高齢者のリハビリに!歩行訓練のトレーニング方法5STEP【専門家執筆】

高齢者のリハビリに!歩行訓練のトレーニング方法5STEP【専門家執筆】

高齢者になると足腰が弱くなりがちです。ただ、リハビリで改善することは可能です。歩けなくなることは、身体面だけでなく精神面にも影響しますので、歩行訓練は重要です。歩行訓練の効果やトレーニング方法について詳しく解説していますのでぜひ参考にして下さい。


「歩く」という動作。これは人間のみができる動作で、脳にも各関節、各筋にも刺激が入ります。複数の関節が同時に動き、とても簡単なようで、とても複雑な動作です。

高齢者といっても自立歩行ができる方、杖などの補助具を要する方、歩行介助が必要な方などいらっしゃると思います。ここでは高齢者の方の歩行、また高齢者に携わっている方に対して「歩行訓練」についてお伝えしていこうと思います。

歩行とは

「正常歩行は規則的な四肢と体幹の連続交互運動で、それにより重心の前進がおこなわれるものである」とあります。日常的に、そして無意識に歩いていますが、とても奥が深い動作です。

<歩行に関する用語>

・歩幅
右足が接地し、次に左足が接地するまでの動作を一歩と呼び、この間の距離。

・重複歩距離
一側の踵が接地して、次に同側の踵が再び接地するまでの動作を重複歩といい、その距離。また、かかる時間を重複歩時間という。

・歩行率
単位時間内の歩数で歩調とも言われる。一般に下肢長が長いと歩行率は低下するが、成人の歩行では、80~120の間にあり、その範囲以下あるいは以上だと歩行の各パラメーターのばらつきが大きくなる。また、歩行率を上げると二重支持期が短くなり、180以上では走らざるをえなくなる。

・歩行速度
単位はcm/minで表すのが一般的である。臨床的には10mの歩行時間で表されることが多い。

・歩隔
左右それぞれで踵接地点の中点を結ぶと2本の線間の距離を言う。

・足角
進行方向に対して足部の縦軸がなす角度である。平均は7°であるが、歩行速度を高めると足角は減少する。

・歩行周期
歩行周期は、片足の踵が床に接する時(踵接地)から、同じ足の踵が再び、床に接する間の歩行を、慣例上さしており、これを一歩行周期(初めの60%を占める立脚期と残りの40%を占める遊脚期に分ける。)という。

・立脚相
地面についている側の脚。踵接地(HC)、足底接地(FF)、立脚中期(MS)、踵離地(HO)、足趾離地(TO)からなる。

・遊脚相
足趾が床面をはなれて振り出されている側。加速期、遊脚中期、減速期からなる。

歩行訓練を勧める理由:サルコペニアとフレイル

高齢者になると足が上がりにくく、転倒しやすい。またそれが原因で「歩行」が困難になります。なぜ高齢者は歩行が困難になり、「歩行訓練」をしなければいけないのでしょうか。

それには明確な理由があります。

理由として「サルコペニア」、「フレイル」が挙げられます。
一体それは何?!と初めて聞く方も多いとは思いますが、高齢者の筋力低下の原因が近年明らかになっています。またそれを打開するには「運動」をしなければいけないと言われているからです。

サルコペニアとは?

「サルコペニア」とは簡単にいえば「筋肉量の減少」です。サルコペニアは普段運動をしていない人では30代から毎年0.5%~1%程度の筋肉量が減少していきます。

原因は
①加齢
②神経細胞の減少
③タンパク質合成率のバランスが悪くなる などが挙げられます。

臥床肢位、座位の生活により運動する時間が減ることで筋肉量は軽減してしまいます。また高齢者は消化器管なども虚弱してくるため、食欲が軽減し、筋肉をつくるために必要な栄養素(たんぱく質)をしっかり摂取できず、栄養が不足することもサルコペニアの要因となります。

サルコペニアの診断は誰にでも行うことが可能です。
・歩行速度
・握力
歩行速度に関しては、横断歩道を青信号の間に渡れるかが基準になります。
握力に関しては男性26㎏、女性18㎏以下が基準になります。握力は全身筋、体力を簡単に評価することが可能です。

フレイルとは?

