キレイに割れた腹筋を目指してトレーニングしていると、どうしても自重だけでは物足りなくなってくるもの。そんな時、マシンや器具を使えば一段高いレベルのトレーニングが可能となります。
より少ない回数で限界まで追い込めるので時間の節約にもなりますし、器具を用いることで正しいフォームを身につけられるメリットもあります。
本格的なシットアップ(腹筋運動)用のベンチでは場所もコストもかかってしまいます。今回はなるべくリーズナブルで省スペースの器具を中心にセレクトしてみました。効果的に器具を活用して、メリハリのあるボディを目指してください。
腹筋トレーニングでマシンや器具を使うメリット3つ
■1. ケガの危険性を軽減できる
間違ったフォームで高負荷のトレーニングを行うと、ケガにつながりかねません。特に腹筋系のトレーニングは腰痛につながりやすいので注意が必要です。
例えばバランスボールなら、最初は座るだけでもトレーニングになります(バランスボール初心者なら少し乗るだけで腹部にじんわりと疲労感をおぼえるでしょう)。段階的に強度を上げるため、トレーニング器具の力を借りるのは有効な方法です。
また、落下や衝突によるケガも防ぐことができます。ダンベルを自分の足に落としてしまったら大変ですが、ゴム製のトレーニングチューブなら安心ですよね。もちろん、器具の正しい使い方はしっかり守るようにしましょう。
■2. 正しいフォームを習得できる
上で「間違ったフォーム」の危険性について指摘しましたが、そもそもフォームの乱れはなかなか自分では気づきにくいものです。動画で手軽にチェックできる時代になりましたが、やはりトレーナーの指導を受けず、自宅でひとりトレーニングしているだけでは思わぬクセがついていたりするものです。
腹筋トレーニング器具の中には、用いることで自然と正しいフォームが身につく設計になっているものもあります。自宅派にとっては頼れる相棒と言えるでしょう。
■3. 手軽に高負荷のトレーニングを行える
ジムのマシンでなければ高負荷のトレーニングができないわけではありません。アブローラーのように筋トレ上級者も愛用している器具もあります。自重によるトレーニングに限界を感じていたら、様々な器具を試してみましょう。
トレーニングの効果を最大限発揮できるよう、メーカーが知恵を絞った商品群です。トレーニングに対する深い知識がなくても、効果的に鍛えることができるのはうれしいですね。
腹筋トレーニングマシン&器具のおすすめ13個
■1. アブローラー
ローラーを両手で握り前後に動かすだけ…というとてもシンプルな構造ですが、筋トレ上級者も愛用しているお役立ちの器具です。簡素な見た目からは想像もつかない、高い強度のトレーニングを実践できます。もちろん、それに耐えられる堅牢さも備えています。
膝用のマットや縄跳びがセットになっているものもあるので、お好みでチョイスしてください。最初は膝をついた姿勢で行い、慣れてきたら腕足せ伏せの体勢からスタートさせる本来のフォームにします。自重のクランチよりはるかに速くオールアウト(全力を出し切った状態)になれるのを実感するはずです。
アブローラーは「役に立たなかった」という声もある商品です。効果を上げられなかった原因のひとつは、使い方のコツをつかめなかったせいでしょう。
アブローラーは転がそうとするとうまくいきません。床に押しつけるように動かすとバランスが崩れにくくなります。筋トレすべてに言えることですが、目的である腹筋に意識を集めるのも大切。肩や腕の力に頼らず、膝を支点に腹筋で動かしていく感覚をつかんでください。腹筋の力を出しやすくするため、やや猫背気味で行うと腰痛予防にもなります。
■2. ワンダーコア
腹筋トレーニングといえば「持ち上げる動き」が中心で、単調かつハードというイメージがつきまとっていました。ワンダーコアは発想の転換で「倒れる動き」に重点を置いた器具です。持ち上げることは誰でも面倒に感じますが、倒れるなら簡単そうに思えます。とっつきやすさはトレーニングを継続する上で重要な要素なのです。
倒れたらワンダーコアの反発力で起き上がるだけ。そんな楽な方法で本当に鍛えられているの? と思えてしまいますが、独自の「デュアルレジスタンスシステム」によって、腹筋、背筋にバランスよく負荷がかかる仕組みになっています。強度は3段階の調整ができます。
座いすに腰かけるような姿勢から、倒れる、反動で起き上がる、を繰り返すだけなので、テレビを見ながらでもできる簡単さがうれしいですね。
イスに座って、ワンダーコアを足で押しながら上体をひねるアブタックなら、鍛えにくい脇腹の腹斜筋と太ももの筋肉を同時に鍛えることが可能です。女性の気になる二の腕など幅広いを様々な角度から刺激できるのは大きな特長です。
