脂肪を燃やすには有酸素運動が運動、なんてよく聞きますが、そもそも有酸素運動とは何でしょうか? 人間は呼吸をして、酸素を取り込んで生きているのですから、どんなスポーツでも有酸素運動をしているはずなのですが…。
ここでは有酸素運動とは何か? なぜ脂肪が燃えるのか? といった疑問に始まり、ダイエットに効果的な運動とその方法をご紹介します。
ダイエットに効果的な運動とは
皆さんは「無酸素運動」と「有酸素運動」という言葉をどこかで耳にしたことがあるでしょう。酸素というフレーズが含まれていますが、決して「無呼吸で行う運動」と「呼吸しながら行う運動」の違いではありません。ざっくりと表現すれば「酸素を使わないでもできる運動」と「酸素を使いながら行う運動」の差です。
無酸素運動の代表格は陸上の短距離走やウエイトリフティング。短時間で激しい強度が要求される競技です。
対して有酸素運動の分かりやすい例はジョギングやウォーキング、エアロビクス。激しい負荷を要求されないかわりに、長時間行う運動ですね。
■ダイエットは有酸素運動のほうが優れている?
一般的に、ダイエットには有酸素運動の方が優れていると言われています。
なぜなら、運動の際に脂肪をエネルギー源に利用できるから。また、運動の強度が低いため、誰でも無理なく持続できること。生活習慣病の予防や改善にも有効ですね。特定の筋肉や関節に大きな負荷がかからないので、ケガのリスクが少ないのも特長です。
どんな運動でも負荷のかけかたによって無酸素運動と有酸素運動を切り換えることができます。重いダンベルを渾身の力で振り上げる時は無酸素運動ですが、軽いダンベルを動かし続けるだけなら有酸素運動になります。筋肉が酸素不足にならないよう、強度を調整するのが有酸素運動のコツです。
■有酸素運動を効果的に行うための運動強度
ちなみに短距離走など運動強度が80~90%のものを「高い」、ウォーキングやジョギングのように運動強度が50~70%のものを「低い」と分類します。
運動強度は心拍数をもとに算出します。例えば安静時の心拍数70、最大心拍数150の場合、その差は80。これを「予備心拍数」と呼びます。
運動強度70%の場合、予備心拍数の70%+安静時の心拍数がめやすの数値です。
この場合、80×0.7+70=126 になりますから、ジョギングする時には心拍数126をめやすにすればよいのです。
運動強度50%をめざすなら80×0.5+70=110 なので、心拍数が110を超えないあたりに抑えておけばよいのです。
トレーニングを重ねていくと、強度が高くても有酸素的に運動することができるようになります。競技レベルのマラソンランナー、運動強度80%以上で走りますが、脂肪を燃焼する有酸素運動ができているのです。
運動強度が低すぎると脂肪を効率的に燃焼できません。体力レベルの差はありますが、おおむね運動強度60%がスタートラインになります。
ポイントは上で述べたように心拍数をチェックして、無酸素運動にならないようにすること。自宅で行う場合は、心拍数を計れるスマホアプリを活用しましょう。
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脂肪燃焼に大切なこと3つ
■1. 食事よりも筋トレよりも、有酸素運動
「脂肪燃焼に役立つ◯◯◯」といった食品、飲料のCMをよく見かけますね。脂肪を燃やしてくれるのに役立つ野菜たっぷりのスープも話題になりました。トマトに含まれるリコピン酸には脂肪分解を助ける働きがあるので、毎日メニューに加えている方もいるでしょう。お腹を引き締めるため腹筋を始めた方もいるかもしれません。
食べ物や筋トレによって得られる脂肪燃焼効果は否定できません。しかし、最も効果が高いものを挙げるとしたら、やはり有酸素運動なのです。
脂肪は消費しきれなかったカロリーがたまってできるもの。食事のカロリーを減らすことが難しければ、消費カロリーを高めるしかありません。ちなみに脂肪燃焼スープは、摂取カロリーが抑えて、消費カロリーが上回るようにしようというアイデアです。
筋トレなどの無酸素運動は、筋肉の中にたくわえられている栄養素をエネルギーにします。対して、有酸素運動はまず血液中のエネルギーを利用し、それが尽きてくると脂肪を燃焼してエネルギーにするのです。同じ運動をするなら、脂肪燃焼に直結する有酸素運動の運動の方が効率的なのです。
ただし、筋トレには基礎代謝を上げて、消費カロリーを増やすという大切な役目もありますから。決して筋トレがNGなわけではありません。
■2. 有酸素運動は心拍数を意識しながら行う
ジョギングやウォーキングといった有酸素運動は時間、距離より、心拍数を意識して行いましょう。
