スクワットと言えば、ここ数年の「スクワットチャレンジ」「スクワットダイエット」などのブームで身近になったエクササイズのひとつですよね。そのスクワットには様々な種類がありますが、トレーニング初心者の方にもおすすめできるのが、ダンベルを使って行う「ダンベルスクワット」です。
ダンベルスクワットは、自重で行うスクワットよりも運動強度が高く、トレーニング効果もアップできます。しかも、バーベルを使って行うバーベルスクワットよりも怪我のリスクが少なく、トレーニング初心者の方でも安全に取り組めます。
今回は、そのダンベルスクワットについて、やり方やフォーム、効果的に行うコツなど詳しく解説していきますので、ぜひチェックしてくださいね。
ダンベルスクワットとは?どこの筋肉に効く?
ダンベルスクワットは、「筋トレの王様」と言われるスクワットのバリエーションのひとつで、ダンベルを持って行います。
鍛えられる筋肉は幅広く、主に太ももの前側の筋肉である大腿四頭筋、太もも裏側のハムストリング、お尻の中で一番大きな筋肉である大臀筋を始めとする下半身の筋肉をメインに鍛える種目です。
また、体を支えるために、腹筋や背中の筋肉など、体幹の筋肉を鍛えることも出来ます。バーベルを用いて行うバーベルスクワットに比べて使用するウエイトは軽く、怪我のリスクも少ないため、トレーニング初心者でも安心して行える種目です。
ダンベルスクワットの正しいやり方とフォーム
<やり方とフォーム>
まず、安定した場所に立ち、両手にダンベルを持ちます。足は肩幅ぐらいに開き、つま先は少しだけ外に向けます。背筋を伸ばして、視線はまっすぐに定めます。
次に、膝を曲げて腰を深く下ろしていきます。太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下ろしたら、立ち上がって繰り返します。
<フォームのポイント>
ダンベルスクワットでは、ダンベルを持っている腕がぶれない事がポイントです。
腕がぶれてしまうとダンベルの重みで重心がずれてしまい、フォームを維持できなくなります。最初のセット時に体の横に腕を揃えたらそれを維持するようにして動作を行いましょう。
<動作のポイント>
ダンベルスクワットは腰を深く下ろす事がポイントです。そのためには、お尻を後ろにひくようにし、股関節をしっかりと曲げていくようにしましょう。目安は太ももと床が平行になぐらいです。腰を下ろす深さが足りないとトレーニング効果が減ってしまうので、一回一回、意識しながら行いましょう。
<注意点>
ダンベルスクワットを行う際、動作の終始に渡って背骨をまっすぐに保つように注意しましょう。背中が丸まったり、極端に反ってしまうと、腰を痛める原因になります。
ダンベルスクワットを効果的に行うコツ11個
■①正しいフォームを意識する
ダンベルスクワットを効果的に行うためには、正しいフォームを意識しましょう。フォームが崩れていると、ターゲットの筋肉に効かせられず、トレーニング効果が減ってしまいます。また、それだけでなく、自分の使いやすい筋肉ばかりを優先的に使ってしまい、筋肉のバランスが悪くなることもあります。動作に入る前にポイントをチェックし、始めは回数が減ってもいいので正しいフォームで行いましょう。
■②腰を深く下ろす
ダンベルスクワットの腰を下ろす深さは効果にとても大きく影響します。基本的には太ももと床が平行になるぐらいまでしっかりと下ろしましょう。ただし、腰を下ろせる深さには個人差があるので、無理をしないように注意してください。
■③腹筋に力を入れる
ダンベルスクワットは下半身の筋肉だけでなく、腹筋を中心とした体幹も鍛えることが出来ます。その効果を得るために、動作の終始、腹筋にも力を入れるようにしましょう。
ポイントは動作の始めに息を吸い、そのままお腹でグッとこらえて動作を行うことです。
これにより、お腹のインナーマッスルも鍛えることが出来ます。
■④重心を足裏の真ん中にする
ダンベルスクワットの動作中、重心は常に足の真ん中に来るようにしましょう。重心をキープすることで、ダンベルがブレたりせず、動作を効率よく行うことが出来ます。コツは、始めのセットの時に、足の真ん中に重心をおき、動作中もその重心を意識しておくことです。
■⑤立ち上がる時はお尻を持ち上げる
ダンベルスクワットの立ち上がる動作の時は、お尻をまっすぐ上に持ち上げるようにイメージしましょう。これにより、お尻の筋肉や太ももの後ろの筋肉をうまく使うことができ、効果的なダンベルスクワットになります。
■⑥背骨は終始まっすぐに
ダンベルスクワットの動作中、背骨は終始まっすぐに保つようにしましょう。背中が丸まると腹筋の緊張が抜けて効果が減ってしまうだけでなく、怪我の原因にもなります。背中を丸めないためには、スタートのポジションで息をしっかりと吸ったら、お腹の中に大きなボールがあるようなイメージをもって腹筋に力を入れるようにしてください。
■⑦しゃがむ動作をゆっくり行う