よりコンパクトになった「ワンダーコアスマート」や、ローイングバンドつきで有酸素運動もできるようになった「ワンダーコア2」もあります。
■3. アブマット
一見、かまぼこ状に盛り上がったただのクッションですが、このふくらみがジムのマシンとそん色ない高負荷を与えてくれます。
床でクランチ(腹筋運動)を行う場合、頭の位置を水平より深くすることはできません。公園の鉄棒に足をかけて行えば、マイナス90度のクランチができますが、ハードすぎて現実的ではありませんよね。アブマットに乗ってクランチを行えば、頭の位置をマイナス30度まで下げることができます。
クランチで前屈しすぎると腹筋の可動域を越え、太ももの筋肉で上体を起こしているだけになります。腹筋に最も効かせられる角度は約25度。それ以上上げても太ももを鍛えるだけになってしまうのです。
そこでアブマットを用いてマイナス30度から始めれば、より大きな動きで腹筋だけを鍛えることができます。クランチが物足りなくなったら、アブマットに移行するタイミングでしょう。
腰痛のリハビリにもアブマットを使用します。腰椎が伸展している状態からスタートでき、正しい腰椎の使い方を学ぶことができるのです。6000円前後の価格で、置き場所にもクランチベンチと同様のトレーニングができるのはお得でしょう。
■4. バランスボール
腹筋や体幹トレーニングの定番です。オフバランス(不安定)な状態を作ることによって、日常の動作ではなかなか刺激を与えることのできないインナーマッスルを鍛えることができます。
最も単純なメニューは上に乗ることですが、ボールに足を乗せてのクランチ、ボールを足で手繰り寄せる動きなど多彩なメニューをこなすことができます。バランスボールは体幹用と思われがちですが、上腕のトレーニングにも活用できますよ。
効果的なトレーニングを行うため、身長にあった直径のバランスボールを選ぶことが大切です。
身長150cm以下…45cm
身長150cm~170cm…55cm
身長165cm~185cm…65cm
身長185cm以上…75cm
この他、子ども用の直径35cmもあります。
空気圧のめやすは、座った時に膝が90度に曲がること。空気圧が低すぎても高すぎても姿勢が乱れ、身体に不必要な負荷がかかってしまいます。
万一に備えて耐用荷重を確認しておきましょう。耐用荷重が記載されていないメーカーのものは避けた方が無難です。
また、破裂せず、徐々に空気が抜けていくしくみの「ノンバースト」「アンチバースト」機構を備えているかも大切です。安価な商品の中には粗悪な素材を使い、破裂事故が起きるものもあるので、ユーザーレビューをチェックしておきましょう。
■5. ストレッチポール
ウレタンに似た弾力のある素材で作られたポールです。足を乗せるクランチなど、バランスボールで行うメニューはこちらでも可能です。縦に置けばコンパクトで、収納場所に困りません。バランスボールは欲しいけれど置き場所に悩むという方におすすめです。
さきがけとなったLPNの他、複数メーカーから同様の商品が発売されています。反発力や感触に微妙な差があるので、実際に手に取ってから選んでもよいでしょう。
ストレッチポールならではメニューは足にはさんで行うもの。あおむけになって足を上げ、膝を90度に曲げた状態から、膝と足裏でストレッチポールを挟みます。
腕は頭の後ろで組み、足を左右へゆっくり傾けていきましょう。傾ける時に吐く、戻す時に吸う、と呼吸に合わせて動作するのが大切です。ストレッチポールなしで足を傾けるだけでも腹筋のトレーニングになりますが、ストレッチポールを落とさないように気をつけながら動かすと、より広い範囲が刺激されます。縦向きにしたストレッチポールを背中の下に置くクランチもおすすめ。ボートに乗っているような不安定な体勢で行うので、インナーマッスルをより攻めることができますよ。
■6. トレーニングチューブ
ダンベルの代用品として高い人気を誇っています。ゴム製なのでうっかり手を離してもケガの心配がなく、保管場所にも困りません。
動作に入った瞬間、ケガの不安を感じたら、握り幅を変えることで瞬時に負荷を軽減することができます。ダンベルやマシンではできないチューブならではの特性ですね。
気軽に出張へ持って行くこともできますし、握り方によって負荷を自由に変えられるのが魅力です。
自宅にチンニングバーがあれば、ケーブルクランチのように専用のマシンがなければできないメニューも、チューブで代用できます。強度の違うラインナップが揃っているので、初心者の女性から、本格的にやりこんでいる男性まで一本は持っておきたいですね。