フレイルは「虚弱」という意味です。
フレイルには「身体的」「社会的」「精神的」フレイルと分類されます。

社会的、精神的フレイルが基盤となり、身体的に発展していくのではとの見解があります。例えば妻に先立たれ、家にこもりがちになり、友達とも会わなくなる(社会的フレイル)、すべてが悲観的になりうつ状態となる(精神的フレイル)。この生活が続くことで筋力が衰えていく(身体的フレイル)。このように各要因が「虚弱」へと結びつくということが明らかになっています。

今まで容易にできていた起居移動動作、歩行などができなくなる、いわゆる日常生活動作(ADL)困難になると、身体的にも精神的にも苦痛を味わうことになり、社会との交わりも減ってしまいます。

ADLが困難にならないためには、「運動」と「食事」が必要不可欠です。特に運動は何よりも大切になります。『腹が減っては戦はできぬ』という言葉とは逆になりますが、腹が減るには運動をしなければいけません。運動をして、おいしくご飯を食べることは、精神面においても良い影響がでてきます。

「ウォーキング」や「歩行訓練」は、サルコペニアとフレイルの改善・予防、臥床時間・座位時間の減少、転倒予防、うつ傾向の改善など、さまざまな面において良い結果を生み出します。

「歩行訓練」を積極的に行い、外に出る習慣や、身体を動かす習慣を取り入れましょう。

サルコペニアとフレイル(虚弱)の違いって?

どちらも「加齢に伴う機能低下」を意味していますが、
サルコペニアは、「筋肉量減少」が主体で、筋力・身体機能の低下を主要因としています。

フレイル(虚弱)は移動能力・筋力・バランス・運動処理能力・認知機能・栄養状態・持久力・日常生活の活動性など、広範囲の要素が含まれています。

歩行訓練のトレーニング方法5STEP

健常者では「歩行訓練」をする必要はほとんどありません。術後の患者さんや脳梗塞などの後遺症で麻痺を呈し、歩行困難な方に関しては、「歩行」するための「訓練」が必要になります。

目的としては「安全で実用性があり、二次障害を招かない歩行能力獲得」です。

①問題点の抽出

理学療法士は歩行においての問題点を抽出していきます。
まずは全体的な歩行を見ていきます。

・危ないと思う所はどこか
・繰り返されることによる機械的なストレスにより、二次障害が懸念される部位はどこか
・歩行のどの部分がスムーズに行えず、スピードの低下に結びついているのか
・足部が床にきちんとついているか
・股関節は伸展しているか
・骨盤は正中位で固定されているか
・体幹の傾きはどの方向に生じているか
・重心移動はスムーズにできているか
・重心移動や荷重による諸所の収縮のタイミングは適切か
・麻痺側への荷重時に股関節屈曲や膝過伸展はみられていないか
・遊脚相での骨盤や下肢はうまくコントロールされているか
・上肢の連合反応は出現していないか
・上肢は歩行に参加できているか

実際の歩行を見て、どの関節が動いていない。その理由はなんだろう。関節に問題があるのか?筋力が低下しているから?麻痺があるから?などさまざまな検査をし、分析していきます。

②歩行訓練のための訓練

「歩行時にこの筋肉がこのように収縮したら、もっと歩きやすい」という問題抽出をした場合は、歩行時に使用する筋収縮で筋力トレーニングをしていきます。

(例;歩行時に求心性収縮をしている筋肉に対して、求心性収縮の反復訓練を行うなど)
また筋力トレーニングは動作を通して、トレーニングを行うこともあります。

(例;膝関節屈曲筋に対しての求心性収縮を促したい場合、立位から低い場所にある物を取らせて、また立位になるなど)

そのように筋力増強訓練を日々行い、「歩行」に向けての訓練を行っていきます。

③平行棒内歩行訓練

歩行の訓練を行う際は、まず平行棒内での歩行訓練となります。
平行棒内での歩行訓練は、両サイドに手すりがあるため、安心に行うことができます。
また平行棒内で立ち上がり動作の訓練、スクワットや片足立ちなどにも使用します。

④応用歩行訓練

屋外に出る前に、屋内にて応用歩行を取り入れながら歩行を行います。タンデム歩行、横歩き、障害物がある状態での歩行、「今何時ですか?」と他の指示を入れながらの歩行を実施していきます。

