※この記事は、栄養士資格を持つライターが書いています。
女性に人気の食材として定番であるアボカド。居酒屋で出てくるサラダから、コース料理にまで幅広く使われている食材です。
アボカドは、いろいろな料理に使用することができ、栄養が豊富であるという点で、美容と健康に嬉しい食べ物です。
今回の記事では、アボカドの栄養やアボカドのもつ栄養の役割、アボカドを使った美味しいレシピなどをご紹介します。
アボカド1個の栄養成分とカロリー
アボカドの栄養成分は、次の通りです。
100gあたり | 1個(140g)あたり | |
エネルギー | 187kcal | 261.8kcal |
たんぱく質 | 2.5g | 3.5g |
脂質 | 18.5g | 25.9g |
炭水化物 | 6.2g | 8.68g |
食物繊維 | 5.3g | 7.42g |
糖質 | 0.9g | 1.26g |
ビタミンE | 3.3mg | 4.62mg |
カリウム | 720mg | 1008mg |
葉酸 | 84μg | 117.6μg |
アボカドは、1個あたり約260kcalと、高カロリーであることが分かります。
特徴としては、脂質が高く、炭水化物の中では糖質が低いという点です。その他には、ビタミンE、カリウム、葉酸等の栄養が豊富という特徴もあります。
他の栄養素としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンC、マグネシウム等をも含んでいますが、突出して多いわけではありません。
アボカドの役割8つ!肌や筋肉にも良い?
アボカドのもつ栄養の役割について解説します。
■①ビタミンEでアンチエイジング
ビタミンEは、脂溶性(油にとける)ビタミンで、体内の脂質の酸化を防ぎます。脂質は悪者にされがちですが、私たちの体の細胞の膜には必ず存在している成分です。つまり、そこが酸化すると、老化の原因になります。
ビタミンEは、その酸化を防ぐ作用である、抗酸化作用をもっています。この働きにより、体内の細胞膜の老化、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の酸化を防ぎ、動脈硬化のような生活習慣病の予防を防いでくれるのです。
■②胎児の健康に欠かせない葉酸
葉酸は、ビタミンB群の仲間です。
大人の私たちにとっても、血液の細胞を作る際に必要な栄養素なので、しっかりとらなくてはならないのですが、胎児の成長にも欠かせない栄養素なので、特に妊婦さんは積極的にとっておきたい栄養素です。
妊娠を希望する女性や、妊娠初期から出産前までの女性が、葉酸を十分に摂取していれば、胎児の先天性障害を防ぐことができることも判明しています。
■③ナトリウム体外に出して高血圧を予防するカリウム
カリウムは、果物や野菜などに多く含まれる栄養で、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排泄してくれます。
ナトリウムとカリウムは、バランスを保ちながら、体内に存在しており、そのバランスを崩さないために、ナトリウムを体外に出すためには、カリウムが必要となるのです。
アボカドの他、ほうれん草やバナナにもカリウムは豊富に含まれていますので、血圧が気になる方におすすめの食材です。
■④カリウムでむくみ予防
私たちの体内の水分は、腎臓で調整されています。そして、水分の排泄にはナトリウムとカリウムも関わっていてます。
実は、体内でナトリウムが過剰になってしまうと、水分の排泄機構がうまくいかず、むくんでしまうことがあるのです。
血圧の項目でもお話しした通り、ナトリウムとカリウムは体内でバランスを保っているので、ナトリウムを排泄するために、カリウムをしっかりとりましょう。
■⑤脂溶性ビタミンの吸収をアップさせる
アボカドには多くの脂質が含まれています。そのため、脂と一緒に摂取した際に吸収率がアップする脂溶性ビタミンの吸収率をアップしてくれます。
アボカドには、ビタミンEが含まれていて、ビタミンEは脂溶性ビタミンです。その他にも、ビタミンD、ビタミンA、ビタミンKが脂溶性ビタミンに分類されます。
■⑥豊富な食物繊維による整腸作用
アボカドには食物繊維が豊富に含まれているので、食物繊維による整腸作用も期待できます。アボカドには水溶性食物繊維も、不溶性食物繊維も含まれています。
水溶性食物繊維は、水に溶け、水分を抱え込んで、体に好ましくない物質の吸収を妨げて、便として排泄することをサポートしてくれる成分です。
不溶性食物繊維は、水にとけず、それ自体が膨らみます。そのため、腸の壁を刺激して、腸内の動きを活発にして、食物の残りカスなどを便として出すことをサポートしでくれるのです。
■⑦ビタミンEによるガン予防
ビタミンEは活性酸素から体を守る抗酸化作用をもっています。
ガンの原因は、酸化によるストレスなので、ビタミンEのような抗酸化作用を持つ物質をとることで、がんの予防や進行を抑えることができるという報告があるのです。
■⑧糖質制限ダイエットにおすすめ
アボカドは、脂質が高く糖質が少ないため、糖質制限ダイエットにおけるエネルギー源におすすめです。
ただし、厳しい糖質制限ダイエットを続けると健康被害があるという報告もあるので、長期間の糖質制限ダイエットは控えましょう。
少し太りすぎたときに、体重を落とすために一時的に行うことをおすすめします。
アボカドは加熱で栄養素が変わる?
