.2g | 0.1g | 0.1g |
生ハム | 8kcal | 0.8g | 0.6g | 0.0g | 0.1g |
ベーコン | 14kcal | 0.4g | 1.3g | 0.0g | 0.1g |
カルパスはいかにも脂肪量が多そうな感じはありますが、やはりイメージ通りの数値になっています。エネルギーはロースハムやベーコンと同じくらいですね。たんぱく質が割と多めで、炭水化物は少ないです。
おやつカルパスの原材料
<原材料>
鶏肉、豚脂肪、粗ゼラチン、豚肉、でん粉、麦芽糖、食塩、砂糖、香辛料、調味料(アミノ酸)、リン酸塩(Na,K)、pH調整剤、酸化防止剤(V.C)、くん液、 紅麹色素、保存料(ソルビン酸K)、発色剤(亜硝酸Na)
原材料は上記のようになっています。
着色料は不使用ですが、リン酸塩、pH調整剤、酸化防止剤、ソルビン酸K、亜硝酸Naなどの保存料は含まれるようですね。
聞き馴染みのない「くん液」ですが、これは燻製のような香りをつける香料のようなものです。
カルパスとサラミの違い
カルパスに似た商品でサラミがありますが、違いを様々な点から説明します。
<主原料>
サラミ:牛肉+豚肉と牛肉を用いて製造。
カルパス:牛肉+豚肉+鶏肉
<発祥地>
サラミ:イタリア発祥
カルパス:ロシア発祥
<成分表のカテゴリー>
サラミ:ドライソーセージ
カルパス:セミドライソーセージ
<栄養価(100gあたり)>
◯サラミ(ドライソーセージ)
エネルギー497kcal、たんぱく質26.7g、脂質42.0g、炭水化物2.6g、食塩相当量4.4g
◯カルパス(セミドライソーセージ)
エネルギー347kcal、たんぱく質16.9g、脂質29.7g、炭水化物2.9g、食塩相当量2.9g
(日本食品成分表2017参照)
<水分量>
サラミ:水分量が35パーセント以下
カルパス:35パーセント~55パーセント以下
カルパスは食べ過ぎ注意?食べると太る?
カルパスは脂肪が多く含まれる食品です。
脂肪を多く含むというと、とても太るイメージがあって悪者の印象が強い脂肪ですが、脂溶性ビタミンの吸収を促すことや、ホルモンや細胞膜やの原料になったりする重要な栄養素でもあります。
また、エネルギーとして消費できなかった脂肪は、中性脂肪として蓄えられ、内臓を保護すること、体温維持等の役割があります。
しかし、脂肪は1gあたり9kcalで、炭水化物とたんぱく質が1gあたり4kcalであるのに比べて倍以上のカロリーがあり、高カロリーの食品になります。カロリーの高い食品の過剰摂取はやはり肥満の元です。
また、肉の脂を含むことから飽和脂肪酸の摂取量にも注意が必要です。飽和脂肪酸は血管壁に脂肪が沈着しやすい「太る脂」です。
カルパスの1日のおすすめ摂取量
30~49歳の女性の例を挙げてみると、1日の食事摂取基準は2000kcal程度。
1日に炭水化物は250~325g、たんぱく質は65~100g、脂肪は44.4~66.7gの摂取であれば適量と言えるでしょう(日本人の食事摂取基準 2015年版厚生労働省より)。
こんな風に数値を挙げられてもイメージが湧きにくいと思うので、献立例を示してみます。この献立例を食べたときにどのくらいカルパスを食べても大丈夫なのでしょうか。
<朝>
ご飯(200g)、じゃがいもと玉ねぎのみそ汁、ハムエッグ(卵1個、ハム1枚)
<昼>
ご飯(200g)、塩鮭(鮭80g)、切り干し大根煮、冷ややっこ(絹ごし豆腐4分の1丁)
<夕>
ご飯(200g)、野菜炒め(牛もも脂身付き70g入り)、きんぴらごぼう、ほうれんそうごま和え、豚汁
比較的ヘルシーな和食中心のメニューですね。このメニューでおよそエネルギー1940kcal、たんぱく質75g、脂質55g、飽和脂肪酸14g、炭水化物290g程度はあります。
