「ヒンズースクワット」というスクワットがあるのはご存じですか?
ちょっと変わった名前を持つこのスクワット、実は筋肉を鍛えるだけでなく、脂肪燃焼や部分痩せにも効果的という、女性にとってもおすすめできるスクワットなんです。
ここ数年、大ブームとなったスクワットダイエットの影響で、スクワットにチャレンジしているという方も多いかもしれませんが、いつも同じスクワットでは飽きてしまいますし、体が慣れてしまっては運動効果も出にくくなってしまいます。
そんな時、ヒンズースクワットのようにちょっと変わり種のスクワットを知っておくと、すごく役に立つかもしれませんよ。そこで今回は、ヒンズースクワットの効果や正しいやり方を徹底解説したいと思います。
ヒンズースクワットの意味とは?
「ヒンズースクワット」という名前、少し変わっていますが、これにはおもしろい由来があります。その昔、インドのプロレスラーがトレーニングをしているところをかの力道山が目にし、自分の弟子にやらせてみたところ、すぐにギブアップしたため、これは良いと思ってトレーニングに取り入れたといいます。
インド由来のトレーニング方法であることから、「ヒンズースクワット」という名前になりました。
スクワットには「ワイドスクワット」「ハーフスクワット」「フロントスクワット」など、その動きをそのまま名前に反映させたものが多い中で、ヒンズースクワットという名前は印象的ですよね。
ヒンズースクワットの正しいやり方とフォーム
■正しいやり方とフォーム
上記の動画も参考にしてみて下さい。
安定した場所に立ち、足幅は肩幅程度に開きます。背筋をまっすぐ伸ばして姿勢を正したら、両腕を胸の高さぐらいまで上げてまっすぐ伸ばします。
次に、膝をしっかりと曲げてしゃがみ、同時に両腕を体の方へ引きます。
しゃがみきったら、床を踏み込んで勢いよく立ち上がり、同時に腕を下からすくい上げるようにして再び胸の高さまで上げます。スタートの状態に戻ったら、動作を止めることなるく続けます。
セットの間は呼吸を止めずに行いましょう。しゃがむ時に吸い、立つ時に吐くようにすればスムーズに呼吸ができます。
<正しいやり方とフォームまとめ>
①安定した場所に立ち、足幅は肩幅程度に開く
②背筋をまっすぐ伸ばして姿勢を正す
③両腕を胸の高さぐらいまで上げてまっすぐ伸ばす
④膝をしっかりと曲げてしゃがみ、同時に両腕を体の方へ引く
⑤しゃがみきったら、床を踏み込んで勢いよく立ち上がつ
⑥同時に腕を下からすくい上げるようにして再び胸の高さまで上げる
⑦スタートの状態に戻ったら、動作を止めずに繰り返す
<ポイント>
ヒンズースクワットは一連の動作を大きく、スムーズな流れで行うことがポイントです。途中で動作を止めることのないように行いましょう。また、呼吸をしっかり行うことで脂肪燃焼効果を高めることが出来ます。
この他、しゃがむ際は膝を十分に曲げて、深く腰を下ろすようにしましょう。
<注意点>
しゃがむ際はかかとが少し浮く形になりますが、重心を前に寄せすぎると転倒する可能性があります。それだけでなく、膝の関節への負担も大きくなるため、重心を前に寄せすぎないように注意しましょう。
また、しゃがむ深さが浅いと、運動効果が減ってしまいます。膝をしっかりと曲げて十分にしゃがむようにしてください。
ヒンズースクワットの効果7つ
■①カロリーをたっぷり消費できる
ヒンズースクワットは、動きはシンプルですが、体の中でも大きな筋肉である太ももをメインに使い、さらには腹筋や背筋、腕など全身の筋肉を一度に使います。
そのため、カロリーをたくさん消費でき、ダイエットにも効果的です。食事管理とあわせて行えばより効果的ですし、外食をした日や食べ過ぎてしまった日は、ヒンズースクワットをするというように習慣づけるのもおすすめです。筋肉をしっかりと使えるように、一回一回の動作を大きく行うようにしましょう。
■②太ももの引き締めもできる
ヒンズースクワットは、「深くしゃがんで立つ」という動作をするため、動作の中で太もも前と裏の両方をメインに使います。そのため、太ももの引き締め、シェイプアップ効果が抜群です。
女性の場合は特に「太もものトレーニングをすると、脚が太くなるのでは?」と心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、よほどの負荷をかけない限り、筋肉は太くなりません。ヒンズースクワットを自重で行う程度であれば、脚がムキムキになってしまうというようなことはないので心配はしなくても良いでしょう。
■③ヒップアップにも効果大
ヒンズースクワットの、「しゃがんで立つ」という動作は太ももだけでなく、お尻の筋肉もたくさん使います。
特に、お尻の中でも大きな筋肉である大臀筋をしっかりと使うことができます、そのため、太もものシェイプアップだけでなく、お尻の引き締め、ヒップアップ効果も期待できます。
