グリシンとは?グリシンの睡眠効果5つと飲み方・副作用

グリシンとは?グリシンの睡眠効果5つと飲み方・副作用

睡眠で悩む方が増えています。睡眠は、毎日のことなので深刻な問題ですよね。睡眠に関するサプリメントなどで注目される成分に「グリシン」があります。この記事では、グリシンの効果や摂取方法・副作用などについて詳しく説明します。


現代人の多くが抱えている不眠。寝付きが悪い、眠りが浅い、朝早く目が覚めてしまう、十分に眠った感じがしないなどの症状が続き、日中の眠気や注意力の低下、体調不良が起こってしまうこともあります。現在の日本では5人に1人の割合で何らかの不眠の症状を抱えているという報告もあります。

睡眠は、私たちの身体にとって心や体の疲れをリセットするために大切な時間です。この大切な時間を有効にかつ快適に過ごす助けをすると言われているグリシン。一体、どのようなものなのでしょうか。

グリシンとは

グリシンとはタンパク質を構成するアミノ酸の一種で、体内でもいくつかの経路で合成することができる非必須アミノ酸の一種です。アミノ酸の中では最も分子量が小さく単純な構造をしており、身体が機能するための様々な過程に関与していたり、身体の構成成分を作る原料になったりしています。

グリシンは神経系の抑制に関与している他にも抗酸化作用もあり、エイジングケアや生活習慣病の予防、皮膚炎や口内炎などにも効果があるとされています。多くのタンパク質にはグリシンはわずかしか含まれていませんが、動物性タンパク質であるコラーゲンやエラスチンといった一部のタンパク質にはグリシンが多く含まれています。また、食品添加物の調味剤や強化剤として多くの食品などにも利用されています。

グリシンの4つの働き

1. 神経系で抑制する働き

神経系では脳幹や脊髄において、抑制性のシナプスシナプス伝達を担っており、グリシンが受容体に結合することで神経細胞の活動を低下させるという働きを持っています。この働きによって睡眠などを誘発して身体を休ませるように働きかけます。

2. エイジングケア

肌の張りを保つために必要なコラーゲン。コラーゲンとは私たちの骨や皮膚などを作っているタンパク質です。このタンパク質を構成しているアミノ酸の3分の1を占めているのがグリシンです。そのため、美肌効果が期待されるほかに関節にある軟骨にも重要な働きをしています。

3. 抗酸化作用

グリシンには老化の原因や生活習慣病を予防する抗酸化作用があるとされています。呼吸によって身体に入った酸素の一部が活性酸素となって細胞に様々な悪影響を及ぼし、身体の機能が正常に働かくなってしまいます。グリシンにはこの活性酸素の発生を抑制することで私たちの身体を若々しく、錆付きのない健康な状態に保ってくれるとされています。

4. 食品添加物としての甘み

グリシン自体は淡泊な甘みがあります。代表的な使い方は呈味成分として水産ねり製品やソース、総菜、菓子、清涼飲料、冷凍食品などに使用されています。また、グリシンは両性物質といって、酸性の食品にはアルカリ性の物質として、アルカリ性の食品には酸性の物質として働く作用があり、他のアミノ酸類と併用して味の緩和(塩味を和らげるなど)にも利用されています。そのほか、食品の酸化防止や静菌作用もあります。

このようにグリシンは私たちの身体や生活にはとても身近で大切なアミノ酸の一つで様々な効果の報告があります。このなかで神経を抑制する働きと睡眠との関係について少し詳しく調べて見ました。

睡眠の質を高める?グリシンの睡眠効果5つ

前にも述べたようにグリシンは神経系では抑制する働きに関係しています。その抑制の働きのうちのひとつ、睡眠に関してはどのような効果や関係があるのか調べてみました。

1. 体内のリズムを整える

人は脳内の体内時計によって昼間は覚醒し、夜間は眠りにつくというサイクルを繰り返しています。それが現代の夜間の光環境や自分自身の仕事環境(夜勤など)、生活の乱れ、高齢化などによってメラトニンという体内時計に働きかけて睡眠を誘導するホルモンの分泌量が減ってしまい、睡眠と覚醒のリズムが崩れてしまい、夜間眠りにつくことが出来なくなってしまいます。

グリシンが体内のリズムを整えるということの実証は現在も動物実験などで研究が継続されていますが、これまでに分かっていることは、生体リズムの調整に関係しているといわれている脳内の松果体にグリシンがよく蓄積されるということがあり、これによってグリシンが松果体を介して睡眠の神経性調節機能に寄与しているとされています。また、睡眠のリズムと日中などの生活リズムをうまくバランス付けることによって不眠による様々な影響を改善していきます。