食事摂取基準(1日炭水化物は250~325g、たんぱく質は65~100g、脂肪は44.4~66.7g)を参考に考えると、カルパスは1日に3本~4本程度までが適量と考えます。
(やがいのカルパス1本3.4g:エネルギー16キロカロリー、たんぱく質0.9g、脂質1.2g、炭水化物0.3g、食塩相当量0.1g、飽和脂肪酸0.38gとして)
これが、もう少し洋食中心のメニューだったり、外食、惣菜、ファストフードが組み合わさったりする場合、飽和脂肪酸や脂肪量、エネルギーはもう少し多くなることが考えられるので、その場合は1日1本がいいところ・・・という計算になるかもしれませんね。
ダイエット中もおすすめ!カルパスのおすすめの食べ方レシピ5つ
カルパスが好きでどうしても食べたい方のために、ダイエット中でも食べられるカルパスのおすすめレシピをご紹介しましょう。
■①カルパスのシームーロー風(☆主菜)
<栄養成分>
・エネルギー45kcal
・たんぱく質3.7g
・脂質2.5g
・飽和脂肪酸0.82g
・炭水化物6.6g
・塩分相当量0.7g
<材料 1人分>
・きくらげ 乾:2g
・エリンギ:30g
・ぶなしめじ:30g
・まいたけ:30g
・チンゲン菜:20g
・カルパス:6.8g
・顆粒中華だし:1g
・塩コショウ:少々
<作り方>
①きくらげを水でもどした後、2センチ程度の色紙大にカットする。
②エリンギは短冊切り、ぶなしめじは根の部分を落としておき、まいたけは食べやすいようにほぐす。
③チンゲン菜は根の部分をしっかり洗い、2cm程度にカットする。
④カルパスは薄くスライスする。
⑤フライパンを熱し、カルパスを加えたら①②を入れて炒める。
⑥チンゲン菜も加えて、顆粒中華だし、塩コショウを加えて調味する。
<ポイント>
きくらげ等の茸類は食物繊維が非常に豊富です。カルパスの脂肪を吸着し排出する作用があります。フライパンには油をしかなくても、カルパスから程よく油が出ます。炒めるとより柔らかい食感になり食べやすくなります。
■②カルパスとレンコンの豆腐バーグ(☆主菜)
<栄養成分>
・エネルギー174kcal
・たんぱく質8.6g
・脂質10.3g
・飽和脂肪酸1.73g
・炭水化物11.6g
・食塩相当量1.3g
<材料 1人分>
・れんこん:20g
・カルパス:3.4g
・木綿豆腐:100g
・たまねぎ:20g
・片栗粉:2g
・塩コショウ:少々
・オリーブ油:5ml
・ぽん酢しょうゆ:10ml
※付け合わせ
・かいわれだいこん:3g
・大根おろし:50g
・レモン:10g
<作り方>
①木綿豆腐はしっかり水けを切っておく。
②玉ねぎはみじん切りして、電子レンジでチンする。
③れんこんは小さく刻んで酢水でさらした後、電子レンジでチンする。
④カルパスは小さく刻む。
⑤①②③④と片栗粉、塩コショウを合わせて粘り気が出るまでしっかりこねる。
⑥フライパンにオリーブ油を加えて熱して、⑤の小判型に整形したものを両面じっくり中火で焼く。
⑦焼きあがったら更に取り出し、根を落としたかいわれだいこん、大根おろし、輪切りレモンを添えてぽん酢しょうゆで食す。
<ポイント>
カルパスだけではおかずにならないですが、れんこん、木綿豆腐、玉ねぎを加えてハンバーグにすることでボリュームが出て満足度アップできます。れんこんのしゃきしゃきした食感が美味しいです。水戻ししたひじきを加えるのも良いでしょう。冬は和風あんをかけるのも美味しいですよ。
■③カルパスのヨーグルトサラダ(☆副菜)
<栄養成分>
・エネルギー66kcal
・たんぱく質1.9g
・脂質5.5g
・飽和脂肪酸0.96g
・炭水化物2.8g
・食塩相当量0.3g
<材料 1人分>
・リーフレタス:40g
・きゅうり:10g
・トマト:10g
・カットわかめ:0.3g