また、お尻の筋肉を鍛えることはヒップアップだけでなく、姿勢の改善にもつながるなど、美しいボディラインづくりに役立つことがたくさんです。
ただ痩せるだけではなく、美しいボディラインをつくりたいという方はぜひチャレンジしてみましょう。
■④体幹を鍛えられる
ヒンズースクワットは、動作の途中につま先立ちになるという不安定な姿勢で行うため、バランスをとるために、太ももやお尻といった部分的な筋肉だけでなく、腹筋や背筋を中心に、体幹の筋肉も使います。
そのため、体幹の筋肉も鍛えることが出来ます。体幹が鍛えられれば姿勢改善にも繋がり、スタイルがよくなりますし、スポーツをしている方であれば、パフォーマンスアップにも繋がります。
■⑤運動不足解消にもピッタリ
ヒンズースクワットは器具を必要とせず、自宅でも簡単に行うことができるため、毎日の運動不足の解消に最適です。また、一つの動きの中で全身の筋肉を使うので、ウォーキングなどの下半身メインの運動よりも、より多くの筋肉を使うことができます。
室内で行うことが出来るので、天気に左右されませんし、ジム通いのように運動をするまでの時間も不要です。そのため、特に、定期的に運動をする時間がつくれないという方の運動不足解消におすすめできます。
■⑥血流促進でむくみ解消
ヒンズースクワットは全身運動であるうえに、動作の中で「第二の心臓」と言われるふくらはぎをたくさん使うため、血流促進の効果も期待できます。血流がよくなれば、体のむくみの防止につながりますし、トレーニングとの相乗効果で足をすっきり細くすることも出来ます。デスクワークなどで下半身を動かす機会がないという方は特に効果を感じやすいはずです。
■⑦代謝アップして痩せやすく
ヒンズースクワットは酸素をたくさん使い、血流促進にもなるため、体の代謝アップの効果も期待できます。
基本的にヒンズースクワットをする時間に決まりはありませんが、一日の中でも、朝に行えば、その日1日を代謝の高い状態ですごせます。また、長時間行わなくても、週3回や毎日といったように定期的に続けることで、常に代謝の高い、痩せやすい状態を維持することもできます。
ヒンズースクワットは有酸素運動?
ヒンズースクワットは、ダンベルなどの重りをもたずに自重(自分の体重)で行う場合は、有酸素運動の部類と言えます。有酸素運動は主に脂肪をエネルギーとして使うため、ダイエットに効果的な運動です。
有酸素運動は、脂肪燃焼の効果をあげるには20分以上行うのが効果的と言われていますが、ヒンズースクワットはウォーキングやランニングに比べて強度が高いため、20分以上連続して行うのが難しいかもしれません。その場合は間に少しの休憩を入れてもいいので、できる限りの時間連続して行うようにしましょう。
また、動作の間は呼吸を止めずに、息をしっかりと吸って、吐くことが大事です。
目的別!ヒンズースクワットの回数と頻度
■ダイエットが目的の場合
ダイエットが目的の場合、頻度と回数を多めに設定して、カロリーをたくさん消費するようにしましょう。基本的に、重いダンベルやバーベルなどを使わない運動の場合は、毎日行っても問題ありません。
回数は1セットあたり、最低でも20回は行い、間に休憩を入れても良いのでセット数をたくさんこなしましょう。
■部分痩せが目的の場合
部分痩せが目的の場合、12〜20回を1セットとし、3セット以上を目安に週3回以上行うのがおすすめです。
ウエイトトレーニングの様に負荷の強いトレーニングを行う場合は、トレーニングの間隔を空ける必要がありますが、ヒンズースクワットを自重で行うのであれば、あまり気にする必要はありません。それよりも、高い頻度で行い、部分痩せしたい部位をたくさん動かすようにしましょう。
■スポーツ選手の場合
ヒンズースクワットはプロレスラーであれば1000回以上行うとよく言われています。
スポーツ選手の場合、そのように回数をこなすことも大事ですが、それに加えてスポーツの競技やトレーニングの目的によって回数を設定するようにしましょう。例えば、持久力が必要なスポーツの場合は、1セットあたり30回以上など回数を多めに設定すると良いでしょう。
この逆で筋力が必要な場合は、重りを加えて行い、回数を1セットあたり10回から20回と少なめにするのが効果的です。
この他、瞬発力を高めたい場合は、回数の設定だけでなく、一回一回の動作を爆発的に行うようにしてトレーニングすると効果的です。
■運動不足解消の場合
ヒンズースクワットは全身を使うため、運動不足解消にも最適です。
普段から体を動かす機会がなく、運動不足を解消したい場合は、1セットあたり5分〜10分を目安に2〜3セット、まずは週3回ほどを目安に始めてみましょう。
スポーツ選手のように、いきなり1000回もヒンズースクワットをやろうとせず、まずは続けることが大事です。今まで全く運動をしていなかった場合、いきなり無理をせず、うっすら汗をかくぐらいからはじめ、徐々にボリュームを増やしていきましょう。
