「世界一受けたい授業」減量外来ドクター。「ホンマでっか!?TV」肥満治療評論家・漢方治療評論家。その他、テレビや雑誌で多数出演・監修。
※この記事は、管理栄養士資格を持つライターが書いています。
ワインには多くのビタミン、ミネラル、ポリフェノールが含まれていて、抗がん作用、抗酸化作用、血圧降下、美容効果等多くの効果が期待されています。
そんなワインですが、カロリーがどの程度なのか、どのくらい糖質が含まれるのか?気になるところです。
「ワイン」とひとことで言っても赤、白、ロゼとあるし、どれも同じなのか?糖質制限ダイエット中でも飲めるのか?そんな疑問にお答えします。
ワインのカロリーと栄養成分
ワインごとにエネルギーと三大栄養素と多く含まれる成分を示します。
■赤ワインのカロリーと栄養成分
<三大栄養素>
エネルギー:73kcal
炭水化物:1.5g
たんぱく質:0.2g
脂質:0g
<ビタミン>
ビタミンB2:0.01mg
ビタミンB6:0.03mg
ナイアシン:0.1mg
パントテン酸:0.07mg
ビオチン:1.9μg
<ミネラル>
カリウム:110mg
カルシウム:7mg
クロム:2μg
鉄:0.4mg
銅:0.02mg
ナトリウム:2mg
マグネシウム:9mg
マンガン:0.15mg
モリブデン:1μg
リン:13mg
カリウムがとても豊富に含まれます。体内の電解質バランスを調整し、浮腫みの改善などを行います。またモリブデンも含まれますが、モリブデンは代謝の過程で様々な酵素の働きをサポートするミネラルです。代謝の活性化はダイエットには必須の作用です。
<その他特記成分>
赤ワインは黒ぶどうの皮と種を一緒に使って醸造するのですが、ぶどうの皮や種の部分にはタンニン、アントシアニン、フラボノイド、カテキン、リスベラトロール等のポリフェノールが含まれます。タンニンは抗酸化作用、殺菌作用、消臭作用、抗がん作用、美容効果が高いと言われ、生活習慣病の予防や美容効果が高いとされています。
■白ワインのカロリーと栄養成分
<三大栄養素>
エネルギー:73kcal
炭水化物:2g
たんぱく質:0.1g
脂質:0g
<ビタミン>
ナイアシン:0.1mg
パントテン酸:0.07mg
ビタミンB6:0.02mg
<ミネラル>
カリウム:60mg
カルシウム:8mg
鉄:0.3mg
銅:0.01mg
ナトリウム:3mg
マグネシウム:7mg
マンガン:0.09mg
リン:12mg
骨の形成に必要なカルシウムやマグネシウムが含まれます。カリウムも比較的多く含まれることからデトックス効果が期待されます。
<その他特記成分>
赤ワインと比較して含まれるポリフェノールは少ないですが、分子が小さいことが知られています。そのため、少量で効率よく取り入れることができるメリットがあるとされています。
また、アミノ酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、クエン酸、リンゴ酸など炭酸を主成分とした有機酸を多く含みます。有機酸は腸内のPHを下げ、酸性に傾ける作用があることから、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌など食中毒菌の活動を低下させることや、殺菌する効果が高いと言われています。白ワインと魚介類が相性がいいと言われる所以でもあります。その他、有機酸は疲労回復、カルシウムの吸収促進、代謝促進、血行促進などの効果も期待されています。
■ロゼのカロリーと栄養成分
<三大栄養素>
エネルギー:77kcal
炭水化物:4g
たんぱく質:0.1g
脂質:0g
<ビタミン>
ナイアシン:0.08mg
ビタミンB6:0.02mg
<ミネラル>
カリウム:60mg
カルシウム:10mg
鉄:0.4mg
銅:0.02mg
マグネシウム:7mg
マンガン:0.1mg
ナトリウム:4mg
リン:8mg
カリウムは白ワインと同量含まれます。ロゼもデトックス効果が期待できます。
どのワインにも様々なダイエット効果、美容効果が期待できる成分を含みますが、ポリフェノール効果を考えると赤ワインに軍配が上がりそうですね。
ワインの糖質の種類と糖質含有量を解説!赤、白、ロゼで違う?
