ダイエットで大切なのは、食事の量やカロリーに気を配ること。さらにウォーキングやジョギングなどの有酸素運送で脂肪を燃焼させるとより効果的ですね。
もうひとつ実践してみてほしいのが筋トレです。ダイエットと筋トレは無関係に見えますが、実は基礎代謝を高めて痩せやすい体質を作るために有効なのです。
筋トレでぜひ鍛えて欲しいのが腹筋。引き締まったお腹まわりを手に入れた時、これまでのダイエットでは得られなかった達成感があるはずです。
腹筋ダイエットとは?
現代は様々なダイエット法が編み出され、トレーニング法やダイエット食も進化しています。ですが、ひと昔前までは「痩せたければ、とにかく腹筋しろ!」と言われたものです。それほど腹筋運動はダイエットの定番メニューだったのです。
実際には腹筋に限らず、スクワットやウォーキング、ランニングなどダイエットに役立つメニューはたくさんあります。その中で腹筋が最もポピュラーだったのは、ウエストが引き締まっていく感覚を実感できるから。
腹筋運動を重ねることによって腹直筋など腹部の筋肉が発達し、引き締まります。ダイエットを考えている方はごく自然に食生活のバランスも意識しますから、お腹まわりの脂肪も徐々に落ちていきます。すると、「腹筋のウエストがすっきりした!」と認識できるのです。
実際には腹筋も含めた全身のトレーニングや、食生活改善も含めたトータルな取り組みでダイエットに成功したわけですが、ダイエット=とにかく腹筋という考え方は最初の一歩を踏み出すにはとても有効なのです。
この記事では腹筋を中心としたトレーニングで、いかにダイエットを実現するかをご紹介していきましょう。
腹筋の構造
「腹筋」は全身の筋肉の中で最も名前が知られている部位ではないしょうか。でも、その「腹筋」とはいくつかの筋肉を総称したものだとご存知ですか?
実は、「腹直筋」「腹斜筋」「腹横筋」の3つをまとめて「腹筋」と呼んでいるのです。
腹直筋は3つの中で最も大きく、筋肉量が多い部位。また最も皮膚に近い位置にあります。いわゆる「シックスパック」と呼ばれる割れた腹筋は、この腹直筋が発達した状態です。身体を前屈させたり、バランスを取るために役立っています。
腹斜筋は、腹直筋の両側に位置する脇腹の筋肉です。身体を左右に傾けたり、ひねったりする動きに用いられています。
腹横筋は、腹直筋のさらに内側についている筋肉。身体の深部にある、いわゆるインナーマッスルです。直接触ったり、動いている様子を見ることはできませんが、実は上半身と下半身を連動させて姿勢を保つために、とても重要な筋肉。つま先立ちといった不安定な姿勢では、身体の内側でこの腹横筋がフル稼働しています。
引き締まった腹筋を短期間で手に入れる秘訣
筋トレといえば、ボディビルダーのように大きく盛り上がった筋肉を想像するかもしれません。腹筋は、太ももやお尻など下半身の筋肉に比べ、さほど大きくないのが特徴。ベースとなる部分が大きくないのですから、頑張ってトレーニングしてもさほど大きく発達しないのです。
では、なぜ鍛えている方の腹筋は6~8つに割れて、見事に盛り上がっているのでしょうか?