もっとも脂肪燃焼の効率がよいのは運動強度70%と言われています。運動強度70%での心拍数は、上でご紹介した計算式でチェックしてみてください。70%を下回るとあまり効果がなくなってしまいますし、70%以上でも強度が強すぎて無酸素運動の方へ寄ってしまいます。運動の間、こまめに心拍数を確かめてみましょう。
ジムのマシンにはたいてい心拍計がセットになっています。腕時計型の心拍計や、スマホアプリの心拍計もあるので、使いやすいものを利用してみてください。慣れてくると身体感覚でおおよその心拍数がつかめてきます。
■3. 食事のGI値に注目する
カロリーを抑えることも大切ですが、グリセミック指数(GI値)も意識するとさらに効果的でしょう。GI値とは食後の血糖値上昇を示す指標のこと。
すい臓から出るインシュリンという物質は、食事によって摂取された糖を運動エネルギーに回し、余った糖を脂肪としてたくわえようとします。インシュリンが過剰に分泌されると、それだけで脂肪が蓄積しやすくなってしまうのです。
緑黄色野菜、海藻、大豆といったGI値の低い食材は、糖をおだやかに取り込むため、インシュリンの過剰分泌を抑えるはたらきがあります。いわば、脂肪のたまりにくい食事と呼べるのです。
ダイエットに効果的な運動17選
これからダイエットに効果的な運動17選を1つずつ紹介します。
自分の好きな運動や興味のある運動から始めてみましょう。
室内でできる運動8つ
■1. 足踏みウォーキング
雨の日でも室内で心おきなくできるのが、その場で足踏みするだけのウォーキング。スマホをいじりながらでも、ついでにできるのがメリットです。もちろん人にぶつかる心配もなし。体重の重い方ほどカロリー消費量が多くなるので、健康診断で肥満と判定されてしまった方はダイエットの最初の一歩として取り組んでみてはいかがでしょう。
■2. エア縄跳び
縄を使わず、縄跳びしているつもりでリズミカルにジャンプします。自分の部屋で行えば人目につきませんし、そもそも絶対に失敗しないので恥ずかしくありませんよ。足踏みよりやや強度が上がる分、消費カロリーは多めです。
■3. スクワット
単純な動きで、下半身を中心に複数の筋肉に効かせることのできるメニューです。下半身の筋肉は筋肥大させやすく、基礎代謝アップにつなげやすいのが特徴です。ウォーキングやランニングといった有酸素運動を長時間こなせる下準備としても、スクワットによる下半身トレーニングは欠かせません。
■4. ニートゥエルボー
スクワットより、より全身運動の要素が強いメニューです。体幹や下半身強化につながります。右肘と左膝、左肘と右膝をお腹のあたりでくっつけるように動かします。空いている腕は水平に伸ばしバランスを取りましょう。立った姿勢でもあおむけでもできます。
■5. シャドーボクシング
ボクシングでは正しいフォームを身に着けたり、イメージトレーニングのために行うシャドーボクシングですが、有酸素運動としてもおすすめ。腕の動き、身体のひねり、ステップワークなど全身を使うエクササイズです。ジャブやフック、アッパーなど意識的に多彩なパンチを繰り出し、前後左右へ細かくステップも踏みましょう。
より本格的に行うなら、スポーツジムでレッスンできる「ボクササイズ」がおすすめ。
■6. ピラティス
シャドーボクシングやニートゥエルボーが「動」の有酸素運動だとしたら、ピラティスは「静」の有酸素運動。深い呼吸を続けながら、いくつかの基本ポーズをキープすることで、脂肪燃焼と体幹の強化をはかります。
ピラティスの大きな特徴は胸式呼吸。水泳やランニングの基本である腹式呼吸より浅い呼吸法になります。酸素を取り込みにくい分、長く持続させるのが胸式呼吸のコツ。子宮など臓器に与える負荷が少ないため、女性のトレーニング向きとも言われています。
■7. フラダンス
大きくステップを踏むことのないフラダンスは、自室の狭いスペースでも実践できます。教室やスポーツジムのレッスンに通うのが一般的ですが、教則DVDも多く出されているため、独学も可能です。
腰から下半身を中心に、腕の動きも加わるので適度な全身運動になるのがポイント。
フラダンスの振り付けは自然の事象がモチーフになっています。振り付けの意味を覚え、大自然を表現するつもりで踊れば、単なる有酸素運動では味わえない解放感も楽しめることでしょう。
■8. タバタ式トレーニング
近年話題を集めている「4分間で完結する」トレーニング法です。高いカロリー消費が見込まれる上、強い負荷もかけられるので、有酸素運動と筋トレを同時にこなせるのが魅力です。
