「ラクトフェリン」は、育児用ミルク、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サプリメントなどに広く応用されており、ラクトフェリンが配合された商品を利用されたことがある方もおられると思います。
ラクトフェリンは、多くの哺乳動物の乳に多く含まれているタンパク質の1種です。人間の母乳に含まれているラクトフェリンは、生まれたばかりの赤ちゃんをさまざまな感染症から守っていると考えられています。このように、人間とラクトフェリンの付き合いは、生まれたときから始まっていると言っても過言ではありません。
そこで、今回は、ラクトフェリンの基本的な情報とその効果、副作用などについてご説明したいと思います。
ラクトフェリンとは?~基本情報~
まず、ラクトフェリンの基本的な情報をご紹介したいと思います。
■ラクトフェリンとはどんなもの?
「ラクトフェリン」とは、人間の母乳をはじめ、多くの哺乳動物の乳に含まれているタンパク質の1種です。1960年には、母乳と牛乳からラクトフェリンを分離するのに成功しています。
ラクトフェリンは、母乳以外にも、涙、唾液、鼻汁(鼻水)、胆汁(たんじゅう)、羊水、血液などにも含まれています。このように、ラクトフェリンは、外部と接触する部分や病原菌が侵入するような場所に存在することから、あらゆる年代の人の体を守る役割を果たしていることが分かります。
ラクトフェリンは、母乳、特に初乳(出産後数日の間に分泌される母乳)中に多く含まれ、生まれたばかりの乳児をさまざまな感染症から守っているものと考えられています。
■母乳には、どれくらいの量のラクトフェリンが入っているの?
先の項では、母乳中にラクトフェリンが多く含まれるとご紹介しました。では、母乳には、どれくらいの量のラクトフェリンが入っているのでしょうか?
母乳中のラクトフェリンの含有量は、泌乳期(出産日を基準とした母乳が分泌される時期)によって変動します。初乳には、1 ml当たり5~10 mgのラクトフェリンが含まれています。常乳(出産後3週間以降の母乳)になると、ラクトフェリン濃度はその3分の1程度まで減少します。
一方、牛乳にもラクトフェリンが含まれていますが、その濃度は人間の母乳の10分の1程度しかありません。ラクトフェリンは、哺乳動物に特有のタンパク質です。哺乳動物の中で最も進化したと考えられるヒト(人間)では、ラクトフェリンの分泌量が多くなっています。
■ラクトフェリンの歴史
ラクトフェリンは、1939年にデンマークの科学者によって、牛乳から発見されました。その後、1961年にフランスの学者によって命名されました。「ラクトフェリン」の「ラクト(lacto)」は乳(ミルク)、「フェリン(ferrin)」は鉄との結合に由来するものといわれています。鉄と結合しやすい特性から赤みがかった色をしているため、「牛乳の赤いタンパク質」とも呼ばれていました。
ラクトフェリンは熱に弱いため、高温で殺菌される市販の牛乳、チーズなどの乳製品にはほとんど含まれておらず、大量生産が困難とされていました。しかし、1980年代になり、ラクトフェリンの大量生産が可能となり、これをきっかけに、ラクトフェリンの研究が飛躍的に進み、さまざまな生理機能が明らかにされています。
■盛んなラクトフェリン研究
ラクトフェリンに関心のある研究者の情報交換の場として、「ラクトフェリン国際会議(International Conference on Lactoferrin - Structure, Function & Applications -)」が2年に1回、北米・欧州・アジアの持ち回りで開催されています。日本でも、1999年(平成11年)に札幌、そして、2015年(平成27年)には名古屋で開催されました。この会議では、構造、機能や応用といった幅広いさまざまな分野・領域の研究者が一堂に会して、研究成果を発表したり、討論したりしています。
日本でも、ラクトフェリンに関する研究は非常に活発に行われています。2004年(平成16年)から、隔年ではありますが、国際会議の間を埋める形で、国内のラクトフェリン研究者の情報交換の場として「ラクトフェリンフォーラム」が開催されるようになりました(現在は、「日本ラクトフェリン学会」として活動を継続)。