その後に、慣れてきたら、スピードもあげて強度を高めるようにするとより効果的です。
ヒンズースクワットで膝を痛めないための対策5つ
■①ウォーミングアップを念入りに行う
膝を痛めないためには、ヒンズースクワットをする前にウォーミングアップを念入りに行うようにしましょう。
その場合のウォーミングアップは、ストレッチではなく、関節を動かすものが効果的です。
これは、関節には滑液という液体があり、動かすことによって粘度が高められ、関節の保護になるためです。軽い屈伸などをして膝の曲げ伸ばしを行いましょう。
■②回数は適度に
効果を求めるのであれば回数を増やすことも必要ですが、無理をしすぎると膝を痛める原因になります。
特に、はじめの段階は張り切って無理をしてしまいがちなので注意が必要です。少しでも痛みを感じたら、回数を調整し、絶対に無理をしないようにしましょう。
■③寒い場所では行わない
膝を痛めないためには、寒い場所で行わないようにすることも重要です。寒い場所では関節周りも冷えやすく、痛めやすくなっています。
室内で行う場合は温度に注意し、夏場であればクーラーの温度を低くしすぎないようにしましょう。
■④水分補給をしっかり行う
関節の動きをスムーズにするには水分補給が欠かせません。ヒンズースクワットをする際は、お水を用意して、運動前、中、後にしっかりと飲むようにしましょう。
お水は体を冷やさないように常温のものがおすすめです。一度に大量に飲むのではなく、セットの間などこまめに飲むようにしてください。
■⑤不安のある場合サポーターをつける
関節に不安がある場合は、サポーターをつけて行うようにしましょう。ただし、ヒンズースクワットはエクササイズの中でも特に膝への負担が大きくなります。
このようにもともと膝に不安のある方は回数や頻度は最小限に抑え、足りない運動は他のエクササイズを組み合わせるなど対策をしましょう。
ヒンズースクワットのダイエット効果を高める工夫4つ
■①心拍数を意識する
ヒンズースクワットのような有酸素運動で脂肪燃焼効果を高めるには、心拍数をコントロールすることがポイントです。一般的に、脂肪燃焼しやすい心拍数は、最大心拍数の40〜60パーセントの範囲だと言われています。(最大心拍数は220から自分の年齢を引いた数です)
最近では、心拍数が計測できるウエアラブルデバイスをつけている方も多くなっています。
もし、持っていればヒンズースクワットをする際も心拍数を計測して、脂肪燃焼しやすい範囲を維持するようにしましょう。もし持っていなければ、「ニコニコペース」と呼ばれる、会話をしながら行えるぐらいの強度を目安にしてみてください。
■②食後二時間後を目安に行う
ヒンズースクワットのダイエット効果を高めるために、ヒンズースクワットを行うタイミングにも工夫してみましょう。
ダイエット効果を高めるには、食後二時間後ぐらいが効果的だと言われています。また、食事をした直後は食べたものの消化吸収が行われているため、運動効率が下がってしまいます。この逆で空腹が激しい時の運動は、ストレスホルモンが分泌されてダイエットに悪影響だと言われています。
これらのことを考え、ヒンズースクワットを行う時間は、食後の二時間後を目安にしましょう。
■③筋トレを組み合わせる
脂肪燃焼効果を高めるには、有酸素運動を単独で行うのではなく、筋トレを先に行ってから有酸素運動を行うのが効果的だと言われています。ジムに通っているなど、筋トレができる場合は、先に筋トレを行い、その後にヒンズースクワットを行うようにしましょう。
ただし、時間が長すぎると、ストレスホルモンが出てしまい、効果が減ってしまうので、トータルで一時間以内におさめるようにしてください。
■④脂肪燃焼サプリを組み合わせてみる
必須というわけではありませんが、脂肪燃焼してダイエット効果を高めるには、脂肪燃焼サプリを組み合わせるもの効果的です。サプリの中でも、カプサイシンやカルニチン、CLAなど脂肪燃焼に効果的なものを選ぶようにしましょう。
この他、脂肪燃焼効果があると言われているカフェインをコーヒーなどからとって行うのも良いでしょう。ただし、サプリメントを飲んだら良いというわけではなく、その後のヒンズースクワットもしっかりと筋肉を動かして行い、サプリメントとの相乗効果を狙うようにしましょう。
その他のスクワットも知りたい人は、こちらを参考にして下さい。
まとめ
ヒンズースクワットは、ダイエットにも最適で、スポーツのパフォーマンスアップのためにもなるなんて、ちょっとスゴいですよね。嬉しい効果がたくさんのヒンズースクワットですが、基本のスクワットなどに比べて、膝を痛めやすいという点もあります。
怪我の防止と効果を高めるためにも、ウォーミングアップをしっかりとしてから行うようにしてくださいね。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。