20秒で全力を出し切る高強度のメニューを行って、10秒間の休憩。これを8回繰り返し、計4分間でトレーニング終了です。
初心者なら腕立て、スクワット、プランク、ダンベルを使ったデッドリフトなど、自重中心に複数の部位を同時に攻められるメニューで。
中級者以上はダンベル、バーベルを用いるメニューを中心に、ジャンピングランジなど大きな動きをともなうエクササイズも取り入れていきましょう。
屋外、ジム施設などで行う有酸素運動4つ
■9. ウォーキング、ジョギング、ランニング
有酸素運動の代名詞です。天候に左右されやすい面はありますが、通勤通学とはまったく違う目的で出かけてみると、見慣れた自宅近くの道でも意外な発見があるものです。気分に応じてコースを変えてみるのもモチベーションを維持するコツです。
■10. 自転車
自転車はウォーキングやランニングに比べ、脂肪燃焼の効率がよい有酸素運動です。近年流行の高額なロードバイクやクロスバイクを購入する必要はありません。むしろ、ママチャリこそダイエットにうってつけです。
いわゆる一般的なママチャリはギアが固定式になっており、軽めに設定されています。この軽いギアというのがポイント。強く踏み込まないですむので有酸素運動をキープできるのです。スポーツサイクルについているような重いギアでは負荷が強すぎ、無酸素運動のエリアに入ってしまいます。
サドルは立った時、両足のつま先がつく程度の高さに。サドルを高めにしておくと太ももの裏やお尻の筋肉をよく使うことになるので、ヒップアップにつながります。
■11. 水泳
水泳は消費カロリーの激しいスポーツとしてよく知られています。オリンピックのメダリストともなると1日に1万2000kcal分を食べないと身体を維持できないとか。成人男性の平均が2000kcal前後ですから、水泳のハードさがよく分かります。
もちろん私たちがそこまでトレーニングする必要はありません。泳ぎの苦手な方ならプールの中をウォーキングするだけでも息がはずんでよい汗をかくことができますよ。水着になることで自分のボディラインを客観視できるというメリットもあります。
個人の泳力や距離によっても異なってきますが、消費カロリーが最も多い種目はバタフライ、次いでクロールです。得意な方はぜひチャレンジしてみてください。
■12. エアロビクス
全身を動かせる有酸素運動で、音楽にノリながらできるのでストレス発散にもうってつけです。スポーツジムでは初心者から上級者までレベルに合わせたレッスンが受けられます。また、自宅でできるDVDも数多く発売されています。
部分痩せに役立つ有酸素運動5つ
■13. エアロバイク
ダイエットにおいて狙った部位の皮下脂肪だけを落とすのは不可能ですが、おおまかな部位を引き締めていくのは十分に可能です。エアロバイクや自転車は下半身を集中して鍛え、皮下脂肪を筋肉に作り替えていくので、美脚やヒップアップを目指す方におすすめ。ペダルの強度を上げ過ぎず、時速20km程度をめやすにしましょう。
■14. エア自転車
マシンを使わず自宅でできるメニューです。
あおむけになり頭を上げた姿勢で、自転車をこぐように足を回転させましょう。下腹に力を込めたまま行うのがコツです。
■15. ドローイン
腹筋やインナーマッスルを刺激する、呼吸を中心とした軽めのメニューです。一度お腹を引っ込ませて腹筋を固めてから呼吸する方法、お腹の動きを意識しながらゆっくり呼吸する方法などいくつかの方法があります。慣れてくると歩きながらでもできますよ。
■16. 腕振り
腕立てやダンベルほどではありませんが、二の腕の筋肉を鍛えるための方法です。片足を引いて、肘を90度に曲げ、ランニングしているつもりで腕を思い切りよく振りましょう。
■17. フラフープ
トレーニング器具の中では抜群に安価で、遊び感覚で続けられるのが特徴です。ウエストを中心によく動かすことにより、便秘解消も期待できます。
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ダイエット運動におすすめの時間帯
ダイエット運動=有酸素運動は、あらゆる時間帯におすすめできます。時間ごとにおすすめできるポイントが変わってくるのがポイントです。
脂肪燃焼効率が最もよいのは朝。心拍数と脂肪燃焼効率を上げる交感神経のはたらきが活発になってくる時間帯だからです。この時間帯は代謝量が少ないので、少し身体を動かしただけでエネルギーを消費しやすくなります。
ただし、起き抜けは血糖値が低いので、食事抜きでいきなり運動をはじめると低血糖を起こしてダウンしてしまうことも。プロテインバーやバナナなどすみやかに分解されるものを軽く食べてからスタートしましょう。まだ身体が固くなっているので、運動前には念入りにストレッチを。時間がなければ少し熱めのシャワーを浴びて、身体を温めてください。