・カルパス:5g
・マヨネーズ:5g
・ヨーグルト全脂無糖:5g
<作り方>
①レタスは千切りして水にさらした後しっかり水切りしておく。
②胡瓜は半月切り、トマトはざく切りする。
③カットワカメはたっぷりの水で戻したら水切りして絞っておく。
④カルパスは千切りする。
⑤①②③を合わせて、カルパスをトッピングする。
⑥マヨネーズと水切りしたヨーグルトを合わせる。
⑦⑥は別の器に入れて、サラダに添える。食べるときにかけて食べる。
<ポイント>
きゅうり、とまと、カットわかめはカリウムという成分を豊富に含みます。カリウムはナトリウム(塩)と結合し、排出する作用があります。加工肉のカルパスのナトリウムを排出する効果があります。また、マヨネーズだけで調味すると相当量必要になるので、無糖ヨーグルトを加えることでカロリーを抑えることができます。野菜から水が出るので、食べる直前にヨーグルトマヨネーズソースをかけて食べるのがおすすめです。
■④カルパスとこんにゃくの炒り煮(☆副菜)
<栄養成分>
・エネルギー52kcal
・たんぱく質1.3g
・脂質3.1g
・飽和脂肪酸0.69g
・炭水化物5.5g
・塩分相当量1.2g
<材料 1人分>
・板こんにゃく:60g
・カルパス:3.4g
・根深ねぎ:5g
・ごま油:2ml
・濃口しょうゆ:7ml
・砂糖:2g
・料理酒:2ml
・山椒粉:少々
・とうがらし:少々
<作り方>
①いたこんにゃくは塩もみしたら熱湯で10分程度茹でてあく抜きし、引き上げたら水にさらし、手で食べやすい大きさにちぎる。
②カルパスを斜め切りにする。
③根深葱を小口切りする。
④フライパンにごま油を入れて熱し、①②を炒める。
⑤全体に油がまわったら砂糖、濃口しょうゆ、料理酒で調味。
⑥仕上げに山椒粉ととうがらしを振って出来上がり。
<ポイント>
こんにゃくは食物繊維が豊富で脂肪を吸着し排出する作用や、ゆっくり血糖値を上昇させる効果があり、ダイエット向きの食材です。山椒粉やとうがらしで、薄い味でも香りで美味しく食べられます。
■⑤オープンサンド(☆軽食)
<栄養成分>
・エネルギー270kcal
・たんぱく質12.0g
・脂質14.9g
・飽和脂肪酸5.0g
・炭水化物27.0g
・食塩相当量2.0g
<材料 1人分>
・ロールパン:30g
・カルパス:3.4g
・サラダ菜:5g
・スイートコーン缶:5g
・溶けるチーズ:10g
・トマトケチャップ:5g
・粒入りマスタード:3g
<作り方>
①カルパスは薄く輪切りする。
②サラダ菜は水洗いした後しっかり水切りする。
③ロールパンの上に切れ目を入れ、スイートコーン、カルパス、サラダ菜を挟む。
④溶けるチーズを乗せ、ケチャップをかけたらトースターでチーズが溶けるまで焼く。
⑤粒入りマスタードをお好みでつけて。
<ポイント>
カルパスはそのまま食べても美味しいですが、オープンサンドにすれば立派な軽食にもなります。特にダイエットで空腹感が強い人は、少し手を加えることでボリューミーで見た目も味も満足な仕上がりになりますよ。ロールパンを全粒粉のパンにすると、より血糖値の上昇速度が押さえられます。
まとめ
カルパスは決して低カロリー、低脂肪の食品とは言えませんが、高たんぱく質であり、低炭水化物(糖質)制限ダイエットのときに少量であれば食べてもいいと言えるでしょう。
脂肪は効率の良いエネルギー源ですし、身体にとって必要な栄養素でもあります。また、便通を良くすることや満腹感、満足度をアップしてくれるので、ダイエット中の便秘や、物足りなさを回避することにもつながります。
完全にカットする必要はないので、好きな人は量に気を付けながら食べましょう。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。