ワインには赤、白、ロゼと種類がありますが、それぞれの糖質含有量も異なります。
赤ワイン・・・1.5g/100g
白ワイン・・・2.0g/100g
ロゼ・・・4.0g/100g
※ロゼは、ピンク色のワインのことです。
飲んだときに感じられる感覚と近い含有量ではないでしょうか。
「甘口」「辛口」という分類にもよりますが、一般的に赤ワインは渋みを強く感じ、白は比較的飲みやすく、ロゼはかなり甘みを感じると思います。
赤ワインが一番糖質が少なく、また、ポリフェノールを多く含むことから抗ガン作用、抗酸化作用、血圧降下作用、血糖値効果作用等が期待されています。
このことから糖質制限中にワインを飲みたいのであれば赤ワインが比較的良いと言えるでしょう。甘みのあるロゼには赤ワインの2.5倍以上の糖質が含まれているため、糖質制限ダイエット中は控えた方が無難です。
ワインと他のお酒のカロリーと糖質量を比較
ワインと他のアルコールのエネルギー、糖質量、アルコール量をまとめてみました。
ワインと他のアルコールのエネルギー、糖質量、アルコール量をまとめてみました。
アルコール種類 | エネルギー | 糖質量 | アルコール量 | 分類 |
赤ワイン | 73kcal | 1.5g | 9.3g | 醸造酒 |
白ワイン | 73kcal | 2g | 9.1g | 醸造酒 |
ロゼ | 77kcal | 4g | 8.5g | 醸造酒 |
ウォッカ | 240kcal | 0g | 33.8g | 蒸留酒 |
ウィスキー | 237kcal | 0g | 33.4g | 蒸留酒 |
ジン | 284kcal | 0g | 40.0g | 蒸留酒 |
ラム | 240kcal | 0g | 33.8g | 蒸留酒 |
焼酎(甲類) | 206kcal | 0g | 29.0g | 蒸留酒 |
焼酎(乙類) | 146kcal | 0g | 20.5g | 蒸留酒 |
マオタイ | 322kcal | 0g | 45.3g | 蒸留酒 |
ビール淡色 | 40kcal | 3.1g | 3.7g | 醸造酒 |
ビール黒 | 46kcal | 3.6g | 4.2g | 醸造酒 |
スタウトビール | 63kcal | 4.9g | 5.9g | 醸造酒 |
発泡酒 | 45kcal | 3.6g | 4.2g | 醸造酒 |
ビール風味炭酸飲料 | 5kcal | 1.2g | 0g | 炭酸飲料類 |
清酒・上選(普通) | 109kcal | 4.9g | 12.3g | 醸造酒 |
清酒・純米酒 | 103kcal | 3.6g | 12.3g | 醸造酒 |
清酒・本醸造酒 | 107kcal | 4.5g | 12.3g | 醸造酒 |
清酒・吟醸酒 | 104kcal | 3.6g | 12.5g | 醸造酒 |
清酒・純米吟醸酒 | 103kcal | 4.1g | 12.0g | 醸造酒 |
紹興酒 | 127kcal | 5.1g | 14.1g | 醸造酒 |
梅酒 | 156kcal | 20.7g | 10.2g | 混成酒 |
キュラソー | 322kcal | 26.4g | 30.5g | 混成酒 |
甘酒 | 81kcal | 17.9g | 0g | 清涼飲料水 |
<醸造酒>
米や麦やブドウなどを酵母によってアルコール発酵させたお酒です。発酵の過程で原材料に含まれる糖質がアルコールに変化しますが、一部の糖質はアルコールに変わらずそのまま残るため糖質が多く含まれています。このことから糖質制限ダイエットには向いていないお酒と言えます。
<蒸留酒>
醸造酒を加熱して気体化させたアルコールのみを冷却して戻す製造法になることから糖質は含まれません。
<混成酒>
醸造酒や蒸留酒に糖分や香料や果実や果汁を加えたお酒を混成酒といいます。糖質はその分多くなってしまいます。カクテル系はアルコール度数も強いうえに糖質も多く含まれるのでカロリーも糖質量も多くなりがちです。
糖質制限ダイエットには蒸留酒が取り入れやすいと言えるでしょう。
ワインは糖質制限ダイエット中でも飲んで大丈夫?