ダンベルスクワットはしゃがむ動作をゆっくり行うと、より効果的になります。これは、しゃがむ動作は立つ動作に比べて、筋肉への刺激が大きくなるためです。目安としては、4秒、ぐらいの速さでしゃがむようにしてください。
■⑧立つ時は少し速めに
ダンベルスクワットのしゃがむ動作とは逆で、立つ動作は速くするのが効果的です。目安としては1~2秒ぐらいで、しゃがむ動作とはメリハリがあるのが理想です。この時、垂直飛びをするようなイメージで、地面をしっかりと踏み込んで立ち上げるのがポイントです。
■⑨お尻の筋肉を締める
ダンベルスクワットのフィニッシュポジション(立ち上がったところ)では、お尻の筋肉を締めると、よりお尻の筋肉を刺激することができます。ポイントはお尻のえくぼを締めるようにすることです。ただし、お尻の筋肉を締めすぎて、腰が反ってしまうと怪我の原因になるので、腰が反らない範囲で行うようにしてください。
■⑩繰り返しは素早く
ダンベルスクワットの動作の繰り返しは素早く行うようにしましょう。立ち上がってからしゃがむ間に休憩を入れてしまうと運動強度が下がって、効果も減ってしまいますフィニッシュポジションまでいったら、そこからすぐにしゃがむように切り返してください。
■⑪お尻を後ろに引く
ダンベルスクワットのしゃがむ動作の時、膝を曲げて真下に腰を下ろすのではなく、お尻を後の方に引くように意識しましょう。これにより、お尻の筋肉や太ももの裏の筋肉がストレッチされ、ダンベルスクワットの効果アップに繋がります。
ダンベルスクワットの初心者におすすめの重量
<男性初心者におすすめの重量>
男性の場合は、片手に5kg=計10kgぐらいを目安にスタートしましょう。この重量で始めて、正しいフォームで10回3セットを問題なく出来るようであれば、重量を増やしてみてください。
<女性初心者におすすめの重量>
女性の場合は、片手に3kg=計6kgを目安にスタートしましょう。もし、この重量で正しいフフォームを維持できなかったり、10回3セットできない場合は、重量を軽くしてみてください。また、ダンベルがないという場合は、水の入ったペットボトルなどで代用しましょう。
ダンベルスクワットの最適な回数
<最適な回数>
ダンベルスクワットの最適な回数は基本的に10回×3セットを目安に行うようにしましょう。もし、この回数が出来ない場合は重量を下げてください。この逆で、簡単に出来てしまう場合は重量を増やして行うようにしましょう。
<最適なセット数>
基本的に3セットをベースにトレーニングをしましょう。これは、筋肉は1〜2セット目では、まだターゲットの筋肉が全て使われていないためです。もし、重い重量で2セットしか出来ない場合は、重量を軽くして、3セット行うようにしてください。
ダンベルスクワットで腰や膝を痛めないための注意点10個
■注意点①:背骨は常にまっすぐに
ダンベルスクワットの動作の際は、背骨は常にまっすぐに保つようにしてください。お腹の緊張が抜けて丸まったり、背中に力を入れて湾曲しないようにも注意が必要です。慣れるまでは、鏡を横において、背骨がまっすぐに保たれているかチェックするようにしましょう。
■注意点②:お腹に力を入れる
ダンベルスクワットを行う際は、動作の最初から最後まで、お腹に力を入れるようにしてください。お腹の力が抜けていると、フォームが崩れて腰や関節を痛めやすくなります。お腹の中に大きな風船を持っているようなイメージでしっかりと踏ん張るようにしましょう。
■注意点③:視線を定める
ダンベルスクワットで腰や膝を痛めないためには、視線を定めることが大事です。視線が定まらなければ、重心も定まらなくなり、腰や膝を痛めてしまいます。つねに1メートル先を見つめるようなイメージを持って、動作が始まっても視線は固定したままにするようにしてください。
■注意点④:膝を前に出しすぎない
ダンベルスクワットで膝を痛めないためには、膝を前に出し過ぎないように注意しましょう。膝が前に出すぎると、重心が前に偏ったり、膝関節に負荷が集中して膝を痛める原因になります。
■注意点⑤:膝とつま先の向きを揃える
ダンベルスクワットの立ち上がる動作の時、膝が内側に入らないように注意しましょう。膝が内側に入ると関節に大きな負担がかかり、怪我の原因になります。動作の最初から最後まで、膝とつま先は外側に向くようにしてください。
■注意点⑥:腰を下ろしすぎない
ダンベルスクワットで、腰を深く下ろすことは大事ですが、無理をして下ろすと、骨盤が後傾して丸まる「バット・ウインク」という悪いフォームになり、腰を痛めてしまいます。鏡を見ながら自分が無理をせずに下ろせる深さを確認して、その深さを目安に行うようにしましょう。
■注意点⑦:ダンベルの重量は適切に
ダンベルの重量設定も、腰や膝を痛めないために重要なポイントです。ダンベルの重さで負荷を加えることは大切ですが、重量が重すぎると、重心が保てなくなり、腰や膝を痛めてしまいます。
■注意点⑧:ウォーミングアップはしっかりと行う
