ナットウキナーゼとは?効能効果5つと副作用!効果なし!?

ナットウキナーゼとは?効能効果5つと副作用!効果なし!?

納豆から抽出される「ナットウキナーゼ」。健康に良いと注目され、サプリメントなどナットウキナーゼを含んだ商品がたくさん出てきました。今回は、ナットウキナーゼの効果効能と副作用について説明します。


※薬剤師資格を持つライターが書いています

日本の伝統食でもある納豆。昔は保存食や軍用食として、今は健康食として親しまれている食品のひとつです。

日本で納豆が生まれたのは諸説ありますが、広く庶民に普及したのは江戸時代と言われています。納豆は少し前までその特有の臭いなどで敬遠されたり、関東での独自の食べ物という印象がありましたが、最近では好き嫌いこそまだありますが、以前より嫌う人も少なくなり日本中で広く食べられている食品になっています。その理由として、納豆にはその中に含まれるいろいろな健康成分の存在があることがわかってきたのがあります。

その中で最も注目されているのがナットウキナーゼという成分でいろいろな効果が言われていますが、一体、私達の体にどのような影響があるのかを調べて見ました。

ナットウキナーゼとは

ナットウキナーゼとは『日本古来の健康食品である納豆から抽出、生成されたタンパク質分解酵素の一種である」とされています。納豆は煮た大豆をわらで包んで1日放置すると、わらに付着していた納豆菌が大豆に移行し、発酵させることによってできあがります。その発酵過程で作られるのがナットウキナーゼです。

大豆製品にはいろいろな酵素を含んでいますが、ナットウキナーゼを産み出すのは納豆だけです。その特徴でもある表面のネバネバした部分にナットウキナーゼは存在します。

ナットウキナーゼの効果効能5つ

ナットウキナーゼの一番の特徴は『血栓の主要成分であるフィブリンを溶かす』という働きがあるとされています。また、少し専門的にはなりますが血栓を溶解する酵素、プラスミンを作り出す作用、血栓の溶解を阻害するPAI-1という物質を分解する作用、ウロキナーゼという酵素の血栓溶解活性も増大させるなどさまざまな角度から血栓を溶解する働きがあると言われています。

その他にも血液をさらさらにする効果や血圧降下作用、整腸作用、免疫向上作用などもあるとされています。

1. 血栓を溶解する作用

血栓の主要な成分はフィブリンという物質です。これは血液が固まる工程で必要なタンパク質の一種で、けがをして出血した際に傷口をふさいで出血を止めるという、とても大切な役割を担っています。

しかしこの血栓が何らかの原因により血管内で作られてしまうと、血管が細くなりやがて詰まってしまうことにより血流障害が生じてしまいます。血流障害が起こると体の細胞に栄養や酸素が行き渡らなくなってしまい、細胞が壊死をおこしてしまいます。それが心臓の血管にできると心筋梗塞、脳にできると脳梗塞という重大疾患を引き起こしてしまいます。

重要な役割を持ちながらも、その役割が発揮するケース、場所によっては命に関わる可能性がある血栓。その主要成分のフィブリンを溶解させる働きを持つのがナットウキナーゼです。

2. 血栓を溶解する酵素を活性化させる

ナットウキナーゼはそれ自身が血栓溶解に作用する以外にも血栓を溶解させる働きを持つ酵素のウロキナーゼやプラスミンの働きを助けるという作用も確認されています。

血管内で血栓ができる最大の原因は血液が流れにくい状態になってしまうことにあります。流れにくい状態とはわかりやすい表現で言うと『血液がドロドロしている』という状態のことです。

私たちの体は上手くできており、血管内でスムーズに血液が流れている場合は血栓を作りません。しかし、その流れがいつもと違った流れ方、例えば怪我をして違う方向に血液が流れたり、血管内にこぶのような異物ができて血液の流れ方が変わったりすると血栓を作る作用が働きだします。血液がドロドロになってしまうと通常の血流が変わってしまい、そこから少しずつ血管内に血栓ができてしまいます。

ナットウキナーゼはウロキナーゼやプラスミンなどの血栓溶解酵素を活性化させることにより、ドロドロの血液になるのを予防すると言われています。

3. 血圧を下げる作用

血液の流れが悪くなると、ポンプの役割をしている心臓に負担をかけてしまいます。ドロドロになってしまった血液で血流を確保するためには強い力で血液を押し出す必要があるためです。その結果、血圧が上がってしまうのです。

さらに血管内壁に脂が溜まる(高脂血症)とさらに流れにくい状態に加えて、血管の弾力性も失われるためさらに強い力が必要です。血液をサラサラの状態に保つことで血流が確保できるので、強い力も必要なくなります。

このことから、ナットウキナーゼは血液をサラサラにすることにより血圧の上昇を抑えてくれるという働きがあるとされています。また、脂が溜まる原因もドロドロの血液が原因ですのでこれも予防が可能です。

