さつまいもは、美味しく食べられるとして、子供から大人、お年寄りまで人気の食材です。しかし、芋類は糖質が高く、マイナスなイメージも持っているのではないでしょうか。
よく知れ渡っている通り、さつまいもは炭水化物・糖質が多い食材です。ダイエット中に食べ方を間違えると、ダイエットが失敗する原因を作りかねない食材といえるでしょう。
今回の記事では、さつまいものカロリーや栄養、ダイエット中のさつまいもの食べ方などをご紹介します。
さつまいもは、ダイエット向きの食品とはいえませんが、我慢ばかりはストレスの元。さつまいもが好きな方は、ぜひ知っておいてほしいことを解説します。
さつまいも1本のカロリー・糖質・栄養成分
さつまいもは、Lサイズが1本あたり約300g程度です。300gのさつまいも(皮つき)は、次の通りになります。
栄養素 | さつまいも1本(300g) |
カロリー | 420kcal |
たんぱく質 | 2.7g |
炭水化物 | 99.3g |
(糖質) | 91.2g |
食物繊維 | 8.1g |
(水溶性食物繊維) | 2.7g |
(不溶性食物繊維) | 5.4g |
脂質 | 1.5g |
ビタミンE | 3mg |
ビタミンB6 | 0.6mg |
葉酸 | 147μg |
ビタミンC | 75mg |
カリウム | 1140mg |
※食品成分データベース参照
ビタミンE、ビタミンB6、葉酸、ビタミンC、カリウムについては、1回の食事でとっておきたい量をまかなうことができる栄養素を掲載しました。
さつまいもは肌に良いといわれることが多いですが、それは抗酸化作用をもつビタミンEやビタミンCを多く含んでいるからです。
さつまいも100gのカロリー・糖質・栄養成分
次に、さつまいも100gの栄養素は次の通りです。Lサイズのさつまいもであれば、1/3本程度で、1cmの輪切りであれば、約3個分になります。
栄養素 | 皮つきさつまいも(100g) |
カロリー | 140kcal |
たんぱく質 | 0.9g |
炭水化物 | 33.1g |
(糖質) | 30.4g |
食物繊維 | 2.7g |
(水溶性食物繊維) | 0.9g |
(不溶性食物繊維) | 1.8g |
脂質 | 0.5g |
ビタミンE | 1mg |
ビタミンB6 | 0.2mg |
葉酸 | 49μg |
ビタミンC | 25mg |
カリウム | 380mg |
輪切り3個分のさつまいもは、おやつにするには多すぎる程度で、小鉢1品としても、少し多いと感じる程度ではないでしょうか。
さつまいもは糖質が高い食べ物ですが、腹持ちが良いことに対し、140kcalであると考えると、一概に高カロリーな食べ物であるともいえないでしょう。
100g中に2.7gの食物繊維を含んでいるという点も、さつまいもを評価できる点です。
さつまいものカロリーは高い?他のイモ類と比較
さつまいも、さといも、じゃがいも、ながいもの栄養成分を比較してみましょう。
栄養素 | 皮つきさつまいも(100g) | さといも(100g) | じゃがいも(100g) | ながいも(100g) |
カロリー | 140kcal | 58kcal | 76kcal | 65kcal |
たんぱく質 | 0.9g | 1.5g | 1.6g | 2.2g |
炭水化物 | 33.1g | 13.1g | 17.6g | 13.9g |
(糖質) | 30.4g | 10.8g | 16.3g | 12.9g |
食物繊維 | 2.7g | 2.3g | 1.3g | 1g |
(水溶性食物繊維) | 0.9g | 0.8g | 0.6g | 0.2g |
(不溶性食物繊維) | 1.8g | 1.5g | 0.7g | 0.8g |
脂質 | 0.5g | 0.1g | 0.1g | 0.3g |
さつまいもは、グラム単位のカロリーと糖質が非常に多いことがわかります。
おかずとして食べるのであれば、さといも、じゃがいも、ながいもなどを使用するほうが、カロリーも糖質もカットすることができます。
ただし、さつまいもは、特有の甘味があるため、甘いものを我慢している(砂糖の入ったお菓子を我慢している)方や、おやつに芋類を食べたい場合には、さつまいもを選ぶと良いでしょう。
さつまいもはダイエット向きの食べ物?