腹筋を鍛えるなら、足の裏にチューブをひっかけて上体を起こすチューブクランチが定番です。両手に持ったチューブを腕力で引っ張ろうとするのでなく、足を固定するために用いるように意識し、腹筋を丸めながら上体を起こすようにしてみてください。ゴムのおかげで反動がつきやすくなるので、一挙動をゆっくり行うのがコツです。
立った姿勢でチューブを足にかけ、身体を横に倒すチューブサイドベンドは脇腹の引き締めに効果的です。この時も腕力を使わず、脇腹の伸展・収縮でチューブを引っ張るように意識しましょう。
バランスポール同様、様々なエクササイズが可能なので、腹筋に限らず上腕や下半身のトレーニングにも活用できます。
■7. メディシンボール
バスケットボール大のサイズで中にウエイトの入ったボールです。ボクサーが腹の上にメディシンボールを落としてもらうトレーニング風景をご覧になったことがあるかもしれませんが、そんなハードな利用法だけでなく、健康維持の軽いエクササイズにも役立ってくれます。
両手で持つことによってダンベルの代用とするだけでなく、足を乗せればバランスポール的な使い方もできる便利な器具です。ボールなので、もちろんスローイングの訓練にも使えます。
最も簡単なのはメディシンボールを持って行うクランチ。
メディシンボールを頭上にかかげてから、円を描くように回していく「メッドサークル」は腹筋も含め上半身全体のトレーニングとして有効です。
メディシンボールに足を乗せるプランクは、バランス感覚も鍛えることができます。
メディシンボールはジムのトレーニングマシンに比べ、複数の筋肉を同時に鍛えるメニューが多くなっています。そのため、筋トレやパフォーマンス向上に役立つのはもちろんですが、重い荷物を持ち上げる、買い物袋を下げて歩く、バケツで水を汲むといった日常の動きにつなげることができます。いつもの家事がなんだか楽になった? と感じたら、メディシンボールのおかげかもしれません。
■8. バランスディスク(バランスクッション)
バランスボールを使ってみたいけれど保管場所がない、という方におすすめの器具です。直径30cmほどのエアーが入った円盤状で、コンパクトかつバランス感覚を養うトレーニングをふんだんにできることが特長です。
最も基本的なメニューは、バランスディスクの上に立ち15~30秒間、姿勢を維持すること。ふくらんだ座布団のような外見とはうらはら、意外と難しいものです。慣れてきたら片足だけでバランスを取るエクササイズに移行しましょう。上げた方の足を左右にスイングすると内転筋や腹斜筋を刺激できます。
イスや座布団のかわりとして、バランスディスクの上に座っているだけでもトレーニングになります。テレビを観ている時、CMに切り替わったら両足を上げ、身体をV字形にしてバランスを取り、番組が再開したら普通に座るといったぐあいに、時折エクササイズを織り交ぜていくと飽きずにトレーニングできます。
バランスディスクの上に手を置いて腕立て伏せをすれば、上半身に加えインナーマッスルを鍛えることが可能になります。腕立ての姿勢で30秒キープするだけでもトレーニングになりますよ。
■9. シットアップベンチ
腹筋を効果的に刺激するための最も基本的な器具がシットアップベンチです。スポーツクラブにも必ず設置されていて、使用頻度が多い人気のエクササイズ器具です。
シットアップベンチの最大の特徴は、寝た姿勢の角度を変えることができるという点です。
斜めにして頭を下げた状態で行うシットアップ(デクラインシットアップ)や、頭を上にして行うレッグレイズ(インクラインレッグレイズ)は、床で行うよりも強度が高まります。腹筋がまだ弱く、ほとんど上半身を起こせない人は頭を上にして上半身が起き上がりやすい状態で行う方法(インクラインシットアップ)としても使えるため、初心者から上級者まで活用できるエクササイズ器具といえるでしょう。
また、足を固定することができるので、カラダを斜めにしたまま行うツイスト系の種目なども行いやすくなるなど、腹筋エクササイズの幅が大きく広がります。ダンベルやメディシンボールと併用すると効果が高まります。
シットアップベンチは様々な商品が発売されていますが、使い勝手を考えると角度が調整でき、斜めだけでなく水平にもなる商品を選ぶことをおすすめします。また、折り畳み式などの場所をとらない商品も魅力的なのですが、全体重が常にかかる器具なので安全面を考え、できるだけ頑丈なものを選ぶようにしましょう。
■10. 腹筋トリマー
腹筋運動のサポートをしてくれる腹筋トリマーは、初心者の方はもちろん、上級者の方にも活用してもらいたいエクササイズ器具です。
