「世界一受けたい授業」減量外来ドクター。「ホンマでっか!?TV」肥満治療評論家・漢方治療評論家。その他、テレビや雑誌で多数出演・監修。
※管理栄養士資格を持つライターが書いています。
誰もが一度は耳にしたことがある『バナナダイエット』。今から10年ほど前にブームになったことから、バナナはダイエットに良いという風潮がありますよね。
しかし、バナナは糖質が多く、糖質制限ダイエットをする際には、あまりおすすめできない食べ物です。
今回の記事では、バナナの糖質量やバナナの持つ栄養、糖質の計算方法や、糖質制限ダイエットをしているときにおすすめの食材についてご紹介します。
これを機会に、バナナとダイエットの関係を見直してみませんか?
バナナ1本のカロリーと糖質量
バナナ1本は、中くらいのサイズで、140g程度。こちらは皮も含んだグラムなので、実際に食べることができる可食部という部分は、90g程度になります。
可食部90gのバナナは、エネルギーが約77kcal、炭水化物は約20.3g含まれています。そのうち、糖質は、約19.3g、食物繊維は約1gです。
■糖質量の計算方法
私たちがネットで『食品名 栄養』と検索すると、カロリーや炭水化物、脂質やビタミンなどの数字は簡単に検索することができますが、『糖質』という項目はなかなか見つけることができないのではないでしょうか。
実は、日本が公式に発表している食品成分表に『糖質』という項目はありません。そのため、単純な糖質は、成分表に掲載されていないのです。
しかし、食品成分表を活用すれば糖質量は簡単に求めることができます。その理由は『糖質量=炭水化物-食物繊維』であるためです。
先ほどのバナナであれば、炭水化物は20.3g、食物繊維は1gなので、『20.3g-1.0g=19.3g』と糖質量を計算することができるのです。
この式を知っておけば、すぐに糖質量を計算することができますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
バナナ1本の栄養成分!ダイエットに良い栄養は含まれている?
次に、バナナのもつ栄養成分についてお話します。
バナナ1本を食べた場合に、1日の推奨量に対して次の割合の栄養を満たすように摂取することができます。今回は、割合が高いものから順番に7つご紹介します。
栄養素の名前 | 割合 | 栄養素の役割 |
ビタミンB6 | 32% | 筋肉や血液を作ることをサポートする |
ビタミンC | 16% | コラーゲンの生成やたんぱく質を作る |
銅 | 13% | 血液中の赤血球をつくることを助ける |
カリウム | 13% | 体内の水分を調整してくれる |
マグネシウム | 11% | 骨や歯の形成に必要 |
葉酸 | 11% | 赤血球の細胞を作ったり、妊娠中に胎児の健康をサポートする |
炭水化物 | 9% | エネルギー源で、糖質と食物繊維を合計したもの |
どの栄養素も、健康な体を維持するために欠かせない栄養です。
しかし、バナナにはダイエットに向かない決定的な栄養的弱点があります。それは、たんぱく質の含有量が低いこと。
筋肉や肌などを構成するのに欠かせないたんぱく質量は、バナナ1本あたりに1gしか含まれていません。
バナナ1本で、77kcalものエネルギーを摂取することになるのに、たんぱく質を1gしか摂取することができないバナナは、ダイエットにはあまり適さない食べ物といえるでしょう。
20代の女性であれば、1食あたり、たんぱく質を20g程度はとっておきたいのですが、それが1gしか含まれないということになります。そのため、バナナ1本で置き換えダイエットをしてしまうと、カロリーはカットできますが、たんぱく質量が不足するため、健康な肌や髪、筋肉や血管などを維持できなくなってしまうのです。
バナナは人気の他の果物と比較すると、糖質量は多いのでしょうか?糖質制限ダイエット中に食べて大丈夫なのか?このあと説明していきます。
バナナと他の果物の糖質量を比較
次に、私たち日本人がよく食べる果物とバナナの糖質量を比較してみましょう。大きさは、バナナ1本の可食部90gに近い数字よりも、よく食べるサイズや大きさを優先して比較しました。
果物名 | 大きさ・可食部 | 糖質量 |
バナナ | 1本・可食部90g | 19.3g |
みかん | Mサイズ1個・可食部60g | 6.7g |
いちご | Mサイズ7個・可食部90g | 6.4g |
キウイ | 1個・可食部80g | 8.8g |
バレンシアオレンジ | 1個・可食部90g | 7.8g |
スイカ | Sサイズ1/4カット・可食部200g | 20.9g |
まず、可食部を90gとしてそろえた、いちご・バレンシアオレンジと比較した場合、バナナの糖質は19.3gなのに対し、いちごは6.4g、バレンシアオレンジは7.8gと、バナナの半分から1/3程度しかないことがわかります。
次に、糖質量が近いスイカの20.9gですが、こちらは一般的にカットしたスイカ200gの糖質なので、スイカはバナナの倍以上食べても糖質量は1g程度しか差がないことがわかります。
キウイやみかんも、バナナと比較すると糖質量は非常に少ないことがわかりますね。
果物は糖質が多いといわれていますが、その中でもバナナは特に糖質の多い果物なのです。
バナナは太る?糖質制限ダイエット中でも食べて大丈夫?