4. 整腸作用

納豆を毎日食べていると、腸内の悪玉菌を減らして善玉菌を増やすと言われています。最近では腸内環境を維持することが健康維持や美容に効果的であるということがよく言われています。

腸内には数百種類、何百兆個もの細菌が存在しています。子供、特に乳幼児ではその90%以上が善玉菌ですが、年齢を重ねるにつれて悪玉菌が増えてきます。

善玉菌を増やし、腸内環境を良好にすることにより、老廃物の排泄促進(便秘改善など)や有害菌を減らし様々な病気へのリスクの軽減や、若さを保つことができるとされています。

5. 免疫向上作用

ナットウキナーゼにはビタミンB群を増やす働きがあるとされています。このビタミンB群は抗酸化作用があり、細胞の傷を予防したり修復したりします。腸内細菌を増やす働きも併せ持つので有害菌の繁殖を抑えて病気のリスクを減らし、細胞の修復作用もある。最近では発がん性物質を産生する有害菌の繁殖も抑える可能性があるという研究もあるという結果も出てきています。

ナットウキナーゼには血栓を溶解する働きの他にも健康維持に大切な効果があるのがわかっていただけたと思います。血液、血管は私たちの体にとって必要な栄養や酸素が送られてくる水路のようなものです。それを良好な状態に保ってくれるだけではなく、腸内の環境も改善させると様々な効果が期待できるのであれば積極的に食事に取り入れていきたいものです。

ナットウキナーゼの副作用

納豆やナットウキナーゼをたくさん食べたところで、健康に影響を及ぼすことはありません。またそのような報告もありません。それは納豆にはナットウキナーゼと一緒にビタミンKというものが含まれており、このビタミンは血液を凝固させる働きがあり、一緒に含まれていることで納豆をたくさん食べても出血するなどの副作用を心配する必要がないのです。

しかし注意してほしい場合もあります。それは何らかの疾患で薬物治療をしていてワーファリンを服用している場合は納豆を食べることによってその薬の効果が弱くなります。薬物治療に影響が出てしまうと治療の効果が薄れてしまうことがあるので症状の悪化や副作用の発現の可能性が高くなります。

どうしても摂りたい!場合はどうすればいい?

『そんな良い成分ならどうしても摂っておきたい』という場合はサプリメントという手段もあります。最近ではナットウキナーゼのサプリメントが多く販売されています。

ビタミンKを除いて精製されたサプリメントもあるので効率的にナットウキナーゼを摂ることが可能ですが、その場合であっても薬物治療に全く影響がないという証明はありませんので、必ず事前に主治医や担当薬剤師に相談するようにしましょう。

1日に必要な摂取量はどれくらい?効果的な摂り方は?

ナットウキナーゼを健康維持のために摂る場合、1日に必要な量はどれくらいなのでしょうか?

ナットウキナーゼ協会によると、効果が期待できる摂取量は2000FUです。FUいうのはナットウキナーゼの単位で『フィブリン分解ユニット』の略です。ここで紹介した効果を期待するには2000FUのナットウキナーゼが必要ということです。

これは納豆2パック程度を毎日食べる必要があるということになります。1パック50gとして平均1500FUのナットウキナーゼが含まれていますが、納豆の種類によっては1500FU以下の場合もあります。これを有効的に摂るには食べるタイミングも考える必要があります。納豆といえば朝食のイメージがありますが、血栓は深夜から早朝にかけての時間帯で発生しやすいため、夕食で摂るのが効果的とされています。

サプリメントと納豆

ナットウキナーゼは胃酸に弱く、例え2パック毎日納豆を食べたとしても必要なナットウキナーゼが腸に届くかといえば、少し疑問が残ります。また熱にも弱く、火を通してしまうとナットウキナーゼの効果がなくなってしまいます。

これらを考慮すると一番手軽で効率的なのはサプリメントです。熱や酸の影響を考慮し、濃縮させて作られています。食事でなかなか2パック食べるのが難しいのであればサプリメントを有効活用してもよいのではないでしょうか。

まとめ

血栓を予防し、血液をサラサラの状態に保つことは様々な生活習慣病の予防にもつながってきます。しかしここで注意してほしいことは、ナットウキナーゼは医薬品ではなく、あくまでも健康食品に含まれる健康成分のひとつです。健康成分に過度な効果を期待して急にたくさん食べてみても効果を感じることはできません。

効果をしっかり出すためには毎日の食生活を見直し、将来罹るかもしれない体の不調や疾患を予防するという長い気持ちで考える必要があります。日本の昔々から庶民の食卓に登り、日本人の胃袋を満たし、健康を維持してきた納豆。臭いやあのネバネバ感が好きになれないという日本人もいますが、いろいろなサイトで多くのレシピが紹介されています。

最近の研究で健康に対する有効性が解明され世界でも注目されている納豆。それにしか存在しないナットウキナーゼ。日本の誇れるものでもあるので少し嫌いを忘れて自分の健康のために取り入れていくようにしていきたいものです。

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この記事のライター

薬剤師をしています。ヘルスケア分野の情報をわかりやすく説明します。

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