このような研究の高まりは、ラクトフェリンに対する期待のあらわれと言うことができます。
■ラクトフェリンの性質
ラクトフェリンは、先の項でご説明しましたように、熱に弱く、さらに、胃酸などの酸や酵素に分解されやすい性質を有しています。
また、ラクトフェリンは、鉄と結合する性質があり、細菌から鉄(鉄イオン)を奪うことによって、抗菌作用を発揮します。さらに、このような性質から、食品中の鉄分を体内にうまく吸収させる働きもあります。これによって、貧血の予防や改善にも効果的です(詳しくは、「2. ラクトフェリンの7つの効果」の項をご覧ください。)。
■ラクトフェリンを含む食品
ラクトフェリンは、殺菌前の牛乳(生乳)に含まれていますが、熱に弱く、殺菌工程で破壊されてしまうため、市販されている牛乳や乳製品にはほとんど残存していません。
ラクトフェリンを摂取できる一般的な食品は、ゴーダチーズ、チェダーチーズなどの加熱殺菌されていないナチュラルチーズであり、100g当たり0.3g程度の微量のラクトフェリンが含まれています。なお、商品表示に「プロセスチーズ」と記載されているチーズは、加熱処理されているため、ラクトフェリンは含まれていません。
■市販の食品に配合されているラクトフェリンの生産方法
市販の機能性食品やサプリメントに配合されているラクトフェリンは、牛乳からチーズを製造するときに分離される液体(ホエイ)や、殺菌前の牛乳から抽出されています。工業的規模では、分離精製技術および膜処理技術を利用し、高純度で生産されています。
分離精製されるラクトフェリンは、淡い赤桃色の色調で、無味無臭であり、水に対する溶解性は高く、溶解度は40%です。このラクトフェリン水溶液は、酸性条件下で安定であり、pH4では90~100℃の温度で5分間の処理でも変性しないことが明らかになりました。この特性を利用することによって、活性を保ったラクトフェリンを含む食品の製造が可能になりました。
現在、ラクトフェリンは、育児用ミルク、ヨーグルト、乳酸菌飲料、サプリメントなどに広く応用されています。
■ラクトフェリンは、体内にどのように取り込まれるの?
口から摂取されたラクトフェリンは、体内の消化管内で消化され、アミノ酸や小さなペプチドに分解されます。また、一部のラクトフェリンは消化されずに、そのまま腸に達します。なお、ラクトフェリンの一部が胃で消化されるときには、ラクトフェリンよりも強力な抗菌作用を有する「ラクトフェリシン®」という物質が生成されます。このラクトフェリシン®については、後で詳しくご説明します。
ラクトフェリンは血液中には吸収されませんが、腸管免疫系に作用して、感染症の改善や炎症の抑制、ガンの予防に働いていると考えられています。
■ラクトフェリンを効率的に摂取するには?
私たちの体を守り、健康を維持する働きを有するラクトフェリン。そのような有用な成分を、できれば、効率的に摂りたいものです。ラクトフェリンは、先にご説明しましたように、熱に弱い性質を有し、市販されている牛乳や乳製品では取りにくいですので、市販のラクトフェリン入りヨーグルトなどの機能性食品や、サプリメントで取るのがよいでしょう。
そして、時々取るのではなく、習慣にして、毎日継続的に取ることが大切です。
なお、ラクトフェリンは、ビフィズス菌を増やす効果もあり、ヨーグルトなどによりビフィズス菌と同時に摂取するとさらに効果的です。
先の項でご説明しましたとおり、市販の食品に配合されているラクトフェリンは、長い食経験がある食品の原料から作られていますので、安心して取ることができます。
■涙中のラクトフェリンの濃度からドライアイを簡単に判定
涙には、高濃度のラクトフェリンが含まれています。
ドライアイの患者は、ラクトフェリンの濃度が低下するなど、涙液の機能が弱まっていることが知られています。また、ラクトフェリンは、ドライアイ以外の眼病との関連性も指摘されています。
このことを利用して、ラクトフェリンの濃度を測定しドライアイを簡単に判定できる検査用試験紙が開発されました。