さつまいもは、残念ながら最近の風潮である『ダイエット=糖質制限』というダイエットには使えない食材です。そのため、糖質制限でダイエットをしようとしている方は、さつまいもは食べないほうが良いでしょう。
どうしてもさつまいもが好き!という方は、低GIを意識したダイエットをしてみてはいかがでしょうか?
■GI値とは?
食事をすると、摂取した糖質は、『血糖』となり、血液中を流れます。これが、血糖値が上昇する理由です。血糖値が上昇すると、インシュリンというホルモンが出て、血糖値を下げるよう、はたらきかけます。
このインシュリンは、血糖値を下げるだけでなく、脂肪細胞を作ることを促進するというはたらきも持っています。そのため、インシュリンが出れば出るほど、脂肪細胞が作られやすくなるということです。
最も早く血糖値が上昇するのは、血糖そのものであるブドウ糖で、ブドウ糖のGI値を100としたときに、どの程度インシュリンを早く分泌させるのかがわかる指標として用いられます。
GI値は、値が小さいとゆっくりと糖が吸収され、血糖値をゆるやかに上昇するということを示しています。GI値を読む際は、55以下の食品が低GIといえ、70以上の食品はGI値が高い食品と定義しているので、数字の読み方として覚えておきましょう。
■調理別さつまいものGI値
GI値は、様々な数字が多数の研究者から発表されていますが、その内容によって、バラつきが多いのが現状です。そのため、1つの食品のGI値は1つとはいえません。
シドニー大学では、様々な食品を、条件をかえて実験し、GI値の算出を行っています。(実験の条件は公開されているものと、されていないものがあります。)
調理別にさつまいものGI値を出すと、次のようになります。
さつまいもの状態 | GI値 |
茹でたさつまいも | 44 |
30分茹でたさつまいも | 46 |
皮をむいて、45分焼いたさつまいも | 94 |
皮をむいて、油であげたさつまいも | 76 |
GI値を意識したダイエットをするのであれば、焼き芋は低GI値ダイエットには向いていません。焼くとカロリーは増えませんが、揚げるとカロリーが高くなります。しかし、焼くほうがGI値は高いのです。
焼き芋を食べる際は、焼く時間を短くするようにしましょう。また、できるだけゆでたさつまいもを食べるかなど工夫しましょう。
■他の芋類やごはんのGI値を比較
白米や、ほかの食品と比べると、GI値は次のような比較ができます。
食品名・条件 | GI値 |
茹でたさつまいも | 44 |
白米 | 89~76 |
さといも(ゆで) | 56 |
15分ゆでたじゃがいも | 85 |
GI値は精白したパンや米でたかくなるので、白米は高GI食品といえます。カロリーで比較すると、さつまいもよりも低カロリーであるじゃがいもは、高GI食品に分類されます。
さといもは、GI値が高いとも低いとも分類されない食品ですが、茹でた状態を比較すると、さつまいものほうが低いことがわかります。さつまいもは、30分茹でたとしてもGI値は46になるため、さといもよりも低GIといえます。
このように、さつまいもは、GI値で比較すると、ダイエットに使える食材といえます。
ダイエット中にさつまいもを食べるおすすめの食べ方12個
ダイエット中にさつまいもを食べる際に、気を付けておきたいこととおすすめの食べ方を、12個紹介します。
■①主食(ごはん)の代わりにする
精白米や小麦粉は、GI値が高く、血糖値が急激に上昇するため、低GIダイエットには向きません。それだけでなく、ごはん100g(女性用お茶碗に8分目程度)は約170kcalと、カロリーもさつまいもより高めです。
そのためいつも食べている主食をさつまいもに置き換えてみませんか。
ごはんは腹持ちが良いのと同じく、さつまいもも、十分にお腹を満たしてくれますよ。また、パンやパスタも、ごはんと同じく主食であり、炭水化物源です。普段、パンやパスタを食べる習慣がある方は、これをさつまいもに置き換えても良いでしょう。