身体に取り込まれた食物中のブドウ糖は、膵臓から分泌されるホルモンの「インスリン」が作用して肝臓や筋肉や肝臓に取り込まれてエネルギーとして利用されます。
このインスリンというホルモンはエネルギーとして利用しきれなかったブドウ糖を脂肪として蓄える働きもあります。栄養素の中でも炭水化物(糖質)は100%ブドウ糖として吸収されることからインスリンが大量に分泌されます。
つまり、インスリンが大量分泌されないように炭水化物(糖質)を制限すれば脂肪への取り込みが多くならないので太らないというメカニズムを利用したのが「糖質制限ダイエット」なのです。
ワインを糖質制限ダイエット中に飲んでも問題ないのかという疑問は、糖質量に着目すると結論は「飲まないほうが良い」ということになります。
しかし、ワインの栄養成分に着目してみると、ポリフェノールや有機酸は血糖値を上昇させない効果、抗酸化作用(身体をさび付かせない作用)、おまけに美容効果があることも知られています。その点を考慮すると、必ずしも飲んではいけないということにはならないかもしれませんね。
ただし、ワインにも甘口、辛口と種類がありますが、ワインに含まれている「果糖+ブドウ糖」を「残糖」と言い、甘口ワインは辛口ワインのそれの10倍は含まれます。
それから、男性の場合痛風予防のために糖質制限ダイエットを行っている方もいらっしゃることでしょう。日本痛風・核酸代謝学会が発行する「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」の改訂版で「ワインは100ml中0.4㎎しかプリン体が含有されず、痛風に影響しない」というデータが示されました。
とは言え、痛風の症状は多量のアルコール摂取習慣を持っている患者さんが95%近くを占めると言われており、いくらプリン体の含有量が少なくとも大量に飲んでしまえば、全く問題ないというワケではありません。
ワインの成分的には糖質制限ダイエット中でもさほど気にしなくていい・・・と言いたいところですが、辛口の赤ワインが「適量」であれば良い・・・ということになるでしょう。社団法人アルコール健康医学協会では、アルコールの適量は純アルコール量で、約20〜40g程度、厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています。その場合ワインは180ml~上限で360ml程度ということになります。
少なくとも甘口やロゼはおすすめできません。
どうしても飲みたい!糖質ゼロのおすすめワイン4つ
■①ポリフェノールたっぷりワイン 糖類ゼロ
商品名:ポリフェノールたっぷりワイン 糖類ゼロ
メーカー名:キッコーマン
ブランド名:MANNS WINES(マンズワイン)
<栄養成分>
(100mlあたり)
エネルギー79kcal、たんぱく質0g、糖質0g、炭水化物12.4g
<商品の特徴>
日本原産国のワインで、醸造用葡萄のカベルネ・ソーヴィニヨン種を主に使用しています。果皮や種子からより多くのポリフェノールを引き出せるよう醸造し、通常のワインよりポリフェノールを2倍も含みます。加えて糖質は0、渋みもありますがそれでいてまろやかな甘さも感じられます。高い品質保持性を持ったワイン専用ペットボトルを使用しています。
■②セレクション モンタグ〈樽熟・瓶熟〉
商品名:セレクション モンタグ〈樽熟・瓶熟〉
メーカー名:糖質制限.com(ドットコム)
<栄養成分>
(100mlあたり)糖質0.2g、栄養成分未測定
<商品の特徴>
糖質制限の第一人者である江部康二先生に監修、検査に入ってもらって製造されたワインです。ワインの産地 南仏ラングドック地方で化学肥料や合成化学農薬を使用せず作られた葡萄から作られたワインで、フランス農林水産省の規制に基づいて栽培と醸造の規制をクリアーした有機農法認証の安心な品質の商品です。樽熟成しているため、酸味や渋みのとげとげした感じがなく、スパイシーでまろやかな味わいが特徴です。
■③キュヴェ モンタグ
商品名:キュヴェ モンタグ 赤ワイン
メーカー名:糖質制限.com(ドットコム)
<栄養成分>
(100mlあたり)糖質0.2g、栄養成分未測定