⑤屋外歩行

屋外歩行は屋内とは違い、転倒リスクはかなり高くなりますので介助がすぐにできるように、介助側も気を張る必要があります。

術後の患者さんや、麻痺等の疾患がある方に関しては、以上のステップで歩行訓練を行っていきます。

高齢者で健常者の場合は、関節可動域拡大、筋力増強訓練を行うと歩行能率があがることがあります。また歩行の際に膝関節が痛い、腰が痛いという場合は無理に頑張って歩く必要はありません。杖やシルバーカーなどを利用して負担を軽減させて歩くようにしてください。

<介助する際の注意>

基本、麻痺側に立ちます。転倒リスクが高い方には、体側に近い位置で体を密着させるようにし、腋窩と手掌で歩行介助を行います。

麻痺になって長く、一人で歩ける方に関しては、介助が逆に転倒リスクを高めてしまう恐れがあります。本人が歩きやすい方法を見出しているからです。その歩き方を邪魔すると転倒してしまいます。

また転倒リスクが低い方に対して、過剰な介助をしている方を多く見かけることがありますが、すべての動作は「訓練」になります。転倒しそうな時に手を差し伸べれる位置に、介助者が存在していれば問題ありません。過剰な介助は歩行訓練の妨げにもなります。

高齢者の歩行能力の変化

歩行速度というのは、50歳以降から低くなり、男女ともに62歳頃から急激な低下がみられます。歩行速度の低下に伴い、歩幅や歩調も低下します。特に「歩幅」の低下が大きくみられます。

歩行の周期は加齢と共に長くなります。高齢の場合、立脚期が延長し、遊脚期が短くなります。歩行各期を時間比(1周期の時間を100%とする)でみると、立脚期において単脚支持期の割合が減少し、両脚支持期の割合が増加します。単脚支持期の短縮は、加齢に伴う下肢筋力の低下やバランス機能低下に対する安定性確保のための身体対応であるといえます。

また下肢の関節角度については、加齢に伴って踵接地期における足関節背屈角度の減少、股関節屈曲角度と膝関節伸展角度の減少、蹴り出し期における足関節底屈角度の減少と股関節伸展角度の減少などがみられ、それらが高齢者の歩幅減少、歩行速度の低下の要因と考えられます。またそれらの角度の減少がつまずきや転倒を引き起こす要因ともなっています。

身体各部の動きに関しては、
①体幹の前後動揺および前傾度が大きくなる。
②骨盤の水平回旋運動域が若年者より小さくなる(骨盤の回旋運動が低下することは、歩幅減少の大きな要因)

<下肢関節可動域と歩行機能との関係>

下肢10ヵ所の関節可動域の中でも、足関節背屈・底屈の可動域の加齢変化(低下)が最も著しいことが明らかとなっています。これが、歩行機能の加齢変化として指摘されている、立脚期蹴り出し期の足関節機能の低下と、遊脚期接地直前の足先の高さの低下(“つまずき”の危険性増大)の要因の一つであることは間違いありません。

<下肢筋力と歩行機能との関係>

歩行速度と歩幅に相関するのは膝伸展筋である「大腿四頭筋」の筋力と「足底屈筋」の筋力です。

高齢者における下肢筋力低下の歩行時の下肢関節モーメント(脚の振り出し)への影響としては、筋力が低下するほど、歩行の前方推進力が股関節の伸展運動に依存するといわれています。転倒に関してみると、膝伸展力(体重比)が両下肢とも35%以下になると屋内転倒のリスクが非常に高まり、一側だけが35%でも筋力の左右差が著明であると転倒しやすいと指摘されています。

転倒防止のためには膝伸展力が体重の35%以下にならないように維持・強化に努める必要があります。

<平衡機能と歩行機能との関係>

平衡機能(バランス機能)は加齢により低下が著しい運動要素の一つです。
片脚立ち保持時間は転倒リスクを把握する上で良い判断指標となります。

転倒歴のある人で検査したところ、「30秒以内」にバランスを崩すという結果が出ています。転倒リスクを予測する感度の高い評価指標になります。

以上のことから、無意識にできていた歩行が「困難」になりやすいのです。筋肉の低下だけではなく、関節の角度、平衡機能などが低下していくことで歩行困難となります。

筋力維持・増強、関節可動域を維持・拡大させるために「歩行訓練」を行う必要があります。また「歩く」という習慣を若年者から身につけなければいけません。
では歩くことでどのような効果があるのでしょうか。

