「世界一受けたい授業」減量外来ドクター。「ホンマでっか!?TV」肥満治療評論家・漢方治療評論家。その他、テレビや雑誌で多数出演・監修。
※この記事は、管理栄養士資格を持つライターが書いています。
かつて流行したりんごダイエット。りんごを使ったプチ断食や、りんごを使った置き換えダイエットがメディアに取り上げられ、10年近く前に話題になりました。
しかし、『りんごダイエット』という名称だけが流行してしまい、『りんごはダイエットに良い食材だ』と、なんとなくのイメージが先行してしまっていませんか。
今回の記事では、りんごの糖質やGI値に注目し、りんごを使ったダイエット方法について解説します。
りんご1個のカロリー・糖質量・栄養成分は?
まずは、りんごの栄養量をみていきましょう。りんご100gあたりの栄養は、次の通りになります。
カロリー | 54kcal |
糖質 | 13.8g |
炭水化物 | 15g |
食物繊維 | 1.5g |
たんぱく質 | 0.2g |
脂質 | 0.1g |
りんごは、中くらいのサイズのもので、おおよそ300g程度なので、中くらいのサイズのりんご1個に含まれる栄養は、次の通りです。
カロリー | 162kcal |
糖質 | 41.4g |
炭水化物 | 45g |
食物繊維 | 4.5g |
たんぱく質 | 0.6g |
脂質 | 0.3g |
栄養素のうち、エネルギーとなるものは、炭水化物、たんぱく質、脂質です。脂質とたんぱく質は、炭水化物と比較すると非常に低いことが分かりますね。
つまり、りんごのエネルギーのほとんどは、炭水化物(糖質)由来のものということになります。
りんごには、その他にも、カリウム、ビタミンC、ビタミンB6、銅、ビタミンEなどの栄養が比較的多く含まれています。
りんごと他の果物のカロリーや糖質量を比較
次に、りんごの糖質量は、他の果物と比較するとどのようになるかを見てみましょう。一般的に一度に食べる量で比較すると、次のようになります。
果物名 | 大きさ・可食部 | 糖質量 |
りんご | 1/4個、75g | 10.1g |
みかん | Mサイズ1個・可食部60g | 6.7g |
いちご | Mサイズ7個・可食部90g | 6.4g |
キウイ | 1個・可食部80g | 8.8g |
バレンシアオレンジ | 1個・可食部90g | 7.8g |
スイカ | Sサイズ1/4カット・可食部200g | 20.9g |
いちごやキウイ、オレンジに注目すると、りんご以上のグラム数を食べたとしても、りんごより糖質量が低いことが分かります。
元々、果物は糖質量の多い食べ物です。りんごは、他の果物と比較すると、突出して糖質が多いというわけではありませんが、低糖質な食品ではありません。
りんごは糖質制限ダイエット中に食べて大丈夫?
果物の中でも、糖質量が少ないとはいえないりんご。
りんごは糖質制限ダイエットを実施しているときには、おすすめできない食べ物です。
しかし、りんごは、カロリーが低く、食物繊維も豊富なので、ダイエット中に活用できる食べ物です。
糖質制限には向かないけれど…りんごは◯◯◯ダイエットに使える!
りんごは、糖質制限ダイエットには向かない食材ですが、「低インシュリンダイエット」、またの名を低GIダイエットと呼ばれるダイエットに向いている食品です。
インシュリンといえば糖質と深い関係のあるホルモンです。その名称から、糖質制限ダイエットに向かない食品は、低インシュリンダイエットにも向かないのでは?と思いがちですが、実はそうではありません。
■GI値?低インシュリンダイエットのメカニズム
私たちは、食事で摂取した糖質を消化吸収し、血液中に糖として取り込みます。これが、血糖と呼ばれるもので、食後に血糖値が上がるのは、このためです。
血液中を流れている糖は、筋肉などに取り込まれて体を動かすエネルギーになります。しかし、急激に血糖が増えると、使いきれないほどの糖が血液に含まれていることになってしまい、上がりすぎた血糖を下げなければなりません。
その際に、体はインシュリンというホルモンを出して、血糖と下げるように、と体に命令を送ります。このインシュリンには、血糖を下げるだけなら良いのですが、同時に『脂肪を作り、脂肪細胞の分解を抑制する』という命令も出してしまうホルモンです。この、脂肪を体にため込んでしまう命令が、ダイエット中には非常にやっかいな存在になってしまいます。
つまり、血糖値が急激に上がると、インシュリンが大量に分泌され、脂肪を作りだしてしまうだけでなく、脂肪を燃焼しにくい体になってしまうのです。
そこで、頼りにしたいのが『GI値』。
GI値は、その食品が体内で糖に変わって、血糖値が上昇するスピードを計測したものです。ブドウ糖を100としたときに、どれくらい遅いかを示します。りんごのGI値は40なので、GI値は低めといえるでしょう。
GI値が高いものでは、もち米(87)、精白されたパン(71)、フライドポテト(70)などがあります。
GI値が高い食品は、血糖値が急激にあがるため、インシュリンを大量に分泌させて、体に脂肪をためやすくする食品ということです。