答えは筋トレと同時に脂肪を削っているから。ただ腹筋だけを鍛えても、発達には限界があります。しかし、ダイエットによって周囲の余計な皮下脂肪を削ぎ落してくことで、筋肉をくっきり浮き立たせることができるのです。
筋トレ+ダイエットで筋肉を大きくキレイに見せるテクニックは、腹筋に限った話ではありません。しかし、腹筋は両者の相乗効果が最も分かりやすい部位なのです。
引き締まった腹筋を短期間で手に入れるには、有酸素運動と、脂肪分が少なくタンパク質豊富な食生活で皮下脂肪を落としていくことが必要なのです。
順番も大切。まず腹筋のトレーニングを行ってから、有酸素運動を行いましょう。筋トレによって血液中のエネルギー源を消費させてから有酸素運動を始めると、早く脂肪の分解が進むからです。
とはいえ、へとへとになってからでは走れません。いつも筋トレを3セット行っているなら、1セットに減らして後は有酸素運動といった具合に、ペース配分に注意しましょう。
腹筋ダイエットに効果的な方法7つ
■1. ドローイン
筋トレや有酸素運動は大変そうだから、まず食事の見直しからダイエットを進めたい‐。そんなあなたにおすすめなのがドローインです。このダイエット法の目標である腹筋を意識でき、引き締めにもつながるエクササイズです。お腹を引っ込める動作を繰り返すだけですから、時間も場所も選びません。
姿勢は立っていても、あおむけ寝でもOK。お腹をぐっとへこませた状態から、ゆっくり呼吸を繰り返します。お尻にも力をいれましょう。たったこれだけの何気ないエクササイズですが、腹筋とインナーマッスルにしっかり刺激を届けることができます。
■2. ドローインからのツイスト
脇腹の腹斜筋、腹直筋の上部を刺激するエクササイズです。
ドローインでお腹をへこませた状態から、胸を左右にひねってみましょう。上半身ではなく、腰は固定して胸だけひねるのがポイントです。はずみをつけて行うと腰までひねってしまうので、ゆっくりと。
■3. フロントプランク
あおむけになって上体を起こす、いわゆる腹筋運動は、自分の筋力を超えて無理に行いすぎると腰痛の原因になりえます。そこで最初のステップとしておすすめしたいのは安全性が高く、動きの少ないフロントプランク。「うつぶせの姿勢から腹筋に力をこめてポーズを維持するだけ」という分かりやすさと、初心者なら30秒で汗が吹き出すほどの強度が人気の理由です。
まずうつぶせになり、肘から先と、つま先で体重を支えて身体を浮かせてみましょう、胸から腰、つま先まで一直線になる姿勢を維持するのがポイント。腰が上がりすぎても下がりすぎてもいけません。
この姿勢を30秒維持することからスタートします。その間、腹筋にしっかり力を入れて固めておきます。
■4. クランチ
いわゆる腹筋運動と呼ばれるものがこの「クランチ」です。正しいフォームで無理なく行えば、腰を傷める心配もなく、効果的に腹筋を鍛えることができるので、ぜひチャレンジしてみてください。
足を伸ばした姿勢で行うと腰を傷める原因になります。膝は立てて行いましょう。上半身をめいっぱい起こす必要はありません(腹筋以外の部位に負荷が分散されるため)。肩甲骨の下まで浮くくらいがめやすです。
■5. スクワット
筋トレの大定番ですね。腹筋そのものを鍛えるわけではありませんが、お尻や下半身の筋肉を効果的に鍛えることができるので、有酸素運動のベースとなる筋力作りにうってつけのメニューです。
腰を落としたところからジャンプする「ジャンピングスクワット」は、スクワットに有酸素運動のアクションを加えたもの。雨で外に出られない日などに試してみてください。
■6. ウォーキング
ダイエットを始めたばかりの方には、まずウォーキングをおすすめします。硬いアスファルトの上を走るジョギングは、繰り返し膝や腰に衝撃が加わるため、ケガのリスクも高まってしまうのです。ウォーキング用のクッション性の高いシューズで、歩くことからスタートさせるのが確実、安心な方法です。
プール内でのウォーキングはさらにおすすめです。足腰への負担が少なく、水の抵抗によって思いのほか強度が上がります。
スポーツジムのプールでは、若い方が中央のレーンで泳ぎ、お年を召した方が両端のレーンで歩く姿をよく見かけます。お年寄り向きか、などと思わず試しに端で歩いてみてください。有酸素運動としての有効性をきっと確信できるはずです。
■7. エア縄跳び
縄跳びと同じ小刻みなジャンプをリズミカルに繰り返すだけの有酸素運動です。メリットは屋内でできること、意外と強度が高いこと、そして絶対縄にひっかからないこと(笑)。イメージがつかみにくい方のため、エア縄跳び専用の、持ち手だけの縄飛びも販売されています。