歩行訓練の効果4つ

<歩行の効果>
1)筋肉維持・増強効果
2)有酸素運動による効果
3)骨粗鬆症予防
4)精神機能向上

効果1)筋力維持・増強効果

歩くという動作では、無意識のうちに多数の筋群を活動させることができます。
特に下肢の筋群(主に大腿四頭筋・大殿筋・中殿筋・腸腰筋・腓腹筋・前脛骨筋など)を頻繁に使用します。
下肢の筋群が鍛えられると転倒予防、寝たきり予防にもなります。
正常歩行時の筋活動を8つの部位別にまとめました。

①前脛骨筋
活動時期:立脚期の踵接地から足底接地までの間(遠心性)
     立脚期の終わりから遊脚期(求心性と等尺性)

作用:急激な底屈を防止するのに作用
   足指の引っかかりを防止するために足関節背屈に作用

第1の大きな活動が遊脚終了時から開始され、IC(踵接地時)直後に活動のピークがあります。これは、足関節の過度の底屈を防ぎ、足関節を固定するために働きます。

足底接地後に活動が減少します。第2の活動はPSwで開始される。これは遊脚中期に足部のクリアランスのために足部を背屈します。

長趾伸筋;前脛骨筋とほぼ同じ活動をする。その機能はICの足部制御と遊脚中のクリアランスのための背屈です。第3の活動が蹴り出し期にあります。これは素早いエネルギー発生期間中での足関節安定化のために同時収縮をします。

②下腿三頭筋
活動時期:立脚相の後期である踵離地から爪先離地までの
     振り出し時(求心性)

作用:身体の前進・加速

腓腹筋;大きく長い活動があります。踵接地直前から活動が開始され、立脚中活動が増大し、蹴りだし中期(周期50%)で活動がピークになります。

周期の5~40%の期間には筋は伸張され、その後蹴り出し期でその他の足関節底屈筋とともに収縮し重要なエネルギーインパルスを発生させます。PSwまでに活動が急激に減少し遊脚期へと低い活動が残ります。これは振り出し前の膝関節を屈曲させるためです。この時期、膝関節伸展筋と同時収縮が生じます。

ヒラメ筋;足関節底屈筋として立脚期間中活動します。初期には下腿の前方回転を制御し、周期40~60%では瞬発的な蹴り出しの力を発生させます。

③大腿四頭筋
活動時期:立脚期の踵接地から立脚中期まで(遠心性)

作用:膝折れ防止

大腿直筋;大小2つの活動があります。第一の大きな活動は、IC前から下腿を伸展するために開始され、体重支持期(周期10%)でピークがあります。第二の小さな活動はPSw後にあります。

外側広筋;活動のピークが体重支持期(周期10%)にあり、膝関節屈曲を制御し立脚中期での股関節伸展を補助します。

④ハムストリングス
活動時期:遊脚期の後期(遠心性)

作用:下腿の振り子運動の減速

内側ハムストリングス;主要な活動は遊脚後半から開始され、遊脚後期(周期95%)に活動ピークがあり、体重支持へと活動が継続していきます。第二の小さな活動が遊脚初期にあります。第一の活動は下肢遊脚の減速に働き、主に下腿と足部をゆっくりとおろす膝関節屈曲筋として働きます。踵接地した後、内側ハムストリングスは大腿の前方回旋を制御し、骨盤の安定化のために大殿筋を補助する股関節伸展筋として働きます。

外側ハムストリングス;内側ハムストリングスと同様の活動パターンです。若干の相違点は大きな活動ピークが立脚初期(周期4%)にあることと、外側ハムストリングスは内側ハムストリングスと比較して下腿を減速する役割が小さく、体重支持期での股関節伸展筋としての役割が大きいことです。

⑤中殿筋
活動時期:立脚初期の踵接地から立脚中期まで(等尺性)

作用:骨盤を水平に維持する

主要な活動は、遊脚後期から開始され体重支持期(周期15%)に活動ピークがあり、立脚中期中に減少し単脚支持終了時(50%)ゼロに近くなります。この筋には2つの作用があると考えられており、①前部線維は股関節外転筋として体重支持期に骨盤落下を制御する。②中部線維は股関節伸展筋として股関節屈曲制御を補助する。