バナナを食べたからといって、すぐに太るわけではありません。1本あたり77kcalですから、バナナ1本で夕食を置き換えるような食生活をすれば、すぐに体重は落ちるでしょう。
しかし、バナナには体を構成するのに必要なたんぱく質が、あまり含まれていません。そのため、長期間の置き換えダイエットには不向きです。
さらに、果物の中でも糖質が多い部類に属するので、糖質制限ダイエットをしているときの間食としても適している食材とはいえません。
バナナがダイエット食材で人気の理由
2008年頃、『バナナダイエット』という名前のダイエットが流行しました。食事をバナナに置き換えてカロリーダウンができたり、バナナには食物繊維が含まれていて便秘を解消してくれたりすることから、流行したのではないかといわれています。
しかし、バナナには糖質ダイエットには不向きなくらい、たくさんの糖質が含まれている上、食物繊維も1本あたり1gしか含まれていません。
本当はダイエットに適さないにもかかわらず、多数のメディアで取り上げられたバナナダイエット。今のアラサーからアラフィフ世代の中には、実行したことがある人も多いでしょう。
この流行がきっかけに、バナナは人気のダイエット食材となりましたが、本当はあまりダイエット向きの食品ではありません。
糖質制限中にバナナの代わりにおすすめの食べ物
では、糖質制限中に食べるべき食べ物には、どのようなものがあるのでしょうか。
まず、糖質制限中におやつとして果物を食べるのであれば、みかん1個や、いちご5個程度がおすすめです。先ほどご紹介した表でも、これらは糖質が少な目の果物だからです。
ただし、糖質制限ダイエット中は、果物はできるだけ食べないほうが良いです。ほかにも、芋類、日本酒やビールなどのお酒もできるだけ避けましょう。
糖質制限ダイエット中に積極的にとりたい食品は、大豆製品、野菜類(特にほうれん草や小松菜などの青菜)、きのこ、海藻、お肉や魚などです。
特にほうれん草や小松菜などは、ビタミンやミネラルのバランスと含有量が非常に優れています。さっと茹でて小さく切り、サラダに入れたり、和え物にしたりすればたくさんの料理に使うことができますよ。
また、肉や魚は調理法や選び方によってはカロリーが高くなってしまいますが、食材そのものの炭水化物は決して高くありません。
肉 | 100gあたりの糖質量 | 100gあたりのカロリー |
牛バラ肉 | 0.1g | 371kcal |
鶏モモ肉 | 0g | 200kcal |
豚バラ肉 | 0g | 386kcal |
表に示す通り、肉そのものには、たんぱく質と脂質しか含まれていないくらい、糖質オフの食材なのです。肉類は、大量に食べなければ、ダイエット中食べても良いのです。たんぱく質やビタミンB群を摂取するために、積極的に食べましょう。
ただし、ステーキにした際のステーキソースや、ささみフライの衣など、ソースや調理法によっては糖質をたくさんとることになってしまうので、注意が必要です。
まとめ
標準的なバナナ1本は、エネルギーが約77kcal、糖質は約19.3gです。バナナはダイエット食材として人気ですが、糖質の低い食材ではありません。
かつて流行したバナナダイエットの影響で、現在でもダイエット食材として人気のバナナ。しかし、その認識は間違いで、バナナは、ダイエット中はできるだけ避けておきたい糖質の高い食べ物です。
どうしても果物を食べたい場合は、みかんやイチゴなどの糖質が比較的少ない果物を選んで食べるようにしてくださいね。しかし、糖質制限ダイエットをする場合は、果物自体を制限することをおすすめします。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。