具体的には、家庭用インクジェットプリンターを使い、涙液が染み込む部分にラクトフェリンと反応する試薬を印刷します。この印刷された試験紙に紫外線を当てると反応箇所が緑色の蛍光を発し、光の線の長さと目盛りとを照合してラクトフェリンの濃度を読み取るというものです。この濃度により、ドライアイなどの眼病の状態が簡単に分かります。
測定にかかる時間は、たったの10分。そして、コストは、従来の測定法の200分の1とのことです。
■ラクトフェリンの分解物「ラクトフェリシン®」にも注目
タンパク質は、通常、胃や腸で消化されると、小さなペプチドに分解され、本来の機能がなくなってしまいます。ところが、日本の食品メーカーの研究チームは、ラクトフェリンが胃の消化酵素ペプシンにより分解されてペプチドになると、抗菌活性が数十倍、抗酸化力が100倍も強くなることを発見しました。その後、この活性ペプチドは、「ラクトフェリシン®」と命名されました。
また、ラクトフェリシン®は、抗菌活性や抗酸化活性のほかに、抗炎症活性、免疫調節活性、ガン細胞傷害活性など、多くの生理機能があることが分かっています。
ラクトフェリンの7つの効果効能
次に、ラクトフェリンの代表的な効果についてご説明します。
■1. 免疫力を高める効果
ラクトフェリンには、体を守る免疫細胞の1つであるNK(ナチュラルキラー)細胞の働きを高める効果があります。NK細胞は、ガン細胞やウイルスに感染した細胞を発見し、攻撃して破壊することで体を守る働きをしています。このNK細胞の活性が低いと、病気になりやすいことが分かっています。
また、健常な男性(8名)に、ラクトフェリンを1日100 mgを7日間、続いて、200 mgを7日間摂取させたところ、免疫細胞であるT細胞が活性化され、血中抗酸化力も向上することが分かりました。これらの結果から、ラクトフェリンは、免疫力と抗酸化力を高める働きがあることが示唆されました。
■2. 抗菌・抗ウイルス効果
ラクトフェリンは、ピロリ菌、歯周病菌などの有害な細菌、ウイルスに対して、強い抗菌作用を発揮することが明らかとなっています。
<ピロリ菌に対して>
ピロリ菌とは、人間の胃の中にすみついて、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃ガンの発症に大きく関与しているとされる細菌です。日本人では50歳以上の約7割、国民全体の約5割がピロリ菌に感染しているといわれています。
これまでの研究では、ピロリ菌感染患者(150名)を対象として、治療薬とともにラクトフェリンを1日400 mg摂取させたところ、ピロリ菌の除菌率が向上することが報告されています。
このことから、ラクトフェリンはピロリ菌の数を減少させ、胃潰瘍や胃ガンに対しても効果的であると考えられています。
<歯周病菌に対して>
唾液中にはラクトフェリンが0.01 mg/ml程度含まれており、歯周病菌を抑制するなどして、口腔内の衛生環境の保持に重要な役割を果たしていると考えられています。
歯周病は、虫歯と並んで歯の二大疾患であり、成人の約80%が罹患しているといわれています。歯周病になると、歯と歯肉との間にいわゆる「歯周ポケット」が作られ、そこに歯周病菌が激増して歯肉に炎症を起こし、歯を支える歯槽骨を破壊します。
試験管内での試験では、歯周病菌のバイオフィルム(細菌が固体の表面に付着し増殖して作られる、粘性のあるフィルム)にラクトフェリン(0.008 mg/ml)を加えたところ、バイオフィルムの形成を抑制し除去する作用があることが分かりました。
このことから、ラクトフェリンは、唾液中に含まれているものだけでなく、より高い濃度で外部から口腔内に供給することにより、歯周病菌に対する抑制効果が高くなると考えられました。
<ノロウイルスに対して>
ノロウイルスは、手指、食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、嘔吐、下痢、腹痛などを引き起こします(ノロウイルスによる感染性胃腸炎の発症)。
