※この記事は、栄養士資格を持つライターが書いています。
焼酎と言うとあなたはどんなイメージを持たれますか?
カロリーが低い?
太りにくいことでダイエット向きのアルコール?
血糖値が上がらないから糖尿病の人でも飲める?
等々・・・
いずれにしてもアルコールの中では比較的「コントロールしやすい」飲み物というイメージが持たれていますよね。ビール派だった人が焼酎のほうがまだいいと聞いて焼酎に変えた、なんてこともよく耳にします。
そんな焼酎ですが、本当に太りにくいのか?ダイエットに向いているのか?カロリーや糖質を他のアルコールや種類別に比較しつつ、実際のところをひも解いてみましょう。
焼酎の種類
早速焼酎のカロリーなど本題に入りたいところですが、先に焼酎の種類について少しご説明します。
焼酎は酒税法によって種別基準が定められています。
昔は「甲類焼酎」と「乙類焼酎」とに分類していましたが「連続蒸留焼酎(旧甲類)」と「単式蒸留焼酎(旧乙類)」に名称変更されました。
<連続蒸留焼酎(甲類)>
糖蜜等を連続式蒸留器で蒸留して高純度エタノールを生成し加水したものです。
アルコール度数36%未満で、税法上では「連続式蒸留焼酎」と表記する代わりに「ホワイトリカー」と表記することも認められています。無味無臭なので、そのままで飲むことよりカクテルやサワー、梅酒の原料として使われることが多いです。
<単式蒸留焼酎(乙類)>
麦、芋、米などを単式蒸留器で蒸留して造る焼酎のことです。アルコール度数45%以下で、蒸留回数が少ないことで香りが良く、「本格焼酎」などと言われるのはこの種類です。
焼酎のカロリーは高い?低い?
連続式蒸留焼酎:エネルギー 206Kcal
単式蒸留焼酎:エネルギー 146Kcal
(100mlあたり:日本食品成分表2017年より)
食品を比較として挙げてみましょう。
◎ごはん軽く1膳(150g)約240Kcal
◎茹でうどん1玉(150g)約160Kcal
◎バナナ1本約80Kcal
◎卵1個約80Kcal
◎牛乳1合(200ml)約120Kcal
御覧のように、決して焼酎はカロリーが低くはないことがお分かりになりますね。ただし、ここに示した焼酎のカロリーは原液100mlあたりのものになります。
同じ100ml飲む場合でも水やお湯や炭酸水(無糖)を同量で割って飲む場合、カロリーはこの半分になります。
焼酎のカロリーと糖質量を比較!芋麦米など種類別
焼酎種類 | エネルギー | 炭水化物(糖質)量 |
連続式蒸留焼酎(甲) | 206Kcal | 0.0g |
単式蒸留焼酎(乙) | 146Kcal | 0.0g |
麦20度 | 113Kcal | 0.0g |
麦25度 | 142Kcal | 0.0g |
麦30度 | 169Kcal | 0.0g |
芋20度 | 115Kcal | 0.0g |
芋25度 | 144Kcal | 0.0g |
芋30度 | 172Kcal | 0.0g |
米25度 | 141Kcal | 0.0g |
※麦焼酎はいいちこ、芋焼酎は黒霧島、米は白岳の栄養成分を参考にしました。
連続式蒸留焼酎より単式蒸留焼酎のカロリーは低いですが、麦、芋、米ではカロリーにそれほど大きな違いはありませんね。この表には挙げていませんが、黒糖焼酎、しそ焼酎など他にも色々な種類の焼酎がありますが、概ねカロリーは同じです。
そして、アルコール度数が高いものほどカロリーが高くなっています。糖質はどの種類の焼酎も0.0gです。
焼酎と他のお酒のカロリーと糖質量
アルコール種類 | エネルギー | 炭水化物 |
連続式蒸留焼酎 | 206Kcal | 0.0g |
単式蒸留焼酎 | 146Kcal | 0.0g |
酎ハイ | 190Kcal | 11.3g |
梅酒 | 156Kcal | 20.7g |
ビール 淡色 | 40Kcal | 3.1g |
ビール 黒 | 46Kcal | 3.6g |
スタウトビール | 63Kcal | 4.9g |
ビール風味炭酸飲料 | 5Kcal | 1.2g |
ウィスキー | 237Kcal | 0.0g |
ウォッカ | 240Kcal | 微量 |
白ワイン | 73Kcal | 2.0g |
赤ワイン | 73Kcal | 1.5g |
ロゼワイン | 77Kcal | 4.0g |
清酒 純米酒 | 103Kcal | 3.6g |
清酒 本醸造酒 | 107Kcal | 4.5g |
清酒 吟醸酒 | 104Kcal | 3.6g |
清酒 純米吟醸酒 | 103Kcal | 4.1g |
(日本食品成分表2017年より)
意外や意外!!焼酎は糖質0.0gですが、カロリーはウィスキーやウォッカに次いでかなり高いアルコールということになります!