『さつまいもの蒸しパン』や『さつまいもごはん』、『さつまいものクリームパスタ』などは炭水化物を大量に摂ることになるので、『置き換える』ことは大切ですが、重複して食べることのないように注意が必要です。
■②おやつの代わりにする
クッキーやケーキ、おまんじゅうなどには、大量の砂糖が使われています。お菓子作りの経験がある方は、驚くほどの砂糖を入れたことがあるのではないでしょうか。
さつまいもは、甘味を満たしてくれる食材です。特に、適切に温度管理をして焼き芋を作った場合は、蜜があふれるくらい、スイーツに近いものになります。
私たちが間食に食べがちなおやつには、砂糖が大量にる使われていますから、砂糖を使わないさつまいもを、おやつの代わりに食べましょう。
ただし、『スイートポテト』や『さつまいものモンブラン』、『大学芋』などは、さつまいもの糖質だけでなく、大量に加えられる砂糖や、脂質により高カロリーな食べ物です。蒸したり焼いたりしたさつまいもを、おやつに使うことは良いことですが、さつまいもを使ったスイーツに手を出さないようにしてください。
いくらさつまいもそのものに近いような味や食感でも、スイートポテトには大量の砂糖が使われていますので、注意が必要です。
■③食事の最初に食べる
さつまいもは、できるだけ食事の開始前に食べてください。食事開始前にゆっくり食べることで、満腹感を満たしてくれます。
よく噛むことは、満腹中枢を刺激してくれうので、少ない量でも満足感を得やすいです。先ほど紹介したように、ごはんをさつまいもに置き換え、さつまいもをゆっくり噛んで先に食べれば、おかずの『ドカ食い』を防止できるでしょう。
■④よく噛んで食べる
さつまいもを食べるときは、よく噛んで食べてください。特に蒸したさつまいもは、あまり噛まなくても食べられる硬さになるため、注意が必要です。
噛まずに食べてしまうと、満腹中枢が刺激されず、食べすぎの原因となります。しっかり噛むことで満腹中枢を刺激し、食べすぎを防止しましょう。
■⑤蒸し野菜にして食べる
さつまいもを食べる際は、蒸し野菜にして食べましょう。蒸すという調理法は、揚げたり炒めたりするのと違い、調理によりカロリーがアップすることはありません。
シリコンスチーマーを使って、ブロッコリーやカリフラワー、きのこ類と一緒に蒸し、好みのソースをかければ、立派な一品に仕上げることができますよ。
■⑥焼き芋にする
焼くという調理法も、油を使わなければカロリーがアップすることはありません。
焼き芋は、温度管理によっては、さつまいもの蜜を作りだすことができるほど、さつまいもの甘味を引き立たせてくれる調理方法です。
蜜ができるほどの温度管理は難しいかもしれませんが、蒸すと同じくカロリーがアップしてしまわない調理方法として活用しましょう。
ただし、GI値は焼き芋にすると値がかなり上昇します。低GIダイエットに取り組むのであれば、焼き芋は避けましょう。砂糖がたくさん入っているスイーツを食べるよりは、ダイエット向きである、程度の認識にしておくほうが良いでしょう。
■⑦スイーツではなく、さつまいもそのものだけにする
スイートポテトのような、さつまいもを使ったスイーツは、砂糖をたくさん入れています。スイートポテトであれば、さつまいも100gに対し、バターが5~10g、砂糖が10~20g程度追加されているのが一般的です。
そのため、さつまいもをおやつで食べる際に『さつまいもを使ったスイーツ』を選ばないようにしてください。おやつに食べる際は、さつまいもを蒸すまたは焼くの調理方法で料理して食べましょう。
■⑧サラダにして食べる
焼くや蒸すに飽きたら、サラダにして食べても良いでしょう。