2. 深い眠りをもたらす

人の睡眠リズムは身体の中心部分の体温と深く関係しています。人が眠りにつく時、手足から熱が放出され、体温が下がります。身体中心部分の体温を下げることによって眠りを誘うのです。動物が冬眠するのをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

表面部分の血管が拡張することで体内の熱が体外に放出されることで身体全体の代謝を低下させ、脳内の代謝も低下させることで眠りにはいります。グリシンはこれらに関係することで深い眠りを誘発するとされています。

3. 睡眠の質を高める

睡眠時間はしっかり取れているはずなのに、なんとなく疲れがとれないことや眠気が残ってしまうことがあります。それは睡眠の質に深く関係しています。人が睡眠に入る際には体内の中心部分の体温が低下するということは先に述べました。それによって深い睡眠に入っていきます。

人は浅い睡眠と深い睡眠をある一定のサイクルで繰り返しています。眠りに入った直後に深い睡眠のサイクルが来るのですが、これが浅いと身体のリセットがうまくいかず、朝に疲れを残してしまいます。

グリシンを摂取することでこの深い眠りのサイクルをしっかり確保し、その日の睡眠の質を高めて翌日に疲れを持ち越さない眠りのサイクルを作るのです。

4. 血流を改善する

グリシンは脳内神経系の抑制系に作用して身体を休息に導きます。その働きのひとつとして手や足などの末梢血管を拡張させるということがあります。

この効果によって体内の血流が改善され、体温の調整や血圧の変化、老廃物の排泄促進など身体に良い様々な効果が期待できます。血流が改善すれば生活習慣病の原因のひとつでもあるコレステロール値にも影響が現れてきます。

5. 日中の眠気や疲労感を解消する

良質な睡眠を確保することで、身体の疲れやストレスをリセットすることができるということは先に述べました。これだけでも普段の生活にはとても大きな改善に繋がっています。良質な睡眠を取った翌朝、スッキリした状態で目覚められることはその日1日のコンディションに大きく影響します。

睡眠を中心とした生活の改善と睡眠環境の改善を取り入れた睡眠改善方法(スリープマネジメント)とグリシンの摂取を取り入れることで集中力や意欲が上がるだけではなく、ストレスも軽減させるという研究結果もあります。グリシンには睡眠本来の目的である脳と身体に十分な休息をもたらし、活動期(日中)のパフォーマンスを向上させる機能を高める可能性があるということが示されています。

グリシンの睡眠効果を示す学術情報

現代人の5人に1人と言われる程多くの方が人間本来の休息の仕組みである『眠る』ということに何らかの問題や不安を抱えています。そのため、専門の病院を受診する人も増えてきています。社会的な問題となっていることもあり、臨床試験も行われていますので紹介します。

[味の素株式会社]
サプリメントで『グリナ』を販売しています。味の素のサイトで睡眠・不眠についてわかりやすく解説しています。2004年の研究結果から始まり、グリシン摂取による睡眠の質の変化や睡眠量の増加、起床時の疲労感の軽減などそれによる肌への影響などが記されています。専門の学会でも講演されており、とても興味のある内容です。

味の素の商品「グリナ」が、機能性表示食品の届出で提出している臨床試験情報でも以下の結果が得られています。

1)健康な方 11 名への脳波測定の結果、グリシン摂取時には対照食摂取時 と比較して入眠後速やかに深睡眠(徐波睡眠)に達しており自然な睡眠 パターンへの改善が認められました。また、主観的な眠りの評価におい て、熟眠感や爽快感に関する項目である「昨晩の睡眠の満足度」や「眠りのつきやすさ」、「眠りにつくまでの時間」、「床についている間の 眠っている時間の割合」が改善されました。さらに、日中の「眠気」や 「短期記憶」に関する評価も改善されました。

2)試験を継続できなかった 3 名を除く健康な方 7 名について、グリシン 摂取時には対照食摂取時と比較して、1 日目の「疲労感」が改善し、仕事の効率については 1 日目と 3 日目の「反応時間」の改善が認められまし た。

これらの情報でグリシンの健康に対する効果は主に、睡眠に関係する事が主になっていますが、そのほかにも美肌や骨などのアンチエイジングに関する効果、生活習慣病につての血圧やコレステロールに関する効果、血流に関する効果なども報告されており、今後新しい効果を示す商品が出てくるかもしれません。

グリシンの適切な摂取方法・飲み方

睡眠に良い効果が期待できるグリシン。効果が期待できるからといってもそれをどのように自分の生活に取り入れれば良いのでしょうか。食品にもお薬にも言えることですが、効果があるからといって規定の量以上をやみくもに摂取してもその効果が早く、しっかり出るというものではありません。