おまけに、同じ焼酎でも酎ハイになると糖質も11.3g含まれます。(※酎ハイは単式蒸留焼酎100mlに炭酸ジュースを100ml加えて作ったものとして食品成分表で計算)
焼酎はカロリーが低くて太らないというイメージが覆されそうですね。
焼酎がダイエット向きと言われる理由
では、なぜ焼酎などの蒸留酒がダイエット向きと言われるのでしょうか。
それはアルコールが肝臓で代謝(消費)される優先順位が高いからです。肝臓はアルコールを「毒物」と認識することから、他の栄養素より先に代謝するよう作用します。
アルコール自体は1gあたり7Kcalあり(糖質は1g=4Kcal、たんぱく質は1g=4Kcal、脂肪は1g=9Kcal)、決して低エネルギーではありませんが、「エンプティカロリー」と言って、栄養素が空っぽ、代謝優先順位が高く、身にならないエネルギーと言われています。
つまり、アルコール自体は摂取しても太らないという理屈なのです。
特に、焼酎等の蒸留酒は糖質を含まずアルコールが多いことから太らないと言われています。
糖質は三大栄養素であり、大量に身体に取り込まると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、一部は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられ、残りは筋肉等で消費されますが、消費しきれない分は脂肪として蓄えられます。
焼酎そのものは太りませんが、酎ハイやサワーなど清涼飲料水、炭酸ジュースで割ったものは糖質を含み、焼酎でも太りやすい飲み物になるので注意が必要ということなのです。
アルコールの中ではやっぱり焼酎がマシ?!
「エンプティカロリーになることから、やっぱり醸造酒より蒸留酒がいいのだろうか?」
「ビールよりは焼酎がいいのかな?」
「酎ハイじゃなければ問題ないのではないか・・・」
と思われたかもしれませんが、ここは安直にそればかりが焼酎のメリットとは言えません。
ビールを飲む時は何杯くらい飲まれますか?おつまみにどんなものを合わせますか?ビールと相性がいいのは揚げ物など脂っこい料理。
焼酎だと比較的あっさりしたものを合わせることが多いのではないでしょうか。また、日本酒や瓶ビールの場合、一緒に飲む相手とお酒の注ぎ合いをすることが多いけれど、焼酎の時は注ぎ合うことはなく自分のペースで飲めますよね?
薄めて飲むアルコールは肝臓にも優しいこともあり、焼酎はメリットが多いのです。単純に糖質が含まれていないから太りにくくて良い・・・ということだけでダイエット向きとされているワケではないのですよ。
ダイエットもしたい!焼酎を飲んでも太らないための方法11個
これらのことを踏まえて、焼酎をダイエットに上手に利用する方法をご紹介します。
①おつまみに注意
先に述べたようにアルコール自体は代謝しない栄養素です。つまり、アルコールを飲んだだけで太ることはありません。問題はおつまみやおかずにどんなものをどれくらい合わせるかによります。おかずは、お刺身、生野菜のサラダ、冷ややっこ、もずく酢やひじきの煮つけなど海藻料理など低エネルギーの物を合わせると良いでしょう。野菜や海藻類のビタミンやミネラルは肝庇護作用があるので、一緒に摂っておきたい食材と言えます。おつまみにはスナック菓子やポテトフライなど揚げたものはカロリーが高いことや塩分過多であり、おススメできません。
②希釈するものに注意
炭酸ジュースで割る酎ハイは、ジュースの糖質で血糖値を跳ね上げ、アルコールで肝臓を傷める原因になります。肝臓は代謝を司る臓器なので、肝臓を傷めないように注意が必要です。酎ハイではなく、水割りやお湯割り、炭酸割にしましょう。炭酸は腹部膨満感が得られるので、早くお腹いっぱいと感じるのでダイエットにもおすすめです。酎ハイ系が飲みたい場合、生絞り(生のフルーツを絞って果汁を加えるタイプ)なら可です。
③焼酎×梅干しはNG