<商品の特徴>
フランスのラングドック地方で日本の糖質制限のためだけに醸造されたワインです。2種類のぶどうから作られます。手摘みで収穫し、15ヶ月樽で寝かせることで複雑な深みのある味を出しています。
■④糖質制限ワイン サーメンタム
商品名:糖質制限ワイン サーメンタム
メーカー名:糖質制限.com(ドットコム)
<栄養成分>
(100mlあたり)
糖質0.2g(赤ワイン)、糖質0.86g(白ワイン)、糖質0.22g(ロゼ)、栄養成分未測定
<商品の特徴>
スペインのワイン醸造所で作ってもらったワインです。江部康二先生が原料の検査から糖質の測定まで行ったワインで、タンニンの香りがするバランスの良いワインです。
糖質オフのワインを飲むときの注意点5つ
■①「糖質」と「糖類」の表現にだまされないこと
「糖質オフ」とか「糖質ゼロ」ではなく「糖類ゼロ」という表示のワインの場合は注意が必要です。
糖質は、「糖類」と「糖類以外」に分けられます。さらに、「糖類」は単糖類(ブドウ糖)や二糖類(砂糖等)を表し、「糖類以外」はでんぷんなどの多糖類や糖アルコールが分類されます。「糖アルコール」は、甘みは砂糖の何倍も強いのに、血糖値の上昇がほとんどない身体に吸収されにくい人工的に精製されたダイエット甘味料です。
つまり、「糖類ゼロ」というのはブドウ糖や砂糖等は含まれないけれど、糖アルコールなど人工甘味料は入っている可能性があるということです。
糖質は全く含まれていないのだと安心して飲んでいると糖類以外の糖質は含まれていることになるので、その辺りを理解しておきましょう。完全に糖質をカットしたいのであれば、「糖質ゼロ」の表示にこだわりましょう。
■②おつまみに注意
せっかく糖質制限ダイエットのために糖質オフのワインを飲んでいても、おつまみの糖質が多いと意味がありません。ワインと相性が良いからとピザやパスタと合わせるのはNGです。
たんぱく質を多く含む食品やビタミン、ミネラル、食物繊維を多く含む食材と合わせるのがおすすめです。
肉類:鶏むね肉、鶏ささみ肉、生ハム
魚介類:いか、たこ、えび、鮭、鯛
種子類:ローストアーモンド、くるみ
野菜類:リーフ類、パプリカ、クレソン、トマト、きのこ類等々・・・
<おすすめメニュー>
鶏むね肉のバジル焼き、ささみのトマト煮込み、生ハムとクレソンのサラダ、カプレーゼ、魚介のマリネ、スモークサーモンのカルパッチョ、鱈のアクアパッツァ、グリル野菜、きのこのソテー等。
調理法も吸油率の高い揚げ物よりソテーやボイル、蒸す料理にするとよりダイエット効果がより期待できます。
■③チーズはアルコール分解のサポーター
ワインとベストマッチとも言えるチーズは高たんぱく質食品です。チーズに含まれる必須アミノ酸の一つである「メチオニン」はアルコールを分解するのを促進する作用があります。
■④他に合わせるアルコールにも注意
ワインだけを飲むケースはともかく、宴会などで併せてビールやカクテルなども飲んでしまうと、折角インスリン分泌を糖質オフのワインで抑えていても全く意味がありません。
ビールは醸造酒で糖質を多く含みますし、カクテルなどはリキュールとジュースがドッキングされているので、急激に血糖値を上昇させてしまいます。
では蒸留酒なら問題ないかというと、例えば焼酎やウィスキーを甘いジュースや炭酸飲料で割って飲めば結局糖質も摂取していることになるので同じことです。割るものには注意が必要です。
■⑤休肝日は必須
いくら糖質オフワインでもアルコール含有量が少なくなるワケではありません。量が過ぎるとそれだけアルコールで肝臓に負担がくるので休肝日を設けることもお忘れなく。
まとめ
ワインは糖質制限ダイエット中でも飲めるかどうかという疑問については、辛口の赤ワイン1合程度であれば休肝日を設けて楽しむぶんにはほぼ問題なさそうですね。
また、組み合わせに注意したら糖が少ないワインをうまく利用するのも良さそうです。
糖質制限ダイエット中ならワインは一切飲まないのがベストなのでしょうけれど、ワインの種類による違い、栄養成分、注意点をしっかり理解して上手に楽しむことでダイエットにもメリハリつけられそうですね。
栄養士の資格を活かして、美容関係の仕事をしています。