腹筋ダイエットの効果的な回数の目安
数をこなすことは、必ずしもダイエットの成功を意味しません。例えば「1日腹筋100回」という目標を決めても、それだけでおっくうになってモチベーションが下がってしまいますし、何よりトレーニング効率がよくありません。
筋肉を刺激し、肥大させるために最も有効なやり方は、13~15回で自分の限界だと感じる程度。これを短いインターバルで1日2~3セット行うと効果的です。
あえて乱暴な言い方を用いれば、筋トレとは筋肉を一度破壊し、身体の再生力を利用してより発達させる方法です。筋肉の再生と発達には約72時間かかります(個人差があります)。毎日連続でトレーニングすると、筋肉の破壊と疲労が蓄積するので、むしろ逆効果になってしまうのです。
腹筋は週2回、13~15回を2~3セットがおおよそのめやすです。
筋力が上がってきて、より強度が欲しくなってきた時は腹筋ローラーといった器具を使うのもおすすめ。腹筋を中心に様々な部位を刺激してくれるので、基礎代謝がアップし、より痩せやすい体質になっていきます。
腹筋ダイエットにおすすめの器具3選
■1. バランスボール
座るだけで体幹のインナーマッスルを鍛えられる器具として有名ですね。週2日程度、プランクを中心とした腹筋の筋トレメニューでお腹が筋肉痛になるくらいまで追い込んだら、残りの日は休養がてら、バランスボールでインナーマッスルをじっくり刺激していきましょう。
テレビやPCを見る時にバランスボールに座っているだけでOKです。インナーマッスルの運動は息を切らして行うものではないので、お腹の奥がじんわりしてくる感覚があれば効いている証拠です。
日常生活の中でバランスボールを使う習慣が身についたら、今度はバランスボールを筋トレに利用してみましょう。
たとえば、バランスボールに足を乗せて行うクランチ。何気ないメニューに見えますが、試してみると足を床につけているよりずっと不安定になることが分かるはず。腹筋の訓練だけでなくバランス感覚育成にも役立ちます。こうしてベーシックなメニューにバランスボールを組み合わせることで、より複合的で効率の良いトレーニングに変えられるのです。
■2. フラフープ
ダイエットは地道な努力の積み重ねですが、どこかに楽しさがなければ長続きしません。フラフープはダイエット生活の中に遊び心を加えてくれる器具です。
子どもの頃に遊んだことがあるでしょうから、やり方はお分かりですね。腹筋を使うのはもちろん、ウエストやヒップをよく動かすことになるので、立派なエクササイズになります。「電気刺激で腹筋を鍛える器具はちょっとお値段が…」「腹筋ローラーはキツそう…」とお悩みな、お手軽派の方々におすすめです。
■3. 腹筋ローラー
「最強」にして「最凶」(?)な腹筋トレーニング器具。腹筋を中心に上腕、背筋、股関節、太ももと複合的に筋肉を総動員でいるだけでなく、負荷も抜群です。翌日にすごい筋肉痛がおそってくるところが最凶っぷりなのです。
最初は膝をついた姿勢で行い、慣れてきたら腕立て伏せのように、両手に握ったローラーとつま先だけで身体を支えてみましょう。膝つきの姿勢では下半身の方により負荷がかかっていますが、本来の姿勢で行うと腹直筋にかなりの負荷を与えることができますよ。
腹筋トレーニングの中ではかなり高強度なので、腰痛防止のため自分に見合った姿勢、回数で行ってください。
まとめ
1日の消費カロリーが摂取カロリーを上回ったり、20~30分以上の有酸素運動を継続することで、初めて脂肪は分解されます。また、腹直筋を中心とした一般的に腹筋と呼ばれる筋肉群は、あまり大きくありません。
そのため、ただ腹筋運動を行っているだけで美しいくびれや、シックスパックの割れた腹筋が手に入るわけではありません。腹筋ダイエットにはカロリー制限と有酸素運動も必須なのです。
しかし、腹筋運動だけでは無意味と言うつもりもありません。普通の腹筋運動(クランチ)を1ヵ月以上と続けてからお腹をさわってみると、いままでぜい肉でプニプニしていただけだった部分の奥に、硬い柱のような腹筋の存在を感じられるはずです。割れた腹筋のベースは、ちゃんと皮下脂肪の下にでき上がっているんですね。こうなれば後は、皮下脂肪を落とすだけです。
腹筋の筋トレ+カロリー制限+有酸素運動の組み合わせなんて大変すぎてムリ! という方はまず腹筋だけでも始めてみてください。
身体の変化に気づいて自信がついたら、後は体脂肪を落とすことに目標をスライドさせていけばよいのです。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。