正しい服用方法で正しい摂取方法を守ることで最大限の効果を得られることができます。では、睡眠を改善するためにはどうすれば良いのでしょうか。

おすすめの摂取方法と目安摂取量

グリシンは体内でも作ることができ、また食品にも多く含まれています。自然に存在するグリシンに着目してみると、エビ(2300mg/100g)やホタテ貝(1700mg/100g)などの魚介についで、肉類(1500mg/100)に多く含まれているとされています。グリシンは様々な食品に含まれており、また体内でも作ることができます。睡眠効果を期待した場合のグリシンの最適な量は1回約3gと言われていますので、睡眠効果を目的として就寝前に食品で摂取するというのはあまり現実的ではではありません。

また、グリシンのみを意識して食事を摂ると食生活のバランスが崩れてしまう可能性もあります。就寝前に食事をすると胃腸にも負担をかけてしまうことにもなりかねません。従って、一番効果的な摂り方としてはサプリメントがおすすめです。就寝30分前にサプリメントで摂るのが生活サイクルに適しています。

ただ、ここで注意してほしいことは、いくら就寝前にグリシンを摂ったからといっても、その後に身体を休める準備をしなければ意味がありません。寝る前にパソコンやスマートフォンを見ていたりテレビをみたりすると、その光などで脳が刺激を受けてしまい、身体が眠る準備が出来なくなります。布団に入って部屋を薄暗くして眠る準備をするように心がけましょう。

グリシンは危険?グリシンの副作用

グリシンは貝類や甲殻類、肉類に含まれ、身体でも作ることができる非必須アミノ酸です。このように普段の食事の中に多く含まれる成分ですが、食品添加物としても使われています。厚生労働省のホームページでも添加物としてのグリシンに関しては、使用できる食品や使用量の最大限度量、使用制限の記載はありません。

このことから食品添加物として考えたグリシンであっても安全性は比較的高いものであると言えます。しかし身体への影響や副作用は全く無いというものではないので、そのあたりを調べてみました。

過剰摂取した場合のリスク

必要量以上に摂取した場合に起こる副作用があり、グリシンの場合は呼吸筋に影響があると言われています。そのほか、下痢や胃腸への影響、悪心や嘔吐などを招く可能性があります。

必要量以上とは動物実験で体重1kgあたり8gグリシンを摂取した場合に起こりうるとされています。これは体重50kgの人が40gを摂取した場合と同じです。これは急性毒性といって一度にこの量を摂取した場合であって、継続的に摂取して結果、40g摂取した場合を考慮しているものではありません。

ただし、グリシンは食品添加物としても広く利用されています。グリシンが多く含まれる食品を多く摂り、サプリメントも服用している場合などは過剰摂取になる可能性もあるので注意するようにしましょう。

医薬品との相性

現在、グリシンとの相互作用があるとされている医薬品に向精神病薬のグロザリルがあります。グリシンがこの医薬品の効果を弱めてしまうのでこの医薬品を服用している場合にはグリシンを摂取することは控えたほうが良いでしょう。どうしてもサプリメントなどでグリシンを服用したい場合には必ず主治医もしくは薬剤師に相談するようにしてください。

このように、全く副作用がないとは言えませんが、比較的どのような食品や医薬品とも相性が悪いという事は無いので、安全性の高いものと考えられます。しかし、過剰な摂取や治療のために医薬品を服用している場合は安易に摂取しないようにしましょう。

まとめ

現代では夜間でも照明や光が照らされており娯楽も多く、昼夜問わず活動できる環境になっています。また学校や会社での様々なストレスなどで睡眠が妨害され、悩んでいる方は少なくありません。NHKの調査によれば日本人の睡眠時間は約7~8時間程度です。時間で考えればしっかりと睡眠時間を確保できているようにもとらえられますが、実際は浅い睡眠であったり途中覚醒があったりして身体がきちんと休まっていない場合もあります。それが続いてしまうと体調に影響がでるのも当然のことと感じます。

睡眠を妨害しているのには様々なケースがありますが、生活習慣を改善することで良質な睡眠を得られる可能性がるのであれば先ずは自分の生活を見直すことから始めるようにしましょう。

それでも改善が難しいのであれば今回紹介したグリシンのようなサプリメントを利用することも解決策のひとつです。薬剤師に相談して自分にあったサプリメントを見つけてもらうのも良い方法です。ただし、サプリメントを摂取する場合は必ず規定量を守って服用するようにしてください。多く摂取したからといって効果が大きく変化することはありません。また言うまでもなく、サプリメントは医薬品ではありません。過剰な期待をせず、経過を見て自分に合っているかどうかを確認してください。それでも解決しない場合は症状が悪化する前に専門の医師などを受診するようにしましょう。

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この記事のライター

薬剤師をしています。ヘルスケア分野の情報をわかりやすく説明します。

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