夕方は代謝が活発になってくる時間帯。このタイミングで有酸素運動を行えば、より消費カロリーが増えて、脂肪の分解が進みます。朝一番と違って身体もほぐれ、すっかり動ける状態になっているので、運動に取り組みやすいのも特長です。
とは言っても、仕事や勉強で忙しい私たちが朝や夕方に30分程度のウォーキングタイムを作るのはなかなか難しいですよね。帰宅して夜から運動を始めるという方は多いのではないでしょうか。
朝や夕方に比べ、脂肪燃焼の効率という点ではやや劣りますが、夜にもおすすめポイントがあります。それは1日のストレスを、汗を流すことで発散できること。息を弾ませて歩いているうちにイヤなことも吹き飛んでしまうでしょう。
ただし、夜は身体をやすめリラックスに導く副交感神経の働きが活発になってくる時間帯。眠る直前まで運動していると、眼が冴えてなかなか寝つけなくしまうのでご注意を。
ダイエットを効率的に行う秘訣3つ
■1. 食事量を見直す
大豆など良質のタンパク質を摂る、まず野菜から食べ始める、ゆっくり噛む…食材から食べ方まで、ダイエットのための食事ルールはいくつもあります。しかし、最も大切なのは食べ過ぎないこと。
良質なタンパク質の代表格である鶏のささみ、きな粉といった食材も、食べれば食べるだけカロリーになってしまうという点ではラーメンとまったく同じです。カロリーや成分を気にしてメニューを変える前に、まず今まで習慣的に食べていた量から少し減らしてみましょう。
■2. 目標を見定める
「最近太ってきたみたいだから、とりあえず痩せたい」という動機で始めたダイエットはなかなかうまくいきません。理由は目標設定があいまいだから。
体重を減らしたいなら何kg減らすか、体脂肪なら何%なのか? お尻痩せしたいのかお腹まわりなのか? さらに突き詰めれば、どんな服装が似合うようになりたいのか、どのブランドのどんな服が着たいのか? 目標をできるだけ詳細に詰めていくと、そのために何をどれだけの期間行えばいいのかという具体的な行動内容が見えてきます。
「モデルの○○さんのように引き締まったレッグラインになって、今年の夏は海外のビーチにデビューする」という前向きでポジティブな内容もいいですし、時には「陰で私の体形をバカにしている職場のアイツを見返してやる」というネガティブな理由であってもモチベーションにつながります。動機はどうあれ目標をはっきりさせるのが大切なのです。
■3. 「ながら運動」「ついで運動」を習慣にする
信号待ちしている間はかかとを少し上げておく。たったこれだけで、ふくらはぎの筋肉を刺激することができます。
デスクワークの時は机の下で、足を揃えて膝を浮かせてみてください。太ももの内側を中心に負荷がかかっているのを感じるはずです。家に帰ったら、イスの代わりにバランスボールに座ってスマホしてみましょう。インナーマッスルのトレーニングにうってつけです。
いずれも、それをしたことで消費カロリーがグンと上がるわけではありません。しかし、下半身の筋肉を刺激し、有酸素運動をこなしやすい肉体にしてくれる助けにはなります。また、生活の中で何かしら運動する習慣を脳にインプットすることもできます。
何かのついで、何かしながら身体を鍛える習慣が身につくと、トレーニングを苦痛に感じないメンタルが育っていくのです。
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まとめ
ネットでは「ダイエットに筋トレは必要か?」というテーマでさかんに議論がかわされています。結論から言えば、有酸素運動をスムーズに行い、基礎代謝を上げるためにも筋トレは必要なのです。
さらに言えばカロリーに気を配ったり、脂質を減らし良質のタンパク質を増やす食生活の改善も不可欠。テレビを見ながらでも身体を動かしたり、明確なダイエット目標を決めるといった日頃のふるまいも重要になってきます。
ダイエットとは運動(有酸素運動+筋トレ)、食生活と生活習慣の見直し、さらには自分の意識向上といったさまざまな努力の積み重ねで成り立っているのです。「○○を1日○回するだけ」といったイージーさを売り物にしたダイエット法も多くありますが、効率と成果を求めれば求めるほど多岐にわたる努力が必要となってくるのです。
大変なだけに達成した時のよろこびは格別。まずは欲張らずに、ここに書かれていることのひとつからでも始めてみてはいかがでしょうか。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。