レム睡眠とノンレム睡眠の意味とは?違いと特徴を徹底解説

レム睡眠とノンレム睡眠の意味とは?違いと特徴を徹底解説

睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠があります。それぞれの意味や違いは知っていますか?睡眠の質を高めて充実した生活を送るために、これから説明するそれぞれの違いや特徴を知っておきましょう。


私たちが毎日多くの時間を費やす睡眠。睡眠とは周期的に繰り返され、生理機能が持続的に低下する状態で外的刺激に対する反応が低下し、意識も失われていますが簡単に目覚めることができることを指します。

この間にエネルギーの蓄積と疲労を回復させる働きがあるので、体や心はリフレッシュして翌日の活動が可能です。私たちの時間の中で多くを占め、とても重要な生理現象である睡眠。

この睡眠は大きく分けてレム睡眠とノンレム睡眠に分けることができます。これらはどのようなメカニズムなのかを中心にまとめてみました。

レム睡眠とは

レム睡眠とは急速眼球運動(Rapid Eye Movement=REM)を伴う睡眠を指します。体は休息状態にありますが、脳は活動しています。ただし、眼球だけは活動しています。この時の脳波は4~7Hzのθ波が主に見られ、起きている時の脳波と同じ振幅を示します。このレム睡眠は1回の睡眠で5~6回現れ、始めは10分程度ですが、回数が増えるごとに少しずつ長くなっていきます。

体は休息、脳は活動していて日中に得た情報を必要なものと不要なものに分け、整理整頓しているとされています。このため、日中よりも活発に脳が活動しているので全身の筋肉が弛緩状態になっていますが、脳の交感神経が活発になり、心拍数や呼吸数は不規則になってしまいます。また、眠っている時に夢を見るのは、多くはこのレム睡眠の時に経験します。

レム睡眠は体を休息させることで脳が余計な指令を体に出す必要がなく、日中に得た情報を整理することに専念することができます。一説によるとこのレム睡眠の割合が多い人は記憶学習の能力が高いという結果もあります。朝起きた時に夢を記憶していることがあるのは脳が活動しているレム睡眠の時に見た夢を起きた時に記憶しているためです。後述するノンレム睡眠時にも夢は見ていますが、そのほとんどは記憶していません。

多くの人が経験したことがある金縛りもこのレム睡眠時に起こります。金縛りは若い人に多く、体の疲れやストレスが溜まって、睡眠不足になっている時に起こりやすくなります。これはレム睡眠時に急に目が覚めてしまうと、まだ体の力が抜けている弛緩状態にあるためすぐに動くことができず、意識だけはっきりしているにも関わらず、体が動かないという現象が起こってしまいます。この状態は数秒~数分間続くだけですぐに回復します。また、声をかけられたり少し体に触れられたりするだけで回復します。

ノンレム睡眠とは

ノンレム睡眠(Non-Rapid Eye Movement=Non-Rem)はレム睡眠にあったような急速眼球運動がありません。この時はレム睡眠とは異なり、脳も休息状態になっています。ノンレム睡眠はステージⅠ~Ⅳに分類されており、Ⅰが最も浅くⅣが最も深い眠りの状態です。脳波については周波数がレム睡眠時よりも遅くなっています。また体の緊張は一定に保たれ、呼吸や心拍数、血圧も安定しています。

レム睡眠とノンレム睡眠の違いと特徴

レム睡眠とノンレム睡眠の違い

レム睡眠とノンレム睡眠の大きな違いは、名前の由来でもある急速眼球運動があるかないかによって分けられています。その他にも脳の活動状態や脳波など、異なる部分はいくつかあります。

脳波は眠りが深いほど振幅の幅は大きくなり、眠りが浅いほど振幅の幅は小さくなります。覚醒時が最も短い幅になっていて、最も眠りが深いステージⅣのノンレム睡眠ではその何倍もの振れ幅があります。

レム睡眠とノンレム睡眠の特徴

レム睡眠とノンレム睡眠の特徴は次のような事があげられます。

◯レム睡眠
・急速眼球運動がある(目がキョロキョロと動いている状態)
・体の筋肉の緊張がほとんどなくなる
・感覚刺激は鈍くなっている
・呼吸や心拍は不規則
・血圧が変動する

◯ノンレム睡眠
・ステージⅠ:睡眠の深さは浅い状態。脳波は覚醒時に見られたα波が減少する。

・ステージⅡ:軽睡眠状態。脳波上、睡眠紡錘が見られる。この睡眠紡錘とは12~14Hzの脳波が連続して見られる状態のことで、脳波の形状が紡錘に似ているため、このように呼ばれている。