サラダにするときは、蒸したさつまいもを、きゅうりやブロッコリーと一緒にマヨネーズやドレッシングで味付けをします。マヨネーズを使用する際には、カロリーハーフのものを使いましょう。
さつまいもには、そのものに甘味があります。そのため、味のない野菜に、少し味を足すことができるというメリットがあるので、合わせる調味料を工夫し、バリエーションを増やしていきましょう。
■⑨置き換えダイエットに使う
さつまいもは、『低カロリーではないが腹持ちが良い』という面を持っています。
食べすぎてしまった次の日に、輪切りにしたさつまいもを2~3枚程度食べて、食事を置き換えてみませんか。
カロリーをカットし、お腹がすくこともないでしょう。置き換え用のダイエット食品は高価なので、たまの置き換えであればさつまいもでも良いでしょう。
■⑩玉子、鶏むね肉やささみと一緒に食べる
さつまいもは、エネルギーのバランスが、炭水化物に偏っている食材です。
調理をする際には、低脂質で高たんぱくな鶏むね肉やささみと一緒に食べると、最低限のカロリーでたんぱく質を補うことができます。また、玉子はアミノ酸バランスが良いので、非常に良質なたんぱく質源です。
さつまいもで置き換えダイエットをしても良いですが、さつまいもでの置き換えダイエットを継続すると、栄養バランスが乱れます。
置き換えをする場合は、
・食べすぎた日の1日後のみ、さつまいも2切れ(1センチ程度の厚さ・輪切り)を食べる
・続けて置き換えをするなら、白米をさつまいもに変え、主菜や副菜はしっかり食べなくてはならない程度の置き換えにしましょう。
たんぱく質やビタミン、ミネラルのバランスが崩れると、健康を害する恐れがあるので、注意が必要です。
■⑪さつまいもを食べすぎない
さつまいもをダイエットに使う場合
・GI値が低い
・白米よりカロリーが低いため、置き換えに向いている
・スイーツのように砂糖を使っていないため、おやつに向いている
などの理由から、ダイエットに取り入れることができます。
こんにゃくや、きのこ類などのように「そのもののカロリーが限りなく0に近いため、ダイエットに向いている」わけではありません。
そのため、さつまいもを食べすぎないように注意してください。摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、ダイエットに失敗、太ってしまう、リバウンドする、といったことの原因になります。
さつまいもは美味しいので、ついつい食べすぎてしまいやすい食材です。カロリーや糖質が過剰にならないよう、食べる量をコントロールしましょう。
■⑫できるだけ朝・昼に食べる
さつまいもを食べる場合は、できるだけ朝・昼に食べましょう。夜は、カロリーが高いものを食べると、太る原因になりやすい時間帯です。
さつまいもは低カロリーではないため、食べた後にカロリーを消費できる時間帯に食べることをおすすめします。
夜ご飯を1食食べずに、少量のさつまいもで置き換える際には、カロリーの摂りすぎではないので、置き換えても良いでしょう。ただし、先ほども解説した通り、何日も継続しないように気を付けてください。
まとめ
ダイエット中には食べてはいけないイメージが強いさつまいも。しかし、主食や間食の代替として取り入れることができれば、ダイエット中でも食べることができる食材です。
茹でただけではGI値が低いことも特徴なので、低GIを意識したダイエットでは、取り入れやすいのではないでしょうか。
ただし、低カロリーというわけではないので、食べすぎには注意が必要です。糖質は高いので、糖質制限ダイエットをする場合には、できるだけ避けるようにしてください。
ダイエット中は食事制限でストレスがたまりがち。とくに甘いものが好きな方は、スイーツではなくさつまいもを食べることで、ストレスを発散できるのではないでしょうか。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。