焼酎と言えば梅干しという感じがありますが、梅干しは入れないようにしましょう。アルコールを摂取すると、体内のアルコール濃度を薄めようと水分を大量に取り込むためむくみやすい上に、塩分過多の梅干しを加えてしまうと、よりむくみやすくなり体重増加を招きます。焼酎は水割りで飲めばナトリウムは0㎎ですが、梅干しを加えると874㎎まで跳ね上がります。要注意です。何か添えたいのであればライムやレモンで対応しましょう。
④お湯割りがベスト
日本酒でも言えることですが、冷たいままで飲むと喉ごしが良くてついつい飲みすぎてしまうものです。お湯割りにすることで、身体が温まり早く満足度を得ることができます。ロックや水割りで飲む場合は氷をしっかり入れて希釈濃度が薄くなるように工夫しましょう。
⑤アルコール度数にも留意
25度、30度とアルコール度数が強くなるほどカロリーも高くなりますし、肝臓への負担も大きくなります。なるべく度数が低いものを選ぶようにしましょう。
⑥量には注意
いくら糖質が少なくてもアルコール度数は高いので、焼酎は量が過ぎるとすぐにカロリーオーバーになってしまいます。25度の焼酎を原液の状態で100ml程度に留めるようにすることがポイントです。
⑦休肝日は必須
アルコール度数が強い焼酎は毎日飲み続ければ肝臓に負担がきます。週に何日かは休肝日を設けるようにして、肝臓を庇護してあげましょう。
⑧香りの強い焼酎を楽しむ
糖質を含まないことから物足りなさを感じやすい場合、しそ焼酎、芋焼酎など香りが感じやすい本格焼酎を選ぶと満足度が上がります。ゆったり香りを楽しみながら味わって飲むようにしましょう。
⑨時間に注意
ずるずるだらだら遅い時間まで飲むことがないようにしましょう。20時以降に口に入るものは脂肪に10倍蓄えられやすいということをしっかり認識しましょう。
⑩締めのラーメンは禁忌
アルコール度数の強い酒は一時的に低血糖を招きます。そのため、飲み会の後空腹感を感じることがあります。空腹感の欲求に任せて締めのラーメンを食べると、急激に炭水化物が体内に流入するため血糖値が跳ね上がり、インスリンが大量分泌されることになります。その結果太りやすい体質に変わってきます。酒を飲んだ後の締めのラーメンが太るというのは血糖値の急上昇が原因と言えます。
⑪会話を楽しみながら
焼酎は希釈濃度を自分で調整しやすいアルコールです。本格焼酎をなるべく希釈濃度を薄めて、飲み会の場では上手に会話を楽しみつつ、間を持たせて飲みすぎを防止しましょう。糖質を含まないこと以上に焼酎がダイエット向きと言われるポイントになってきます。
低カロリー・低糖質なおすすめ焼酎3選
焼酎はアルコール度数が低いものほうが低カロリーです。
20度の焼酎のおススメを種類別でいくつかご紹介しますので参考にしてください。
<芋焼酎3選>
・霧島酒造 黒霧島
・薩州 赤兎馬
・合同酒精 黒海
<麦焼酎3選>
・二階堂酒造 本格麦焼酎 二階堂
・大島酒造 泥亀
・井上酒造 初代 百助
<米焼酎3選>
・高橋酒造 白岳
・旭酒造 耶馬美人
・池亀酒造「川」吟香
少しお高いものもあるかもしれませんが、敢えてそういう商品を選ぶことで、がぶ飲みを防ぎダイエットにつながる可能性もありますよ。
まとめ
糖質0だから安心、糖質が多いから良くない、アルコール度数が高いからダメ・・・という単純な受け止め方ではなく、糖質が少ないことの利点を生かし、アルコール度数が高いことも含めてうまくダイエットに活かせることが大切です。
アルコールは「飲み方」がポイントになります。焼酎に限らず、それぞれのアルコールの特性をしっかり理解し、自分なりの上手な付き合い方ができることこそがダイエット成功の第一歩になるのです。
酒を「百薬の長」にするのも「百害あって一利なし」にするのもあなたの飲み方次第なのです。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。