アボカドの栄養素は、加熱しても大きく変わりません。ビタミンCは、一部破壊されてしまう恐れはありますが、栄養素が少し破壊されるからといって、加熱調理をしないと判断するほどではないでしょう。
そのため、食べ方はあなたの好きな食べ方で食べるのが良いでしょう。
今回の記事では、アボカドを加熱して食べる食べ方もご紹介します。普段、サラダでしか食べない方は、これを機会に、ぜひ加熱して食べるレシピも参考にしてくださいね。
アボカドを1日1個毎日食べても大丈夫?
アボカドは、1個あたり約260kcalです。つまり、カロリーの低い食べ物ではありません。食べすぎると太る原因になりますので、適量を心掛けましょう。
健康食品や薬のように、食べすぎによる弊害は起こりませんので、極端な量を食べなければ、特に問題はありません。もちろん、毎日1個食べても大丈夫です。
アボカドの副作用
アボカドを食べすぎても、副作用はありません。副作用とは、薬を飲んだ時に、良い効果の裏側で起こる可能性のある良くない症状を指すため、食品に使う言葉ではないのです。
アボカドを食べすぎたときに注意しておきたい点は、先ほど解説した通り、カロリーの摂りすぎです。アボカドは高カロリーなので、食べすぎには注意が必要となります。
美味しい食べごろのアボカドの選び方
食べごろのアボカドを見分けるポイントは次の通りです。
・色:深い色をしていて(黒色に近い)ツヤのあるもの。
・ヘタ:ヘタがついているもの。
・弾力:軽く握ったときに弾力が均等なもの。
ヘタのついている野菜は、ヘタをとると、ヘタ周辺から傷んできます。そのため、ヘタのついているものを選びましょう。古くなって弾力がなくなるときも、ヘタ周辺の弾力がなくなっていますので、ヘタ周辺を触ったときの感触は重要です。
アボカドを購入して、すぐに食べない場合には、野菜室に入れておくことで、熟すスピードを抑えることができます。
逆に、硬くて若いアボカドを購入したときは、常温で保存すると良いでしょう。夏場は、日差しが当たらず、暑くなりすぎない場所で保管してください。
アボカドの適切な切り方
アボカドには、中心に大きな種があります。そのため、真横や縦半分に包丁を入れることはできません。次のような下処理・切り方をしてください。
①アボカドをよく洗う。
②アボカドを縦にもち、縦に切り込みを入れるように包丁を入れて、種にそって縦一周に切り込みを入れる。
③アボカドを両手で持ち、そっとねじるように、手で半分にする。
④片方に種が残るので、種の残ったほうは、種を取り出す。
⑤手や包丁で皮を剥いて、使いたい大きさに切る。
アボカドを調理する際には、すべてこの工程が必要になりますので、まずは下処理の方法を覚えておきましょう。
アボカドのおすすめの食べ方2つ
次に、アボカドのおすすめの食べ方をご紹介します。
■①アボカド × 低カロリーな野菜でダイエットメニューに
アボカドは、低カロリーな野菜ではないので、ダイエット中は低カロリーな野菜と組み合わせましょう。
トマトや大根、にんじんやパプリカ等、緑色でない野菜と組み合わせると、彩が鮮やかになるので、おすすめです。アボカドは、ボリュームの出にくい生野菜のサラダにボリューム感を出してくれます。
例えば、「トマト×大根」の組み合わせでサラダを作ると、どちらにもボリューム感がないので、食べ応えがなく、空腹感を感じやすくなってしまいますが、そこにアボカドは、があると、食べ応えのあるサラダに仕上がります。
■②アボカド × たんぱく源でボリューム感のあるメイン料理に
アボカドと肉や魚を組み合わせると、ボリューム感のあるメイン料理にアレンジすることも可能です。
例えば、「砂ずり×アボカド」の炒め物をすれば居酒屋風メニューになりますし、「アボカド入りのチーズグラタン」にすればボリュームたっぷりのクリーミーなグラタンを作ることができるでしょう。
アボカドは野菜の中では高カロリーですが、メイン料理として使う食材の中で、極端にカロリーが高いわけではありません。アボカドを使用することで、アボカドの栄養をしっかり摂って、美容と健康に良いメイン料理を作ることができます。
栄養豊富!健康美容に良いアボカドのおすすめレシピ5つ
アボカドのおすすめのレシピをご紹介します。
■①アボカドとトマトのサラダ
<材料>
・アボカド1個
・トマト1個
・たまねぎ1/2個
・塩小さじ½
・レモン汁小さじ1(またはドレッシング)
<作り方>
1. アボカドは、切り方で説明した通りに切る。その後、1センチ程度の角切りにする。
2. たまねぎはみじん切り、トマトはアボカドと同じくらいのサイズに切る。
3. 全体を塩とレモン汁で和える。
<ポイント>