5歳未満の保育園児に、ラクトフェリン400 mgを含む食品を16週間摂取させたところ、ノロウイルス感染性胃腸炎の発症率は、摂取していないグループよりも有意に少ないことが報告されています。
また、大手食品会社の調査によれば、ラクトフェリンを100 mg含む食品を、ほぼ毎日または週に4~5回摂取している人は、週1回程度摂取している人と比べ、医師の問診で「ノロウイルス感染性胃腸炎の疑い」、または検査で「ノロウイルス感染性胃腸炎確定」と診断された人の割合が有意に低いことが分かりました。
ラクトフェリンを含む食品を継続的に摂取することで、ノロウイルス感染性胃腸炎の発症を抑制できることが示唆されました。
■3. 腸内環境を整える効果
ラクトフェリンには、腸内のビフィズス菌などの善玉菌を増やす働きがあります。ラクトフェリンは、善玉菌の餌となることによって、腸内の善玉菌の数を増やすことを助けてくれます。
ビフィズス菌をはじめとする善玉菌は、腸内の健康を保つのに必要な菌です。乳児では、腸内の善玉菌が90%を占めていますが、加齢にともなってその数は減少し、代わりに悪玉菌が増えてきます。この悪玉菌が増えると、腸内環境が悪化し、便秘、下痢などが起こりやすくなります。
ラクトフェリンを1 mg/mlの濃度で添加した調整乳を低出生体重児に与えたところ、腸内にビフィズス菌の少ない乳児ではビフィズス菌が増え、最初から腸内でビフィズス菌が優位な状態にある乳児では、腸内菌叢(ちょうないきんそう)が維持されることが分かりました。
ラクトフェリンは、腸内の善玉菌を増やし、腸内の環境を整えます。
■4. 貧血を予防・改善する効果
ラクトフェリンには、鉄の吸収を調節する作用があります。この作用により、貧血を予防・改善する働きがあります。
ほとんどの貧血の症状は、鉄分の不足によって起こります。ラクトフェリンは、鉄と結合する性質を有し、ラクトフェリンと結合した鉄は、鉄単体での摂取よりも、体内に吸収されやすいことが動物実験で明らかにされています。この場合、鉄の投与量が多いと、ラクトフェリン結合鉄と鉄単体の吸収率に差はなくなりますが、鉄の過剰摂取はさまざまな副作用(下痢、嘔吐、胃炎など)を引き起こす可能性があることから、ラクトフェリンには、微量の鉄で貧血を予防・改善する効果が期待できます。
■5. 内臓脂肪を減少させる効果
内臓脂肪は、内臓の周囲に付いた脂肪をいい、お腹周りの肉が付いてくることで肥満が目に見えやすい症状としてあらわれます。そして、内臓脂肪が過剰に蓄積されると、内臓脂肪の脂肪細胞から、血糖値や血圧を上昇させたり、動脈硬化を促進させたりする物質がたくさん分泌されます。このため、内臓脂肪の蓄積は、生活習慣病のリスクを高めるのです。
腹部肥満傾向の健康な成人男女26名(平均44.8歳)を対象として、1日300 mgのラクトフェリンを8週間摂取させたところ、内臓脂肪の量とBMI値が減ったことが報告されています。
この結果より、ラクトフェリンは、内臓脂肪蓄積の予防に役立つと考えられています。
なお、ラクトフェリンは胃や腸で分解されることが知られています。内臓脂肪を減少させるには、胃で分解されず腸まで届く、特殊な加工がされたラクトフェリンを摂取する必要があります。最近では、胃酸や消化酵素からラクトフェリンを保護する特殊なコーティングが開発されています。
■6. 大腸ガンを予防する効果
大腸ガンの患者数は、食事の欧米化とともに、日本でも急速に増加しています。
大腸ガンの多くは、大腸ポリープが成長したものです。大腸ポリープが大きくなると、大腸ガンに進展する可能性が高くなります。
大腸に直径5 mm以下のポリープがある40~75歳の患者(108名)を対象として、ラクトフェリン(3 g/日、1.5 g/日の2パターン)を含んだタブレット、またはラクトフェリンを含まないタブレットを1年間摂取させたところ、ラクトフェリンを含まないグループではポリープが成長していたのに対し、ラクトフェリンを1日3g摂取したグループでは、ポリープの直径が摂取前より縮小していることが分かりました。
このことから、ラクトフェリンは、大腸ガンを予防することが期待されます。
■7. 美肌効果