・ステージⅢ:睡眠の深さは中程度で状態はリラックス状態。この時の脳波はδ波が増える(20~50%)。

・ステージⅣ:深睡眠期。睡眠の状態は深い眠りでリラックス状態。この時の脳波はδ波が50%以上になっている。

ノンレム睡眠の中でもステージⅢとⅣは徐波睡眠と言われ、脳波に大きく緩やかな波が現れる深い眠りのことを指します。

これらの特徴から言えることは、レム睡眠は主に「体を休めている」のに対して、ノンレム睡眠は「体と脳を休めている」睡眠ということです。日々の生活の中で睡眠不足を感じた時に、体に影響が出ているのか、精神的に影響が出ているかでその時に必要な睡眠の種類が分かってきます。

レム睡眠とノンレム睡眠の時間割合と周期サイクル

レム睡眠とノンレム睡眠は1回の睡眠で交互に何度か訪れます。どのようなサイクルでそれぞれの時間はどれくらいなのでしょうか。

睡眠サイクルは90分?

レム睡眠ノンとレム睡眠が約90分であることは良く言われるサイクルです。本当にぴったり90分であれば、自分が起床したい時間から逆算すれば就寝時間が分かって、朝快適に起きることができますね。しかし、実際そうしてもスッキリ起きることができないこともあります。それはこの約90分の「約」がポイントになっています。

人間には個人差があり、サイクルが90分より短い人も長い人もいるのでロボットのようにきっちり90分という訳にはいかないのです。

その証拠として、ショートスリーパーと言われる睡眠時間が極端に短い人がエジソンやナポレオンだと言われています。逆に、ロングスリーパーと言って一般的な睡眠時間よりも長い睡眠が必要なロングスリーパーもいます。有名人ではF1レーサーのミハエル・シューマッハが1日の睡眠時間が12時間必要だと言われています。

これらの人は極端な例なので、ここでは一般的に言われている90分でそのサイクルを解説します。

必要な睡眠時間

年齢や個人、季節によっても異なりますが、新生児では約16~17時間、小児では約10~12時間、成人では約7~8時間で安定しますが、年齢をかさねていくと次第に短くなる傾向があります。高齢者の方で『若いときより眠れない』と言う方が多いのは病気などではなく、ごく自然なことなのです。

しかし、途中覚醒や早朝覚醒などで日中に強い眠気を感じてしまうのは睡眠不足の可能性があります。睡眠不足というのは時間が不足している場合と睡眠の質が低下している場合があります。

自分の睡眠不足が時間によるものなのか質によるものなのかを知ることで対処の方法が異なってきます。

レム睡眠とノンレム睡眠の割合

睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れるということは前述しました。では、この2種類の睡眠は1サイクルの中また、1回の睡眠の中でどれくらいの割合なのでしょうか。

レム睡眠時は体を休めていますが、脳は記憶や感情などを定着・消去する作業を行っています。レム睡眠は学習するということではとても重要な睡眠で、これが何らかの原因で遮断されてしまった場合は学習したことの記憶量が減ってしまうという事も言われています。

それに対して、ノンレム睡眠は体も脳も休息状態です。この時に成長ホルモンが分泌されるので組織の増殖や傷の修復が行われます。眠りに着いて最初に訪れるのはノンレム睡眠で、その後レム睡眠が訪れます。

このレム睡眠は20分程度でまた深い眠りのノンレム睡眠に入っていきます。このサイクルを1回の睡眠で約4~5回繰り返し、朝を迎えます。4~5回繰り返すサイクルの中のノンレム睡眠は、眠りに着いてから始めのノンレム睡眠がステージⅢ・Ⅳの最も深い睡眠で、朝が近づくにつれて少しずつ浅くなってステージⅠ・Ⅱのノンレム睡眠が大半となります。

全体の睡眠の20~25%がレム睡眠でそれ以外はノンレム睡眠です。これは、脳の休息に充てられるのは睡眠全体の75~80%ということです。

睡眠リズムと質の関係

睡眠時間を長く取ってもこのリズムが乱れていて、質が低ければ睡眠本来の目的である休息がしっかり取ることができず、疲れがたまってしまします。これを避けるには睡眠のリズムとその質を理解することが大切です。