ドレッシングがあれば、お好みのドレッシングを使用してください。さっぱりした味のドレッシングがおすすめです。塩は、普通の食塩よりも、ハーブソルトのような、風味のある塩を使うことをおすすめします。
■②アボカドとツナのグリーングラタン
<材料>
・アボカド1個
・ツナ缶1缶
・ブロッコリー2~3房
・小松菜1~2株
・クリームソース100g
・チーズ大さじ2程度で適量
<作り方>
1. アボカドは切り方の通り切った後、スライスする。
2. ブロッコリーは、洗って一口大に切り、小松菜は食べやすいサイズに切る。
3. ブロッコリーと小松菜をレンジで加熱する。(ブロッコリーはやわらかくなる程度、小松菜は少ししなっとする程度に加熱して、火を通しておく)
4. 耐熱容器に野菜とホワイトソース、ツナを入れ、上かrチーズをたっぷりかける。
5. トースターで10~15程度焼く。チーズがとけて、色が変わってくればOKです。
<ポイント>
アボカドのクリーミーさとの相性が良いグラタンのレシピです。カレー粉を加えたり、ベーコンを入れたり、アレンジのしやすいレシピです。カロリーを増やさずにボリュームアップをするなら、タマネギを入れると良いでしょう。
■③アボカドとキノコのにんにく炒め
<材料>
・アボカド1個
・しめじ1/4パック
・えのき1/4パック
・ベーコン2枚
・にんにく適量
・塩コショウ少々
・オリーブオイル大さじ1
<作り方>
1. アボカドは切り方の通りに切り、1センチ程度の角切りにする。
2. きのこは、石づきをとって、食べやすいサイズに切る。
3. ベーコンは、2センチ程度の幅で切る。
4. フライパンにオリーブオイルを加熱し、にんにくを強火で炒める。
5. にんにくの香りがしっかりとしてきたら、ベーコン、しめじ、えのき、アボカドを炒める。
6. 全体に色がついてきたら、塩コショウで味を調える。
<ポイント>
きのこは、しめじやえのき以外にも、エリンギやシイタケを使っても良いでしょう。
きのこに含まれるビタミンDは、カルシウムを体に効率よくとり入れてくれるビタミンで、脂溶性ビタミンです。炒めることによる油や、アボカドの脂質と一緒にとることで、ビタミンDの吸収率がアップしますよ。
■④アボカドとまぐろのチーズ和え
<材料>
・アボカド1個
・まぐろの刺身100~150g程度
・クリームチーズ50g
・しょうゆ大さじ½
・わさび適量
<作り方>
1. アボカドは、切り方の通りに切り、1センチ角切りにする。
2. まぐろの刺身を角切りにする。
3. クリームチーズをへらでしっかりとつぶして練り、しょうゆとわさびを加える。
4. 3.を使ってアボカドとまぐをを和える。
<ポイント>
アボカドとまぐろは、相性の良い定番の組み合わせです。今回のレシピでは、お酒と相性の良い仕上がりになります。ごはんと相性の良いレシピにする場合は、クリームチーズを抜いて、薄めためんつゆや、少量のごま油で和えると簡単に作ることができますよ。
■⑤アボカドの冷製スープ
<材料>
・アボカド2個
・レモン汁大さじ1
・コンソメ1個
・生クリーム60cc
・牛乳40cc、
・トマト1/4個
・たまねぎ1/2個
・大葉1枚
・塩コショウ少々
・しょうゆ小さじ1
<作り方>
1. アボカドは切り方の通り切り、細かく切って、裏ごしする。
2. トマトは皮をむいて5ミリ程度に切る。大葉は千切りにする。
3. タマネギはブレンダーを使って、細かくする。にする。
4. アボカドとたまねぎを鍋に入れ、生クリームとコンソメを加えて煮込む。
5. 塩コショウを加えて味を整える。
6. 好みでレモン汁を加える。
7. 冷やしたら器にもりつけ、トマトと大葉を飾る。
<ポイント>
アボカドを使った冷たいスープです。アボカドのスープはあまり有名ではありませんが、ジャガイモを使ったビシソワーズのように、冷たいスープの定番になれる位美味しく作ることができます。牛乳と生クリームの割合は、生クリームを多くするとこってりとした濃厚な仕上がりになり、牛乳の割合を足すとさらっとした仕上がりになります。
まとめ
アボカドは、便秘解消に有効な食物繊維、アンチエイジング対策になるビタミンEなどが豊富で、美容に嬉しい役割をたくさん持っている栄養素です。アボカド1個には食物繊維が7g以上含まれていて、これは、1日にとりたい食物繊維の約1/3程度になります。
アボカドの欠点としては、脂質を多く含むため、カロリーが高くなりがちな面です。そのため、極端に多く食べすぎると、太ってしまう原因となります。野菜だからといって、食べすぎないように注意しましょう。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。