そのため、低GI食品を選んで、血糖値を急激に上昇させない食生活をすることが、ダイエットのポイントとなります。
低インシュリンダイエット中におすすめのりんごの食べ方3つ
低インシュリンダイエット中は、りんごを生で食べることをおすすめします。食品を加工すれば加工するほど、使う調味料や加える食品が多くなるためです。しかし、いくらダイエット中でも、毎回生のりんごでは飽きてしまいますよね。
そこで、低インシュリンダイエット中でもおすすめできる、りんごの食べ方を3つご紹介します。
■①乳製品と組み合わせる
プレーンヨーグルトを食べる際に、小さく角切りにしたりんごを入れて食べましょう。りんごが、プレーンヨーグルトに足りない甘さを足してくれます。乳製品はGI値が低いので、GI値が低いプレーンヨーグルトと、甘味を持っていても高GI値ではないりんごの組み合わせがおすすめです。
ただし、市販のりんご入りヨーグルトは、りんごをコンポートにしていたり、ヨーグルトにたっぷり砂糖が入っていたりします。こういった製品はGI値が高いので、少し面倒でも手作りするよう心がけましょう。記事の後半で、作り方をご紹介します。
■②低GIの食べ物と組み合わせる
りんご(40)、もも(28)、ぶどう(43)、いちご(40)、グレープフルーツ(25)など、GI値の低い果物を組み合わせて作るスムージーや果物の盛り合わせにするものおすすめです。果物のビタミンやミネラルをたっぷり摂ることができますよ。
ダイエット中は、食事量全体を少なくするため、それに伴い、ビタミンやミネラルが不足しがちです。果物は糖質が多い反面、ビタミンやミネラルを豊富に含むものが多いため、ダイエットの味方になってくれるでしょう。
■③糖質ゼロの糖類で味付けをする
コンポートやジャムなどを作る場合は、パルスイート(糖類ゼロ甘味料)等の甘味料を使いましょう。糖質を足さずに甘い料理を作ることができるので、おすすめです。
低インシュリンダイエット中のりんごを使ったおすすめレシピ3つ
次に、りんごを使ったおすすめのレシピを3つご紹介します。
■①りんご × プレーンヨーグルト
<材料>
・プレーンヨーグルト100g
・りんご50g(お好みでOK)
<作り方>
りんごを角切りに切り、プレーンヨーグルトと合わせるだけ。
<ポイント>
りんごを角切りにする際には、くし形に切るのではなく、輪切りにしてから切ると、きれいな角切りにすることができます。くし切りにしてしまうと、角の大きさをそろえるのが大変です。
また、りんごは生で使用しても良いですが、糖質ゼロの甘味料でコンポートにしておくと、市販のりんごヨーグルトのような、甘いりんごヨーグルトを作ることもできますよ。
■②低GIフルーツで作るスムージー
<材料>
・りんご3/4個
・桃1/3個
・小松菜2~3本
・豆乳50cc
<作り方>
りんごと桃を剥いて、適当な大きさに切る。小松菜は、しっかり洗っておく。材料をすべてミキサーにかける。
<ポイント>
スムージを作る際のポイントは、ジューサーにかけた後、こさずに、繊維まで丸ごと飲むことです。ジューサーにかけた後こしてしまうと、食物繊維がなくなり、血糖が上昇しやすくなります。
また、スムージーにした場合、できるだけ時間をかけてゆっくり飲んでください。早く飲むと、体の中に一気に食べ物が入ってきて、血糖値が上がりやすくなります。
グリーンスムージーによく使われる小松菜は、低GIなので、果物と一緒にスムージーにしても良いでしょう。ただし、野菜を使っているスムージーは、バナナのような糖質の多くて甘い果物を使用したり、はちみつや砂糖で甘味を足して、野菜の苦みをとっているレシピもあります。野菜の苦みが嫌いな方は、無理に入れる必要はありません。
また、スムージに必ずといっていいほど入っているバナナは、GI値47で、りんごより、少しGI値が高いです。他のフルーツで代用できるのであれば、無理に入れる必要はないでしょう。
■③パルスイートを使ったりんごジャム
<材料>
・りんご1個
・レモン汁大さじ1
・水50cc
・パルスイート大さじ5
<作り方>
1. りんご1個の半分をすりおろし、もう半分を1センチ角程度に切る。
2. 鍋にりんご1個、水50cc、レモン汁おおさじ1、パルスイート大さじ5を入れて加熱する。
3. 粗熱をとったら完成
<ポイント>
朝食に食パンを食べる習慣がある人は、全粒粉パンとこのような低GIダイエット中でも食べられるジャムを使えば、生活習慣を大きく変えずとも、低GIダイエットを実践できるでしょう。
まとめ
りんごは、糖質の多い食品なので、糖質制限ダイエットには向いていません。糖質制限ダイエットでは、糖質量を全体的に下げる必要があるためです。
しかし、りんごは血糖値を急激に上昇させない、GI値が低めの食品と分類することができます。GI値が低い食品を活用した、低インシュリンダイエットでは、十分に活用することができるでしょう。
※GI値については、研究機関ごとに発表している数字が異なることがあります。今回の記事では、シドニー大学 食品GI値検索の検索結果より、数値を引用しております。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。