いったい「質の良い眠り」とは何か、また睡眠のリズムとどのような関係があるのでしょうか。

睡眠リズム

ノンレム睡眠は体と脳が休息している状態の眠りなので、このときに起床時間が来ると目が覚めるまでに時間がかかったり、なかなか起きられなかったりして体のだるさなどを感じてしまいます。一方、レム睡眠の場合は脳が活動しているので眠りも浅く、短時間で目を覚ますことができ、起床時の辛さや眠気が少なくなります。

睡眠の質

睡眠の質は主にノンレム睡眠の時の質が関係しています。このノンレム睡眠は眠りに着いてはじめの1~2回が最も深い睡眠です。したがって就寝してから約2~3時間の睡眠の質が最も影響します。また、眠りについてから2~3時間後に成長ホルモンが分泌されます。これは体の修復に関係していて肌のターンオーバーもこの成長ホルモンが関係しているので、若返りホルモンと言われることもあります。疲れがとれなかったり、女性が「今日は化粧のノリが悪い」と感じたりするのはこの成長ホルモンの分泌が十分でないことがあるためです。

睡眠の質を向上させる方法

睡眠がしっかり取れているかどうかで翌日の体のコンディションに大きく影響します。最も重要な眠りである深いノンレム睡眠をしっかり取るためには周囲の環境や睡眠の準備が必要です。

環境の準備

環境とは枕などの寝具が自分に合ったものであるか、部屋は余計な照明や光が入ってきていないか、温度や湿度などは最適かなどです。

◯寝具:枕に頭がなかなかフィットしないとか、布団が硬い、柔らかいなど自分の体に合っていない寝具を使っていませんか。朝起きた時に首や肩など体にコリを感じるのであれば寝具を変えてみるようにしましょう。

◯光・音:外の光や騒音が気になる場合は遮光や厚手のカーテンなどで対策することで睡眠に最適な環境に返ることができます。

◯温度・湿度:季節によって寒かったり、暑かったりしていませんか。眠るための最適な温度は個人差がありますが、平均夏なら26~28℃、冬は18~23℃とされています。湿度はおおむね50%程度です。これらの温度や湿度を保てるよう、エアコンや加湿器・除湿器などを有効的に使ってみてください。

自分自身の準備

睡眠の準備とは自分自身の体の状態や習慣などを指します。以下の項目で自分に該当するものはありませんか。もしあるならその習慣を見直してみましょう。

◯飲み物:眠りにつく前にカフェインが多く入ったコーヒーや緑茶などを多く摂る習慣になっていませんか。カフェインは脳を覚醒させてしまうので眠りには良いものとは言えません。同じ水分を摂るのであればホットミルクやココアなど自律神経を落ち着かせる飲み物に変えてみましょう。また、アルコールは適度な量であれば問題ありませんが、眠るための飲酒が習慣化していたり、過量であったりすると眠りにつけても深い睡眠を妨げてしまいます。また、健康にも影響しますので止めるようにしましょう。

◯電子機器:眠るギリギリまでスマートフォンやパソコンを見ているとそれらのブルーライトがその後の睡眠に影響を及ぼしてしまいます。このような電子機器を眠る直前まで触るのは控えるようにしましょう。

◯体のコンディション:冬であれば入浴後時間が経過して体が冷えていないかなどです。また、仕事や勉強などで脳が興奮状態になっているため眠りにつきづらくなってしまいます。少しゆったりした気分でストレッチなどをして脳や体をほぐしてあげることで体がリラックスし、眠りにつきやすくなります。また少しぬるめのお風呂に少し長めに入って体を温めるのも効果的です。

まとめ

睡眠は私たちの生活の中でごく普通にある体を休める行動です。しかし、最近ではこの睡眠が様々な理由で確保できず、悩んでいたり体調を崩したりする人が増えてきています。これは現在の社会環境、仕事や勉強などのストレスや夜間の勤務などが多くなったということも要因のひとつです。そのまま放置してしまってはいずれ、自分の体が悲鳴をあげてしまいます。

社会の環境などは自分ではどうすることもできない場合もありますが、睡眠をいかに上手く取る工夫をすることも大切です。

今はそれほど睡眠・体の休息について心配がなくても、休める環境や習慣をつけていくことで様々な環境に対応できる体をつくることができます。悩んでいる人もそうでない人も一度、自分の睡眠に向き合い、見直してはいかがでしょうか。

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この記事のライター

薬剤師をしています。ヘルスケア分野の情報をわかりやすく説明します。

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