⑥大殿筋
活動時期:立脚期の踵接地から立脚中期(求心性)

作用:骨盤・体幹の前進

主要な活動は遊脚後期から開始され、体重支持(10%)で活動のピークがあります。第2の小さな活動が遊脚前半に生じます。股関節伸展筋として体重支持期に股関節屈曲を制御します。また大腿の前方回旋も制御します。遊脚初期の第2活動は、前方への大腿振り出しを減速し、周期85%時点まで大腿の回旋を制御します。

⑦脊柱起立筋
活動時期:立脚期の初期と遊脚期の中期(等尺性)

作用:体幹の直立を保持し、左右の動揺を防ぐ

二峰性の筋活動ピークがあり、大きな筋活動ピークが周期10%、少し小さな活動ピークが周期60%にあります。両活動のピークは同じ働きで、それぞれの下肢が体重を受ける際に体幹の前方回旋を制御します。僅かに大きい活動ピークは両下肢での体重支持に関連し、第二の活動ピークは反対側の体重支持に関係しています。また、左右の動揺も抑えています。

⑧上肢の筋活動
自然歩行では、前方に30°後方に9°の腕の振りがあります。上肢を前方に振り出したときは、内旋筋群(大胸筋、広背筋上部線維、肩甲下筋)にあり、後方では外旋筋群(三角筋後部線維、大円筋、広背筋上部)に筋活動があります。肩関節屈筋群の活動はほぼありません。僧帽筋と菱形筋は、肩甲骨を体幹に固定する作用として、また外転筋群(三角筋中部、棘上筋)は腕が体幹にふれないで円滑に振られるように活動しています。

これらの筋活動電位の振幅は最大随意収縮の5~10%です。他動的の振り子運動を行わせると、運動域が30°以内のときには三角筋後部だけに活動が起こることから、歩行時の腕の振りは単なる他動運動によるものではないのです。

効果2)有酸素運動による効果

歩行は酸素を消費し、筋肉の収縮に必要なエネルギーを取り出す運動、すなわち有酸素運動になります。有酸素運動は、体脂肪の燃焼、末梢血管抵抗性の低下、インスリン受容体の感受性の改善により、「肥満」「高血圧」「糖尿病」などの生活習慣病の改善・予防に効果的です。

効果3)骨粗鬆症予防

骨粗鬆症にも効果的です。骨は関節に刺激が加わることで、骨形成が促進されます。また歩行中に太陽の光を浴びることで、ビタミンDの合成が促進され、カルシウムの吸収力を高めます。

効果4)精神機能向上

身体面だけでなく精神面においても効果があります。悩み事、不安な時など気分が落ちているときに歩行をすることで、気分が晴れることが研究で報告されています。また気分転換になるだけでなく、歩くことで血液循環が良好となることから、脳内活動も活発化します。

歩行が困難な方に関しては歩行訓練を行います。目的はさまざまですが、患者さんの身体機能の維持・向上、臥位状態を脱却するため、ADL向上のためなどです。

歩行訓練を行うことで、活動性が向上し、筋肉や骨への刺激を与えることが可能となります。軽運動により精神機能が向上します。臥位状態ではうつ傾向だった方も活動量が増えると前向きになります。

このように歩行は単に身体面だけでなく、精神面にも良い効果を発揮するのです。

歩行訓練におすすめの器具5つ

立位可能、歩行困難な方には、平行棒内にて歩行訓練を行います。また階段昇降訓練を行うために歩行訓練用の階段を用いることもあります。

①平行棒
②歩行訓練用階段

転倒リスクがある方や術後の患者さんの場合は、平行棒内歩行(手を放した状態)または杖や歩行器にて歩行訓練を実施します。

また高齢の健常者も膝や腰に痛みがある方は、以下の物をお勧めします。

③t-cane(T字杖)
④シルバーカー
⑤キャスター付き歩行器

カワムラサイクル 簡易平行棒/ BP2

まとめ

「歩行」というものは元気に生きていきている間、必ず行う動作です。歳を重ねるにつれて筋力が衰え、歩行だけでなくさまざまな動作が困難となります。

なるべくなら人に頼らずに、モノに頼らず「歩く」という動作をしたいですよね。
そのためには「運動」「栄養(食事)」を怠ってはいけません。手軽にできる運動「歩行」を体調がいいときに、また継続的に行っていきましょう。

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