※この記事は、栄養士資格を持つライターが書いています。
みなさんはさつまいもを食べるとき、さつまいもを皮ごと食べますか?焼きいもを食べるときは、むいて食べる方も多いのではないでしょうか。
さつまいもの皮は、しっかり洗ってから調理すれば、食べても良い部分ですが、捨ててしまう方も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、皮つきさつまいもの栄養成分と、皮なしさつまいもの栄養成分の比較や、さつまいもの皮のむき方、さつまいもの洗い方や、さつまいもを皮ごと食べるレシピ等をご紹介します。
皮がついたままでも美味しく食べられる料理はたくさんありますから、ぜひ参考にしてみてくださいね。
さつまいもは皮ごと食べるべき?
ふつうは剥いてしまうさつまいもの皮。
さつまいもの皮にしかない栄養があるため、さつまいもは皮ごと食べたほうが良いという説もありますが、栄養の差は大きくないため、作りたい料理によって使い分けるのが良いでしょう。
さつまいもは、身が黄色、皮が紫色なので、皮のまま使うと、彩を豊かにすることができる食材です。
さつまいもを皮つきで食べるかどうかを判断する際には、栄養価の違いが比べられがちですが、あまり違いはありません。特に、食物繊維は皮のほうに多く含まれているのは事実ですが、誤差といわれる程度しか違いはありません。
さつまいもの皮の栄養成分
文部科学省が発表している「食品成分データベース」で、皮つきのさつまいもと、皮なしのさつまいもの栄養成分を比較すると、次のようになります。
栄養素 | 皮つきさつまいも(100g) | 皮なしさつまいも(100g) |
カロリー | 140kcal | 134kcal |
たんぱく質 | 0.9g | 1.2g |
炭水化物 | 33.1g | 31.9g |
(糖質) | 30.4g | 29.4g |
食物繊維 | 2.7g | 2.5g |
(水溶性食物繊維) | 0.9g | 0.6g |
(不溶性食物繊維) | 1.8g | 1.9g |
脂質 | 0.5g | 0.2g |
ビタミンE | 1mg | 1.5mg |
ビタミンB6 | 0.2mg | 0.26mg |
葉酸 | 49μg | 49μg |
ビタミンC | 25mg | 29mg |
カリウム | 380mg | 480mg |
皮つきのさつまいもは、皮なしのさつまいもより、カロリーや炭水化物、食物繊維や脂質が多く、ビタミンEやビタミンC、カリウムなどは少ないという結果になりました。
多い、少ない、と数字で比較することはできますが、違いは誤差の範囲といえる程度の違いです。食物繊維が豊富に含まれているため皮つきで食べましょう!と啓発されることが多いですが、誤差の範囲とみてよいでしょう。
さつまいもは、皮つきであっても、皮なしであっても、栄養成分としての大きな違いはありません。
もちろん、さつまいもの皮だけを食べるとすれば、栄養値は大きくことなりますが、さつまいもを皮だけ食べるような料理は、ほぼ存在しません。
■実は含まれていないに等しい?さつまいもの皮のクロロゲン酸
さつまいもの皮には、「ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれている」ため、さつまいもは皮つきで食べましょうという情報がでまわっています。
クロロゲン酸は、ポリフェノールの一種であり、生活習慣病の予防やアンチエイジングの効果があると期待され、注目されている成分です。
しかし、クロロゲン酸をとるためにさつまいもの皮を食べるのは、非常に効率が悪いというデータがあります。
なぜなら、食品分析をした結果、100gの皮つきさつまいもと皮なしさつまいもに含まれているクロロゲン酸は、「0mg」だからです。これは、国(文部科学省)が発表している正式な食品分析の結果によるものなので、非常に信ぴょう性の高いデータに基づいています。
もちろん、さつまいもの皮にはクロロゲン酸が含まれていないわけではありませんが、皮つきさつまいもを100g食べたとしても、クロロゲン酸を「mg単位」でとることはできないのです。
クロロゲン酸に注目し、ポリフェノールによるアンチエイジング効果を期待する場合は、さつまいもの皮以外のものから食べるほうが効率が良いといえるでしょう。
さつまいもの皮に含まれる栄養の効果効能
さつまいもの皮の栄養は少ないので、さつまいもの皮だけでは特に効果効能はないと言えるでしょう。栄養を摂取したい場合は、さつまいの中の部分をしっかりと食べましょう。
さつまいもの皮の洗い方
さつまいもの皮の洗い方は、『水を使って土をきれいにおとす」のが基本です。
水を流しながら、手で丁寧に土を洗い流しましょう。たわしやスポンジ等を使って洗ってしまうと、洗っている来週に皮がめくれてしまい、ボロボロになります。
さつまいもは、生で食べることはない食材なので、洗い流す過程で殺菌をする必要はありません。土が奇麗に落ちていればしっかり洗えていると覚えておけばよいでしょう。
家庭菜園でさつまいもを収穫したときや、近所の農家さんからもらったときなどは、スーパーで売っている状態よりも、非常にたくさんの土がついています。
その場合は、数回水で洗い流した後、水をためた桶やボウルにつけておき、下処理をする前に再度奇麗に洗い流してください。特に根(ヒゲ)がたくさんついているものは、土が入り込みやすいので、注意が必要です。