ダンベルスクワットをする前にはウォーミングアップを必ずしてください。ウォーミングアップをしなければ、関節への負担が大きくなります。特に、膝周りや腰周りはしっかりとウォーミングアップで準備をしましょう。
■注意点⑨:痛みを感じたらすぐに中断する
トレーニング中やトレーニング後に、腰や膝に痛みを感じたら、すぐに中断するようにしてください。痛みを感じる部分は動かさないように保護して休ませ、必要であればアイシングをして冷やすなど手当をしましょう。
■注意点⑩:トレーニングは適度なペースで
基本的に、自重で行うような負荷の少ないトレーニングの場合は、トレーニングをする間隔にさほど注意をしなくても問題ありませんが、ダンベルスクワットで重い重量を使うようになった場合は、筋肉痛や疲労の具合の様子を見ながら、適度に休養を挟んで行うようにしましょう。
ダンベルスクワットの種類5つ
※写真は、ダンベルスプリットスクワットです。
■①ダンベルワイドスクワット
ダンベルワイドスクワットは、基本のダンベルスクワットよりも足幅を広くして行うスクワットです。足幅を広くすることで、お尻や太ももの裏をより刺激することが出来ます。
<やり方>
安定した場所に立ち、ダンベル一本を両手で持って正面に構えます。足を肩幅の1.5倍を目安に大きく開き、つまさきを45度ぐらい外側に向けます。そのまま、お尻を後ろに突き出すようにして腰を下ろしていき、太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下ろしたら、立ち上がり、繰り返します。
■②ダンベルジャンプスクワット
ダンベルジャンプスクワットは、基本のダンベルスクワットにジャンプを加えたもので、
運動強度がとても高くなります。瞬発的な動作が加わるため、スピードを要するスポーツのパフォーマンスをアップしたいという方にもおすすめです。
<やり方>
安定した場所に立ち、軽めのダンベルを両手で持って体の横に構えます。足は肩幅ぐらいに開きます。そのまま、お尻を後ろに突き出すようにして腰を下ろしていき、太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下ろしたら、勢いよくジャンプをします。着地したらそのまま腰を下ろし、再びジャンプをして繰り返します。
■③ダンベルフロントスクワット
ダンベルフロントスクワットはダンベルの持ち方を変え、肩に担いだ状態でスクワットを行います。基本のダンベルスクワットに比べて、ダンベルの負荷が前の方へかかるため、太ももの前側をよりつよく鍛えることが出来ます。
<やり方>
安定した場所に立ち、ダンベル二本をそれぞれ左右の肩に担ぎます。足は肩幅ぐらいに開き、つま先は少しだけ外に向けます。そのまま、お尻を下に下ろすようにして腰を下ろしていき、太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下ろしたら、立ち上上がり、繰り返します。
■④ダンベルスプリットスクワット
ダンベルスプリットスクワットは、基本のダンベルスクワットが足を左右に開いているのに対し、足を前後に開きます。これにより、お尻や太もも裏の筋肉をより刺激できるほか、体が不安定な状態となるため、腹筋を中心に体幹の筋肉も鍛えることが出来ます。
<やり方>
安定した場所に立ち、ダンベルを両手で持って体の横に構えます。足は大きく前後に開きます。そのまま、前足に重心を載せながら両膝を曲げて腰を下ろしていき、前に出している足の太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下ろしたら、膝を伸ばして立ち上がります。立ち上がったら再び繰り返します。
■⑤ダンベルブルガリアンスクワット
ダンベルブルガリアンスクワットは、基本のダンベルスクワットが足を左右に開いているのに対し、足を前後に開き、後ろの足をベンチなどにおいて片足立ちの状態になります。これにより、お尻や太もも裏の筋肉をより刺激できるほか、片足立ちによって体が不安定な状態となり、バランスが必要となるため、腹筋を中心に体幹の筋肉も鍛えることが出来ます。
<やり方>
安定した場所に立ち、ダンベルを両手で持って体の横に構えます。足は大きく前後に開き、後ろの足をトレーニングベンチに乗せ、片足立ちの状態になります。この時、足の甲は寝かせておきます。そのまま、膝を曲げて腰を下ろしていき、前に出している足の太ももと床が平行になるぐらいまで腰を下ろしたら、膝を伸ばして立ち上がります。立ち上がったら再び繰り返します。
まとめ
ダンベルスクワットは自重のスクワットよりも運動強度が高く、下半身や体幹の筋肉までもしっかりトレーニングできます。正しいフォームや効果的に行うコツを守ることが大切なので、今回解説したことをしっかりと意識してトレーニングをしてくださいね。
トレーナーとして活動しています。ダイエットやトレーニング方法についてお伝えします。