腹筋トリマーは頭の重さをサポートしてくれるだけでなく、しっかり起き上がれない人でも起き上がりのサポートをしてくれるため、腹筋を効果的に刺激することができます。腹筋中に首が痛くなってしまう女性や腰の痛みに不安がある人にもオススメです。正面向きで腹直筋を刺激することはもちろん、カラダを斜めや横にして使用することで腹斜筋をより意識して行うこともできます。
初めから腹筋トリマーに頼ってサポートする力を入れるのではなく、起き上がれるところまでは自力で起き上がり、起き上がれない角度になった時に腕などに力を入れてサポートすると効果的に腹筋を鍛えることができます。
一見、楽に腹筋をするための器具のように見られがちですが、反動を使わずに腹筋運動を行うことができるので、何百回と腹筋ができる人でも十数回で悲鳴を上げることでしょう。
■11. TRXサスペンショントレーナー
体幹部を強化できるエクササイズとして人気が高まっているのがTRXです。数多くのスポーツクラブで導入されているなど、本格派トレーニング器具の一つです。ケーブルでカラダを保持し、カラダをコントロールしながら動作を行うエクササイズによって、どの姿勢においてもしっかりと腹筋に刺激かがかかります。
エクササイズ種目も数多くあり、初心者向けのものから上級者向けのものまで様々なエクササイズが可能です。腹筋を鍛えるプランクやサイドブリッジ、ニータックなどの動作をTRXを使って行うことによって床でやるよりも強度が高まりますし、胸を鍛えるためのプッシュアップや背中を鍛えるためのローイングなど、腹筋だけでなく他の部位を目的とした種目でもバランス感覚が必要となるため、姿勢を保つために常に腹筋が使われます。腹筋と同時に胸や背中、腕、脚など様々な部位を同時に鍛えることができる一石二鳥のエクササイズ器具といえます。
自宅で行う場合はドアにひっかけて行うことができますし、持ち運び可能なのでひっかける場所さえあればどこでもTRXのエクササイズを行うことができるという点も嬉しいポイントです。
■12. ケトルベル
やかんのようなちょっと変わった形のダンベルをご存知でしょうか?それがケトルベルです。ケトルベルを使ったエクササイズは、特殊な形を活かした動作が多いのが特徴です。持ち上げたり大きく振ったりなど単純な動きが多いのですが、動作中カラダを安定させるため常に腹筋に大きな刺激が入ります。また、片方の手で持つだけでも重心が傾き、それを補おうとして腹筋が力を発揮します。
スイングと呼ばれるケトルベルを股の間から大きく振りあげて胸の前まで持ち上げる最も基本的なエクササイズや、ウインドミルと呼ばれるケトルベルを頭上に保持しながらカラダを左右に倒すエクササイズなど数多くのエクササイズがあります。
重さも2kg程度からあり、重いものだと1つ32kgのものまであります。ダンベル同様、使用重量を選ぶ必要があるのですが、まずは8kgや12kgなど軽めなものを選択して、重さよりも正しいフォームや動作で行うことができるように意識して行いましょう。
■13. パワーアブベンチ
自体重の腹筋よりもさらに高強度にガンガン鍛えたい!というトレーニング上級者にオススメするのがパワーアブベンチです。ウエイトのプレートを使用することで、自重以上の負荷をかけることができます。
使用方法は単純で、ウエイトをセットし、ベンチに座って腹筋をするようにカラダを丸めていくだけです。捻りを加えることで腹斜筋も刺激することができます。
初心者の場合は軽いウエイトを使うと、床から起き上がる腹筋運動よりも安全で簡単に腹筋を刺激することができます。上級者だけでなく初心者にも活用できる器具といえます。
こんなマシンは必要ない!なんて思っていませんか?
腹筋は1日100回などと高回数を目安に行う人が多いようですが、筋力や筋肥大のためには高負荷低回数が効果的です。パワーアブベンチのような器具によって負荷を高めることは、腹筋を成長させるために効果的といえます。
まとめ
・トレーニング器具やマシンを使うことは、安全性を高めながら負荷を上げるだけでなく、正しいフォームの習得にも役立ちます。
・バランスボールは自分に合ったサイズのものを選ぶことが大切。破裂しない特性を備えていればより安心です。
・バランスボールの保管場所が確保できない方は、コンパクトかつバランス系のエクササイズができる、バランスディスクがおすすめです。
・トレーニングチューブは負荷を自由に変えられ、持ち運びも簡単な便利な器具です。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。