さつまいもの皮のむき方
さつまいもの皮のむき方は、主に3つ。
1.ピーラーですべてむいてしまう。
2.使う分だけ切って輪切りにしてから包丁で切る。
3.輪切りにしてから蒸して皮をむく。
1つめの方法は、さつまいもをすべて使い切るときにおすすめです。
2つめの方法は、蒸し物にしないときに使う方法で、使う分だけ切ってから包丁を使って皮を剥く、ピーラーのいらない方法です。
3つめの方法は、さつまいもを蒸す料理をする際に使える方法です。蒸してから皮を剥くと、包丁を使わなくとも皮を外すように剥くことができます。
皮を剥いた後のさつまいもを、すぐに調理しないのであれば、必ず水につけておいてください。そのまま置いていると、変色する原因となります。
また、さつまいもを水につけることで、さつまいものアク抜きをすることができます。アク抜きのためにも、水にさらす時間があると良いでしょう。
さつまいもの皮ごと食べる!おすすめの食べ方レシピ4つ
さつまいもを皮ごと食べるレシピを4つご紹介します。
■①皮ごと食べるさつまいものきんぴら
<材料>
・さつまいも100g
・とうがらし適量
・ごま油大さじ1
・みりん大さじ1
・しょうゆ大さじ1
・酒おおさじ1
・水大さじ1
・大さじ1/2
<作り方>
1. さつまいもを皮がついた状態のまま、太めの千切り~ひょうし切り程度に切る。
2. とうがらしは、種を取り除いて細かく切る。
3. 鍋またはフライパンにごま油を熱する。
4. 十分に熱した後、さつまいもを炒める。
5. 調味料と水を加えてふたをし、3~5分程度煮る、
6. 強火にしてごまを加え、1分程度炒める。
さつまいもを皮ごと使ってつくるきんぴらです。さつまいもを別の用途で使う場合は、皮の部分を厚めに切って、切った皮の部分だけを使用しても良いでしょう。
■②小ぶりなさつまいもで作るスイートポテト
<材料>
・小ぶりのさつまいも5~7本程度(300g~400g)
・生クリーム60cc
・砂糖30g
・バター30g
・卵黄1個分
・トッピングのごま
<作り方>
1. オーブンを180度に設定する。
2. さつまいもをよく洗う。
3. さつまいもを縦半分に切り、水につけたあく抜きを行う。
4. 耐熱容器に入れてレンジで加熱する。(5分~7分程度)
5. スプーンを使用して、さつまいもの中身をボウルにとりだす。皮はアルミホイルの代わりに使用するため、できるだけ形を保てるようにする。
6. さつまいもの身の部分と、生クリーム、砂糖、バターをよく混ぜる。
7. なめらかになったら、均等に皮に戻す。
8. 卵黄を溶いたものを塗り、トッピングのごまをのせ、オーブンで15分程度焼く。焼き色がついてなかったら1分ずつ追加で焼いて焼き色をつけていく。
さつまいもの皮を容器にして作るスイートポテトです。小ぶりのさつまいもでないと作りにくいですが、見た目も可愛いのでプレゼントにもおすすめです。
■③さつまいものレモン煮
<材料>
・さつまいも100g
・白ワイン大さじ1
・砂糖大さじ1
・はちみつ大さじ1
・レモン汁大さじ½
・塩ひとつまみ
・しょうゆ小さじ1/2
<作り方>
1. さつまいもをしっかりと水洗いする。
2. 1cm幅程度に輪切りにして、10分以上水につける。
3. 深めのフライパンまたは小さめの鍋にさつまいもを入れ、さつまいもの頭がぎりぎり浸りきらない程度の水を加えて加熱する。
4. 少し煮立ったら白ワイン、砂糖、はちみつを加えて10分煮る。10分たったらレモン汁と塩、しょうゆを加えてさらに3分程度煮る。
5. さつまいもに火が通っているか竹串を刺して確認する。
6. そのまま冷まして、食べる直前に盛り付ける。
鍋の大きさによっては、調味料が薄まってしまうので、味が薄い場合は少し調味料を足してください。さつまいものレモン煮は、冷たいままでも美味しく食べられるレシピです。
■④さつまいもごはん
<材料>
・さつまいも300g
・ごはん3合
・塩小さじ1
・酒大さじ1
・昆布5~10センチ
・ごま適量
<作り方>
1. さつまいもをしっかりと洗い、皮がついたまま1.5センチ角に切る。
2. 米を洗って炊飯器に入れ、塩と酒をいれてから、3合の線まで水をいれる。
3. 昆布と切ったさつまいもをいれて、炊飯器をセットする。
4. 炊きあがったら、さつまいもがつぶれないようによく混ぜて、ごまをふったら完成。
さつまいもごはんの作り方です。炊きあがりに混ぜる際は、丁寧に混ぜなければさつまいもが潰れてしまうので注意して混ぜてください。さつまいもが潰れることが気になる方は、さつまいもを半分だけ炊飯器で炊いて、もう半分はレンジで加熱し、盛り付けた後にトッピングとして使用しても良いでしょう。
まとめ
さつまいもは、皮ごと食べても皮なしで食べても、栄養成分値は大きく異なりません。もちろん、「皮だけ」を食べたとすれば栄養値は変わってきますが、さつまいもを皮だけ食べることはないでしょう。
さつまいもを皮ごと食べるときには、しっかりと洗って、土を落として食べるようにしましょう。
さつまいもは、皮がついていると彩が奇麗になりますので、皮ごと使えるレシピは多くあります。
今回は、さつまいものレモン煮を紹介しましたが、炊き合わせや甘煮など、和食の煮物を作る際には、皮があったままのほうが、奇麗に見えることも多いでしょう。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。