皮膚は、表皮とその下にある真皮から構成され、真皮中にはコラーゲンやエラスチンといった細胞外マトリックス成分と呼ばれる成分が含まれています。この細胞外マトリックス成分は、肌のハリや弾力を保つのに重要であり、老化や紫外線などによってダメージを受けると、シワやたるみが生じます。
肌にラクトフェリン溶液を塗布すると、ラクトフェリンの影響によって、肌のハリや弾力が改善され、シワも改善されることが分かりました。
40~50代の女性11名に、ラクトフェリンを0.5%配合したジェル状の化粧品を1か月間、朝晩使用してもらい、使用前後の顔の肌状態の比較測定を行ったところ、肌の水分量とバリア機能が向上し、目尻のシワの深さが平均約40%小さくなり、シワが改善されました。
ラクトフェリンの摂取目安量について
現在、ラクトフェリンの摂取目安量を明確に定めたデータはありませんが、公益財団法人 日本健康・栄養食品協会では、1日0.04~3.0gという基準が設定されています。
また、ラクトフェリンの最小有効量を1日当たり150 mgと推定している、動物実験による報告もあります。
市販されているラクトフェリン入りヨーグルト、機能性ミルクなどでは、商品1個当たり100~200 mgのラクトフェリンが摂取可能です。このような商品を利用する場合は、少なくとも1日1個食べるとよいと考えられます。
また、ラクトフェリンを配合したサプリメントも市販されています。このような商品には、約1日当たりの摂取目安量(3粒)に、しぼりたての牛乳(生乳)1リットル分に相当する、300 mgのラクトフェリンが配合されているものがあります。
ラクトフェリンのおすすめの飲み方・摂取方法
動物実験では、ラクトフェリンの効果が持続する時間を24時間以内とする結果が出ています。
また、ラクトフェリンは、時々摂取したり、一度に多量に摂取したりするよりも、毎日継続して摂取することが望ましいとされています。
このようなことから、ラクトフェリンを含む食品を1日当たり少なくとも1個、習慣にして、毎日継続して食べるのがよいと考えられます。
ラクトフェリンの副作用と危険性
■通常の食品に含まれる量であれば、おそらく安全
ラクトフェリンは、牛乳や乳製品に含まれる天然由来の成分として、長年にわたる食経験があります。
また、食品、医薬品などを審査する世界的な専門機関による数多くの研究によって、安全性が確認されています。
さらに、ラクトフェリンは、FDA(アメリカ食品医薬品局)によって、GRAS(一般に安全と認められる食品)に認定され、安全な食品素材であることが認められています。
これらのことから、通常の食品に含まれる量であれば、経口摂取でおそらく安全であるとされています。
■副作用と健康被害について
副作用として、下痢を起こすことがあると報告されています。また、過剰量(7.2 g/日)の摂取による、皮疹、食欲不振、疲労、悪寒、便秘が報告されています。
このため、一度に多量に摂取することは避けた方がよさそうです。また、妊娠中・授乳中の過剰摂取についても、安全性に関して信頼できる情報が十分でないため、避ける必要があります。
また、食品素材として利用されているラクトフェリンは、牛乳由来のタンパク質ですので、牛乳アレルギーの人は摂取を控える必要があります。
さらに、小児についても、サプリメントなど濃縮物として摂取する場合の安全性に関して、信頼できる十分な情報が得られていません。このため、小児が摂取する場合にも、注意が必要と考えられます。
まとめ
いかがでしたか? 今回は、「ラクトフェリン」についてご紹介してきました。
ラクトフェリンは、半世紀以上にわたる研究において、感染症から体を守るという本来の機能のほかに、免疫力の向上、腸内環境の改善、貧血の予防・改善など、さまざまな生理機能が見いだされています。このため、ラクトフェリンは、「多機能タンパク質」とも呼ばれています。
ラクトフェリンは、母乳中に多く含まれていることから、赤ちゃんとのかかわりが注目されがちですが、大人や高齢者に対する働きも無視することはできません。また、最近では、美肌効果なども明らかになっており、美容面での活用も注目されています。